2011年Jリーグディビジョン2第15節
大分トリニータ 0-1 コンサドーレ札幌
得点者:札幌/近藤
大分/なし
言葉は生き物だと思っていますので、同じ言葉でも時代によって意味や用法が変化したり、新しい言葉が生まれてくるのは当たり前のことだと思います。たとえば「道楽」という言葉は「本職以外の趣味などにふけり楽しむこと」「ものずき。好事」「酒色・ばくちなどの遊興にふけること」とあり、あまりよい意味で使われることのない言葉ですが、もともとは仏教用語で、もともとは「仏道を修めて得られる楽しみや悦びを表す」という、まったく違った意味を持っていたそうです。
なので、よくテレビが「その日本語は間違っている!」とか、若者の流行り言葉をあまり好意的ではない感じで取り上げたりしますが、自分は流行り言葉や「間違った用法」と言われる言葉でもあまり気にしません。ただしどうしてもなじめないというか見るのも嫌いな言葉ひとつだけありまして、それは「オワコン」という言葉です。いわゆるネットスラングのひとつで、同人用語の基礎知識さんが詳しいですが、要するに「人気や需要がなくなり、商品価値のなくなったコンテンツ」を表す「終わったコンテンツ」 の略です。その同人用語の基礎知識の説明にもあるとおり、言葉自体のニュアンスに「自分はわかってるつもりの上から目線」が多分に含まれているからなのかも知れませんが、そんなような言葉はほかにいくらでもあるのに、この言葉だけ拒絶反応があるのは、きっと「終わってるコンサドーレ」を略しても「オワコン」になるからかもしれませんぞ。かつてはJ1でプレイしていたコンサドーレ札幌も、今ではすっかりJ2でも勝ったり負けたりなチームなのですから、まぁオワコンと言われても仕方がないかもしれませんけど。
前置きが長くなりましたが、今回の相手である大分トリニータも似たような境遇のチーム。以前も書きましたが、大分は無理な経営が祟り多額の債務超過を抱え、その解消目処と、Jリーグからの融資を完済するまではたとえJ2優勝したとしてもJ1昇格は認められません。大スポンサーもいない以上、返済のためには経費削減をするほかなく、それは選手強化費とて例外ではありません。J2降格を境に主力の大半を失い、最終的な順位は15位。今季も前節終了時点で13位と、ナビスコカップ優勝という経歴を持つチームとしてはあまりにも寂しい成績。もっとも、同じ順位に主要タイトル全てで優勝経験を持つヴェルディもいますし、天皇杯ウィナーの京都サンガなんてもっと悲惨なことになってるわけですけど。それに、創設から15年が経ったのに未だタイトルのひとつも取れてない札幌から見れば、1つでも誇れるタイトルがあるだけうらやましいですよね。
というわけでタイトルホルダーかそうでないかを除けば極めて似たような両チームの対戦。シュート数が少ないところまで似通っていて、前節までの両チームのシュート数は札幌64本、大分75本とリーグワーストのワンツーフィニッシュ。大分もメンバーだけを見ればそこまで攻められないチームだとは思えないのですが、試合を観てたらまぁその理由もよくわかりますね。要するに札幌と同じ問題点を抱えているようです。デカモリシとチェジョンハンという強力なストライカーがいるので得点は札幌よりも多いですけど、その2人がいてさらに前田俊介がいるにしては逆に総得点8点という数字は少ない気はしますので、得点の少なさはやはりそのあたりに要因があるんじゃないかと思います。全体的に言えば、札幌が勝ったという以外にあまり印象の残らない試合。まぁそうはいっても札幌も今までのアウェイでの試合に比べれば割とマシだったほうだと思います。宮澤を前に置いた分ボールも割と回ってましたし、ワンツーによる突破なんかも今までよりは多かったと思いますけど、余計な手数をかけて結局攻めきれずに終わったり、スペースに出たパスが微妙に合わず、コントロールするのに1つ2つタッチが増えたことで相手に詰められる時間を与えてしまったり、そういう「もったいない」ところは相変わらず。得点シーンも、相手を崩したというよりは相手に奪われたボールを奪った「カウンターのカウンター返し」から、ボールを受けた近藤が「あ、なんか前が開いたから打っちゃえ」というシュートが相手GK清水のキャッチミスを誘ったもの。もちろん、ボールをカットしたアンドレジーニョを始め、チーム全体が前線からのプレスと攻守の切り替えの速さを徹底したことがゴールに繋がったわけですし、前が空いたら迷わず打った近藤も褒められるべきですが、これからより上の順位を目指し、せめて昇格争いの一角に食い込みたいのであれば、もっと細かいところを大事にするべきだと思いますよ。実際この試合も勝ったことは勝ったとはいえ、シュートの数自体はわずか5本。「数少ないチャンスをものにした」といえば聞こえはいいのですけど、目も当てられない有様だったロアッソ熊本戦の4本やサガン鳥栖戦の3本と比べても大して変わったわけではないですからね。この辺は、チームとしてのやり方を変えればそこそこ解決すると思うんですけどね。両手にベアークローつけていつもの2倍ジャンプしていつもの3倍回転すれば、バッファローマンの角くらいは折れるわけですから。
守備については今のところは特に文句はないでしょう。決して被シュート数が少ないわけではないんですが、河合と山下のコンビはなかなか相性がいいようです。被シュート数の割には失点が少ないという意味では、ブルーノさんとソダンのコンビを思い出しますが、どっちかというとブルーノ・ソダンコンビのほうがどうして点を取られないのかわからない不思議な感じが強かったですね。今はまぁ、山下も河合も1対1は強いですし、守備範囲も広いですからね。そういえば話は変わりますが、曽田さんは先日札幌市で人命を救助したことがニュースになっていましたけど、その辺やっぱり「持ってる」人なんでしょうかね。だって普通そんな場面遭遇しないじゃん。オレなんていつでも美少女の命を救うシーンを妄想してるのに。
さてそれはともかく、この試合も危なかったのは前半のチェジョンハンのシュート2本くらいですかね。1本目は魅惑の助っ人クロス・バー選手のおかげで事なきを得て、2本目はホスンのファインセーブで防ぎましたが、まぁあれは両方とも決まってたらチェジョンハンを褒めるしかないでしょう。その他は押し込まれてもしっかり集中力を切らさずに身体を張って守り無失点。9試合を終えて失点6は湘南ベルマーレ(3失点)、ロアッソ熊本(5失点)に続き、ガイナーレ鳥取・サガン鳥栖と並ぶリーグ3位タイです。守備は今のところ充分やれてると思うので、やっぱり得点力のアップに期待したいですよね。6失点しかしてないのに、この試合でやっと得失点差をプラマイゼロに出来たってのもちょっと寂しい気がしますので。まぁ去年くらいまでは「そこそこ点を取っても何でもないところで失点する」なんて嘆いてたんですけどね。うまくいかないものですね。