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2009年3月28日

ゅぅゃ対決

2009年Jリーグディビジョン2第4節
コンサドーレ札幌 0-1 湘南ベルマーレ
得点者:札幌/なし
     湘南/中村ゆうや

 前節ヴァンフォーレ甲府を相手にミスの連発で痛い敗戦を喫した札幌は、中2日で開幕戦以来のホームゲームを戦います。相手は湘南ベルマーレ。ベルマーレ平塚時代に天皇杯を獲得している湘南は、チームとしての実績でいえば札幌のほうが下なのですが、湘南がJ2となった2000年から今年までの間、札幌ですら2回も昇格しているのに湘南は1度も昇格することなくJ2生活も気がつけば10年目に突入。ここ2年は昇格争いにも絡みながらも最後には息切れしてあと一歩二歩のところで及ばないパターンが続いた今年、北京五輪代表監督を務め、ベルマーレOBでもある反町康治氏を監督に迎えました。北京五輪では結果を残せなかったものの、アルビレックス新潟をJ1に昇格させ、そして定着させた手腕は健在で、その新潟時代に手塩にかけたGK野澤洋輔やMF寺川能人を呼び寄せ開幕から3連勝とスタートダッシュに成功しています。
 逆に札幌は開幕から1勝2敗とダッシュどころかいきなり石に躓いて転んだような感じで、たいしたことないぜ~などとかっこつけて起き上がろうとしたら肩が反対になっていた、くらいの感じの今日この頃。「ホームではおもろいサッカーを見せる」というノブリンの宣言の通りに湘南に今季初黒星をお見舞いし、巻き返しのためのエサになってもらおうという魂胆だったのですが、結果は後半ロスタイムに中村祐也にプロ初ゴールを決められ、逆に相手の首位固めのエサになっちゃいました。

 内容では勝っていた、なんて何の慰めにも腹の足しにもならないわけですけど、それでもまぁ試合内容は悪くありませんでした。とはいえ、14本ものシュートを放っておきながら結局ただの1度すらゴールネットを揺らすことはなかった、というのも哀しい結果です。まぁ正確に言えばサイドネットを外から揺らしてはいたんですけど、内容が良くても勝てない、というのはなかなかに気持ちの整理の付け所が難しいですね。内容が悪い上に負けたのなら、あきらめがつくというかきれいさっぱり忘れる方向に全力を尽くすことができるのですが、今回みたいな負け方だとあの時のアレが決まっていればなぁとか、もう少し守備踏ん張れたんじゃないかなぁとか、早い話がとってもくやしい思いをするわけです。
 そんなわけで敗因としては、前節の甲府戦や開幕のベガルタ仙台戦でもそうだったのですが要するに「点が取れない」ことに尽きるわけです。ただまぁ、ここで簡単に決定力不足などという月並みな言葉でまとめてしまうのも少し違うような気がします。なんのかのといってJ2は守備のリーグと言われており、札幌には晟桓がいるように、J1昇格を目指すようなチームはたいていセンターバックに対人・対空に強い助っ人選手を置く傾向にあります。湘南もご多分に漏れずジャーンという優れたセンターバックがおりますから、いくら札幌の攻撃の基本線がサイドアタックであるところのいわゆる藤田征也だとはいえ、経験豊富で高さのあるジャーンと、そして守備範囲の広い野澤が守る湘南ゴールに対して、律儀にもサイドからクロスを放り込むだけでは簡単に破れるものではありません。それはさすがに札幌の選手たちもわかっていたようで、ニアを狙ったりファーを狙ったり、低くて速いクロスを狙ったりセンターバックとGKの間のスペースを狙ったりとそれなりに工夫はしてはいましたが、相手だって当然いろいろとこちらの手を想定して手を打ってきます。相手がこちらの手の内をわかっていればたやすく対処されてしまいますから、そこをくぐり抜けてゴールを決めるには、相手のその予測の裏を掻くか、もしくはその予測を上回るような、具体的にいえばエメルソンみたいな超絶スピードとか、ダヴィみたいな異常な身体能力とか、俺王様みたいな驚異的なボールコントロールテクニックとか、フッキみたいなシュート力など「わかっていても止められない」プレイをしなければいけません。しかしながらそんな人外レベルのストライカーは残念ながら今の札幌にはいないのが現実。紀梨乃のスピードはそれに近いとは思いますが、その紀梨乃は上里とウルトラマンエースに変身するための合体に失敗して前半7分にともに負傷退場しています。であれば相手の裏を掻くようなプレイをするしかありません。しかし一口に相手の裏を掻くといっても様々なやり方があります。とばかりに目を光らせながらズボンのチャックを開けたり、両手を後頭部で組んで「うっふ~ん」といいつつ腰を振ったりするワザによって相手の隙を作り出す方法もありますが、残念ながらサッカーの試合でのセクシーコマンドーの使用はFIFAによって禁止されています。なので、あと考えられるのは相手に考える隙を与えないか、あるいは相手が迷うくらいいろんな手札を持つべきだと思います。
 しかしながら、今の札幌はサイドアタックと決めたら何が何でもサイドアタックという感じで、クロスがダメならラインの裏を狙えばいいじゃない、みたいな形がほとんどなく、相手が迷うどころか自ら選択肢を狭めているような感じなのが現時点での課題なのかも知れません。最後の最後に湘南が裏を狙う形で得点に結びつけたのと対照的に、裏に抜けて欲しいところでも頑なにポストで待っている姿ばかりが目に付いたように思います。一応それでも相手の隙をかいくぐって決定的なチャンスを作ったりもしましたし、その中でも普通入ってるだろこれ、というようなシュートすら野澤のファインセーブに何度も阻まれたのは札幌にとって不運と言えば不運であるとは思いますが、その一方でペースを握っていた時間が比較的長かったことを考えれば、そういったチャンスの数自体ももう少しあっても良かったような気もします。なので札幌の場合、不足しているのは決定力ではなく持ち札不足という感じですね。
まぁ持ち札のうち比較的強い札である上里の長距離砲も使えなかったですし、ダニルソンも途中で交代してしまいましたから、この試合は特に持ち札が少なかったのは事実なんですがね。このあたりは今までどの監督のもとでもそうだったように、札幌の選手は教わったことしかやらないやれないというかその辺のことが影響している気がします。まぁここまでの試合はけっこう骨のある相手ばかりでしたし、試合に対する気合そのものはそれなりに感じられてはいるのであまり悲観はしていませんが、気合入りまくりで味方同士で自爆されると困るということがこの試合で判明してしまったんで、あとはもう少しいい意味で余裕があればいいように思いますね。いわゆる心はホットに頭はクールにってやつですね。そうすればボールはゴールに、坊主は屏風にとなること請け合いだと思います。

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