2011年Jリーグディビジョン2第27節
コンサドーレ札幌 1-0 栃木SC
得点者:札幌/ジオゴ
栃木/なし
遠征祭りが終わり、久方ぶりの厚別でのホームゲーム。ここのところの好調と上位チームの足踏みによって昇格争いに名乗りを上げたコンサドーレは、同じく昇格を争う栃木SCとの対戦を迎えました。栃木は前節終了時点で第2位。首位FC東京と同じ勝点で並び、得失点差6点及ばず2位につけています。前日の試合で首位のFC東京が京都サンガFCに5点差をつけて勝っているため、この試合で栃木が首位に立つためには少なくとも12-0という、ノッてる時の近鉄並みのスコアが必要であり、まぁあまり現実的話ではないですね。
そして3位の徳島ヴォルティスと4位のジェフユナイテッド千葉が、それぞれギラヴァンツ北九州とサガン鳥栖を相手にともに引き分けに終わり勝点1を上乗せするに留まったたため、「この試合に勝ったほうが2位」というお互いにとって重要な試合になりました。栃木の前節終了時点でのチーム総失点は19失点。18失点の札幌とほぼ変わらない守備力を持っています。ただ得点数は札幌の26得点に対して栃木は31得点と、攻撃力に関しては栃木に分があります。しかし札幌もジオゴさん加入後は5試合で10得点を挙げ、攻撃力に関してはだいぶ上向き。そんなこのところの好成績が影響したのか、それとも噂のオモシロ人間を見に来たのか、厚別公園競技場には10,110人、10進数で言えばなんと22人ものお客さんが詰めかけました。
札幌はこのところの定番となった4-2-3-1のフォーメーション。前節欠場したイホスンと岩沼俊介が復帰し、DFラインは右から純平、櫛引、ヤマタツ、岩沼。ボランチ2枚に河合と宮澤、両サイドに砂さんと近藤、トップ下にうっちー、そして1トップはご存じジオゴさん。おそらく現時点でベストのメンバーでしょう。対して栃木は中盤の要であるパウリーニョが怪我、新助っ人のサビアも体調不良で遠征に帯同せず、苦しい状況です。サビアで思い出しましたが、道外で「サビオ」って言っても通じませんからね。
さて試合。ベストメンバーではないとはいえ、パウリーニョと崔の2トップは健在で、カウンターを警戒して静かな立ち上がりになるだろうと思っていたのですが、開始早々にサイドでボールを受けた近藤が中に切り込み左足でシュート。様子見なんて俺には合わないぜ、などという感じの近藤に刺激されたか、いつもと違うワイルドさを見せ始めます。そして前半5分、札幌側から見て左サイド、相手ペナルティエリアの少し外で得たフリーキック、岩沼の蹴ったボールはドンピシャにジオゴさんの頭に当たり、今日も早い時間帯に札幌が先制ゴールをゲット。そして今日も羽ばたきます。加入後6試合で3点目。キープもできて点も取れてオモシロ人間でなおかつ羽ばたけるジオゴさん、1人だけJ1に羽ばたいていくことのないようにしてほしいものですね。最悪でも金の卵くらいは産んでもらわないと。
先制した後も、シーズンの早い段階から熾烈な上位争いを繰り広げてきた栃木を相手につけいる隙を与えない札幌。パウリーニョが不在だったこともあって、栃木自慢の2トップにほとんどボールをたせず。攻撃も引き続き好調で、多くの時間を栃木陣内でプレイするほどの圧倒ぶり。チャンスも多く、ジオゴさんがペナルティエリアの中でシュートを打つと見せかけて切り返してどフリーの近藤にパスをしたのは俺の中で確かに何かが漏れそうになりました。近藤が決めてれば完全に漏れてたんですけどね。栃木も粘り強い守備でしたのでああいうところで点を取れるようにならないといけないルージュマジックですよね。まぁ実際シュートなんてどんなに完璧に捉えても入らないときは入らないし、入るときは当たり損ねでも入るもんですけど。取れるときに取っておかないと苦しくなるもんですからね。
実際、後半に入って高木和正を1列後ろに下げ、つなぎ役に専念させ、前線には引っかき回し役の河原を入れてきた栃木にすっかりペースを盛り返されてしまいます。前半はシュート6本と、一般的な感覚から言えば決して多いほうではないですけど札幌的にはすっげえ打ったと言える本数を放ち、珍しく二桁シュート狙えるペースだったのですが、後半はほぼ防戦一方。結局後半のシュートはわずか2本、打たれたシュートのほうが多かったといういつもの通りの札幌。まぁ相手のシュートをゴールライン上でクリアした高木純平をはじめ文字通り身体を張る守備陣も「いつもの通り」ではあったんですけどね。コンサドーレ最強のDFと言われているクロス・バー選手の活躍もあり、栃木の反撃を封じ込め、逃げ切りに成功しました。
しかしまぁ、2位ですか。一時は下位をうろうろするくらいに低迷し、多くのJリーグフリークが「今年も札幌は『なし』」と思った…というかサポーターもそう思っていたし、実際今でも2位ってのが信じられないというのが正直なところなんですけどね。なんか相手が裸足で逃げ出すくらい攻撃が得意なわけでもないし、かといって相手が手も足も出ないくらい守備が堅固なわけでもない、はたまたぐうの音も出ないくらいの組織的なサッカーをやってるわけでもない…まぁそんな完璧なサッカーで完璧なシーズンを過ごさなければいけないかと言われれば別にそういうわけでもないのですけど、要するに今の札幌は「やっぱ上位にいるだけあるよな!」というサッカーをしているとは思えないんですよね。「そふてにっ」の原作者あづち涼先生も首をひねる不思議なチーム・コンサドーレ札幌。
とはいえ、まだ徳島ヴォルティスとの対戦がまるまる2試合残されていますし、今のJ2で「確実に勝てる相手」なんて存在しませんから、今が最大瞬間風速である可能性も否定できません。その一方で札幌にはまだレモスという秘密兵器が残されており、上積みが期待できるという好材料もあります。もっともその秘密兵器がひみつのまま終わってしまう可能性もないわけではないのですが、いずれにしてもあと少なくとも数試合が鍵となるでしょうか。まぁ内容はともかくここ数年札幌に希薄に見えた「勝負にかける執念」が感じられますので、昇格云々はともかくシーズンの終了の際に「あれ、そういえば札幌ってどこに行ったっけ?」みたいなだっさい結果にはならないと思いますけどね。とりあえず、オフにディフェンスの主力がほぼ軒並み引っこ抜かれ、キャンプで怪我人続出でチームを固められないまま開幕、案の定開幕ダッシュに失敗し、助っ人も全員ハズレ、若手の伸び悩みと、いつものシーズンなら今頃はとっくに円環の理に導かれていてもおかしくない状態だったのに、よく立て直したもんだと思います。ちなみに、DF岡山一成が札幌に加入しベンチに入った第20節愛媛FC戦(7月9日)以降の札幌の成績は、10試合で8勝2敗、17得点(8失点)です。それまで14試合やって10点とるのがやっとだったチームとは思えません。岡山自身は2試合しか出ていないんですけどね。「昇格請負人」というか「昇格呼込人」と言ったほうがふさわしい選手だと思います。ほんとに馬飼っちゃえ。
コメント (5)
ジオゴが一人だけJ1にはばたく、というところで吹き出しました。
投稿者: マーボ | 2011年9月16日 01:01
日時: 2011年9月16日 01:01
2進数、ですね。
投稿者: ばんぶう | 2011年9月16日 08:24
日時: 2011年9月16日 08:24
>パウリーニョと崔の2トップは健在で
リカルド・ロボっすよ。。。
投稿者: 通りすがり | 2011年9月16日 14:36
日時: 2011年9月16日 14:36
うーむ、トシのせいか最近いろいろ間違えてるなぁ…。まだハタチなのに…。
投稿者: 匿名 | 2011年9月16日 15:12
日時: 2011年9月16日 15:12
まさか、「敵を殺せない」に続くんですか、今回のタイトル
投稿者: 匿名 | 2011年9月20日 12:48
日時: 2011年9月20日 12:48