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2012年4月22日

1対35

2012年ヤマザキナビスコカップ グループB第3節
コンサドーレ札幌 1-2 鹿島アントラーズ
得点者:札幌/榊
     鹿島/ジュニーニョ(PK)、岡本

 リーグ戦ではいっこうに勝てる気配のない札幌ですが、ナビスコカップは前節横浜F・マリノス相手に勝利を挙げました。第3節となるこの試合、鹿島アントラーズをホームに迎えました。札幌育ちの西大伍を擁する昨季チャンピオンの鹿島ですが、今季はどうにも調子が上がらず、リーグ戦では開幕3連敗、土曜日のFC東京戦でようやく今季リーグ戦初勝利という状態です。ただナビスコカップではここまで2戦2勝となっています。
 札幌はいつもの通りフレッシュメンバー。さすがにリーグ戦はもう5試合以上やってしまったので、ベストメンバー規定にギリギリ引っかからない程度にメンバーを入れ替えてきました。つっても怪我人続出の中メンバーやりくりに四苦八苦しているのも事実。ノブリンに今一番欲しいものはなんですか? と訊いたらきっと「仙豆じゃ」と答えそうなくらいです。望まずとも控え選手を使わざるを得ない状況なわけですが、とはいえ今現在なお経済的な事情でサテライトリーグに参加していない札幌の控え選手たちにとっては、ナビスコカップというのは格好のアピールポイント。ここでいい働きをすればリーグ戦でも使ってもらえるということでもあり、ガンガンアピールしてスタメンを脅かすくらいになってほしいものです。力の差があるのはしかたがないのだから、ガツガツしたところを見せて欲しいところですよね。
 そんなわけで試合は、攻められるのはある程度織り込み済みとして、奪ってからシンプルにカウンターという戦術を徹底。それが奏功したか、前半16分、カウンターから日高がファーを狙ったクロスに、「清水町が生んだ偉大なる豆柴」こと榊翔太がワンワン言いながら飛び込んでいきます。若干ボールの処理にもたつき、ゴールに背を向けた状態になりながらも、鹿島DFが詰めてくるわずかな間にボールを支配下に置いた榊は、すかさず身体を反転しそのままシュートを打つと、ゴールはGKの手の先を通過してゴールへ吸い込まれます。ナビスコカップ2戦連続ゴールで札幌が先制しました。無理矢理でもシュートに持って行くあたり、ストライカーなんですね。163cmと小柄ながらもトップチームへの昇格をつかみ取ったのは、ひとえにこのセンスなのでしょうか。
 攻め込みながらも逆に先制されてしまった鹿島ですが、リーグ戦の不調を物語るかのように攻撃がうまくいきません。特にジュニーニョの衰えっぷりは涙を誘うレベル。スピードが最大の売りだった選手が、その売りを失ってしまったらこうなるという感じ。もちろん彼がスピードだけの選手だったわけではないのですけど、おそらく見ている我々以上に本人のイメージに身体がついて行ってない様子は痛々しいどころの話ではなく、これはもうジュニーニョではなくて爺ニーニョです。鹿島の攻撃にあまり連動性がないこともあってさほど脅威は感じず、割と余裕を持って試合を進められるかと思った矢先に、突然不幸はやって参りました。30分を過ぎたあたりで先制点を挙げた榊が突然ピッチに倒れ込みます。相手選手との接触も何もなかったはずなのに座り込んだまま立ち上がることが出来ません。すぐさま担架で運び出されますが、担架に乗った様子などからも、怪我の箇所はアキレス腱、それも決して程度は軽くないことを物語っています。当然のようにそのまま古田と交代。10年前、地元出身の若きエースとしてサポーターの期待を一身に集めていた山瀬功治が同じピッチで前十字靱帯を断裂したのを思い出していまいました。あの後お祓いまでしたんですよね(※後日の発表で、怪我の箇所はアキレス腱ではなく左長母趾屈筋の肉離れ、全治3週間と診断されました。肉離れというのは筋肉の裂傷ですから決して軽い怪我ではないのですが、アキレス腱だと今季絶望クラスもあり得たので「比較的」軽傷と言ったところでしょうか)。

 そして、不幸はそれだけでは終わりませんでした。榊交代のすぐ後のことです。カウンターからスペースに出たボールに対し、キリノが自慢のスピードとたてがみをなびかせて突進。相手より速くボールに触るとドリブルでペナルティエリアに侵入し、さぁシュート体勢というところで、昌子に後ろからスネ(ふくらはぎのあたり)を踏まれ倒されてしまいます。岡部主審の笛が鳴り響き、こりゃPKだろうと思っていたら…遙か遠くから走ってきた岡部主審はペナルティスポットではなく、キリノを指しています。え、それってまさか…と思っていたらやはりキリノに対してイエローカードを提示。キリノは32分に1枚カードを受けていたので、2枚目のイエローカードで退場処分。なにそのカードふざけてるの。
 まー言いたいことはたくさんありますけど、いい加減「ペナルティエリアで攻撃の選手が倒れたら問答無用でシミュレーション認定して無条件でカード」って考え方、やめましょうよ。というかシミュレーション自体別に必要なくないですか。今回は本当にキリノは足を踏まれてたんですけど、そうじゃなくてもたとえばバランス崩してこれ以上踏ん張ったら怪我するかも知れないとか、単純に芝生のギャップに足を取られたとか、そういうことだってあるじゃないですか。どうせ故意か故意じゃないかなんて分かりっこないんだから、「シミュレーションは極悪なのでカードであるからして、君が! 退場するまで! カードを出すのをやめない!」なんてはっきり言って横暴すぎますよね。主審が「あ、こりゃPKじゃないな」と判断したなら「はよ起きれグズ」ってガン無視してりゃいいと思うんですよね。まぁ今でも上手なレフェリーはだいたいそうですけどね。ぶっちゃけ○×いレフェリーほど「オレは! オレは騙されないぞ!」みたいにはっちゃきこいたレフェリングしちゃうような気がしますね。

 まぁいずれにしても判定が覆ったりはしないので、残り半分以上を10人で戦わなければいけなくなった札幌。後半に入ると完全に防戦一方となってしまいます。とはいえ、守備の選手が退場した場合は、FWを1枚外して代わりの守備的選手を入れてバランスを取ることが多いように、通常はFWが1人減った程度では目に見えた不利にはならないもの。しかし後半の札幌はまさしくサンドバッグ状態となります。ゴール前に釘付けにされ、ノブリンが良くやる8対6の守備練習のような感じ。胸を借りてますみたいな感じ。どすこーい。
 しかし鹿島もやはり調子が悪いだけあって、シュートは打てどもまったく入る様子がありません。札幌がギリギリのところで身体を張ってるのもあるのですが、ドン引きする札幌を引っぺがすこともこじ開けることもままならず。たまに決定的なシーンを迎えてもシュートミスでフイにする、典型的な「強いチームが弱いチームに負けるパターン」です。後半30分過ぎに一気にピンボールみたいに4~5本のシュートを浴びながらその全てを防ぎ、最後のシュートがゴールの上に外れていったときは、ああこれはもう何をやっても鹿島は点を取れないパターンだと思ったんですけどね。
 …意地の悪いいい方をすれば鹿島は点を取れなくてもレフェリーは点を取らせることが出来るということでしょう。39分、ペナルティエリアの中で相手の放ったシュートが宮澤の手に当たってしまい、無情のPK判定。まぁ、実際に手に当たってるのでハンドと言えばハンドなんですが…。北海道ではそれは前足と言うんじゃあああああ! というのは冗談としても、こういう時だけはキッチリ見てるわけですね、ええ。このPKをジュニーニョにきっちりと決められ同点。まぁ止まってるボール蹴るなら今のジュニーニョでもできるわな。

 同点ゴールを決められても札幌イレブンに気持ちの面ではさして落ち込んだ様子は見られなかったのですが、さりとて疲れた身体をどうこうできるほどの気力は既になく、そうでなくても1人少ない札幌に再び突き放せる体力は残されていませんでした。しびれを切らしたクッシーが「おっしゃ! 行けるところまで行っちゃる!」とばかりに自陣から怒濤のドリブル突破を行い、3人くらい抜いたところで力尽きるなどほほえましいシーンはありましたが、選手交代も焼け石に水状態。結局ロスタイムにセットプレイから岡本にゴールを決められ逆転を許してしまったところでタイムアップ。別に判官贔屓しろなんて言いませんけどね。せめてまともなジャッジをお願いしたいですよね。

 ところで、この試合札幌が鹿島に浴びたシュートは35本。これは1999年11月23日のベルマーレ平塚対鹿島アントラーズで鹿島が記録した34本を抜いて、Jリーグ最多記録となります。ちなみにこれは90分での記録で、延長込みの120分となると、最多は1998年10月21日のベルマーレ平塚対コンサドーレ札幌戦で平塚が記録した37本。つまり、120分と90分で最も多くのシュートを浴びたチームはコンサドーレ札幌ということになりました。札幌誇らしい。

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