2010年Jリーグディビジョン2第1節
サガン鳥栖 1-1 コンサドーレ札幌
得点者:札幌/せいや
鳥栖/いいお
いよいよ2010年のJリーグが開幕しました。コンサドーレ札幌は3月7日にベストアメニティスタジアムにてサガン鳥栖とのアウェイ戦となります。どのチームにとっても開幕戦は重要ですけど、J2では例年開幕ダッシュに成功したチームが昇格を勝ち取ることが多いため、昇格を目指すチームにとっての開幕戦はより重要な意味を持ちます。もちろん過去には開幕ダッシュに失敗したチームが最終的に昇格した例がないわけではないですけど、開幕からの数試合の結果がシーズンの行方にも大きな影響を及ぼすことは確か。特に今季からJ2も純粋なホームアンドアウェイ方式となって試合数が大きく減ったため、例年よりリカバーが効きにくくなっています。まぁこちらとしては今までは試合数が多すぎて更新が追っつかなくて、気がついたら3試合前のことを書いてたりしてましたから、試合数が減るのはありがたいんですけど、チームにとっては昇格を狙うのであればなおさら負けるわけにはいきません。もっとも、「開幕ダッシュに成功したから昇格できる」のではなく、単に「最初から最後まで安定した力を発揮したチームが昇格する」わけであり、身も蓋もない言い方をすれば「強いチームはいつだって強い」ってだけなんですけど。
とはいえ、「スーパーマリオブラザーズ」で景気よくダッシュをかまそうとしてそのまままっすぐクリボーに突っ込んだら一気にやる気がなくなるのと同じように、最初からつまずくのとそうでないのとは天と地ほどの差はありますから、開幕戦の「相手がどこか」というのはけっこう重要だったりします。そういう意味では今年の開幕戦の相手である鳥栖は非常に厄介な相手。昨季のリーグ戦では勝点79で6位の札幌に対して勝点88で5位という結果が示すとおり、実力的には札幌と同等程度以上、今季も島田裕介や高地系治ら主力が退団したものの、モンテディオ山形のJ1昇格の原動力となったFW豊田陽平やFW萬代宏樹、DF木谷公亮といった実力のある選手が加入、大きな戦力ダウンには至っていないようです。どうでもいいけど磯崎や飯尾に加えて萬代・木谷とはずいぶんカニくさいチームになりましたね。
そんな難敵とのアウェイゲームで開幕を迎えるというのはなかなかに厳しそうな感じの札幌ですが、ご存じの通りDF陣に怪我人が続出しており、箕輪は帰ってきそうになったらまたいなくなっていつ帰ってくるかわからない寅さん状態、吉弘も復帰は早くてゴールデンウィーク頃、趙晟桓もかかとの具合が思わしくなく帰国中と、本職センターバック(ガチムチ系)総倒れの中、センターバックは西嶋弘之と石川直樹という2人がコンビを組むことになりました。左サイドバックは開幕初スタメンとなる岩沼俊介、右サイドバックは李漢宰ではなく芳賀博信、ボランチは上里一将と宮澤裕樹、サイドハーフは左が藤田征也、右が古田寛幸、そして2トップはエースの紀梨乃が右足を痛めて遠征メンバーから外れたため、近藤祐介と内村圭宏がコンビを組みます。ゴールキーパーは高原寿康という布陣。決して万全とは言えないものの、若手中心ながらもそれなりに試合経験を積んできているメンバー。はまれば充分勝負になりそうです。はまればですけど。
で、やっぱり開始からあまりはまらずに鳥栖の猛攻を受けます。もともと開幕戦は固くなりがちではありますけど、それを差し引いてもまったくボールが繋がらず、クリアするのが精一杯だったり、中途半端なクリアで相手にボールを渡して大爆笑といういつもの光景が見られたりと、ある意味札幌らしくて安心するというかなんというかな立ち上がり。鳥栖は今季から監督に復帰した松本育夫監督らしい…というよりはここ数年のJ2のトレンドとなっている「鬼プレスからのハーフカウンター」が機能。肉弾戦なら札幌の選手もノブリンのもとで割と鍛えられているはずなんですが、それでもはじき飛ばされたりで、若干分が悪い感じ。
しかしそれでも先制したのは札幌でした。前半21分、高原からのボールを近藤が頭で逸らしたところに藤田征也が走り込み、軽く浮かせたボールはいったんはポストに阻まれますが、跳ね返りをプッシュしてゴール。
1点取って調子に乗った札幌はその後もサイドを中心に鳥栖ゴールに襲いかかりますが、いつもの通り肝心なところのパスでミスが出てゴールには至らず。この辺も極めて札幌らしいところですが、鳥栖も鳥栖で惜しいシーンは作るものの決定的なところでミスが出て得点できず、前半は札幌リードで終了します。
後半は早く追いつきたい鳥栖とあわよくば追加点を奪いたい札幌との一進一退の攻防が続きます。お互いボールを失ってもすぐさま守備に入ってボールを奪い返し、めまぐるしく攻守が入れ替わる展開が続きます。こう書くとなんだかすごい試合なんですが、結局のところお互いに厳しいプレッシャーを受けながらもボールをキープできるわけではないので、早くボールを動かそうとする余りにミスが出て相手にボールを渡してしまうというだけなんですけどね。札幌は前がかりになっている鳥栖のDFの裏を突きたいのですが、ボランチのところでボールが収まらず、上里も宮澤もなかなか前を向けないので、裏に抜けるのが得意な内村へいいボールが出ず、あまりらしさは見られず。近藤が思った以上に身体を張れることはわかりましたし、サイドも割と機能してはいただけに、もう少しボールの落ち着きどころがあればそこそこいけそうな気はするのですけどね。
そんな状況の中で守備も集中力を切らさずによく頑張ってはいたと思うのですが、それだけにあのリスタートからの失点はもったいなかったですね。息をつくヒマがあまりなかったので、プレイが切れた時にふっとエアポケットができてしまった感じで、それを見のがさなかった萬代や金を褒めるべきなのでしょうけど、札幌にとっては悔やまれることでしょう。ただ、勢いに乗る鳥栖のペースに飲まれかけそうになっていたところを引き分けに持ち込めたのは、ロスタイムに出場したゴン中山の存在が大きかったかも知れません。けっこうあれで雰囲気が引き締まりましたしね。
そんなわけで勝てなかったことは残念ですが、難敵を相手のアウェイ戦で最低限の結果を出したのは悲観することではないでしょう。もっとも、選手たちも言っているようにホーム開幕戦できっちりと勝点3を得なければこの勝点1の価値も薄れてしまいます。スーパーマリオブラザーズでせっかくフラワー取った直後に穴に落ちるのと似ています。今後の試合では、堪忍袋の緒が切れるのはいいですけど集中力を切らすのは避けてもらいたいものですね。