2012年Jリーグディビジョン1第9節
コンサドーレ札幌 1-0 セレッソ大阪
得点者:札幌/近藤
セレッソ/なし
いつもニコニコあなたの隣に這いよる近藤!(挨拶)
そんなわけでゴールデンウィーク恒例・厚別開幕を迎えました。人によっては「アッー!別開幕」とも解釈される「コンサドーレ2度目のホーム開幕」です。相手はセレッソ大阪。
セレッソはこれまで天皇杯での準優勝が2回ある程度で、2度のJ2降格経験有りと、さして強豪というわけでもないのですが、若手選手の育成・発掘には非常に定評のあるチームです。押しも押されぬ日本代表の中心選手となった香川真司(ドルトムント)を始め、現在ドイツ2部リーグのボーフムでプレイする乾貴士や、ヴィッセル神戸の日本代表FW大久保嘉人もセレッソでその才能を開花させた選手です。セレッソの強みはそんな選手が移籍しても次から次へといい若手選手が出てくることであり、アテネ五輪の大久保、北京五輪の香川に続き、次のロンドン五輪にも扇原貴宏、山口螢、清武弘嗣らが有力候補となっています。
しかし札幌サポーターにとってセレッソといえば何と言っても山下達也の移籍先というか復帰先チームでしょう。複数年契約を結んでおきながら、これからと言うときにあっさり古巣からのオファーに応じたというのは、違約金も含めて契約上何の問題がないのは頭で理解していても、感情の部分ではどうしてもシャアに去られたハマーン様に近いわけです。そんな選手が再び札幌にやってくるとなれば、ありったけのファンネルを展開させたハマーン様のキュベレイの如くさぞかし盛大なブーイングで出迎えるだろうと思いきや、本人来ませんでした。
まぁ彼の移籍の時に「4,000万円もかけて買い戻しておきながら使わないのがセレッソクオリティ」などと書きましたけど、ホントに使わないとはねぇ。深刻なセンターバック不足に悩むこちらとしては、使わないなら最初から買い戻してるんじゃねぇよといいたいところ。
そして初勝利を目指すコンサドーレ札幌は、開幕戦からスタメンを張っていたDF奈良竜樹を外し、クッシーこと櫛引一紀をスタメン起用。奈良くんはメンタル的にもだいぶきつそうだったので、ノブリンもこの辺がリフレッシュの頃合いと判断したのでしょう。逆にクッシーにとっては代表合宿に行っている間に奈良さんに寝取られてしまったセンターバック奪回の大きなチャンス。ナビスコカップ鹿島アントラーズ戦での負傷退場した榊に皆の心配が集まる中、ひっそりと同じ怪我をしていた宮澤裕樹もスタメン復帰。さらには岡本賢明に代わり古田寛幸がスタメン入りとなりました。また、足裏の手術から復帰の芳賀が今季初めてベンチに入っています。
ここまでリーグ戦では未だ勝利なし、どこで誰がその爆弾を爆発させるかというのがある意味注目の場所でしたが、結論から言えば厚別での開幕戦で、セレッソ大阪が爆発させました。
雨もぱらついた上、厚別特有の強風でロングボールは戻されるか妙に伸びるコンディションの中で行われたこの試合は、立ち上がりこそセレッソがペースを握りましたが、徐々に札幌の前線からのプレスが効き始めます。特に、そんなに守備がうまいというイメージのない古田が何度もボール奪取に成功。セレッソの前線の動きが少なく、中盤でボールを持ちすぎていたということももちろんあるのですけど、後ろから気配を消してこっそり忍び寄り、さっくりボールをふんだくっていく様は、現役時代「忍者」と呼ばれた村田コーチの指導のたまものなんでしょうか。そういえば顔の系統もなんとなく似てるような。
そんなこんなで前半25分、前線でボールを奪った日高からの折り返しをペナルティエリアの中で受けた近藤が、トラップ一発で茂庭の逆を突き、そのままシュート。ボールは韓国代表GKキムジンヒョンの手をかすめてゴールへ入りました。珍しく右足のシュートが枠に飛んだ近藤の今季初ゴールで札幌が先制します。
その後も札幌の攻勢が続き、いくつかチャンスを作りますがゴールを割ることができず。決めたかったシーンもありましたが、まぁうっかり2点取っちゃったりしたらむしろ不安になりそうですからね! そんなわけで前半は1点リードのまま終了。
後半も開始からだいたい互角のペースで進みます。マエシュンが前田カットからの前田ドリブルによる3人抜きで前田シュートを放ったり(オチとして枠外)、純平カウンターからの純平スルーパスでおしいシーンを作ります。15分にマエシュンが(いつもの)負傷交代をして前線の起点がなくなっても、交代で入った内村も前線から献身的に追い回し、カウンター狙いにシフト。
しかし個の力に劣る札幌がJ1チームと真っ向から戦おうとすれば、必然的に相手よりも運動量を多くしなければ渡り合えないません。いわゆる「ハードワーク」ですね。略して言えばHWです。レイザーラモンはHGさんです。このハードワークについては札幌の選手は本当に誰1人サボらずにやっているんですが、それはつまりバテるのも早いわけです。体力が落ちてくるとプレスに行けなくなり、それによってラインが下がってしまい、ボールを奪っても全体的な押し上げもできないためせっかく奪ったボールをすぐ失ってしまい、結果として相手の攻撃時間が長くなってしまう…というのが実際「やれてはいるけど、やられている」理由です。
まぁ、今更どや顔で分析するまでもなくそんなことはノブリンだってわかっているわけですが、わかったからすぐに対策できるようなことならとっくにやってるでしょう。体力が簡単に回復できるアイテムとかあれば話は別ですけど、現実には仙豆もエリクサーも存在しませんし、かといって体力を温存する余裕があるわけでもない。「いくら走ってもバテない(気がする)薬」とかはあってもダメゼッタイですしね。なので結局のところ「とにかく頑張る」という、極めて旧日本軍的な対応をせざるを得ないのです。
札幌にとって幸いだったのが、セレッソがなんだかいまいちピリッとせず、これまでの試合に比べればあまり「走らされなかった」ことでしょうか。おかげで札幌はライン自体は下がり目でボールを持たれてはいたものの、ブロックを崩されるような攻撃が少なかったため、余裕を持って守れています。残り10分で近藤に代えて芳賀を投入、つづいて42分にはさらに高さ対策として純平に代えて奈良さんを投入。これはつまりな話「もう追加点は諦めて守り切れ」という明確なメッセージ。選手にも今までが今までだけに試合終盤で逆転される不安感もあったのではないかと思いますが、厚別魔空空間のおかげか割と選手もウヒャッホイ状態だったようで、果たしてその指示通り、さすがに尻に火が付いたセレッソのアディショナルタイムの猛攻を受けましたが、なんとか凌ぎきりました。
そんなわけでリーグ戦としては今季初勝利。一つ勝ったからと言って定位置(順位表の一番下)は変わらないのですが、まずはホッとしたというところでしょうか。