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2008年12月10日

行く人来る人2008

 今年もそんな季節がやって参りました。

 ここでも触れた通り来季の新助っ人として、スウェーデンのユールゴーデンからブラジル人の紀梨乃…いやキリーノというストライカーと、コロンビアのインデペンディエンテ・メデリンからコロンビア人のコルドバというボランチの選手の加入が濃厚とのことですが、その他にも正確には新加入ではありませんが、今季途中に川崎フロンターレから期限付きで移籍してきた箕輪義信の完全移籍での獲得が発表されています。怪我で戦列を離れてしまったのは残念ですが、熱いハートとプロ意識の高さはきっとチームにプラスになってくれると思います。染まらなければ。

 しかしチームとしての選手保有に一定の枠がある以上、来る人がいれば当然去る人もいるわけで、多少話題に乗り遅れた感がありますが今季も契約満了選手について触れたいと思います。先日発表された今季いっぱいの契約満了選手はDF西澤淳二、DF池内友彦、MF鈴木智樹、MF大塚真司、MF西谷正也、GK富永康博、MF鄭容臺、FW相川進也、DF吉瀬広志、DF上田常幸の10選手と、ベテラン選手がその半分を占めています。J2降格で再び緊縮財政を余儀なくされ…とはいっても別にJ1だった今季もジャブジャブ使えるお金があったかといわれれば全然そんなことはないんですけど、あくまで比較の問題としてスポンサーからの広告費なども減ると思われる来季の予算は、今季のそれよりはだいぶ減額されることが確実。来季は若手中心の編成でシーズンに臨む方針、名付けて「わかさ生活(cv:野沢雅子)」となることが非公式ながらも明らかにされていますが、方針は方針だとしても実際は「そうせざるを得ない」という事情も半分くらいを占めているように思います。2007年がそうだったようにチームが勝つためにはベテランの経験や力が必要であるということはわかってはいても、経験と実績を持った選手はそのぶんだけ高いですから、世代バランスも考慮した結果なのだろうと思います。
 その一方で、鈴木智樹や上田常幸など若手の部類に入る選手も退団となっています。まぁ智樹はここ2年はトップの試合にはまったく出られていませんでしたし、上田や吉瀬もここ数年はレンタルでJFLどころか地域リーグでのプレイでしたから、来るべき時が来たのかなという感じではあります。
 それにしても、吉瀬にしろ上田にしろ札幌ではDFがなかなか育たないのが気になるところではあります。過去に新卒として入団したDF(入団初年にDF登録された)の選手は他のポジションに比べればさほど多くはありませんが、高卒では大野貴史や中尾康二、岡田佑樹、大卒でも吉川京輔、河端和哉、権東勇介と現在でもチームに残っている選手は誰1人としておりません。一応生え抜きで今でもレギュラークラスで活躍しているDFの選手はソダンがいますけど、入団当初はFWでしたしね。そういう意味では柴田には来季も期待していますし、高卒で入団してまだトップでは出番のない岩沼やほっちゃんにもまずベンチ入り出来るようになってもらいたいものです。
 また、今季得点ランキング2位となる16ゴールを挙げたFWダヴィも、噂通り名古屋グランパスへの完全移籍が発表となっています。移籍金は推定3億円とのこと。
 ブラジル人にしてはあまり技巧的なほうではありませんけど、体躯の強さとリーチの長さを最大限に生かし、強引に突破して必殺ひづめシュートとか、相手DFが先に抑えたはずのボールを無理矢理自分のものにして必殺ひづめシュートとか、相手GKに音もなく忍び寄って必殺ひづめシュートとか、とにかく力一杯蹴ってみたら入っちゃった必殺ひづめシュートとか、割と試合の流れとは関係なく点を取ってくる選手ですし、もともとの年俸がJリーグの助っ人としてもえらく安いほうだっただけに、オファーが殺到するのは容易に予想できましたし、結局お流れにはなりましたが実際今季も途中でカタールのクラブからオファーがあったくらいですから、移籍発表があった時も驚きはなかったのですけど、めんこい選手でしたからやはり寂しくはありますね。
 ただまぁ、ブラジルの片田舎から「お試し価格」でやってきた最初のキャンプで見た時は、正直なんてへたくそなんだろうと思ったものですが、そんな選手がJ1昇格の立役者となったばかりか3億円ものお金を置いていってくれたのですから、まさにコスモバルクです。馬だし。名古屋でも活躍を祈っています。
 そしてもう一つ個人的に残念なのが、「俺の松井さん」こと松井清隆コーチの契約満了。思ったほど育成が進んでいないからなのか、それとも他の理由なのか詳しいところはわかりませんが、いつも「松井さんコール」に手を挙げて答えてくれたことは忘れません。

 その他の具体的な話は今のところはなさそうですが、あくまで噂レベルながら今季いっぱいで大宮アルディージャを契約満了となった吉原宏太が戻ってくるという報道も出てはいます。1996年のチーム誕生年に初芝橋本高校から加入し高卒ルーキーとして開幕スタメンを飾り、その甘いマスクも合わせて人気・実力共にチームの顔として札幌の黎明期を支えました。1999年には五輪代表に選出され、そして怪我した中山雅史の穴埋めだったとはいえフル代表でもキャップを記録(現在のところ札幌の所属選手として唯一)したことで札幌以外のサッカーファンにもその名が知られることとなり、その年のオフにガンバ大阪へ移籍しました。
 ちなみにこの時は播戸竜二との交換という形での期限付き移籍でした。以前にも書きましたけど、当時の札幌のサポーターにとって生え抜きのスター選手が出ていくのは前代未聞のことであり、そんなサポーターのショックを多少なりとも和らげる意味合いもあって、わずかでも戻ってくる可能性のある期限付き移籍となったのでしょう。しかし結局、翌年には播戸はレンタル延長に留まったにも関わらず、宏太はガンバへ完全移籍。その移籍金は推定4,000万円で、おそらく播戸のレンタル料などもさっ引いての値段だったのでしょうけど、サポーターの考える宏太の価値からすれば「わずか」とも言える金額でした。で、さらにその翌年には播戸もレンタル元であるガンバからヴィッセル神戸へ完全移籍となりまして、その過程にはJ1昇格や残留という結果もあったものの、結局のところ札幌に形になるものはほとんど残らなかったというわけです。
 まぁそういう経緯を経て、その後の山瀬や今野、藤ヶ谷そして今回のダヴィと、我々も「どうせ出て行くのなら中途半端にレンタルなんぞせず移籍金をなるたけふんだくれ」というよく訓練された札幌サポーターになったわけで、そういう意味でも功労者と言えると思います。
 まぁ宏太の場合、移籍してからも常に札幌のことは気に掛けていたようで、ことあるごとに札幌に遊びに来たりはしていたようです。そんな宏太ももう30歳。ほんとに戻ってくるのかどうかはわかりませんけど、札幌という街を好きでいてくれていて、キャリアの最後を札幌で迎えたいというのであれば、それは札幌に生まれ育った者としては本当にうれしいことだと思います。

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コメント (1)

匿名:

昔、百鬼の方ですか?

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