2010年Jリーグディビジョン2第3節
栃木SC 0-1 コンサドーレ札幌
得点者:札幌/内村
栃木/なし
開幕2試合で1分1敗と、スタートダッシュどころかいきなりこけた感のある札幌は、今節はアウェイでの栃木SC戦を迎えます。昨季の栃木は8勝13分30敗で18チーム中17位。最下位のファジアーノ岡山とはわずか勝点1差という薄氷のブービーという不本意な成績に終わりましたが、栃木も岡山も参入初年度ということを考えれば致し方ない部分もあるでしょう。J1まで経験しておきながら44試合でわずか5勝しかできなかったチームもあることですし、それに比べればいいほうなんじゃないでしょうか。まぁ何の自慢にもなりゃしませんが。
それはともかく、出遅れた札幌としてはこの栃木戦から次の岡山、FC岐阜と昨季下位に終わった相手が続く3連戦は何としても3つ勝って強敵である柏レイソルとの試合を迎えたいところだけに、まずはこの栃木戦でどんな形でも勝たなければなりません。昨季3戦3勝と相性のいい相手ながら、栃木も今季はFC岐阜のMF高木和正やサガン鳥栖のFW廣瀬浩二ら実力のある選手が加入。そしてリカルド・ロボというまるで突っ込まれるのを待ってるかのような名前のブラジル人FWを獲得しています。あれですか、やっぱりゴールを決めたら栃木サポーターは「ロボだこれー!?」って叫ぶんですかね。去年とはずいぶん違ったチームになっていると思われますが、それでもここで勝てないようでは昇格を目指すなどとは言えなくなりますから、早くも札幌の真価が試されます。シンカーといえば潮崎です。
いずれにしても内容はともかくとにかく勝たねばならないこの試合、ノブリンは前節3失点した守備陣のテコ入れをしてきました。まず懸念だったボランチは上里の替わりにこれまで右サイドバックに入っていた芳賀を入れ、空いた右サイドバックにはセンターバックだった西嶋を置きました。そして西嶋の替わりのセンターバックに入ったのはベテラン藤山。攻撃陣では怪我の影響かいまいち精彩を欠いていた古田の替わりに内村を入れてきました。
とはいえ、どうにもこうにもチーム全体につきまとう「おっかなびっくりさ」は払拭しきれず、試合はどちらかと言えば栃木のペースで進みます。札幌のやり方が決してダメというわけではないのですけど、ボールを奪うまではよくても、そこから攻撃となるといまいち自信なさげと言うか、一言で言ってしまえば「手探り」な感じで、意味のないようなパスも少なくないし、そのパスも弱いので素早く相手陣内に攻め込めず、相手に戻る時間を与えてしまう状態。相手の守備陣形がしっかり整っている場合、そこをこじ開けるには敵をいかに欺くか、というのが重要になってくるわけで、これまで何度も書いているとおり相手の予測の裏を突かなければいけないのですが、見られるのは主に味方を欺くプレイばかり。そりゃまぁ、「敵を欺くにはまず味方から」という言葉もありますけど、欺くにもほどがあるというか、帰りのホームルームでクラスメイトから問題提起されるレベル。
しかしそんな重い雰囲気を変えたのが、愛媛FCから移籍してきた内村圭宏でした。前半19分、相手のクリアミスを拾った紀梨乃からのパスを受け、フェイントで相手を抜ききらないまま打ったシュートは逆サイドのポストに当たってゴールイン。なんとなくプレイのフォームが西谷に似ている内村の点取り屋らしい移籍後初ゴールで札幌が先制します。
ひとまず先制点をゲットした札幌はその後多少ボールの回しもスムーズになり、その後も何度かチャンスを作り出します。しかしフィニッシュの精度がよくないのは相変わらずで、前半30分には紀梨乃の折り返しに走り込んだ近藤がシュートを放ちますが、ボールは見事な軌道を描いてゴールから逃げていきゴールならず。前半40分にも内村のクロスに紀梨乃が頭で合わせますが、シュートは惜しくもポストに嫌われゴールならず。ジャストミートとまでは行かずとも、あともう少しボールに深く触れていれば入っていたシュートだっただけに、今後のさらなる爆発に期待したいところですね。主に髪の毛のボリュームの方面で。
そんなわけで前半は札幌の1点リードで終了し、迎えた後半。試合の流れとしては相変わらずで、さほど危ないシーンは見られないものの、かといってこちらもチャンスこそ作るものの決めきれません。まぁチャンスを作れているだけまだマシという見方も出来ますけど、それにしても征也のプレイに迷いがあるように見えるのが気になりますね。後半30分過ぎには自慢の俊足を飛ばしてDFの裏を突き、GKと1vs1まで持って行ったり、ファーサイドへの飛び込みも何度も見せていたように身体のキレなんかは悪くないみたいですけど、その分だけ判断の遅さというか迷いが際立っているというか。去年もシーズン当初はそんな感じでしたよね。チャンスには絡むけど自分のシュートは入らない、みたいな。北海道が暖かくならないと征也も暖かくならないんでしょうか。
その後は栃木もいろいろ手を変えてきたものの、守備陣はさほどの破綻を見せることもなく今季初めて無失点におさえました。しかし攻撃陣はやはり最後の詰めを欠いて1点止まり。この辺は何とかしたいところですよね。三浦監督時代は1点でも取れば不思議と点を取られませんでしたけど、いまはそういうサッカーじゃないですし、昨年のセレッソみたいにコンスタントに2~3点取れるような戦力があるわけではないですが、取れる時に取っておかないと…というのは去年も散々見てきたことですからね。
まぁそんなこんなで内容的にはいろいろと言いたいことがないわけではないですけど、とりあえず1つ勝ったことでひとまず安心と言ったところでしょうか。まぁ安心してると転ぶのが我らがコンサドーレ札幌なんで、その辺気をつけて欲しいところですけどね。
ところで、栃木サポーターがキックオフ前に歌う「県民の歌」はいいですね。栃木出身ではない松田監督も口ずさんでいるのを見て、小さいことですが「地元密着」のひとつの形を見た気がします。こういう地元色を前面に出すのっていいと思いますよ。そうじゃなかったら「そこの土地にチームがある」意味がまるでないですからね。