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2007年3月20日

鬼門で勝った

2007年Jリーグディビジョン2第3節
徳島ヴォルティス0-3コンサドーレ札幌
得点者:札幌/ダヴィ、征也、正也
     徳島/ない

 週中の降雪により札幌市内で練習が出来ず、練習会場を求めて苫小牧まで出張を余儀なくされた上、初日には交通渋滞で選手たちの到着が大幅に遅れ、ただでさえ貴重な練習時間がさらに減ってしまったり、膝の痛みで戦線離脱中のカウエと風邪で休養中のスナマコに引き続き、守備の要であるブルーノ・クアドロスがインフルエンザでダウンと、そうでなくてもピンチな状況でやってきた鬼門の四国。何しろ四国でのプロチーム相手の成績は、10試合で1勝5分4敗。そのたった1度の勝利も2001年の柏レイソル戦(春野・高知県)ですから、実に6年も勝っていないことになります。6年ってあんた、ピッカピカの1年生が(略)。
 その相手となる徳島ヴォルティスとの、J2参入後の対戦成績は3勝5分0敗。まだ1度も負けたことがないですし、ホームでの試合では4-2とか6-0で勝ったりしてますから決して相性が悪いわけではないんですけど、こと鳴門での試合に限れば4戦して全部引き分け、初対戦時は相川のゴールで先制しながらもロスタイムで追いつかれたとか、まったくもって目も当てられない試合でスコアレスドローという試合ばかりで全然「お得意様」という気がしません。そもそも「四国」というだけで、我々にとっては変身後ザーボンくらいの力はあるのですからね。

 というわけで風邪の砂川はベンチ入りこそしたもののスタメン復帰とまでは行かず、カウエもブルーノも遠征不帯同と逆境のデパートみたいな状況で迎えたアウェイ徳島戦、さらに悪いことは重なるもので、大塚まで徳島入り後に体調を崩してリタイアとなってしまいました。以前はこういう時のためにベンチ入りメンバーにリザーブ要員を加えた計17人の選手で遠征していたのですが、財政上の問題から今は行われていません。ということで、急遽札幌から吉瀬をスクランブル発進させることになりました。と、言葉で書けばたったそれだけですが、おそらくは夕ご飯もお風呂も終わり、あとは家でX-BOX360を心ゆくまでプレイしようとしていたに違いないところにいきなり「今から徳島まで来い」などと、ある意味体育会系サークルの先輩命令より理不尽な連絡を受けて最終の羽田便で東京に向かい、翌朝の始発便で徳島入りした吉瀬には同情を禁じ得ません。サテライトでは日帰りが普通とはいえ、そんなサポーターみたいな強行軍でやってきて身体が疲れないはずもなく、正直試合に出るにはかなりしんどい状態だったと思います。もっとも、そこまでして来たのに試合に出れなかったというのもそれはそれで哀しいでしょうけどね(出られて、しかも得点にも絡めて良かったね)。
 というわけでスタメンはブルーノの替わりに前節右サイドバックを務めた西澤画伯が入り、空いた右サイドバックには池内が今季初出場。大塚の替わりには前節左サイドバックに入っていた西嶋がスライド、その左サイドバックは前節はベンチ外だった和波が入りました。その他は前節と同じメンバー。

 まぁそんな状況で始まった試合は、風下だったためかそれほど積極的には行かず、まずはリズムを作ることを優先したようで、序盤は比較的静かな立ち上がり。これまでの試合に比べればだいぶトップから最終ラインの距離も良くなっており、プレスもよくかかりだいぶ安定してきた印象です。しかし開幕戦でもパッとしなかった和波がこの日もやはり、クリアボールをそのまま相手に渡してシュートを打たれたり、危険な位置で無用なファウルをしてフリーキックを与えたりとぴりっとしません。幸いにして失点こそ免れたものの、相当な危うさを秘めております。たとえるならば固まりかけのカサブタくらい。超危険。
 で、攻撃面ではいつもとやり方自体は変わらないのですが、元気のポストプレイが見違えるほど安定してきたのと、コンディションも上がってきたのかダヴィもこれまでよりは動きが良くなり、GKと2度ほど1対1となるなどまずまずの動きを見せていました。京都戦のエントリで「馬は馬でもダート馬」という表現をしましたが、どうやらダート馬かつ叩き良化型なのかも知れません。まぁ欲を言えばどっちかは決めてほしかったですけど、あまり余裕のある状況じゃなかったですし、相手のGK島津を褒めるべきでしょうかね。
 その他にもセットプレイから池内の欽ちゃんソバットシュートなど惜しいシーンもありましたが、これもGK島津のファインセーブに遭いゴールならず。結局前半は0-0で終了します。

 後半、徳島は新助っ人のクレベルソンを投入、相手の左サイドバック金尚佑が高い位置に張り出して勝負をかけてきます。しかしそのおかげで札幌はその金の裏のスペースが使えるようになり、前半はあまり出てこれなかった征也が生きるようになってきます。先制点はその征也から。後半17分、ダヴィからのボールを受けた征也が縦に突破してゴールラインギリギリで上げたクロスボールに、ゴール前に詰めていたダヴィが頭で合わせ来日初ゴールを決めます。周囲の選手の喜びようから見る限り、ダヴィは随分チームメイトからも愛されているみたいですね。っつーかなぜか恩氏副審まで妙にうれしそうだったのもダヴィの不思議な魅力なのでしょうか。
 さて体よく先制点を奪ったはいいのですが、これまでの試合でも「札幌が先制して追いつかれる」という展開だったため、札幌としては早めに追加点を奪って突き放したいところ…と思っていたその4分後、カウンターから西谷が突破しグラウンダーのクロスを入れると、ファーに走り込んでいた征也が右足ダイレクトで蹴り込み2点目をゲット。決して簡単なボールではないと思いますが、うまく合わせて2試合連続ゴールを決めました。
 こうなると札幌にとっては理想的な展開。あとは守備を固めてカウンターを狙えばいいわけです。このあたりの柔軟性はだいぶできてきたようで、徳島の攻め手があまりなかったこともありますけど、余裕を持って試合を進めることができているようです。そして狙い通りトドメの一発が生まれたのが33分。相手のセットプレイからのカウンターで元気のパスに抜け出した地元徳島出身の西谷が約40メートルを独走し、ファーサイドに走り込んでいた2人は目もくれずそのまま右足でゴール隅に決めダメ押し点を奪いました。関係ないですけど、ダヴィが決めた時も征也が決めた時もバシバシ叩いて祝福していたキャプテン芳賀が、西谷に対してはおとなしめのハイタッチだけで終わったのも、微妙な力関係が垣間見えて微笑ましたかったです。
 ここまで来ればあとは無失点に抑えることが重要ですが、残りの時間もボランチの2人の運動量が最後まで落ちなかったこともあり、さしたるピンチもなく注文通り無失点勝利。画伯とソダンのセンターバックもほとんど破綻しなかったですし、GK高木も決して派手さはないもののハイボール処理、反応、キャッチングなど全てにおいてミスの少ないキーパーで、なんだか安定しすぎてて物足りないというむちゃくちゃなことを思ってしまったりもします。彼が期限付き移籍じゃなければ手放しで喜んでいるんですけどね。

 それにしても気になるのは和波。後半に入ってからも危険な位置で簡単に入れ替わられてファウルで止めたりを繰り返してピンチを招く散々な出来だった上に、吉瀬と交代で引っ込んでからチームは怒濤の3得点。まったく褒められた出来ではなかったとはいえ、あまりにもはっきりしすぎでちょっと同情してしまうほどですが、逆に考えるんだ。「和波が四国の呪いなどあらゆる厄災を道連れにピッチを退いた」と考えるんだ(AA略)。

 ともあれ、これで通算成績を2勝1敗とした札幌は3位に浮上。まぁこの時期の順位なんてアテになるものでもありませんが、勝点は少しでも多いほうがいいに決まってますし、この大変な時期に勝点を積み重ねられるのはあとあと重要な意味を持ってくると思いますので、このまま上向きで行ってもらいたいものですね。

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コメント (1)

じゃがバター塩辛:

>吉瀬をスクランブル発進
何だこの緊急事態は…たまげたなあ。
…昨年このネタ使ったし、コピペ流用も読めそうなので略

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