2012年Jリーグディビジョン1第3節
コンサドーレ札幌 1-2 浦和レッズ
得点者:札幌/山本
浦和/うんこ物語x2
リーグ戦2試合とカップ戦1試合を消化し、ここまで1分2敗と未だに勝ちがない札幌は、J1初勝利を賭けて浦和レッドダイヤモンズとのホームゲームに臨みます。おそらくJ1で一番運営予算の多いチームと、サガン鳥栖と並んで最も運営予算の少ないであろうチームとの対戦。チーム全体を見渡してもかろうじて「日本代表候補」が1人いる程度の札幌と、見渡せば元を含む日本代表キャップを持つ選手ばかりの浦和、戦力差は歴然としていますが、その圧倒的な予算と戦力で華麗に残留争いを繰り広げたのが昨季の浦和。今期はさらに槙野智章、阿部勇樹といった海外組の代表選手を補強していますが、マルシオリシャルデスとポポがベンチとか、贅沢なチームですよね。くれよ。どっちか。
そして浦和レッズといえば熱いサポーターで有名で、全国どこでも大挙して押しかけてはウィーアーと叫ぶことでも知られていますが、「この試合を逃したらまた次いつ北海道に来れるか分からない」と思ったか、この試合でも3,000人近い人たちが集まってきました(もちろん北海道在住の人たちもいるのでしょうが)。単純なチケット売上ならたぶん岩沼俊介の推定年俸くらいは払える計算になるでしょう。ありがとうございます。
とはいえ、全体としては開幕戦を下回る2万人強の入場者数にとどまりました。もう少し営業がんばれないもんでしょうかねぇ。
札幌のスターティングメンバーは、神戸戦とまったく同じ布陣。リーグ戦2試合を戦って勝ちこそないものの、内容的には割とやれる手応えがあるということなんでしょうね。もちろん砂さんや古田といったあたりがケガから復帰すればまた少し変わってくるのかもしれませんが、少なくとも現時点では方向性を変える気はないということであり、果たして3戦目を迎えてだいぶ全体的にJ1のスピードに慣れてきたのでしょうか。日本代表クラスの選手を多く抱える浦和に対し、互角以上の展開を見せます。何度かいいチャンスを作った後の前半32分、右サイドからのコーナーキックで、近藤が蹴ったボールはゴール前へは向かわずにペナルティエリアの外へ。あ、これは日本代表とかでよく見る「密集地帯に向かうと見せかけてペナルティエリアの外に待ち構えるフリー選手がボレーで合わせるという、決まるとすっげえかっこいいけどなんだかんだでいつも合わせ損なって成功例を見たのはほんのわずかしかないトリックプレイ」じゃないですか! などとわずか数秒の間に思っていたら、待ち構える山本真希は確かに直接は合わせられなかったものの、立て直して放ったミドルシュートがゴール右隅に綺麗に決まりました。二試合連続の「如来弾」で先制点をゲットします。というか別にいいんですけど山本真希愛称募集はどうなったんでしょうか日刊スポォツさん。まさか本当にオレの1通しか来なかったとかじゃないですよね…。
それはいいとして、前節に引き続き先制した札幌。昨年までは「先制すればほぼ100%勝利」をものにしてきたわけですが、前半アディショナルタイムに札幌側の左サイドをえぐられて上げられたクロスをファーでフリーになっていた柏木に決められ、いやな時間帯に同点に追いつかれてしまいました。さすがにJ1、そう簡単に勝たせてはくれません…と言いたいところですが、正直言うとこの失点、クロスの前にタッチラインを割っていたとセルフジャッジして、一瞬気を抜いてましたよね。実際ラインを割っていたかどうかは録画を見る限りはぶっちゃけギルティなんですが、レフェリーが旗を揚げない限りはプレイオンなんですよ。ところでプレイオンとゴライオンはちょっとだけ似ていますよね。ゴライオンって超合金しか憶えてないですけど。
まぁそんなわけでせめてリードして終わりたかった前半を、札幌は同点で折り返しとなってしまいました。札幌としてははやめに追加点を奪って突き放したいところですが、どうにも前田以外のボールの収まりどころがなく、攻撃は単発で終わります。逆に前半18分、自陣ペナルティエリア手前でノースが不用意なファウルを犯して直接フリーキックを与えてしまうと、これを柏木に直接決められてしまいました。ボールがセットされた位置はペナルティエリアのほんのわずか手前。このくらいの距離だと逆に近すぎて、J2だったらよっぽどの名手でもない限りはだいたい落ちきらずにクロスバーの上を超えていく位置なんですが…。この辺はさすがにJ1と言ったところでしょうか。まぁ、ノースとしても別段強く当たりに行ったわけでもなかったと思いますけどね…。
またしても逆転を許す展開となってしまった札幌は、キリノ、榊、大島と立て続けにFWを入れてまずは同点を狙いますが、キリノを生かせるほどスペースがあるわけでもなく、かといってとにかく大島めがけて放り込むわけでもなく、榊にお膳立てする道筋があるわけでもなく、それでも攻撃すること自体は出来ており(浦和がある程度引いていたこともありますが)、じりじりとした時間だけが過ぎていきます。ロスタイムの攻防も、コーナーキックからGKホスンまでもが攻撃に参加し、GKらしい強烈なアタックを決めることもなく(ドイツ代表GKカーンはそれやって退場しましたけど)、残念ながら2試合連続の逆転負けとなってしまいました。
全体としては、「わずかなミスでやられる」というJ1の恐ろしさを改めて味わった格好でした。それでもやりたいことはある程度出来てましたし、「勝負にならない感」はないのですけど、相手はわずかな差をついてくるのに、こちらは相手の隙をうまく突けないというのは残念ではありますね。ロシアンルーレット寿司で札幌だけ的確にわさび寿司を食べてしまう感じ。スーパーなストライカーがいるわけではないですし、J2ですらあまりシュート数の多くなかったチームなのですから、今季はなおさらワンチャンスを確実にものにできるようにならないと、君は生き残ることが出来るかどうか以前に時の涙も見られずに終わってしまいかねませんよ。