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2012年6月 アーカイブ

2012年6月 4日

芸のためならサポーターも泣かす

2012年Jリーグディビジョン1第12節
鹿島アントラーズ 7-0 コンサドーレ札幌
得点者:札幌/誰もいませんよ?
     鹿島/岩政、大迫、山村、興梠、本山、ジュニーニョ、遠藤

 はい。

 なにから書いたらいいですかね。

 何も書かなくていい気もしますけど。ダメですか。

 ともあれ、いつもみたいに試合の流れを最初から追っていくのは、哀しくてジェラシーと言いますか、あなたにもチェルシーといいますか、とにかく書いてる途中で精神に深いダメージを負ってしまい、バーストポイント全損の上強制デリートとなりかねないのでやめておきます。

 さて、鹿島アントラーズとは、これまで公式戦でたった1度しか勝ったことのないチームなんですが、特に鹿島のホームである鹿島サッカースタジアムとは極端に相性が悪くてですね。まぁ今まで「勝ったことがないスタジアム」ってのはいくつかあったりするんですけど(日本平とか磐田とか)、1997年のナビスコカップ以来過去5試合を行って、通算成績は0勝5敗、5得点19失点という見事な惨敗っぷりを見せていた鹿島サッカースタジアムでの戦績に、再び0-7というクラブ史上最多失点タイの記録が加わり、失点数は一気に26となりました。
 もちろん鹿島は強いチームではありますけど、正直ここまでこてんぱんにやられるほどの差もないはず。この間のナビスコカップでもJリーグ最多シュート記録を作られた挙げ句に逆転負け喰らいましたし…。蛇ににらまれた蛙のごとき苦手意識があるんでしょうかね。しかも、普通5点も6点とられる時は、2008年10月5日のジュビロ磐田戦での前田遼一とか、2006年5月14日のヴィッセル神戸戦での朴康造みたいに、誰かにハットトリック喰らうパターンが多いモンなんですけど、7点取られて得点者が全員違うってのもアレですよね。しかもそのうちセンターバック2人とか。相性がいいとか悪いとかそういう話じゃないですよ。これはもうアレですよ。まさしく「後ろから前からどうぞ」って感じですよ。畑中葉子なんて知ってる人が多そうなのがうちのサポーターの怖いところですよ。
 そんなわけで、ここまで完膚なきまで叩きつぶすのなら、せめてネタ作りのために大伍にゴール取らせてやれよこの鹿野郎! などと理不尽な逆ギレを見せたりする気持ちもないわけではないですが、そんなことよりもまたしても怪我人FCに新入団選手が加わってしまったのがどうにも困ったことです。怪我人FCは2得点をした選手を優先的に引き抜く傾向が強く、今回入団となった前田俊介選手は水曜日のナビスコカップ大宮戦で今季2得点目を挙げたばかり。しかもこれまた3ヶ月という長期契約を結びやがってくれました。ちょっとー、本当に困るんですけどー。

 結果論を言ってしまえば、鹿島相手に急造3バックは無謀だったってことになっちゃうわけですが、とはいえメンバー的にはこうするほかなかったのでしょうね。特にジェイドノースが厄日かってくらいにダメぽな感じで、ほとんどの失点に絡んじゃっていたのが気の毒でしたね。これまでのプレイを見てきた限りでは、対人プレイはあまり強いほうではないみたいですけど、それでもあそこまで簡単にやられる選手でもなかったはずですし、そんな程度の選手が仮にもワールドカップ出場国の代表選手として名を連ねられるはずもないですからね(ジェイド自身はワールドカップには出ていませんが)。まぁドラゴンクエストのゴーレムだって寝てしまったら無害なわけですから、「ようせいのふえ」でも吹かれてしまったのかも知れませんね。もっとも、強引に倒すこともできちゃうわけですけど。

 とはいえ、スコアほどの差があったかといえば、実際のところそうでもないとは思うんですよ。実際差があったのは、やっぱりメンタルの部分でしょうかねぇ。札幌が後半最初の失点で気持ちが切れちゃったみたいですけど、むしろ最後まで一切手を抜くことがなかった鹿島も大したものだと思います。相手の攻撃の要が既にいないという状況であれば、普通だったら4点目取ったあたりでよく言えば省エネモード、悪く言えばダレてしまうもんですけどね。そのあたりは調子が悪くてもさすがに王者というところでしょうか。最多シュート記録といい、ライオンはウサギを狩るにも全力を尽くすと言いますが、まさにそんな感じ。まぁライオンの雄は滅多に狩りをしませんけどね。そういえばその関連で思い出すのが「ライオンに襲われたうさぎが逃げ出すときに肉離れしますか? 準備が足りないのです」というイビチャ・オシム監督の言葉ですが、何人もの肉離れ者を出してしまっているチームを見てると、「ウサギが肉離れしたら喰われるだけ」というのが適切なんじゃないかというような気がしてきました。

 まぁそんなことはともかくとして、札幌が失点するたびに「よっしゃ、今日はこのくらいで勘弁してやるわ」なんて捨て台詞を吐いてはまたボコられる池乃めだか師匠の姿が脳裏をよぎりました。芸の道は険しいですよね。

2012年6月 8日

サンフレッチェに3点

2012年Jリーグディビジョン1第13節
コンサドーレ札幌 1-3 サンフレッチェ広島
得点者:札幌/内村圭宏
     広島/佐藤寿人、山岸智、森崎浩司

 世が世なら元号のひとつでも変えることを検討しないといけないくらいのチーム史上に残るボロ負けを喫した札幌は、今節はホーム厚別に戻り、現在リーグ2位、9得点でゴールランキングトップを突っ走る佐藤寿人を中心に、リーグ3位の23点という攻撃力を誇るサンフレッチェ広島を迎え討ちます。札幌にとってほとんどのJ1チームは2008年以来の対戦ですが、広島は2008年シーズンはJ2で戦っており、この1シーズンで札幌はJ2降格、逆に広島はJ1昇格しているために、広島と対戦するのは広島が最初にJ2に降格した2003年以来実に9シーズンぶりとなります。その前回の対戦は2003年10月4日の広島ビッグアーチでの試合。さすがに9年前ともなると両チームとも大幅にメンバーが異なっていて、その時の試合にも出ていたのは広島が森崎兄弟、札幌が砂川誠だけ。広島のスタメンに中山元気がいたり、ベンチに林卓人がいたり、札幌のメンバーの多くが既に現役を退いていて、時代の流れを感じさせますね。アニメだって9年前と今とじゃキャストの顔ぶれが全然違いますもんね。

 J1はこの試合を最後に、ワールドカップ最終予選のための2週間の中断期間に入ります。ナビスコカップがあるとはいえ、怪我人を多く抱える札幌にとっては貴重な中断期間。まぁたった2週間程度ではどうにもならないくらいの重傷者も多いのですけど、ここをなるべくすっきり迎えるためにも、是非とも勝って締めたいところです。
 とはいえ、勝ちたいと思って勝てるなら苦労はしないわけで、メンバー不足はいかんともしがたい状態。岩沼が離脱したままではあるものの、前節採用した3バックはどう見てもうまくいってなかったため、結局は(おそらくノブリンも使わずに済ませたかったであろう)高木純平を左サイドバックに持って来ました。右サイドは日高拓磨、ダブルボランチは河合竜二と前貴之。高柳、如来、宮澤とボランチのできる選手が軒並み故障中とはいえ、河合主将の下で研鑽を積む前くんを見てると、なんだかピッコロさんと悟飯くんを見ているみたいな感じですよね。サイドは古田寛幸と近藤祐介、そしてトップ下に内村圭宏、で、前節で負った怪我が予想以上の重傷だったマエシュンの代わりの1トップには大島秀夫という布陣…ですが、マエシュンの欠けたピースはどうやっても埋めようがなく、大島がどうこうではなくマエシュンの代わりなどいないというのが正直なところなんですよね。といっても少なくとも3ヶ月は彼はプレイできないので、いないのであればいないなりの攻撃を模索していかなければなりません。

 おし、試合の内容には触れずにずいぶん字数を稼いだ。

 だってね。特に触れることもないんだもんよ。いつも通り戦って、いつも通りにやられるいつもの試合。なんで勝てないかっていったらミスが多いことに尽きるわけですが、いつも書いているようにこればっかりは一朝一夕でなんとかなるものではないのですよね。選手たちだってミスするつもりでミスしているわけではないですから。
 それに、キックミスとかパスミスとかシュートミスとか明らかに目に見えてわかるミスだけでなく、たとえばワンタッチで繋げば通るところを2~3タッチしてしまったがためにスペースがなくなってしまったとか、スペースに出したパスが通ったんだけど、微妙にずれて受け手がトップスピードのまま受けられなかったために相手のディフェンスが間に合い止められてしまったりとか、そういう細かい部分のミスも地味に影響していたりします。逆にディフェンス面でも、最初のところの対応を間違ってしまったばかりにその後の対応が後手後手に回ってしまい、結局バタバタしたまま決められてしまうということもあります。例えるなら、ギャルゲーで最初の選択を間違ってしまったがために、連鎖的な反応が起こってしまって意中のヒロインを攻略するどころか「女々しい野郎どもの詩」を聴く羽目になる、といった感じでしょうか。
 実際1点目なんてそんな感じでしたよね。佐藤寿人はもちろんとても優秀なストライカーなんですけど、それでも彼のゴールに至るまでの過程は「ああ、そんなプレイを繰り返してりゃやられるよね」というものでしたし。逆に3点目は明らかなチョンボなんですけど。まぁ直接フリーキックの時の壁役なんて、はっきり言わなくても人間の盾ですし、しかもプロの選手が思い切り蹴ったボールが飛んでくるんですから、確かに怖いと思いますけどね。昔スーパーサッカーでやってましたけどプロ選手のシュートスピードはだいたい100km/h~120km/hくらい。もっとも、この数値はコースとか何も考えずにただ思い切り蹴り込んだ時のものですので、コースや曲がりを意識してコントロールしたキックはもう少し遅いとは思いますが、別に気休めにもならないでしょうね。とはいえ、避けた壁の間をボールが抜けてきたら、いくら何でもさすがにぎーさんがかわいそうです。「修羅の門」での海堂晃さんのボウガン修行じゃあるまいし。あれなら最初から壁がないほうがなんぼかマシです。せっかく内村の内村らしい内村シュートで内村ゴールが決まっていい内村ムードになってたんですけどね。「あと1点取れば攻めて負けないですむけど、時間的にもあと2点はちょっと無理」ってか感じになっちゃいましたよね。はっきり言って、あれで台無し。英語で言えばノースタンドです。

 よかった探しをするなら、内村にようやくらしさが戻ってきたことくらいでしょうか。去年も夏になってから調子を上げてきましたね。夏にならないと調子が上がらない「夏☆しちゃってるBOY」なのでしょうかね。もっとやれる選手だと思いますので、これからやっちまってほしいと思います。

2012年6月14日

さんぜんろっぴゃくにん

2012年ヤマザキナビスコカップ グループB第5節
コンサドーレ札幌 0-4 清水エスパルス
得点者:札幌/いない
     清水/河井、李、石毛、杉山

 かわい、い、いしげ、すぎやま…ああ、どこのチームかと思ったら巨人か。これ野球だったんですね。だったら0-4なんて普通のスコアですよね。なんだ。

 ンなわけあるか。

 いや、ひどい試合でしたね。今までは「しゃーなしだな」で済ませてきた自分も、この試合はさすがに擁護できないです。だって最初から腰が引けてるんですもん。勝てないのはしかたないんですよ。戦力差はいかんともしがたいのはわかってますから。もちろん「気合と工夫があれば戦力差などゼロに出来る!」なんておめでたいことを考えてたりもしません。はっきり言えば今のコンサドーレがやってることって、従業員数十人程度(うち新卒社員がそれなりの割合を占める)の零細企業が、エリートあつめた海千山千のライバル企業が多数ひしめく市場でシェア二桁取れ、なんてミッションを命じられたようなモンですよ。せめてしかも追加の人員も予算もなしで、とにかく頑張れときたもんだ。リソースもないのに頑張ってなんとかなるんであれば、日本は戦争に負けてませんって。
 なので別に勝てないことにとやかく言う気はないし、まぁ言ってしまえば別に1年で落ちたってかまわないのです。ただ、試合をやる以上はやっぱり勝つつもりでやって欲しいし、出来れば勝つところを見たいですから、やるだけやった上でそれでもダメならしゃーなしだなでいいですけど、なんとなしに試合やってなんか知らんが負けたってのは勘弁つかまつる。
 今の札幌が残留できたらマジで奇跡だと思いますし、奇跡は起きないから(ryですし、去年の12月3日の試合終了後から降格は覚悟してますんでね。カクガー(Kakugo + er = Kaguger)としては筋金入りなわけですよ。覚悟しすぎて、新潟とか大宮とか成績不振で監督解任してるのを見て「あ~降格しそうなチームは必死だねー」なんて、候補筆頭でありながら極めて他人事の境地にまで達しているくらいですからね。そんなわけで、八木重吉先生の「こころよ」よろしく、来年の開幕戦で「やっぱりここ(J2)がいいのだに」っていう心づもりも万端なわけです。まぁ、仮に今年奇跡が起こったとしても、今の財政力じゃいつまで経っても奇跡を続けなければいけないわけで、現実的に考えてそんなの無理なんですから、「J1定着」とか本気で言うなら油田掘り当てたり、油田持ってる友達でも連れてこいよと半ばキレ気味に思ったりもするわけです。この辺の話は長くなるのでまた改めて書こうという気がないわけでもないですが、とりあえずそんな感じで別に降格なんて怖くも何ともない。ただ、せっかくがんばって勝ち取ったトップカテゴリなんですから、いずれJ2に帰るにしたって、J1でなるべく多くのものを吸収して帰って欲しいじゃないですか。その経験はきっと役に立つはずですから。

 なのに、この試合はホント戦う前から腰が引けちゃってたわけですからね。集中力もなかったですし。1失点目なんてあれだけペナルティエリアの中に人数がいながらあっさりとボールを落とされて、ペナルティエリアの中でシュートを許して、はじいたボールをクリアできずに押し込まれちゃうんですから、ひどいモンです。で、これでもうチーム全体に「今日もダメか」ムードが蔓延。技術で劣るならせめて気持ちは負けてたら、勝てるわけないじゃないですか。精神論だけで試合には勝てないってだけで、それがまったく必要ないというわけではないのですよ。あとはもう、特筆すべきこともない、ただ負けただけの試合。こんなのを、たった3,687人しか入らなかったとはいえ、ホームでやっちゃいけませんよね。そりゃたった3,600人のサポーターだって怒りますよ。そのたった3,600人の中に、「こんなの二度と見に来るか」なんて思った人がいても、オレはその人のことを責められません。それくらいの試合だと思います。
 ちなみに「3,687人」でググったら、「全国に善治さんは3,687人」という結果が出てきました。つまり厚別に集まったサポーターは善治さんということができると思います(できません)。

 まぁ怪我人続出の今の札幌において、怪我を怖れて思い切りいけなかったというのもあるかも知れませんけどね。雨で足もとも滑りやすかったですし。ただ何人かの選手はミスを怖れてだと思いますけど明らかに「自分のところにボール来るな」という感じでプレイしてたのはいただけません。ミスしたくないという心理はわからないでもないですけど、ミスを怖がってたらいつまで経ってもミスはなくならないです。メンタルというのは勝手に鍛わさるものではなくて、自分の考え方次第でどうとでもなるもんなんですからね。もちろんだからといって急に変えられるものではないのですけど、変えようと思わなければ変わらないのも確かなので、ここがぐっと踏ん張りどころだと思います。

2012年6月25日

消化試合であっても

2012年ヤマザキナビスコカップ グループB第6節
ヴィッセル神戸 2-2 コンサドーレ札幌
得点者:札幌/榊、岡本
     神戸/大久保 x 2

  前節清水エスパルスに負けたことでグループ2位に入る可能性が数字上も消滅した札幌は、ヴィッセル神戸とホームズスタジアム神戸での対戦に臨みます。第7節で試合のない札幌に とっては、これがナビスコカップ最終戦。せめて最後くらいは勝って終わりた いところ。
 一方、ホームの神戸 もここまで全敗。札幌よりも1試合消化が少ないながらも、こちらも既に数字上でもグループリーグ敗退が決定しております。つまりどこに出してもはずかしくない単なる消化試合であり、リーグ戦でも残留ラインをうろついている神戸にとってはナビスコカップは決して重要な大会ではないとは言え、他チームにつけいるチャンスすら与えずリーグ最下位を驀進しているコンサドーレ札幌相手にホームで負けるのはたぶん屈辱以外の何物でもないでしょうから、神戸にしても負けられないところでしょう。ワールドカップ最終予選によりリーグ戦が中断されているということもあり、野沢や大久保ら主力選手を揃えてきました。
 もっとも、札幌はご存じの通り怪我人続出で、主力とか控えとか関係なしに「出せる機体は全て出せ」という、さながら一年戦争末期のジオン軍のような有様になってきています。長らく戦列を離れていた山本・如来・真希がスタメンに復帰、同じく肉離れで戦列を離れていた小山内貴哉もようやく合流でき、遅ればせながらのプロ初スタメン、「豆柴」こと榊翔太と荒野拓馬がU-19日本代表の遠征から帰ってきたのは好材料(荒野は前の試合も出ていましたが)で、ようやく少しずつ頭数が戻ってきたと思ったのも束の間、スタメン入りが予定されていたDF奈良竜樹が試合前のウォーミングアップ中に怪我をし、急遽櫛引一紀がスタメン入り。ちなみに奈良さんはのちに肉離れと判明。また肉離れですか。なんなんですかこの肉離れのオンパレードは。これがいわゆる「若者の肉離れ」ってやつですか。草食系は大変ですよね。

 そんなわけでキックオフ。前の試合こそガッカリで残念なしょぼ試合でしたが、さすがに反省したのかこの試合はまずまずの試合内容。とはいえ気持ちだけではボールを繋げるようになるわけではないのもまた厳然たる真実であり、そういう意識が余計に余裕を奪っているのでしょうかね。余裕のないボール回しは相手につけ込まれるスキにもなるわけで、前半10分過ぎ、敵陣内で不用意に戻したパスを相手に奪われ、野沢が大久保にパスを送ります。ボールはラインの外に出そうだったんですが、これをコントロールした大久保がライン際を一気にドリブルで攻め入り…ちょっと待って、いま明らかにボールがとっても変な弾みかたしましたよね? そう、まるで手に当たったかのような。
 ところが松村和彦主審はなぜかこれをスルー。オノレの手に当たったことは大久保本人にはわかっていたでしょうが、主審が笛を吹かないのなら当然わざわざプレイを止めるはずもなく、大久保はそのままペナルティエリアまで独走。札幌選手も慌てて戻りましたが、後手に回って対応が遅れ、大久保にシュートを許してしまいます。これはいったんは杉山がはじきますが、こぼれ球が神戸MF田中に渡ったところで榊のスライディングが脚を刈ってしまいPK。これを大久保に決められてしまいました。
 榊のプレイはまぁ、PKを取られてもしょうがないプレイなんですが、そもそもその前のハンドはどうなったんでしょうかね。ところでハンドと言えば、ジェフユナイテッド市原(当時)にも所属していたことのある元西ドイツ代表のストライカー、フランク・オルデネビッツ選手は、ヴェルダー・ブレーメン時代に優勝のかかった試合でペナルティエリア内でのハンドを認めたことでFIFAのフェアプレー賞をもらったというエピソードがありますが、あれは実際オルデネビッツ自身が「ハンドをしました」と自己申告したのではなく、「相手チームの抗議で主審が確認したら、ハンドを認めた」というものです。ならば相手チームが抗議をしなければそのまま終わってたかもしれないと思うと、それがフェアなのかどうかは微妙なところ。それなら主審に向かって「はい!僕がアンポンタンです!!」と自己申告したゴン中山さんのほうがすごいですよね。
 とにもかくにも、今日も早い時間に先制を許した札幌は、やはりというかなんというかがっくりしまくりの雰囲気。なもんだから、そのわずか8分後の20分には野沢からのパスを都倉が頭で落としたボールを大久保が決め、今度は文句のつけようのないゴールで追加点を許してしまいました。まいったね、こりゃ。
 そんなわけであっという間に2点のビハインドとなった札幌ですが、しかしここでチームを救ったのが、ここまでナビスコカップで2得点を挙げているルーキー豆柴・榊翔太でした。前半35分、中盤でボールを持った岡本ヤスが、神戸DFラインの裏を取った榊にドンピシャのパス。このボールをコントロールした榊が放ったシュートはいったんは神戸GK徳重にセーブされますが、跳ね返ってきたボールを再び、右足でGKの頭上を抜くループシュートでゴール。ヤスのパスへのいち早い反応(丸いものが好き)、ゴールへの嗅覚(人間の数万倍)、思い切りシュートを放った直後でもあの動きが可能なしなやかな筋肉(野性的)、どこをとってもワンコです。
 1点を返した札幌は息を吹き返し、そのわずか2分後、GK杉山からのスローを自陣で受けた岡本ヤス(新婚)が、相手の戻りが遅いと見るやすかさず新婚ドリブルを開始。神戸DFは先ほどのプレイが頭に残っているのか、榊へのパスを警戒してヤスにプレスに行けません。そのまま相手ペナルティエリア手前まで独走したヤスは、意表を突いてミドルシュートを放ちます。狙い澄まされた新婚シュートは新婚らしい美しい軌道でゴール隅に決まりました。同点です。

 8分で取られた2点を2分で取り返した札幌は、前半を同点で折り返すことが出来ました。やれば出来るじゃん! と思ったのも束の間、神戸にしても札幌にしても後半はどちらもいまいちパッとせず。細かい見所がなかったわけでもないのですが、サッカーとしての内容は尻すぼみ。あとはこの日30歳(!)の誕生日を迎えたFW大久保嘉人のバースデーハットトリックとなるか、もしくはバースデー退場となるかくらいなもの。神戸サポーターはもちろん前者、札幌サポーターは当然後者の展開を期待してたでしょうが、どっちもなくてどっちつかずのどっちらけ。消化試合なんですからそれくらいのエンターテイメントを期待してもいいとは思うんですけど、まぁ退場はリーグ戦にも関わっちゃいますしね。
 結局試合はそのまま動かず2-2の引き分け。二戦連続でビハインドを追いついたのは悪くはないと思いますし、メンバーを考えればよくやったとは思います。まぁ失点したことについてはアレなんですけどね。とはいえ頑張って、頑張って、それでも結果がついてくるとは限らないのが現実なわけで、ここはやっぱり追いついたことを評価するべきかと思います。ひとまず、翔太はほねっこ追加で。

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