2007年Jリーグディビジョン2第6節
コンサドーレ札幌1-0セレッソ大阪
得点者:札幌/インテリビジュ
セレッソ/いやしない
前節難敵モンテディオ山形を西谷のPKで下した札幌は、今節は室蘭入江競技場で降格組のひとつセレッソ大阪との対戦です。昨季17位でJ2降格となったセレッソは、西澤明訓、大久保嘉人、下村東美、ブルーノ・クアドロス、徳重隆明といった主力陣を含めた多くの選手を放出。2005年にJ2降格した時の柏レイソルは、明神智和や玉田圭司ら多くの主力を放出し、逆にそれがチームの一体感を生み見事1年での昇格を果たしましたので、必ずしも京都サンガや東京ヴェルディのようになりふり構わず選手をかき集めるパターンを取る必要はないわけですが、何となく「沈む船から逃げるネズミ」のような印象を受けなくもない…というのはとっくに沈みきった船に取り残されている人間だから言えるわけですが、まぁフロントがどう言おうと、考えているのは1年での再昇格じゃなくてリスタートでしょうね。誰を出してもモリシだけは出さなかったことからも、ウルトラマンタロウみたいに「心臓さえ無事なら再生できる」ってことなんだと思います。
で、そのJ2での再出発の舵取り役として白羽の矢が立ったのが元ベガルタ仙台監督の都並敏志氏を新監督に迎えましたが、選手を放出しすぎて激やせしすぎたからなのか、チームは第5節終了時点で1勝3敗(4試合)。都並監督が仙台を4位に導いた時も開幕5試合で1勝1分3敗でしたから、もともとスロースターターなのかも知れませんけど、いずれにせよ12位と苦戦中。しかし前節は京都に逆転勝ちを収め初勝利を挙げ、気分よく室蘭に乗り込んできました。
そのセレッソは前節京都に勝ったメンバーから森島が外れ、昨季までサガン鳥栖に在籍し札幌も手を焼いた濱田をスタメン起用。「デカモリシ」こと森島康仁のワントップで臨みます。ちなみにこのデカモリシが滝川二高の3年生だった時に高円宮杯U-18準決勝で当時コンサドーレ札幌ユースU-18と対戦し、1-2で札幌ユースに敗れていますが、その試合で札幌の全得点を叩きだしたのが当時ユースのキャプテンだった藤田征也でした(いずれもPK)。そして札幌の守備の要であるブルーノと、攻撃の要である西谷は古巣がセレッソ大阪。チーム同士の対戦は実は2001年以来6年ぶりだったりするのですが、細かいところで因縁があったりします。
そして札幌はダヴィが負傷で戦線を離脱し、元気の相方にはアイカーが入りましたがそれ以外は前節と同じメンバーで臨みました。
さて試合はいつもの通り前線から鋭いプレスをかける札幌がペースを掴みます。試合開始早々には征也の突破からCKをゲット。征也は一時期テクニックで相手を交わそうとしすぎて自爆することが多かったですが、もともと彼の最大の長所はトップスピードのまま質の高いクロスを入れられること。それが生きたプレイだったと思いますが、それにしてもそのコーナーキックで画伯、ブルーノ、ソダン、元気と並んでいるのを見るとなぜだか笑いがこみ上げてくるのはなんでなんでしょうね。なんかもう、ユニフォームじゃなくてどうしてもバンカラ学生服を着てもらいたい気持ちを抑えることが出来ません。まぁそのガクラン八年組でもこのコーナーキックで点を奪うことは出来なかったのですが、その後も札幌は高い位置でボールを奪い、シンプルに攻めるやり方でチャンスを掴みます。しかし元気のシュートがポストが惜しくもポストを叩いたり、セットプレイでフリーとなったソダンが右足で合わせたり惜しいシーンはあったものの得点を奪うことが出来ず。
守備面でも、前半終了間際にブルーノがインターセプトを狙いに行ってさっくりと交わされ、苔口にシュートを打たれ、高木のファインセーブで事なきを得た以外は特に危ないシーンもなく、割と余裕を持って対応していたように見えます。結局0-0で前半終了。
後半、勝負をかけてきた都並監督が投入してきたのが、新助っ人のゼ・カルロス。京都戦でも同点ゴールを決めた助っ人を満を持して投入…って、これはジオンの水陸両用モビルスーツですか? と思うほどの俺王様体型。まぁそれゆえにスタメンでは使われてないのでしょうけど、能力自体は高いようで随所にいいプレイを見せ、後半は一進一退の攻防が続きます。
試合が動き始めたのは札幌がスナマコを投入し、セレッソが元祖モリシを投入したあたりから。お互いスペースの空き始める時間帯でリズムを作ることの出来る選手が入ったことにより、さらにバイタルエリアでの攻防が激しさを増してきます。ここでじわじわと存在感を見せてきたのがカウエでした。
だいぶ日本のサッカーにも慣れてきたのか前半からいいプレイを見せることもありましたが、スペースが空いたことで余裕が出来てボールに絡むシーンも増えてきたカウエは、よりアクセントの効いたパスなども見せるようになります。そしてソダンの怒濤のオーバーラップなどビックリプレイも飛び出したあとの後半30分、左サイドからの西谷のクロスを競った元気が倒れながらも繋いだボールを、ついさっきまで自陣にいたはずのカウエが拾い2人に囲まれながらも右足アウトで浮かせる技ありのゴールで先制点をゲット。来日初ゴールを決めたカウエは、徳島戦で初ゴールを決めたダヴィ同様、当然のようにキャプテン芳賀の百烈拳で祝福されていました。
その後は注文通り守備を固めつつカウンター狙いで試合を進める札幌。スナマコのミドルがバーを叩くなど追加点は奪えなかったものの、その後のセレッソの猛攻を凌ぎきり5試合連続無失点のおまけ付きで今季4勝目をゲット。
全体的にはお互いの距離感やタイミングなどはだいぶこなれてきた感じで、攻撃面ではボールを奪ってから味方を探したり、味方がボールを持ってから動き出したりというのが減って、そのためやり方が大きく変わったわけではないにも関わらず攻撃のスピード自体はだいぶ増したと思います。守備面でもプレイの切り替えが早くなり、ディレイしたあと挟み込んだりという基本的な部分がキッチリ出来ており、そういった細かいところを見れば「勝つべくして勝った」と言えるのですが、それでも札幌には絶対的なストライカーがいるわけでもなく、他のチームと比べてもお世辞にも戦力的に恵まれているとは言えないですし、また4勝のうち3勝が1-0での勝利、試合内容も決して相手を圧倒しているわけではない、そんな今の札幌を見るにつけ、なんとなく「星泥棒」という言葉が頭に浮かんできたりもします。
コメント (2)
なるほどな~といつも感心しながら楽しく読ませていただいています。
>それでも札幌には絶対的なストライカーがいるわけでもなく、他のチームと比べてもお世辞にも戦力的に恵まれているとは言えないですし、また4勝のうち3勝が1-0での勝利、試合内容も決して相手を圧倒しているわけではない、そんな今の札幌を見るにつけ、なんとなく「星泥棒」という言葉が頭に浮かんできたりもします。
相手が「勝っていた試合なのに・・・」という台詞が増える今年になりそうですね。野球でも剛速球のピッチャーに打ち取られるのならすっきり諦められますが、軟投型のいつでも打てそうなピッチャーにのらりくらりかわされるような感じでしょうかね。「勝てそうで勝てない、気が付いたらなぜか負けていた。」ってことでしょう。もやもやした試合が続きますよ。それでいい。
投稿者: お玉 | 2007年4月 3日 07:19
日時: 2007年4月 3日 07:19
ゼカルロスは以前からいたんじゃないかな?
投稿者: もん | 2007年4月 4日 21:35
日時: 2007年4月 4日 21:35