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2008年7月10日

厚別開幕

2008年Jリーグディビジョン1第15節
コンサドーレ札幌 2-2 清水エスパルス
得点者:札幌/ダヴィ、池内
     清水/西澤(偽)、マルコスパウロ

 既に今更な感がありますが、清水エスパルス戦。サミットストアが店舗を展開してないのに洞爺湖でサミットが行われる北海道。そのサミット開幕を目前に控え、札幌では遅まきながらの厚別開幕戦が行われました。札幌がメインで使用するスタジアムはこの厚別公園競技場と札幌ドームの2つがあり、より多くの観客動員が期待できるのは駅からのアクセスも便利で天候に左右されず、キャパも厚別の約2倍の3万8千人まで入る札幌ドームのほうで、実際昨季のドームと厚別それぞれの平均入場者数を比べると、ドームのほうがだいたい2倍くらい入っている実績が出ているのですが、ドームは厚別に比べると会場使用料が桁違いに高く、さらに観客が2万人を超えるとさらに超過分に応じて使用料が加算されるという方式のため、ドームでやれば利益もにばいにばーいと高見山っぽく言えるかというと実はそういうわけでもないのが実情です。
 そのため、春先や初冬など雪に埋もれて使用できない時期はもちろん、照明施設が常備されていない厚別では、日本ハムファイターズの試合と重なったりなどで札幌ドームが使えない「どうしても」の場合ではドームを使うことが多いのですが、これまでは前記の理由からそれ以外の場合では原則として厚別を使用していました。例年、厚別が使用可能になるのは雪が完全に融けて芝の養生も終わった頃、時期で言えばだいたい5月のゴールデンウィークのあたりとなるため、厚別の開幕戦もこの頃になることが多かったのです。
 しかし今季はJ1ということでいろいろと頑張らないといけないためか札幌ドームでの開催が増え、それに伴って厚別の開幕戦もこの時期までずれ込んだのですが、コンサドーレが誕生してから札幌ドームが出来るまではメインスタジアムとして使用され、多くの試合が行われる中で数々の名勝負の舞台ともなったこのスタジアムには、古くからのサポーターを中心に特別な思いを持つ人も少なくありません。まぁ逆に2001年のアビスパ福岡戦とか2002年のFC東京戦とか思い出したくもない試合も少なからずあるのですけど、それでも全体的な勝率もいいこのスタジアムでの試合を待ち望んでいた方も多かったでしょう。

 その試合に迎える相手は清水エスパルスです。2005年から就任した長谷川健太監督のもと、初年度こそ15位とぎりぎり降格ラインを回避したものの、2年目以降は2年連続して4位という好成績をキープ。ところが今季は鹿島アントラーズを完封して勝ったと思ったら東京ヴェルディにボロ負けしたりと不安定な戦いぶりで、この試合前までの順位は5勝6敗3分で12位。16位のヴィッセル神戸とは勝点で2の差しかなく、降格圏内を脱出したとはまだまだ言い難い状況ですから、アウェイとはいえ札幌相手に負けるわけにはいかない試合です。
 つーか、負けるわけにはいかない度に関してなら、最下位のジェフユナイテッド市原千葉がもうほんとすぐ背後に迫ってる17位の札幌のほうが深刻なわけで、正直四の五の言ってられない状態ですから是非とも勝点3が欲しいところなのですが、清水との対戦成績は少し、というかかなり分が悪く、ここまでの対戦成績は1勝5敗で、その1勝も延長Vゴールでの勝利でのもの。まぁ勝ったことがあるだけマシかもしれませんけど、とにかく苦手なチームであることは間違いありません。
 その札幌は復帰したばかりの西嶋がまたしても怪我で離脱。左のサイドバックには坪内が周り、右のサイドバックには開幕前の手術による長期離脱を経てナビスコカップ柏レイソル戦で復帰した途端に退場するという、1ミリたりとて変わらぬ健在っぷりを発揮した西澤画伯が入りました。そしてサイドハーフとして本来はFWの中山元気を起用。「とにかく大きいのを並べてみました」といった感じの布陣です。

 試合は札幌が風下に立った割には五分五分の立ち上がりを見せ、細かいパスとドリブルを織り交ぜてくる清水の攻撃を注文通りに中盤で食い止めますが、しかしせっかくいい位置でボールを奪っても、考えなしに前線に放り込んだり、微妙にパスがずれて攻撃がスピードダウンしてしまい相手が陣形を整える時間を与えてしまったりでなかなか有効な攻撃チャンスを作ることができません。前半12分にコーナーキックのこぼれ球から再び上げられたクロスに、DFの死角から入り込んできた清水のほうの西澤にバッチリ合わせられて先制を許すまで。クロスもそれに合わせた清水のほうの西澤も確かにうまかったのですが、オフサイドポジションにいたマルコスアウレリオに気を取られて足を止めてしまったのが最大の要因。もったいない失点だと思います。
 ここからは追いつきたい焦りがあるのか、札幌の攻撃はなおいっそうちぐはぐに。左のサイドハーフに元気を置いている以上、左サイドから崩すのはほぼ望み薄。ただ逆に右サイドからクロスを上げた場合、ファーサイドに元気が飛び込むことによってシュートチャンスは増えるでしょうから、札幌としてはいかに征也にいい体勢でクロスを上げさせることができるかが鍵となります。で、実際征也がフリーでサイドのスペースに抜ける機会もそれなりにあったのですが、風の影響もあってか中の味方に合いません。
 しかしそれでもその征也のクロスから得たコーナーキックから、信じられないほどどフリーだったダヴィがヘディングで押し込み同点に追いつきました。
 振り出しに戻して気がよくなかったか、その後もチャンス自体は作れるようになった札幌ですが、相変わらずディフェンスはちぐはぐなまま。清水のボックス型の中盤に対するミスマッチに加え、クライトンが上がってできたスペースのケアをどうするのか、という修正ができず、特に縦に入る速いパスに対して対応が後手に回るシーンが目につきます。後半は風上にエンドを取る札幌が若干有利になりますから、前半1-1で終わっておきたい、というよりは全員引いてでも1-1で終わらなければいけないはずなのですが、それができないのが札幌。終了間際の44分、その速い縦へのパスを止めきれずにマルコスパウロにゴールを許し、再びリードされてしまいました。

 後半、いまいちプレイが不安定だった柴田を外して右サイドバックに池内を投入。右サイドバックに入ってた画伯がセンターに周り、真ん中2枚は西澤と箕輪、合わせてプロ歴26年という経験豊富なコンビです。これに大塚が復帰すれば、まさしく2000年後期型川崎フロンターレですね。まぁ、この年の川崎は降格してるんですけど。
 で、風上を生かして早めに追いつきたい札幌ですが、やはり前半のポジションギャップの修正ができておらず、ワンツーで簡単に抜け出されフリーでシュートを許す状態。つーか清水の選手は簡単そうにワンツーやってるのに、札幌は全然ワンツーにもならないのはこの際言ってはいけないことなんでしょうか。ガンバ戦では割といいプレイを見せていたアンデルソンも、ポストプレイは悪くないのですが前を向く意識はあまりないようで、相手に脅威を与えているとは言えません。三浦監督は後半16分にそのアンデルソンを下げて砂川を左サイドに投入、左サイドに入っていた元気をFWに戻しました。さらに後半25分に征也に替えて西谷を投入。右に砂川、左に西谷という布陣とします。
 これでとりあえず左右両サイドで攻撃の起点ができるようになった札幌は、とにかくクロスを入れて最悪でもコーナーキックを取れば得点のチャンスは増える…というよりはヘタに流れでシュートを狙うよりもそっちのほうが得点できる気がするのですが、その西谷投入から4分後、ほんとにその通りにショートコーナーでのクライトンからのクロスを池内が頭で叩き込んで再び同点に追いつきました。「とりあえず大きいの並べてみました」というのが一応奏功したわけですね。
 その後、得点こそなかったもののそのちょこまかした動きに札幌が手を焼いていたマルコスアウレリオが既にピッチを退いていたこともあり、試合は完全に勢いに乗った札幌のペースとなったのですが、いくつかあったチャンスも決めきることができずそのまま試合は引き分けで終了しました。

 さて、この試合も2失点を喫した札幌は、これでリーグ戦連続失点記録を15試合にまで伸ばしました。J2での連続得点試合記録を保持している札幌としては、ここまで来たら連続失点記録も狙ってみようかと思いたいところですが、Jリーグの記録は1997年7月16日のセレッソ大阪戦から1998年10月17日の横浜フリューゲルス戦まで、足かけ1年以上に渡ってヴィッセル神戸がこつこつと積み上げた45試合。まだまだひよっこです。その偉大なる記録に近づくためにも、今年は是非失点しながら残留しましょう。

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