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2009年8月 5日

久しぶり

2009年Jリーグディビジョン2第30節
コンサドーレ札幌 4-2 ファジアーノ岡山
得点者:札幌/紀梨乃、西×2、上原
     岡山/西野、保坂

 第2クールに入ってから11試合で2勝5敗4分と、巻き返しを図るどころか1歩進んで2歩下がるチーターチームと化している札幌は、今節はホーム厚別に戻ってファジアーノ岡山との試合となります。第1クールの試合ではアウェイで対戦し、上里一将のドライブシュートで先制するも、その後チャンスを外し続けて後半に西野晃平のゴールで追いつかれるという、今季の札幌のおきまりパターンとも言える流れで引き分けに終わっています。生放送でも再放送な「8時だョ!全員集合」のコントを見ているかのような試合でしたが、全員集合はアドリブはあっても基本的に台本があってのもの。よく「筋書きのないドラマ」と呼ばれるスポーツの試合で、毎回のように筋書き通りにことを進めるというのもなかなかできることではありません。つーかすんな。

 まぁそれはともかく、コンサドーレの第2クールでの不調の原因のひとつとして、ここ5試合で無得点試合が3試合という深刻な得点力不足が上げられます。「得点は水物」といわれるものですが、一時期は8試合で19得点という爆発力を見せていたことから比べると、第2クールはここまで11試合で10得点という何とも水っぽすぎる今の状態。それでいて失点は同じく11試合で13。第1クールの1試合平均失点1.17に対し第2クールは今のところ1.18。守備力はそのままで攻撃力が落ちているのなら勝てるはずもありませんね。
 そんな攻撃力不足のまっただ中にいる札幌ですが、この試合のスタメンはDFでは腰痛で前節のメンバーから外れた趙晟桓が復帰。センターバックに入っていた石川が左サイドバックに回り、4バックは右から西嶋弘之、吉弘充志、趙晟桓、石川直樹。ダニルソンが引き続き出場停止のため、左のサイドバックに入っていた上里一将がボランチに戻り、宮澤裕樹とコンビを組みます。ここ3試合左サイドハーフとしてスタメン出場していた石井謙伍も累積警告で出場停止のため、ベテラン砂川誠が出場、右サイドハーフは藤田征也、そして2トップは前節と同じく紀梨乃と西大伍という布陣。そしてこの試合でユース所属の「小ヒロ」こと古田寛幸が発のベンチ入りを果たしています。
 得点力アップのための施策が「大伍FW」というのもどうしたもんかとは思いますが、ノブリンは宮澤をトップよりもパスの配球役として使いたいみたいですし、残りのFW登録の選手も交代出場がほとんどとはいえ上原慎也2得点、中山元気0得点、石井謙伍0得点、横野純貴0得点と、日本人FW全員が束になってかかってもDFの西嶋1人の得点数(4得点)と同じという惨憺たるもの。もっとも、身も蓋もない言い方をすれば点なんて誰が取ったってかまやしませんし、かつてはチーム得点王がディフェンダーだったこともあるコンサドーレにとっては別段不思議でもないことですが、もう少し前のほうでも点が取れるないことには安定して勝てるようにはなりません。であれば大伍のほうがまだマシなんじゃねぇの、という気にノブリンがなったかどうかはわかりませんが、果たしてこの試合、その大伍が大活躍することになります。

 30分、大伍が軽くヒールで後ろに流したボールを走り込んでいた紀梨乃がダイレクトボレーでゴールに叩き込みゴール。ユースの頃はバリバリのファンタジスタだった大伍らしいアシストで先制すると、そのわずか3分後には、GK荒谷からのキックをうまく拾った大伍が左足を振り抜いたシュートがゴール隅に決まり、あっという間に2点のリードを得ました。
 久しぶりに前半で2点のリードを得た札幌。あとは追加点をゲットして3点差にもっていってしまえば、ほぼ試合の趨勢を決定させることができます。ところが、2点も取ってしまったことで「いや、こんなはずはない」と思ってしまったのか、後半8分に寄せの甘さを突かれて苦手の西野晃平にゴールを決められ1点差。「あ~こりゃいつものパターンか?」と思ったその8分後の後半15分、再び荒谷のキックからボールを拾った大伍がミドルシュートを決めて再び2点差に。「まぁこれで少しは落ち着くだろう」と思いきや、どっこいその7分後の後半22分、淡泊な守備からサイドを割られ、交代出場の保坂にボレーシュートを決められてまたしても1点差に詰め寄られてしまいます。めまぐるしく動くスコア、「皆様に極上のスリルをお届けします」とでも言わんばかりのホラーサッカーで、試合の行方はわからなくなりました。いやそういうのいらないし。
 「聖地厚別」の伝説も今はいずこ、今ではすっかり「勝てる試合なのに勝てません」というかつての札幌ドームの魔物が移り住んできたかのような「勝てない伝説」に成り代わりつつある厚別競技場。その割には札幌ドームでも相変わらずアレなことも多いので、移り住んだと言うよりは「コンサドーレに合わせて通ってます」といった感じなのですが、こうなってしまうとノブリンも戦術的な交代をせざるを得なくなります。早い段階で3-0になっていれば初のベンチ入りを果たした古田を使う余裕も出てきたのでしょうが、この状況で古田を無理に使うリスクは負えないですからね。そんなわけで芳賀博信、中山元気と交代枠を使い、後半38分に砂さんに替わって上原慎也が出場した時点で古田の出番はなし。出場すれば上里を抜いてチーム史上最年少デビューだったのですけどね。
 その後は降りしきる雨の影響もあったのか、いやあったということにしときましょうか、お互い決定力を欠き迎えた試合終了間際、上里からのパスに抜け出した上原が放ったシュートが相手DFに当たってコースが変わりゴールイン。ようやく待望の追加点をゲット氏、試合を決定づけました。

 さて、久しぶりに大量得点での勝利で、それ以上に久しぶりな厚別での勝利でしたけど、それで溜飲を下げたか、と言われれば素直に喜べないのも事実で、試合終了後の会見でノブリンも嘆いていた「結果として4点は取れただけ」というのもその通りだと思います。もちろん点は取れれば何でもいいですし、むしろ今までは綺麗な形にこだわってばかりだった、というよりかは「前が空かないと頑なに打とうとしなかった」のが、大伍が取った2点や上原の4点目のように綺麗な形じゃなくても点を取ったというのは札幌にとってはむしろ大事なことだと思います。パスサッカーにしろ放り込みサッカーにしろ、攻撃の戦術なんてものは点を取るためにあるのであって、二極化されるようなものでもありません。試合状況やチームコンディションなどによって使い分けをしていってもいいと思います。今までどっちのサッカーもやってきてるのですからね。
 ただし、そうだとしてもビルドアップの段階でのミスの多さは相変わらずで、加えていつものように何でもないような形で2点を失ったことについては、監督でなくてもすっきりしない勝利でしょう。それに、第2クールは12試合を行ってこれでようやく3勝目なのですが、この3勝の内訳も栃木SC、愛媛FC、そしてこのファジアーノ岡山と、いずれも下位に沈んでいるチームから、しかもその下位チームを相手にしても「すっきり勝った」とは言えない試合内容だったことに、現在の札幌の力量はやはり順位なりのものなんだろうなぁと思いました。

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