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2009年8月17日

カズマサの すごい シュート

2009年Jリーグディビジョン2第32節
コンサドーレ札幌 3-0 アビスパ福岡
得点者:札幌/宮澤x2、上里
     福岡/なし

 前節セレッソに力負けを喫した札幌にとっては、このホームゲームが仕切り直しの一戦となります。第1クールのアウェイゲームでは札幌が終始試合を押し気味に進めながらも、中払のへたくそな演技に引っかかったレフェリーによりダニルソンが一発退場を食らったこともあり0-0のスコアレスドローに終わりました。その後の試合を見ているとまぁあの試合でダニルソンが最後までいたとしても札幌が勝っていたかどうかは微妙に思えるのですが、福岡の状態はそれ以上に深刻で、22節愛媛FC戦から26節水戸ホーリーホック戦まで5連敗を記録、しかもその間5試合で2得点19失点と壊滅的な状態に陥っています。その後は5試合で3勝2分とやや持ち直し、順位も13位にまで上げて来てはいるものの、主力に怪我が相次ぎ万全とは言えない状況のようです。中払も欠場。いいのか悪いのかはわかりませんがツラを見なくて済むんだからいいことでしょう。
 そして札幌のメンバーですが、前節プロデビューを飾って及第点以上の動きを見せた高校生の古田寛幸がプロ初スタメンを飾りました。MF岡本賢明が怪我で戦線を離脱、MF藤田征也が熱発で出走回避…いや欠場、西大伍も怪我で欠場とここに来て前線の駒不足に陥っており、まさしく文字通りの学徒動員。宮澤裕樹が2トップの一角に入り、左のサイドハーフとして石井謙伍が入りました。

 さて試合ですが、監督が替わってもシステムが変わっても、結局のところ「札幌の伝統スタイルはやはりワンワンサッカーである」ということを思い出したのかどうかはわかりませんが、猛犬ダニルソンを中心としたワンワンプレスでボールを奪い、ワンワントップの紀梨乃を走らせる札幌がややペースを握ります。しかしカウンターからチャンスを狙う福岡もバイタルエリアではそうそう自由にさせてくれず、どちらも決定的なチャンスを作れないまま迎えた前半23分、右サイドでボールを受けた小ヒロからのパスを受けた大ヒロが右足で折り返すと、中央で待っていた宮澤が体勢を崩しながら足に当てたシュートがころころと転がってゴールイン。決して綺麗な形のシュートではありませんでしたが、逆に見事なゴールよりも、こういう「え? あれが入っちゃうの?」というようなゴールのほうが、相手にとってはダメージが大きいものです。競馬に例えていえば、かすりもしないレースだったらあきらめもつくけど、馬連で1着3着、しかも2着は最後まで抑えようか迷って切った馬、みたいな感じ。福岡も「もう少しうまくやれば…」と気持ちの切り替えがしにくかったのか、この札幌の先制ゴールでペースを完全に奪われてしまいます。
 調子に乗った札幌はその後も攻めの手を緩めず次々とシュートを放ち、そして前半35分、再び右サイドを破った大ヒロからのパスを受けた小ヒロが前を向こうとしたところをクリアされますが、このこぼれ球をまたしても宮澤がダイレクトでゴールに叩き込み2点目をゲット。その差を2点に広げ前半を終了します。

 さて体よく2点をゲットした札幌にとって後半に求められるのは、早めに追加点を奪って福岡の戦意を削ぐことです。何度も書いていることですが、2-0というのはよく言われるとおり「サッカーではもっとも危険な点差」です。鹿島アントラーズのような守備の固いチームならともかく、何にもないところでコケるのが得意な札幌にとっては、残り45分での2点差なんて決してセーフティーリードとは言えませんからね。しかしリードを3点に広げてしまえば、いくら札幌といえども逆転されない、と自信を持って断言できないのがコンサドーレサポーターの悲しいところではありますが、それでもよっぽどのことがない限りは勝てるような気がしないでもない、かもしれません。しかし逆に福岡にとってみれば3-0になるのはごめんこうむりたいところであり、早めに1点を返せば試合はまだわからなくなります。前半好き放題やられていたサイドの守備を修正してきた福岡に対し、サイド攻撃を封じられた札幌はチャンスこそ何度か作るもののいずれも単発に終わり、前半のような波状攻撃ができなくなってきました。そうこうしているうちにやはり連戦の疲れによるものもあってか札幌の運動量も落ち始めます。ワンワンサッカーは何より体力がものをいう戦術であり、その体力がなくなってしまうととたんに乙女チックサッカーに様変わりしてしまいます。福岡も攻撃でミスが多くさほどの怖さは感じないものの、体力と共に集中も切れて何気なく失点する様をこれまでも何度も見てきたサポーターにちょっとイヤな予感も漂い始めた後半22分、待望の追加点は予想だにしなかった形で生まれました。
 福岡の攻撃を凌いでクリアしたボールを自陣で拾ったのはボランチの上里。やや前がかりになっていた福岡の中盤には広いスペースができており、カウンターを狙えるチャンスです。しかし、ルックアップした上里が迷うことなくその左足を振り抜いたその先は、前方のスペースに走る味方ではなく、福岡のゴールマウスでした。これまでも何度か遠い位置から狙うことはありましたが、いくら何でもそりゃ無茶だろ…と思われたボールは一直線にゴールに向かっていき、前に出ていた福岡GK吉田をあざ笑うかのようにゴールイン。その瞬間、オレの何かが漏れた。その「何か」を、あえて聞くような無粋な真似はしないで欲しいですが、まさしく漏れるに値する、名付けて「漏れシュート」。約65メートルものスーパーゴールにはふさわしくないネーミングであることは言うまでもありません。
 とにかくこのゴールでどうやら気持ち的にすっかり折れてしまったらしい福岡に対し、ずいぶん気分的には楽になった札幌は、その後はやや危ないシーンはあったものの、懸念されていた「後半の後半の失点癖」も顔を出すことなく無失点で試合終了。まだ細かいミスこそ目立ちはしましたが、久しぶりのすっきりした勝利とカズゥのスーパー漏れシュートで厚別の夜を熱くしたのでした。

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