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2008年12月 8日

天と地と

2008年Jリーグディビジョン1第34節
コンサドーレ札幌 0-1 鹿島アントラーズ
得点者:札幌/ない
     鹿島/野沢

 長かった2008年シーズンも最終節を迎えました。泣いても笑ってもこれが最後の試合、その開始前の時点で優勝の可能性が残されたのは鹿島アントラーズ、名古屋グランパス、川崎フロンターレの3チーム。そしてもう一つ注目されたJ1の残留争いでは、自動降格の可能性が残されたのはジェフユナイテッド市原千葉、東京ヴェルディ、ジュビロ磐田の3チームとなりました。立場こそ違えど運命を決する最終戦に臨むチームに、必死の思いを託したそれらのチームのサポーター達が様々な場所で見守っていたかと思いますが、われらがコンサドーレ札幌はご存じの通り既にJ2への降格が決定しており、優勝争いはもちろん残留争いにすら全く何の関係ありません。言ってみれば高みの見物ならぬ低みの見物といった感じでことの成り行きを見守っていたわけですが、その首位鹿島をホームに迎えた札幌は結局は何の波乱を演出することもなく鹿島の6度目のリーグ優勝を「アシスト」しました。

 はるばる札幌まで足を運んだ甲斐のあった鹿島のサポーターは別として、0-1という結果だけを見れば「惜しい」という見方も出来るため、名古屋や川崎のサポーターやドラマ的な展開を望んでいたサッカーファンにとっては「もう少し粘れよ」という感想を抱かれたかも知れません。ご期待には添えませんでしたけど札幌にしてはこれが精一杯粘った結果なんでご容赦くださいな。まぁ名古屋が大分トリニータに引き分け、川崎がヴェルディに2-0で勝利で終わった結果から見ればもし札幌が勝ってたとしても鹿島の優勝は変わらなかったわけですけどね。札幌が4-0くらいで鹿島に勝つなんてあり得ないですし。逆はあっても。

 そんなわけで今年1年を締めくくる試合についてですが、試合開始20分くらいまではほぼ札幌のペースで試合を進めることが出来たのに、そのいい時間帯でゴールを決められずじわじわと押され始め、結局先に失点してしまうという展開でした。良くも悪くも今年1年戦ってきたそのままの内容ですね。王者鹿島といえど優勝のかかった大一番の試合、最下位でとっくに降格の決まっているチームを相手に「勝って当然」という空気のプレッシャーはさすがにあったようで、試合開始からしばらくは札幌のペースだったのもそれと無関係ではないでしょう。逆に引き分けさえすれば鹿島の優勝が決まるこの試合、いったん守ると決めた時の堅さはもはや伝統とも言えるディフェンスを持つ鹿島に対して先に点を取られればその時点でほぼ勝ち目はないのですから、札幌としては鹿島の動きがまだ硬いうちに先制点を挙げて焦りを誘っていくしかなかったわけですけどね。そういうところで決めきれないのが札幌の弱さであり、流れが悪くても決めさせないのが鹿島の強さでもあるのでしょう。野沢のゴールはフリーにしてしまったのはいただけませんがひとまずシュートを褒めるべきだとしても、後半の札幌はほぼノーチャンス、マルキーニョスが本調子なら少なくともあと1点は入れられてたでしょうから、結果は0-1でも内容的にはやはり完敗といわざるを得ません。

 とはいえ、札幌の選手も持ち味そのものは発揮したと思います。特に上里のプレイには来季への期待を充分に感じさせてくれました。膝の大怪我から復帰して以来、トップフォームに戻るのに時間がかかっていたようですが、中盤で当たり負けせず効果的にパスを散らしていましたし、左足のシュートも以前より威力を増していたと思います。枠には飛びませんでしたけど。征也と砂川の右サイドの崩しもよかったと思います。ただまぁ砂川が中盤でボールを受けることが多かったのと、西谷はサイドに張るタイプのため、実質ワントップとなったダヴィが孤立してしまい、クロスを上げてもペナルティエリアの中にダヴィしかいないという状況が多く、岩政と伊野波を2人まとめて相手してその上から決められるFWなんぞ国内にはいませんし、そもそもダヴィはあんまり空中戦は得意じゃないですからね。馬だし。かといって砂川がトップに張ったら中盤でのタメが作れなくなるわけで、あっちを立てればこっちが立たずといいますか、あそこでボランチのどちらかが飛び込んでこれるようになればもっと得点の可能性は増すんですがね。飛び道具のある上里はともかく、三浦監督が大伍にもっと高い位置でプレイさせようとしていたのはそのあたりが理由なんでしょう。まぁそうはいっても前線に技術の高い選手が揃っている鹿島のカウンターを警戒するとなかなか簡単に上がれないというのも正直なところでしょうから、サッカーって難しいもんです。

 とにかく、天皇杯もとっくに終了している札幌はこれで今年のすべての試合が終了したことになります。リーグ戦の最終成績は4勝24敗6引き分けの勝点18。17位の東京ヴェルディとの勝点差は19、失点も70の大台に乗ったのは札幌だけ、もちろんリーグダントツの多さで、ワースト2のジェフユナイテッド市原千葉が53失点ですからまさに圧倒的な弱さを見せつけた格好となりました。それだけに新聞などでは「最悪の1年」というような書き方をされていますが、個人的には別に最悪ではなかったです。ただ単にいろんな意味で力が足りなかっただけで、少なくともチームに何の未来や希望も見いだせなかった2002年や2003年よりは断然マシなシーズンでしたよ。昨季参入のFC岐阜とロアッソ熊本に加え、来季参入の栃木SC、カターレ富山、ファジアーノ岡山という新規組を倒せば、コンサドーレ札幌が「公式戦でのJリーグ全チームから勝利」を最初に達成することができるのですから、J1から降格したのではなく、J2でやり残したことがあったから戻ることにしたと考えればいいのですよ。ポジティブシンキング。

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