できすぎ
2009年Jリーグディビジョン2第50節
コンサドーレ札幌 3-1 横浜FC
得点者:札幌/ハファ、紀梨乃、ソダン
横浜FC/アツ
残すところあと2試合となったJ2、コンサドーレ札幌は横浜FCを札幌ドームに迎えての試合は、札幌にとってホーム最終試合。引退を表明したソダンもベンチ入りし、「最後くらいは見に行くべえ」という層が結構いたようで、ドームは7月4日の第25節(対水戸ホーリーホック)以来久しぶりに2万人を超える2万2千人弱の21,463人の観客が詰めかけました。
そんな試合に臨むのは、前節通算8枚目のイエローカードを受けて一足先にシーズンを終了したキャプテン上里一将や、腰を痛めて戦線離脱した宮澤裕樹らがいないものの、それでもフィールドプレイヤーで20代後半は西嶋弘之と芳賀博信だけという、相変わらずフレッシュだけどプリキュアではないメンバー。前節終了時点で勝点78の札幌は、この試合を含めた2試合を両方とも勝っても5位のサガン鳥栖の勝点85には及ばないため、どうあがいてももう5位以上にはなれないことが確定していますが、同じように若手選手中心で挑んで見事に最下位を勝ち取った2004年に比べれば、助っ人選手のありなしは大きいもののまだそれなりにやれていたという見方も出来るとはいえ、トータルとしては好不調の波が大きくお世辞にも満足できるとはいえない結果だった今シーズン、ホームのサポーターの前で最後くらいはいい形で締めくくってもらいたいところ。
そんなわけで結果としては3-1と完勝だったんですが、内容としては何というか、ダメというわけではないけどかといっていいわけでもなかったというのが正直なところ。紀梨乃がポストプレイにやる気を見せていたことなど個人レベルでは成長の跡は見られるのは好材料ですが、失点についてはアツのフリーキックはどうしようもないとしても、後半と前半での出来があまりにも違いすぎるのはいつもと変わらず。前節岐阜戦でもそうでしたけど、そりゃあ90分の間には相手ペースになる時間帯はどうしたって出てくるものとはいえ、楽勝ムードを一転して打ち消す試合運びの拙さ、その悪い流れをピッチ上でなかなか修正できないのはまだチームが若いということなんでしょうかね。まぁそれができてればもっと上の順位にいるはずですけど。
まぁあとはソダンの(おそらく)現役ラストゴール。PKとなったプレイそのものについては、確かに後ろから足がかかっているようには見えるものの、どっちかというとボールに行った足にソダンが勝手に引っかかってすっころんだだけというプレイでしたので、ひいき目にみてもあれはちょっと横浜FCがかわいそうだな、という気はします。時間帯としては決められれば事実上試合終了ですからね。いくら相手がロスタイムで3失点できるチームだとしても。
とはいえ、もともと俊敏なタイプではないとはいえ、昔好きだったアイドルを20年後にハイビジョンで見てしまった時のような「これはもうあかん」という状態になってしまっていた今のソダンがゴールを挙げるとしたら、たぶんPKくらいしかないと思いますし、消化試合のラストゲームで代打出場したベテラン野球選手に、ど真ん中の直球を投げてホームランを打たせるようなモンでしょう。シーズンの命運のかかった試合でこういう笛を吹いたら許されないですけど、好意的に見るならば「ドームの雰囲気が取らせたPK」と取ることもできますから、まぁ「引退ご祝儀」みたいなモンでしょうね。ただ、そのご祝儀を絶妙なチョロキックでしっかり止められるのがソダンのソダンたるゆえん。やり直しにならなかったらある意味伝説で終わることができたんですけど、井上主審はボーナスチャンスまで与えてくれたので、これを今度はしっかり決めて(おそらく)ラストの試合を飾ることができました。まぁ、できすぎですね。ドラえもんのキャラに例えると、出来杉くんです。
でもやっぱり、ソダンに涙の引退は似合わないと思うんですよ。9シーズンの間、サポーターに喜怒哀楽全ての感情を与えてきた曽田さんであれば、あのPKの場面だって、ペナルティスポット20メートル手前あたりから欽ちゃん走りで助走をはじめ、ボールを蹴る時点で既に息が上がってしまってチョロキック、そして止められた挙げ句に「なんでこーなるの!」と欽ちゃんジャンプで生涯最高到達地点をマークするくらいはやって欲しかったと思いますよね。まぁ多分そこまでやったら退場になると思いますけど、現役ラストゲームで退場というのもなかなかできることじゃないので、むしろオッケーだったと思います。