マモノ
2008年Jリーグナビスコカップ予選リーグ第5節
川崎フロンターレ 2-0 コンサドーレ札幌
得点者:札幌/いない
川崎/確定無罪、推定日本人
コンサドーレ札幌と川崎フロンターレが共にJリーグに参加してから昨季まで、札幌は公式戦では川崎に一度も勝てなかったことは、これまでこのサイトでも何度か触れてきました。ご存じの通りその勝てないジンクスは今年の室蘭での逆転勝利によりようやく破ることは出来ましたけど、その時にも書いているとおり、札幌は等々力でのアウェイ戦ではまだただの1点すら獲ったことがありません。過去の等々力での対戦は昨季まで、といっても川崎フロンターレがJ1昇格を果たした2004年を最後に対戦がなかったので正確には2004年までなのですが、以下の通りの結果となっています。
1999/04/04 J2第06節 0-2●
1999/09/10 J2第25節 0-2●
2003/06/06 J2第16節 0-1●
2003/10/18 J2第39節 0-1●
2004/06/23 J2第19節 0-6●
2004/11/20 J2第42節 0-2●
計6試合を戦って6戦全敗、失点14に対して得点は0。対戦した年をよくご覧いただければおわかりかと思いますが、川崎と同じディヴィジョンにいた3シーズンのうち、川崎は2シーズン(1999年と2004年)で優勝、残る2003年シーズンも昇格こそ逃したものの、2位のサンフレッチェ広島とは勝点差わずか1の差で涙を呑んだのに対し、札幌はこの3シーズンのいずれも昇格レースからはぶられていたばかりか、2004年は年間わずか5勝で堂々の最下位。この年、試合数が増えた今でも破られていない「勝点100超え」という圧倒的な強さで優勝した川崎には文字通り手も足も出なかったように、分が悪いのはある意味仕方がないのですけど、それでもただの1点すら獲れないというのは不思議です。同じく札幌がある程度試合やってて未だ勝利のないスタジアムとしては、カシマスタジアムやヤマハスタジアム、日本平スタジアムがあって、それぞれ4点獲られたり5点獲られたりと景気よく負けてるんですが、それでも一応こっちも得点は獲ってるんですよ。しかも、1998年には川崎時代のヴェルディと等々力で対戦し、その時は2-1で勝っています。つまり、「等々力での川崎フロンターレ戦では点が取れない」ということ。ここまでくると、「弱い」とか「鬼門」だけで説明のつかない「何か」があるのでしょうか。コンサドーレ札幌というチームの前身が、この等々力陸上競技場を主に使用していた東芝堀川町サッカー部だったことと無関係ではないのかも知れません。ああ、一応「未勝利無得点のスタジアム」はまだ他にもあるんですけどね。大分市陸なんで。
まぁ普通ならこんなオカルトじみた話なんて、某総理大臣(チンパンジー)みたいに鼻でフフンとかやっちゃうようなことなんですけど、この試合を見るとなんだかそんな呪いとかマモノとかの話をまともに信じてしまいそうな内容でした。川崎はワールドカップ予選に臨む日本代表にGK川島永嗣、DF寺田周平、DF井川祐輔、MF中村憲剛が、北朝鮮代表にチョンテセが招集され、さらには森勇介が半月板損傷で戦線を離脱と、主力選手を実に6人も欠く状況。一応札幌も宮澤裕樹がU-19日本代表に招集されてはいますが、フル代表とは気持ちいいほど無縁でとりあえずベストメンバーで臨める札幌が、飛車角金銀桂馬落ちの川崎に勝負にならないようではもうほんとに残りのシーズンの楽しみ方を変える必要があります。で、さすがに試合は札幌がペースを握っていたんですが…なぜだかシュートが入りません。前半早々にダヴィがスローインからのボールをうまく身体を使って打った強烈なシュートはGK植草に止められ、その跳ね返りをダイレクトで打った西谷のこれまた見事なシュートはやはりGKにセーブ。ダヴィの1対1は入らないのが普通なのでいいとしても、その後セットプレイで柴田が頭で合わせたボールは相手DFにゴールライン上でクリアされ、平岡の強烈なハーフボレーもGKがセーブ、FKからクライトンが「触ればゴール」というボールを入れてもあと一歩のところで合わないしで、結局わずかなミスを突かれて我那覇に先制を許し、終了間際にはPKをジュニーニョに決められてしまいました。まぁ結局は「決めるべき時に決めることができたかどうか」ということと、「決められるべき時に決めないとやられる」というのが、川崎と札幌の明暗を分けたという意味では、サッカーらしい試合ではあったんですけどね。川崎が枠内に飛ばしたシュートって、たぶんこの2本だけだったと思うんですけど、そのいずれも決められて敗戦となると、多少なりとも「人外の力」の存在を理由にしたくもなります。今季は「関東での雨中の試合は吉兆」というのが札幌にあったんですけど、そんなジンクスも「等々力のマモノ」の前には無力だったようです。
そんなわけで結局、ドーピング問題でスポーツ仲裁裁判所でJリーグから受けていた処分取り消しの裁定が出され、事実上の「無罪」となった我那覇の引き立て役となってしまったわけですが、まぁ札幌はかつてゴン中山が4試合連続ハットトリックというギネス記録をアシストしたこともあるようにとても空気の読めるチームですから、別に不思議なことではないですね。というわけで我那覇さんにはとりあえず空気読んだお礼としてガンプラで手を打ちましょう…と言いたいところだけどダブルオーはガンダムじゃないからいいや。アッシマーならよかったのに。