2009年Jリーグディビジョン2第13節
コンサドーレ札幌 3-2 栃木SC
得点者:札幌/宮澤、上原、クライトン
栃木/河原、稲葉
前節10人になりながらもアウェイでスコアレスドローとしたコンサドーレ札幌は、今節は札幌ドームに戻って栃木SCを迎え撃ちます。今季からの新規参入3チームのうちの1つである栃木SCは、前身の栃木教員サッカー部の設立が1953年と歴史自体は古いものの、Jリーグへの準加盟は2007年とごく最近で、2008年にJFLで2位となり晴れてJ2への参入となりました。J2で戦うため選手の大量入れ替えを行ったものの、前節終了時点で1勝4分7敗で17位と低迷。その最も大きな要因が深刻な得点力不足。チーム総失点16は18チーム中11位タイ、上位にいる水戸ホーリーホックと同じですからそんなに悪い数字ではないのですけど、チーム総得点の6点はリーグワースト、さらに無得点試合も12試合で9試合ととにかく点が取れないことに尽きるでしょう。
逆に札幌はここまでの12試合を半分で割ると、開幕直後の6試合ではチーム総得点が4点と見事な豆鉄砲っぷりを発揮していた得点力が、ここ6試合では11得点と倍以上となっており、その内訳も紀梨乃4点、岡本賢明2点、クライトン2点、西嶋弘之1点、ダニルソン1点、宮澤裕樹1点と割とまんべんなく点を取っています。何が起こったんだと心配になる豹変っぷりですが、シュート数を比べると前6試合が1試合平均10.2本、後6試合が同じく10.5本とほとんど変わっていないので、単に「決めるべき時に決めることができるようになった」ということでしょう。失点についても前者が6試合で10失点、後者がその半分の5失点とだいぶ良くなってきてはいるみたいですが、さりとて愛媛FC戦では3点取ってから2点取られたりと崩れる時はあっさり崩れるのはあまり変わってないみたいですから、そういう意味では得点力に劣る栃木に2点取られ、その後3点取って逆転するというのもまぁ今の札幌らしいといえば札幌らしいと言えなくもないんですけど、反面、劇的な勝利だったとはいえ、いまいち評価に苦しむ試合だったとも言えます。理想を言うならば、札幌がJ1昇格を目標としているチームである以上、今季からの参入組を相手にしたホームゲームであれば、危なげなく勝利を手にしていなければいけない試合でしたよね。
まぁそうはいっても、コンサドーレ札幌は伝統的に「初物」が苦手なチーム。1999年の2部制導入より後にJリーグに参入したチームは今季の3チームを含めて10チームありますが、この試合前の時点で未対戦のFC岐阜と栃木を除く8チームとの初対戦時の成績は、水戸ホーリーホック(○2-0)、横浜FC(●1-3)、ザスパ草津(○4-1)、徳島ヴォルティス(△1-1)、愛媛FC(●1-2)、ファジアーノ岡山(△1-1)、ロアッソ熊本(●0-4)、カターレ富山(△1-1)と、2勝3敗3分。ちなみに昇格を争うライバルチームはどうなのかというと、ベガルタ仙台が4勝2敗3分(富山とは未対戦)、セレッソ大阪が7勝3分、湘南ベルマーレ8勝1分(富山とは未対戦)と、負け越してるのは札幌だけ。対戦時期に違いがあるので一概には比較できませんけど、正直、しょぼい結果です。
そしてもうひとつ札幌の伝統として「先行逃げ切り」タイプであることが挙げられます。サッカーという競技は全般的に先制したチームの勝率が高い、つまり先制されたチームは不利となるものなのですが、札幌の場合特にその傾向が強いのか、2点のビハインドをひっくり返して勝った試合は、2006年11月26日のJ2第51節・対柏レイソル戦が最後(ちなみにその時の柏の監督はノブリンでした)。そんな札幌が、初対戦の栃木を相手に後半21分の段階で2点差をつけられてから逆転したのですから、札幌にとっては大きな自信になるでしょう。確かに横綱相撲とはいきませんでしたが、全盛期の大徹みたいなうっちゃりを見せた、という意味では強さを見せたと言えるかもしれません。もっとも、大徹の最高位は小結でしたけど。欲を言えばきりがないので、現時点ではチームを成熟させていく段階でこうしてドラマチックな試合でしぶとく勝点をゲットし続けるのも悪くないかもしれないですね。
さて試合ですが、札幌は前節1発レッドを食らって退場したダニルソンが出場停止。通常あのような行為での1発退場の場合、通常の1試合に加えて乱暴行為でのボーナスポイントが付いて何とお得な2試合以上の停止になることが多いのですが、ダニルソンの出場停止は1試合でした。まぁあの程度で2試合も3試合も停止させてたらJリーグにリアクション芸人が増えるだけで日本サッカー界にとって何もいいことないですから妥当な判断だとは思いますが、それはさておき、この試合での注目はダニルソンの代わりのボランチに誰が入るのかということ。今までの例で言えばウエスターさん…いや西大伍が入るかと思われましたが、ノブリンは愛媛FC戦でそれなりにいい感じだった宮澤を再びボランチで起用。そして両サイドバックの左右を入れ替え、今まで左だった西嶋を右に、右だった大伍を左で起用してきました。まぁ確かに西嶋の左サイドバックは右脚に持ち替えてクロスを入れることが多いのに対し、愛媛FC戦で左サイドバックをやってた時の大伍は普通に左足でいいクロス入れてましたからね。「良さそうだったらなんぼでもやってみる」というノブリンらしい采配。
しかしながら、そういった選手起用以前にやはり連戦の疲れかいまいち札幌の選手にキレがなく、ボールこそ支配しているものの高い集中力で守る栃木のディフェンスを崩すことができません。栃木の守り方はいたってシンプルで、クライトンにボールが入ったら2~3人がかりでプレスをかけて自由にさせないことが第一、サイドに振られたら中を固めるという感じ。まぁ札幌と対戦するチームはだいたいそんな感じの守り方をすることが多いのですけど、悪い時の札幌はクライトンに預けっぱなしで「あとなんとかしてください」ということが多く、そうなるとクライトンを封じられると手詰まりになってしまいます。加えていい時なら得意の横綱プレイでなんとかしてしまうクライトンも調子はあまり良くないようで、なんとかキープしようとしているうちにゴール前を固められ、結局入る見込みのないミドルシュートを打たされるシーンが目に付きます。攻める札幌に対して身体を張って守る栃木と、サッカーとしては見応えのある試合ではありましたが、札幌サポーターとしてはまんじりともだんじりとも池尻大橋ともしない展開のまま前半は両チームとも得点なく終了。
後半、さすがに栃木の選手たちも前半から飛ばしていたせいか動きが落ちてきて中盤のプレッシャーが緩くなってきたこともあり、札幌が立て続けに惜しいチャンスを作り出すようになります。開始直後から栃木陣内深くまで景気よく攻め込みますが、やはりポストに阻まれたりキーパーの正面だったりとチャンスをモノにできず。こうなってくるとこれまでの試合同様、チャンスを逃し続けているうちに相手にペースを握られ決められるパターンが頭をよぎります。点を取りたいノブリンは後半15分に岡本を外して砂川を投入。それと同時に前線の駒を増やすためにボランチに入っていた宮澤をトップに上げ2トップにし、空いたボランチには左サイドバックの大伍をボランチに起き、DFラインは晟桓、吉弘、西嶋の3バックに。いつもながらあらゆる可能性とリスクマネジメントを最大限に考慮した上での用兵にも思えるし、勝負師のカンに裏付けされた単なる思いつきにも思えるノブリンの素敵すぎる采配は結果的に裏目に出てしまい、この直後にリスタートからのロングボールの競り合いからのこぼれ球をパンチじゃないほうの佐藤に折り返され、左サイドからのクロスを奥さんが風俗嬢ではないほうの河原に押し込まれてしまいます。さらにその5分後にはロングボールの処理を晟桓がミスしてしまい、このボールを奪った佐藤がシュート。GK荒谷僧正がセーブするものの、このこぼれ球を札幌ドームのファンがジャンプしないほうの稲葉に押し込まれて2点目を奪われてしまいました。
あっという間に2点のビハインドを負ってしまった札幌ですが、ここから反撃が始まります。後半29分、相手ゴールラインギリギリのところで大伍がドリブルから折り返したボールを、フリーで待ち構えていた宮澤が落ち着いて左足で押し込むと、その9分後に交代出場のメジャーリーガーじゃないほうの上原が西嶋からのクロスを見事なヘディングで突き刺します。ルーキーのプロ初ゴールで同点に追いついた札幌はさらに調子に乗りまくりで、同点ゴールからさらに5分後、今度は砂川のクロスにクライトンが右足で合わせて逆転に成功しました。自分から殴らせたくせに既に体力の限界を超え戦意の喪失しかけている相手を笑いながらタコ殴りにするかのごとき怒濤の攻撃で15分間で3得点を挙げた札幌がそのまま逃げ切りゴールデンウィーク連戦を3勝1分で乗り切りました。
コメント (2)
>奥さんが風俗嬢ではないほうの河原
一瞬、考えて思い出しました。もう忘れてあげましょう。
とっくに離婚したはずですし・・・つーか、かつては
chooさんごひいきの球団で投げていたじゃないですか。
札幌戦での栃木のメンバーには
「メジャーリーガーじゃないほうの川上&斎藤」
「カミさんが化け物じゃないほうの落合」
「WBCに突然呼ばれていないほうの栗原」もいますね。
あら「ホステスに暴行していないほうの大●保」まで<こら
「開幕戦で骨折していないほうの松田」がいるのは
何となくうらやましいな・・・
投稿者: はかたん1号 | 2009年5月 8日 02:17
日時: 2009年5月 8日 02:17
8日に逝った藤沢秀行名誉棋聖は、新設された棋戦に滅法強くて《初物食いのシュウコウ》と云われたんですが、札幌は食われちゃう方なのがナントモ・・・。
投稿者: 魚鬼 | 2009年5月 9日 21:25
日時: 2009年5月 9日 21:25