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2011年6月28日

最後に残ったミッドフィールダー

2011年Jリーグディビジョン2第18節
コンサドーレ札幌 0-0 カターレ富山
得点者:札幌/おりません
     富山/おりません

 前節アウェイで勝利を収めた札幌は、ホームに戻ってカターレ富山との対戦。前節は3点を取って勝ったとはいえ、最下位のFC岐阜を相手のミスに助けられた上、こちらもミスのオンパレードで内容的には決して褒められたものではなかっただけに、19位の富山を相手のホームゲームとなる今節は、勝点3はもちろん内容も求められる試合となります。
 とはいえ、札幌は相変わらず後ろのほうのメンバーやりくりに四苦八苦。芳賀もまだケガから復帰できておらず、前節は左サイドバックに入っていた高木純平が累積警告で出場停止。左サイドバックは岩沼シュンPでいいとしても、そうなると今度はボランチが足りなくなって困る。河合をボランチで使えばセンターバックが足りなくなるし、一応櫛引はU-18日本代表候補のトレーニングキャンプの参加を遅らせたようですが、だからといっていきなり全員をフル投入なんてリスクが大きすぎます。かといってブルーノを3列目で使うのはもっとリスクが大きいでしょう。おそらくどういう布陣で行くかを散々迷ったであろうノブリン、最終的には

 「ま、いっか。1人で。」

 という結論に達したらしく、宮澤裕樹をワンボランチに置く4-1-4-1にしてきました。ワンボランチというと、芳賀はもちろん今野やタバタンみたいに、攻めに関しては前にいっぱい並んでる攻撃の人に任せて、守備の人がワンワン言いながらボールを追っかけるポジションというイメージですので、宮澤はあまりそれっぽくはないのですが、ほかにいないのだからしょうがない。そんなわけで、ただでさえ大変そうなポジションに置かれた上に、オノレの前には三上陽輔、砂川誠、ブルーノ、近藤祐介と守備のほうではちょっとあんまり期待できないメンツが並び、あまつさえ残った選手も攻撃の人ばかりで、試合途中にバテても代わりの人がいないという針のむしろに座らされた宮澤さん。それではあまりにも酷じゃろうということなのか、ビョーキの人の情報によれば、「守備的MFもしくは左サイドバック」というユース所属のMF前貴之くんを学徒動員。現在トップチームに二種登録をしているユース選手は、GK阿波加俊太、DF奈良竜樹、DF小山内貴哉、MF荒野拓馬、FW榊翔太、そしてMF前貴之の計6選手で、今年になってから荒野くん、奈良くんに続いて3人目のベンチ入りとなります。試合に出られればもちろんのこと、たとえピッチに出なかったとしても、プロの試合の雰囲気を身体で味わわせる、名付けて「門前の小僧習わぬ経を読む作戦」とでも言いましょうか。

 さて、そんな感じで試合開始。富山は3-3-3-1という特殊なフォーメーション、というか3バック自体が昨今のJリーグでは珍しく、かつては3バックしかできないと言われていた札幌ですら普通に4バックやってるんですから時代は変わるもんだ、この分ならそろそろオレのところにも空から美少女が降ってきてもおかしくないよねと思ったりもするわけですが、ここまでリーグワースト2という守備の弱さが影響しているようです。それでいてチーム総得点は、ご存じの通りどっちかと言わずとも得点力の残念な札幌と同じ9ゴールなのですから、そりゃこの順位というのも致し方ないところですが、とはいえ中心選手であるFWの苔口や黒部、MF"ミスターカターレ"朝日、大西、DF池端、江添など、メンバー的にはもっと上の順位にいてもおかしくないチームで、実際札幌は中盤での鋭いプレスからボールを奪って素早く前線の苔口や黒部に展開するシンプルながらも確実なサッカーに手を焼かされます。フォーメーション的には富山の3列目3人に対して札幌の2列目が4人ですから、1人数的優位があるはず…などという某サッカーライターの数霊術みたいな分析はまったく意味がなく、要するに「がっつりプレッシャーかけられると札幌はなんにもできない」というだけの話。宮澤も守備に攻撃にと走り回っていましたが、さすがにそれ以上は体力的にも厳しかったでしょうし、何よりも「自分が出ていった後誰もカバーしてくれそうにない」という絶望感もあったのかもしれません。今の宮澤に得点も取れというのは、翼くんレベルの活躍を求めるのと一緒です。そんなわけでやっぱり攻めの形は作れず、前半は富山のシュート6本に対して札幌は4本。ちょっと危ないシーンも作られかけていたので、どっちかといえば後先考えてないペースですっ飛ばしていたように見えた富山を無失点で抑えたのは僥倖だったかもしれません。

 案の定、後半になると徐々に運動量が落ち始めます。富山は19失点のうち、前後半の16分以降の失点が実に18もあるという、典型的な先細りチームのようです。前半は富山のプレッシャーにタジタジだった札幌ですが、相手の出足が遅くなってきたことで少し考える余裕が出てきたのか、少ないタッチでボールを回すことができるようになります。前半に比べればチャンスも増えてきますが、どうにも大事にいこうという思いが強すぎるのか、打っていいような場面でもシュートを打たないシーンが目立ちます。遠目からでも隙あらば打とうとしてたのは近藤だけ。それともシュートを打ってはいけない契約を結んでいるのでしょうかね。結局にっちもさっちも行かなくなってボールを取られるか、無理目なシュートを打たされて終了というパターン。攻めてる割には決定的なシーンはあまり多くなく、だったらうっちーをもっと早い時間に投入したほうがよかったんじゃ? などとも思いましたが、まぁ結果論ですし、ケガから復帰したばかりの彼はひょっとしたら使っても10分限定とかの条件があったのかも知れないですね。同じく途中から投入されたヤスがそこそこいいアクセントにはなってたんですけど、フィニッシュがいけてないのは変わらずで、結局攻め込みながらもゴールを奪うことができないいつもの光景がそこに。後半の流れから言えば0-0で終わりそうな感じはなかったんですけどね。得点が取れそうな流れですら得点を拒否する札幌さんはそんなに得失点差をプラスにするのがいやなんでしょうかね。
 そんなわけで、内容的には岐阜戦よりはマシだったものの、スコアの上では0-0と勝点1を積み上げるに留まりました。勝っておきたい相手で、勝てる内容の試合だっただけにもったいない気もしますが、この辺が今の札幌の力なんだろうな、と思った6月最後の日曜日でした。

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