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2009年3月31日

遙かなる岡山

2009年Jリーグディビジョン2第5節
ファジアーノ岡山 1-1 コンサドーレ札幌
得点者:札幌/上里
     岡山/西野

 前節湘南ベルマーレを相手に痛い星を落としたコンサドーレ札幌は、ファジアーノ岡山とのアウェイ戦となります。今節は今季からの新規参入組3チームのうちの一つである岡山とは初対戦。出不精の自分にとっては日本国内でもまだ行ったことのない県というのが多数存在するわけですが、中でも中国地方は地域全体としても源平討魔伝の山陽ルートくらいでしか行ったことがありません。そんな感じなので当然岡山という県に対しても、宇喜多秀家とか玄田哲章とか甲本ヒロトとか都井睦雄とか、ものすごく偏った知識しか持っておりません。 それはともかく、広島市に次ぐ中国地方第2位の人口を擁する岡山市を本拠地とするファジアーノは、岡山県の伝承である桃太郎に登場し、県鳥でもあるキジを意味するイタリア語です。チームの誕生は2003年。Jリーグへの準加盟を果たした2007年に中国リーグと地域リーグ決勝大会を制しJFLへ昇格、その翌年の2008年には4位でJリーグへの参入条件をクリアし、とんとん拍子でJ2まで駆け上がってきました。
 1999年のJリーグの2部制移行に伴い、実質的にはJ2の一つ下のカテゴリに当たるJFLも新しくなりましたが、その新JFLからJリーグに参入した昨季までの7チームのうち、J1昇格を果たしたのは横浜FCただ1チームしかありません。そればかりか、全チームを通じて順位表の半分から上でシーズンを終えたことは、その横浜FCが優勝した2006年以外になく、昨季にいたっては9位から15位が新JFLからの参入組がきれいに並んでいました。新規参入チームは予算的な問題であまり大きな補強ができないことや、ハード面での整備が追いつかないことなどが主たる原因でしょうが、栃木SC、カターレ富山、そして岡山という今季からの参入組3チームもご多分に漏れず開幕から苦戦を続け、第4節まで終了の時点で3チームともまだ1勝すらできてない状況です。
 今回対戦する岡山も今季の予算をJFL時代の倍以上にまで増やしたものの、その額は約5億円とJ2平均(約12億円)に遠く及びません。チーム全体の選手構成を見ても登録選手数こそ多いもののほとんどが将来を見据えた若手選手であり、助っ人選手もおらずまさに身の丈経営といった感じです。しかしこれまでの試合では勝利こそないものの4試合中スコアレスドローが3つ、その中にはベガルタ仙台やヴァンフォーレ甲府といった昇格候補のチームも含まれている上、点を取られたのは開幕から連勝を重ねる湘南ベルマーレのみと、その守備の堅さは決して侮れるものではありません。

 そして、今季のトップチーム人件費だけでその岡山の年間予算を余裕で上回るわれらがコンサドーレ札幌は、たとえ前節終了時点の順位表では岡山と富山の間にいるとしても、実績や立場上では格上となります。特に岡山は昨季のJFLでは4位と新規参入組の中では一番下の成績ですから、サポーターにも「(新規参入組には)勝って当然」という思いが当然あるわけで、また札幌が昇格を目標としているチームである以上は勝たなければいけない相手だったわけです。
 ところがどっこい、試合は前半21分に上里がどえらいミドルシュートを決めて先制したものの、その後は拙攻の連続で追加点を奪えず、後半23分にもうなんかやっぱり和波智広にしか見えない西野晃平にゴールを決められて追いつかれると、その後は突き放すどころか完全な岡山ペース。危ないシーンもたびたび作られなんとか引き分けた、という感じの試合でした。まぁこっちも決定的なチャンスはいくつかありましたから、引き分けという結果は妥当ではありますが、かといって引き分けという結果そのものが妥当かどうかはまた別問題でして、目論見ではJ1にもいたことのあるチームが新参者にJリーグの洗礼を浴びせる、たとえていうなら大学での下っ端扱いに耐えかねて呼ばれもしないのに高校に来て新入生に幅をきかせるOBみたいなつもりだったのが、この試合だけを見るならどちらが元J1かわからんような残念な試合だったと思います。
 まぁ表向きはどうあれJ1昇格を現実的な目標として捉えていないチームにとっては、リーグ戦で何位になるかというよりかはとにかく目の前の試合に勝利することが重要です。それが格上のチームに対する勝利ならなおさらですし、しかも地元やサポーターへのアピールを考えれば、そんな試合をホームでできればなおのことよしです。たとえ札幌が昨季J1で異次元の弱さで降格したチームであっても、初めてのJリーグに臨むチームにとっては強豪であることには変わりなく、とりわけ未だホームで得点を挙げていない岡山の選手たちにとって、この試合にかける気合いというのは並々ならぬものがあったでしょう。札幌の選手たちが侮っていたとは決して思いませんが、そういう相手に決定的なチャンスを外し続けていればあっという間に流れを持って行かれるのは当たり前の話。ホーム初得点もしっかりプレゼントした札幌は、少なくとも今時点ではそういった格上チームを食らう気満々なチームを真正面から力でねじ伏せるようなラオウでもないし、かといってそれを流水のように受け流して痛みすら感じさせずに葬り去るトキでもないということですね。だったら目指すはジャギ様しかあるまい、とはいいませんが、昇格への道のりは思った以上に険しいようです。

 ノブリンの選手交代も本人が暗に認めているとおり、珍しくどうかなぁと思うものが多かったですね。特に後半頭からダニルソンを下げてしまったのがひとつの分かれ目のような気がします。前半でイエローカードをもらっていたこともあるんでしょうし、確かに攻撃面ではいまいち、というよりかはチョロパス癖が抜けきらずにさっくりをボールを取られてしまうシーンがこれまでの試合でも多く、今のところは「コロンビアのビジュ」の域を脱してないわけですけど、それでも前がかり気味で攻めている中でカウンターを食らった時に、すっ飛んでいって単身で潰せるのはダニルソンだけですから、枚数をかけて攻めたい時こそ残しておくべき選手のような気がするんですけどね。

 まぁそれはそれとして、先制点を挙げた上里のミドルシュートはものすごかったですね。蹴った瞬間、「ああ、また宇宙かよ」と思った弾道だったのに、そこから急激に落ちてゴールに突き刺さるなんて、かつての三原さんのフリーキックを見るようでした。あのボールが蹴られるなら、まだJリーグでは決めていない直接フリーキックを決めるシーンも珍しいことではなくなりそうです。お元気ですか三原さん。

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