ちょっと所用で札幌に戻っておりました。地元にいたというのにコンサドーレ関係の情報はまるでチェックしていなかったのですが、その間に練習生としてチームに帯同していたアンデルソン・ルイス選手との契約が発表されていました。アンデルソンの契約は予想の範囲内ではあったのですけど、三上強化部長がはるばる南米はブラジル、コロンビア、アルゼンチンなどを回って選手を物色していたこともあり、そこでアンデルソン以上の選手が見つかればその選手と契約するだろうとは思ってはいましたので、そっちのほうはどうだったんでしょうね。まぁ単純に考えれば「つまりいい選手が獲れなかった」ってことなんでしょうけどね。もっといえば、札幌の出せる条件で折り合いのつく選手の中で、アンデルソンを切ってまで獲得したいと思える選手がいなかった、ってことでしょう。
どこの国でも契約しただけでその選手を試合に使えるわけではありません。試合に出場するためにはその国のサッカー協会への選手登録が必要なのですが、国際移籍の場合はFIFAが各国のサッカー協会に対して年2回の登録期間を設けることを義務づけています。この登録期間を「ウィンドウ」といいまして、今季のJリーグの「ウィンドウ」は2008年1月11日から3月14日までと、7月11日から8月8日までの2回となっていますが、この「ウィンドウ」が開いている間しか登録することができません。要するに、これから新しく海外から選手を引っ張ってくるとしても、選手の名前をあぶり出しで書いてたりでもしない限りは、7月11日にならないと試合に出られないよということです。 しかし、これはあくまで「移籍」の場合。アンデルソンの場合は札幌の練習に参加した時点ではどこのチームにも所属していないため、選手登録に際して上記の制約を受けず、契約さえしてしまえばすぐにでも登録が可能で、登録が済めば再開となる6月29日のガンバ大阪戦からの出場もできます。既に練習に参加し、札幌の環境やサッカーにフィットするかどうかもある程度見極めができていることも大きいですし、どこにも所属してないということは当然移籍金を払うべき相手もいないということですし、年俸もそんなに高いわけでもないでしょう。大枚はたいてハイレベルな選手を獲得したとしても再開後の2試合は確実に出られない、フィットするにも時間がかかる上、日本の環境やチームのスタイルに合わずに持てる力をフルに発揮できない可能性も決して低くはないですから、そういった総合的な判断で最終的にアンデルソンをチョイスしたということなのだろうと思います。まぁ「本物」ならフィットするとか関係なく活躍できるのかも知れませんけど、そのあたりについては選手にもチームを選ぶ権利があるということなのでしょう。
アンデルソンのプレイをオレ自身はまだ見たことがないので彼についてあれこれ言及するのは避けますが、個人的にはプレイスタイルやレベルはともかく何となく無難な補強だなという印象は否めません。どうせだったら現役ホンジュラス代表とか、現役宇宙人とか、現役未来人とか、現役超能力者とか、現役異世界人とか、現役マサイ族とかそれくらいのインパクトが欲しかったところですが、まぁ欲をいえばきりがないですね。
で、ノナトとの契約解除も同時に発表されています。既にチームの方針は三上部長が南米で探してきた選手か、もしくはアンデルソンとの契約の二択しかなく、その場合既に埋まっている外国籍A契約枠を空けるために、ここまでリーグ戦わずか4分の出場に留まっているノナトが退団することになるだろうというのは当然の成り行きでしたから特に退団については驚きもないんですが、コンサドーレのJ1残留という命題をクリアするための点取り屋としての役割を担うべく、133点というバイーアのクラブ得点記録をひっさげ、「カタカナみっつでノナト、呼ぶ時はマタドー」とばかりにサポーターの期待を背負ってやってきましたが、結局得点量産どころか試合にすらほとんど出られないまま退団。コンディションを調整に失敗したばかりか戦術を理解しようとするそぶりすら見せなかったノナトが悪いのか、使えるようにコントロールできなかった監督が悪いのか、それともそんな選手を獲ってきてしまったフロントが悪いのか、そんなことは今更どうでもいいのですけど、一つだけ言えるのは、ノナトがたったワンプレイで伝説を残したことは間違いなさそうですね。あのスーパークロスは忘れたくても忘れられそうにないように思います。