2012年ヤマザキナビスコカップ グループB第6節
ヴィッセル神戸 2-2 コンサドーレ札幌
得点者:札幌/榊、岡本
神戸/大久保 x 2
前節清水エスパルスに負けたことでグループ2位に入る可能性が数字上も消滅した札幌は、ヴィッセル神戸とホームズスタジアム神戸での対戦に臨みます。第7節で試合のない札幌に とっては、これがナビスコカップ最終戦。せめて最後くらいは勝って終わりた いところ。
一方、ホームの神戸 もここまで全敗。札幌よりも1試合消化が少ないながらも、こちらも既に数字上でもグループリーグ敗退が決定しております。つまりどこに出してもはずかしくない単なる消化試合であり、リーグ戦でも残留ラインをうろついている神戸にとってはナビスコカップは決して重要な大会ではないとは言え、他チームにつけいるチャンスすら与えずリーグ最下位を驀進しているコンサドーレ札幌相手にホームで負けるのはたぶん屈辱以外の何物でもないでしょうから、神戸にしても負けられないところでしょう。ワールドカップ最終予選によりリーグ戦が中断されているということもあり、野沢や大久保ら主力選手を揃えてきました。
もっとも、札幌はご存じの通り怪我人続出で、主力とか控えとか関係なしに「出せる機体は全て出せ」という、さながら一年戦争末期のジオン軍のような有様になってきています。長らく戦列を離れていた山本・如来・真希がスタメンに復帰、同じく肉離れで戦列を離れていた小山内貴哉もようやく合流でき、遅ればせながらのプロ初スタメン、「豆柴」こと榊翔太と荒野拓馬がU-19日本代表の遠征から帰ってきたのは好材料(荒野は前の試合も出ていましたが)で、ようやく少しずつ頭数が戻ってきたと思ったのも束の間、スタメン入りが予定されていたDF奈良竜樹が試合前のウォーミングアップ中に怪我をし、急遽櫛引一紀がスタメン入り。ちなみに奈良さんはのちに肉離れと判明。また肉離れですか。なんなんですかこの肉離れのオンパレードは。これがいわゆる「若者の肉離れ」ってやつですか。草食系は大変ですよね。
そんなわけでキックオフ。前の試合こそガッカリで残念なしょぼ試合でしたが、さすがに反省したのかこの試合はまずまずの試合内容。とはいえ気持ちだけではボールを繋げるようになるわけではないのもまた厳然たる真実であり、そういう意識が余計に余裕を奪っているのでしょうかね。余裕のないボール回しは相手につけ込まれるスキにもなるわけで、前半10分過ぎ、敵陣内で不用意に戻したパスを相手に奪われ、野沢が大久保にパスを送ります。ボールはラインの外に出そうだったんですが、これをコントロールした大久保がライン際を一気にドリブルで攻め入り…ちょっと待って、いま明らかにボールがとっても変な弾みかたしましたよね? そう、まるで手に当たったかのような。
ところが松村和彦主審はなぜかこれをスルー。オノレの手に当たったことは大久保本人にはわかっていたでしょうが、主審が笛を吹かないのなら当然わざわざプレイを止めるはずもなく、大久保はそのままペナルティエリアまで独走。札幌選手も慌てて戻りましたが、後手に回って対応が遅れ、大久保にシュートを許してしまいます。これはいったんは杉山がはじきますが、こぼれ球が神戸MF田中に渡ったところで榊のスライディングが脚を刈ってしまいPK。これを大久保に決められてしまいました。
榊のプレイはまぁ、PKを取られてもしょうがないプレイなんですが、そもそもその前のハンドはどうなったんでしょうかね。ところでハンドと言えば、ジェフユナイテッド市原(当時)にも所属していたことのある元西ドイツ代表のストライカー、フランク・オルデネビッツ選手は、ヴェルダー・ブレーメン時代に優勝のかかった試合でペナルティエリア内でのハンドを認めたことでFIFAのフェアプレー賞をもらったというエピソードがありますが、あれは実際オルデネビッツ自身が「ハンドをしました」と自己申告したのではなく、「相手チームの抗議で主審が確認したら、ハンドを認めた」というものです。ならば相手チームが抗議をしなければそのまま終わってたかもしれないと思うと、それがフェアなのかどうかは微妙なところ。それなら主審に向かって「はい!僕がアンポンタンです!!」と自己申告したゴン中山さんのほうがすごいですよね。
とにもかくにも、今日も早い時間に先制を許した札幌は、やはりというかなんというかがっくりしまくりの雰囲気。なもんだから、そのわずか8分後の20分には野沢からのパスを都倉が頭で落としたボールを大久保が決め、今度は文句のつけようのないゴールで追加点を許してしまいました。まいったね、こりゃ。
そんなわけであっという間に2点のビハインドとなった札幌ですが、しかしここでチームを救ったのが、ここまでナビスコカップで2得点を挙げているルーキー豆柴・榊翔太でした。前半35分、中盤でボールを持った岡本ヤスが、神戸DFラインの裏を取った榊にドンピシャのパス。このボールをコントロールした榊が放ったシュートはいったんは神戸GK徳重にセーブされますが、跳ね返ってきたボールを再び、右足でGKの頭上を抜くループシュートでゴール。ヤスのパスへのいち早い反応(丸いものが好き)、ゴールへの嗅覚(人間の数万倍)、思い切りシュートを放った直後でもあの動きが可能なしなやかな筋肉(野性的)、どこをとってもワンコです。
1点を返した札幌は息を吹き返し、そのわずか2分後、GK杉山からのスローを自陣で受けた岡本ヤス(新婚)が、相手の戻りが遅いと見るやすかさず新婚ドリブルを開始。神戸DFは先ほどのプレイが頭に残っているのか、榊へのパスを警戒してヤスにプレスに行けません。そのまま相手ペナルティエリア手前まで独走したヤスは、意表を突いてミドルシュートを放ちます。狙い澄まされた新婚シュートは新婚らしい美しい軌道でゴール隅に決まりました。同点です。
8分で取られた2点を2分で取り返した札幌は、前半を同点で折り返すことが出来ました。やれば出来るじゃん! と思ったのも束の間、神戸にしても札幌にしても後半はどちらもいまいちパッとせず。細かい見所がなかったわけでもないのですが、サッカーとしての内容は尻すぼみ。あとはこの日30歳(!)の誕生日を迎えたFW大久保嘉人のバースデーハットトリックとなるか、もしくはバースデー退場となるかくらいなもの。神戸サポーターはもちろん前者、札幌サポーターは当然後者の展開を期待してたでしょうが、どっちもなくてどっちつかずのどっちらけ。消化試合なんですからそれくらいのエンターテイメントを期待してもいいとは思うんですけど、まぁ退場はリーグ戦にも関わっちゃいますしね。
結局試合はそのまま動かず2-2の引き分け。二戦連続でビハインドを追いついたのは悪くはないと思いますし、メンバーを考えればよくやったとは思います。まぁ失点したことについてはアレなんですけどね。とはいえ頑張って、頑張って、それでも結果がついてくるとは限らないのが現実なわけで、ここはやっぱり追いついたことを評価するべきかと思います。ひとまず、翔太はほねっこ追加で。