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2012年9月28日

金の話をしよう

2012年Jリーグディビジョン1第26節
コンサドーレ札幌 0-5 大宮アルディージャ
得点者:札幌/いません
     大宮/ノヴァコヴィッチ x 3、カルリーニョス、長谷川

 前半はまさしく下位同士の対戦といった感じで、ハモンとカルリーニョスのボール扱いのうまさくらいしか見所がなかったんですが、後半5分に交代出場のズラタンにディフェンスラインの裏をとられ、ペナルティエリア内で高木純平が後ろから引っかけてしまいPKを献上してしまいます。実際立派なファウルだったのでPK自体はまぁしょうがないと思うのですが、痛かったのはこのプレイで純平が一発退場になってしまったこと。公式記録を確認すると、純平のカード理由はS5、つまり得点機会阻止となっています。彼がズラタンを倒した時点ではまだGKの高原がいましたから、赤はちょっと厳しい気もしますが、とにかくこれでただでさえチーム力が劣る札幌が数的不利になっては、元ブンデスリーガ得点王を押さえきれるはずもなく、立て続けに失点を繰り返してノヴァコヴィッチにハットトリックを許すという、結局終わってみればいつも通りの大量失点、という試合でした。

 そんなわけで、いよいよもって「降格」の足音がひたひたとすぐ真後ろまで聞こえてきているわけですが、それ自体はまぁシーズン始まる前から覚悟はしていたので別に今更どうでもいいです。しかし、この先を考えると憂鬱にはなりますよね。だってねぇ。スロベニア代表ストライカー2人に、サンパウロのレギュラーだったボランチ、韓国代表MFや日本五輪代表のレギュラーを抱えるチームが15位なわけですよ。
 ちなみに、大宮アルディージャの昨年度のチーム人件費は約13億円。この額自体はJ1でも少ないほうではなく、ほぼ同程度のサンフレッチェ広島や、10億そこそこのベガルタ仙台が優勝争いをしていたり、逆に過去には「まさかこのチームが」というお金持ちチームが降格したりもしてますから、チームの強さはかけたお金の額と必ずしも一致するものではありません。特に大宮の場合は借りにJ1トップの人件費をかけたとしても、やはりギリギリで残留を果たす様式美を見せてくれるんじゃないかという気もしますが、昨年降格したアビスパ福岡、ヴァンフォーレ甲府、モンテディオ山形が人件費の少ないほうから数えた3チームだったことからも、「J1でやってくには最低でも10億円くらいの人件費をかける必要がある」ってことだと思います。
 確かになんとなくざっくりと計算しても、優秀な監督を呼べば1億くらいかかるでしょうし、コーチ・スタッフ陣で2億くらいとすると、この時点で3億円。そしてチームにはC契約含めて32人ほど保有するとして、助っ人枠をフルに使って実績のある外国籍選手を獲るのに少なくとも3億円。そして日本人選手もスタメンクラスを10人程度としてその平均年俸を2,500万程度とし、残りの控え選手の平均を1,000万程度とするならば、そこで4億円ちょいとなります。これでだいたい10億円くらいですね。これくらいでようやく、他チームと勝負になるレベルです。昨年のJ1に残留した15チームの平均は、約15億円です。

 つまりですね、何が言いたいのかと言いますと、クラブとしてやらんといかんのは、「人件費に最低でも10億円使えるチームにする」ってことであって、決して「少ない予算でがんばるチームを作ること」じゃないんです。もちろん育成主体というのは大事です。でも、本来育成というのは「お金をかけずに強いチームにする」手段ではありません。だって、ユース出身の選手が期待通りに大きく育って日本代表レベルの選手になったとしても、それに見合う給料をコンサドーレが払えなければチームに置いておくことはできなくなりますよね。ちなみに、代表レギュラークラスの前田遼一選手や駒野友一選手の年俸は5,000万円以上だそうです。それくらい払えるチームじゃなければ、「現役の札幌所属選手が青き衣を纏いて国際Aマッチのピッチに立つ」なんて夢のまた夢ですよ。それこそ99年のコパアメリカみたいなイレギュラーでもない限り。

 ですから、前にも書きましたけどクラブが本気で「J1定着」できるチームを作ろうと思ってるなら、それを選手のがんばりに求めるんじゃなくて、J1で戦えるくらいのお金を引っ張ってこないといけないんですよ。今年で言えばプラス4~5億円ぶんくらいですかね。札幌だけ別の経済で動いているわけじゃないんですから、J1の控え選手くらいの給料しか出せないのなら、そりゃJ1の控えクラスの選手にしか来てもらえませんよ。当たり前の話です。まずそれができて、J1で戦えるくらいのチームにして、それでダメだったら選手や監督に責任を求めるべきなんでしょうけど。
 だってねぇ。お金けちって数世代前のPCを買って、それで最新の3Dゲームインストールして全然まともに動かないじゃないか! なんて言われても困るってもんですよ。ぬるぬる動かしたきゃハイスペックPC買ってけさいって話じゃないですか。無駄金は使う必要ないですけど、最低限のお金はかけないといけないと思いますよ。
 ただ、スポンサーを見つけるのは当然クラブの仕事ではありますが、だからといって簡単に引っ張ってこれるなら苦労はしません。できてればとっくに見つけてるでしょうしね。ですから、企業にそれだけのお金を出してもらえるよう、チームの価値を高めないといけないと思います。そのためにはどうすればいいか、クラブはもちろん、(自分の給料を上げてもらうために)選手も、そしてサポーターも考えていかなければいけないと思います。

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