2012年Jリーグディビジョン1第7節
コンサドーレ札幌 2-3 川崎フロンターレ
得点者:札幌/前田、高木
川崎/中村、レナト、山瀬
開幕戦に引き分けたのみで絶賛連敗街道邁進中、同じ昇格組のサガン鳥栖がなんだかんだで勝利を重ねているのを後目に、結果だけを見るならまさに「異次元の弱さ・再び」といった感じのコンサドーレ札幌の今節の相手は、川崎フロンターレ。J1でのタイトル獲得こそないものの、ナビスコカップ準優勝3度、リーグ2位3度とすっかりJ1でも強豪の部類に。「シルバーコレクター」と呼ばれることもありますが、かつてはJ2オリジナル10として同じ釜の飯を食った仲でありながら、J1で1つ勝つにも四苦八苦してるチームのサポーターから見ればシルバーで何の不満があるんだと思わないでもなく。
とはいえ、昨季は11位と不調のシーズンに終わり、今季も開幕直後こそ2連勝を達成したものの、その後は4試合で3敗1分といまいち調子が上がらず、昨季から指揮を執っていた相馬監督が解任。望月コーチが監督代行を勤める中での試合となりました。
そして相手が調子よかろうが悪かろうがかまわず負けちまう札幌ですが、相変わらず怪我人発生が止まりません。ナビスコカップ鹿島アントラーズ戦で2得点目を挙げ、負傷交代した榊翔太の怪我は肉離れと、当初の想定よりは軽かったものの、それでも全治は3週間。同じくリーグで2得点を挙げた山本如来がこちらも肉離れで全治4~5週なので、今のところだと1点につき10日~14日離脱という交換レートになっております。なんですかそのカイジみたいな世界は。それどころか点を取ってない宮澤まで肉離れの巻き添えを食っており離脱。トップ下には近藤が入り、サイドにはどこかを痛めたのかベンチスタートの古田に代わり岡本がスタメン復帰、ここまではサイドバックだった高木純平が1列前に上がりました。空いたサイドバックには鹿島戦でいい動きを見せていた日高が入りました。
これまで何度も書いてきましたが川崎との相性は極めて悪く、Jリーグとなってからは2008年のナビスコカップで勝ったのみで、リーグ戦では未だに勝利なし。この試合も苦戦が予想されましたが、意外なことに試合は札幌ペースで進みます。前半9分には右サイドをえぐった岡本からのクロスを前田俊介がニアでうまく合わせて先制ゴール。マエシュンの移籍後初ゴールは意外にも頭での得点でした。
川崎はそんなに調子が良くないのか、まったくもって川崎のほうも調子が悪いようで、ボールは持てるのですが全体的な動きが少ないため、札幌としてはかなり守りやすい状態です。32分には岡本からのスルーパスに追いついた日高が上げたエロい弾道のクロス、いわゆるエロスに高木純平がこれまた頭で合わせて追加点をゲット。6試合でたったの3点しか取れてない札幌が、なんとなんと前半だけで2点ゲットという思ってもみなかった展開になりました。どうしたんですかなんか悪いものでも食べたのですか。その後も絶好調にエロい日高のエロスからチャンスを作り出すなど、札幌はほぼやりたい放題で2-0のまま前半終了。
確かに、見てるほうからしても札幌が前半90分持たないサッカーをやっていたのは分かっていたのですが、それ以上に川崎の元気がなかったこと(川崎元気って引退してたんですね)、点差に余裕があったことから、その分を差し引いても逃げ切れると思っていたんですよ。
しかし後半、形勢は一気に逆転します。中でも水曜日の鹿島戦にも(おそらくはキリノの退場で予定外に)出場していた近藤は、後半開始時点で既に電池がすっからかん。実のところ今の札幌の鍵を握っているのはマエシュンよりも近藤でして、彼の電車道アタックが攻守両面で「効いていた」わけですが、もとよりマエシュンは守備が得意なほうではないため、前線の守備は彼の力によるところが大きいのは確かなのですが、その分彼の電池が切れると前線からのプレスが効かなくなってズルズルとラインが下がり、相手選手を自陣に招き入れてしまう悪循環となってしまいます。ノブリンとしてもそれは分かっていただろうと思いますが…。ノブリンはなかなか動かず、先に動いたのは川崎の望月監督代行でした。後半12分、往年の存在感がまったくなくなった稲本に変わってコンディション不良でベンチスタートだった中村憲剛を投入。そして交代で入った直後にその中村がレナトからのパスを、バランスを崩しながらも綺麗に決めて1点を返しました。
後半のまだ早い時間に決められたことももちろんですが、札幌としては一番決められてはいけない人に決められたのが、結果として致命的でしたよね。2点をリードされていても、川崎の選手には「中村憲剛が入ればまだなんとかなる」という思いはあったと思うんですよ。で、彼が入った直後に、まさにその中村が得点を決めたわけですから、選手の士気が上がらないはずありません。
逆に札幌は連敗中だけあって、1点を返されたことでますます浮き足立ってしまいます。息を吹き返した川崎の意図的な裏を突く攻撃に対し、息も絶え絶えな札幌はラインを上げられません。それでもマエシュンが身体を張ってボールをキープし、相手と入れ替わってGKと1対1になりかけましたが、それを見届けた村上主審がご丁寧にその前のファウルを取ってくださってロールバック。逆に後半20分過ぎに、DFの裏に出たボールに思わず前足を出してしまった日高がハンドを取られてPKを献上。レナトが蹴ったPKにホスンもよく反応して左手ではじきゴールポストに当たったのですが、シュートの勢いのほうが強かったようで、ボールは無情にもゴールの中。ついに同点に追いつかれてしまいました。ところで、このレナトっててっきり去年までいたレナチーニョと同じ人だと思ってたのですが、違ったんですね。セイゴがフッコになって、さらにスズキとなり、最後にイチローになるみたいに、進化して改名したんだと思ってたのに。
さて同点に追いつかれてしまった札幌が、息の根が止まる寸前の近藤を下げたのは後半26分になってからでした。それはいいのですけど、交代として入ってきたのは…横野? Why?
確かに追いつかれてしまった以上は点を取らなければいけません。2点先取して勝ちゲームの流れだったのならなおさらです。とはいえ、全体的な押し上げも出来ない状況で、基本的には使われてなんぼの横野を入れてどうしろというのでしょうか。まぁキリノが出場停止であったことも影響してるのでしょうけど。彼も使われる側の選手ですけど、アバウトなロングパスでもヨーイドンでマイボールにできるスピードがありますからね。
ただそうじゃなければキープの出来る古田を入れて、全体的な押し上げの時間もしくは後ろが休める時間を作れるようにするほうがいいと思うのですが…。横野も前線からボールを追い回すものの、後ろがついてこられずにうれしはずかし空回り状態で、やはり札幌の置かれた悲惨な状況は変わるはずもなく。35分には同じくとっくのとうに体力を使い果たした前くんをようやく交代させたのですが、ここでもやはり古田ではなく三上。しかも、高木純平をボランチにスライドさせてサイドで使うのではなく、そのまま三上がボランチに。さらにその5分後には、足を痛めたらしいマエシュンに代えて櫛引を投入します。むー。そこまでくると「どうしても古田を使えない理由」があったんだろうと推測できますけど、それが怪我であれ他の理由であれ、手駒がほとんどない札幌に対して、山瀬という大駒をまだ残していた川崎とじゃ、この時点で勝負は決まっていたのかもしれませんね。
結局、交代で入ってきたその山瀬にあっさりとゴールを決められ、無念の逆転負け。名古屋戦に引き続き2試合連続で3失点というのは、それだけ見ればちょっとまぁアレですけど、とはいえ柏レイソル戦からこっち、ナビスコカップの鹿島戦を含めて4試合で96本ものシュートを浴びながら10失点というのは、けっこう頑張ってるほうじゃないですかね。
でも勝ちたいなぁ…