2009年Jリーグディビジョン2第33節
東京ヴェルディ 1-2 コンサドーレ札幌
得点者:札幌/紀梨乃x2
ヴェルディ/永里
週中のホームゲームで久しぶりの無失点勝利を納めたコンサドーレ札幌は、今節は味スタでの東京ヴェルディとのアウェイゲームに臨みます。第1クールではホームで対戦しましたが、終始相手にほとんどサッカーをさせないほどペースを握り、後半38分にはヴェルディのDF富澤清太郎が2枚目のイエローカードで退場するなど、さんざっぱら試合を有利に進めておきながらMF岡本賢明のゴールのみに留まり、後半アディショナルタイムにわずかな隙を突かれてゴールを決められ、9分9厘手にしていた勝点3を逃すという、今季のコンサドーレを象徴するような試合でした。もっとも、ロスタイム失点病は今季に始まったことではありませんけどね。
ヴェルディもシーズン序盤の躓きで低迷していたものの、第2クールに入ってからは10戦連続負けなしと調子を上げ、順位もじわじわと上げてきています。しかし前節ファジアーノ岡山戦では2点を先制しておきながら終盤立て続けに3失点を食らって逆転負けを喫するというオッペケペな試合をするなど不安定さも覗かせています。まぁかつてロスタイムに3失点したこともあるチームに比べればどってことないですけどね。
さて、札幌はDFの趙晟桓が累積警告で出場停止。前節左サイドバックとして出場した石川直樹が晟桓の代わりにセンターバックに入り、左サイドバックには前節65メートルの超ロングシュートを決めた上里一将が務めます。この空いたボランチに誰が入るかということがひとつの興味でしたが、今季はボランチで使われることの多かった宮澤裕樹は、ノブリンも前節2得点を挙げたことで再度FWとして使いたかったのでしょう、宮澤ではなく怪我で前節を欠場した西大伍をボランチで起用。そして発熱で同じく前節を欠場した藤田征也が左サイドハーフに入り、右サイドハーフには高校生の古田寛幸が2試合連続のスタメン出場。利き足を考えると征也と小ヒロの位置は逆なのですけど、クロス一辺倒ではなく中で勝負しろというノブリンのメッセージなのだと思います。
で、この微妙なシフト変更が奏功してか、試合は始まってから札幌がほぼ一方的に攻め込む展開で、開始15分まで札幌のGK荒谷僧正がまったくボールに触らないというレベル。しかしそれでも15分過ぎには縦パス1本で大黒がシュートまで持っていく形を作ります。札幌はもとよりヴェルディにもあまり派手な髪の毛の選手がいない中、1人だけ金髪というのかプラチナ髪というのか、人形破壊者みたいにも見えるし、あるいはなまはげみたいにも見える色の髪はどこにいてもわかりますし、正直言ってあまり似合っていない点を含めてもっとも目立つ選手なのですが、それでも少しでも目を離すとあっという間にチャンスを作ってしまうあたり、さすがに危険な男です。そういう選手をマークしているのですから、札幌守備陣としてはいつも以上にセンシティブな対応をしなければいけません。21分に吉弘がクリアミスして危うく失点しかけたのも、なるべく大黒に触らせる前にクリアをしたいあまりのプレイだったのでしょうが、このあたりはさすがに何もないところからピンチを生むチームとして定評のある札幌らしいシーンだったと思います。
それでも結果的に失点をしなかったことで札幌の勢いは続き、前半25分、古田が左サイドのオープンスペースに出したパスに走り込んだ上里がダイレクトに上げたクロスを紀梨乃が頭で叩き込んで札幌が先制。このプレイはクロスもシュートも見事だったのですが、その前に大伍が倒されたファウルをアドバンテージにした主審の判定もお見事だったと思います。この試合の主審を務めた山本雄大審判員、今季からJ2主審になったばかりのまだ若い方みたいですが、とてもしっかりした感じでしたね。
先制した後は若干札幌もペースダウン。プレスも控えめになります。暑さや連戦の疲労を考えれば90分イケイケサッカーを貫くのは無謀ではありますので、これは当然と言えば当然ですが、それによって少し攻め込むシーンの多くなったヴェルディもミスが多く札幌のゴールを脅かすまでにはいたらず、前半は札幌リードで終了します。
前回の対戦のことを考えればやはり追加点は取っておきたい札幌は、後半開始早々の2分にダニルソンのパスに抜け出した紀梨乃がペナルティエリア内で相手GK土肥と接触して倒れます。これはファウルなしの判定でしたが、その後もヴェルディ陣内に攻め込み惜しいチャンスを作ります。そして7分、古田からのパスを相手DFと競り合いながらキープした紀梨乃が放ったシュートはいったん土肥に止められるものの、そのこぼれ球を再び自ら押し込んで待望の追加点をゲットしました。
その後も札幌がボールをキープする展開が続き、ヴェルディにボールを奪われてもどこからともなく現れるダニルソンがことごとく潰し、ほとんど攻撃の形を作らせません。札幌の攻撃も若干雑になってきてそれまでよりもいい形でのシュートはなくなってきましたが、それでもこの内容からすれば、いくら「危険なスコア」と言われる2-0でも問題はないだろうという感じでした。ところがどっこい、そんな状態でも決して安心させてはくれないのがコンサドーレ札幌というチーム。後半24分に一瞬の隙を突かれ永里にゴールを決められてしまいます。
こうなると流れは1点を返して勢いに乗るヴェルディへ。あれだけ主導権を握っていた札幌もスタミナ切れてきて運動量が落ちたこともあり、押し込まれるシーンが続きます。相変わらず最後まで安心させてくれないこのチームですが、それでも何とか残り時間を凌ぎきり、連勝を達成したのでした。