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2008年9月12日

痛み分け

2008年Jリーグディビジョン1第23節
コンサドーレ札幌 3-3 ガンバ大阪
得点者:札幌/ブラジル人×3
     ガンバ/日本人×3

 この試合を一言で表すとしたら、「3得点を挙げたことについては良かった。勝とうという気持ちも感じられた。でも3失点したことについては微妙だし、勝たなければいけない試合で結果引き分けてしまったことについては残念極まりない。とはいえ相手のガンバはここのところ調子を落としているとはいえ新旧日本代表を揃える強豪チームであることは間違いなく、そういうチームに対して常に先手を取って試合を進めたのはよかった。でもやっぱり勝てなかったのは残念」というところだと思います。

 全然「一言」じゃありませんでした。

 ということで改めて縮めていえば「珍しく3点も取ったのに勝てなくて残念」ということになるかと思いますが、そのガッカリ感の多くは、3失点の内容によるところが大きいと思います。サッカーのような攻守が明確に分かれていないチーム球技では、攻守は表裏一体の傾向が強いです。つまり守備に人数をかければ攻撃が割く人数が減って薄くなりますし、逆に得点を奪おうと攻撃に人数をかければそれだけ守備が手薄になるもの。まぁ実際は全体的なもしくは局地的な戦闘力の差によっても影響されますから単純には行かないのですけどね。たとえば全盛期の俺王様と全盛期の俺王子という化けもんみたいな2トップ(オレの中でのJ最強)がいたら、攻撃に人数をかけなくても点取って来ちゃったりするでしょうし、逆に相手にそんな反則なのがいたら守備に何人かけてようが守りきれる気がしません。ショッカーの戦闘員が何人束になってもライダーに勝てないのと同じです。
 それでもダヴィやクライトンあたりはまだ怪人レベルと言えるだろうとは思いますが、全体的には札幌の戦力なんて並み居るJ1チームから見ればショッカーの戦闘員レベルですから、いくら守備的にといっても、これまでもそうだったようにやられる時はやられます。何しろカップ戦含めて28試合もやってきて無失点に抑えた試合が3試合しかなく、無失点に抑えて勝ったのはそのうちたったの1試合、しかもその相手は当時札幌よりも下の順位にいたジェフユナイテッド市原千葉というオチですから、いくら何でもここまで来れば「守ろうったってムダ」なんじゃないかと思ったりもするわけです。
 とはいえ、こんなことが言えるのもダヴィの成長があってこそなんですけどね。シーズンのはじめに「ダヴィを軸にする」なんてことはさすがに考えはしませんでしたし、だからこそフロントも点取り屋を獲得してブラジル2トップで行くことを想定していたんでしょうし。もっとも、それで点を取れる人としてやってきたのは、おなかがポニョな人だったわけですけどね。ただ、もしポニョが期待通りの活躍をしていた場合、ダヴィが今のように覚醒していたかどうか不明なだけに、難しいところです。

 まぁそれはともかく、今までとはうって変わったように攻撃に比重を置いた印象だったこの試合、その通りに3得点を挙げることが出来たのはもちろんのこと、その3点ともすべて申し分ない形での得点で、考えてみればセットプレイに頼らずに3点も取ったのは今期初めてなのではないでしょうか。いや3点取ったことが今シーズンは1回しかないじゃんとか、点を取ったのは全員ブラジル人じゃんというのはさておくとしても、少し前まではセットプレイくらいしか期待の持てなかった攻撃が、曲がりなりにも自分たちから能動的に点を取りに行ってしっかり取れたというのは、決して悪いことではないでしょう。
 それだけに、先述したとおり3失点してしまったこと、そしてそのうち少なくとも2失点ぶんは単純なミスによるものですから、これは決していいことではありません。とはいえ、1失点目のぎーさんのミスについては、セオリーから言えばあそこは無理をせずパンチングで逃げるのがベストの選択肢だったはずですし、当然ぎーさんくらいのGKであれば、雨で濡れたボールをキャッチに行くことのリスクがわからないはずはありません。にもかかわらずキャッチに行った理由は、おそらく前節の失点が頭にあったからじゃないかと思います。あの試合では、コーナーキックからのこぼれ球を小宮山に叩き込まれたものでした。シュートそのものはあれを止められる人は若林源三くらいしかいないと思えるほど素晴らしかったですけど、札幌のコーナーキックの時の守備は、前線にカウンター狙いの選手を残さずに全員が守る形になっているだけに、ペナルティエリアの外にパンチングでクリアしてもそれを拾ってくれる味方はおらず、マリノス戦みたいに相手に拾われる可能性が極めて高いですから、リスクを承知であえてキャッチに行ったのかもしれません。
 そしてもう1つ、3失点目の征也のクリアミスについても、クライトンが退場してしまい1人少なくなった中でガンバの攻撃に晒され続けており、体勢的には大きく前にクリアできる状態ではなかった征也が、相手コーナーキックボールになるのを承知でまずはプレイを切ることを優先するか、それとも多少のリスクがあってもタッチラインに逃げるか、一瞬迷ったんじゃないかと思います。セオリーから考えれば確かに2つともまずいプレイではありましたけど、どちらもリードを守ろう、マイボールを大事にしようという気持ちが逆に仇になったような印象を受けました。札幌の1点目と2点目だって相手のミスには違いないですし。2点目の藤ヶ谷の飛び出しは札幌時代と何一つ変わっていないようで安心しました。

 相変わらず苦しい状況は続いていますが、こういう時に必要なのは選手が自分たちで考えて動くことだと思います。つーかレミングスじゃねぇんだから言われたことだけやってればいいというようにはならないんですよ。そこんところよろしくお願いします。

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