« 俺達星泥棒 | メイン | 4連勝っていつ以来だろう »

2007年5月22日

二桁勝利一番乗り

2007年Jリーグディビジョン2第16節
コンサドーレ札幌3-0水戸ホーリーホック
得点者:札幌/ダヴィ、カウエ、ソダン
     水戸/なし

 アウェイで難敵・セレッソ大阪を下し連勝で意気上がる札幌は、今節は札幌ドームに戻っての水戸ホーリーホック戦。リアクション型からアクション型への脱皮を図っている最中の水戸ですが、15節終了時点で1勝4分8敗で最下位に沈んでいます。我々もいつか来た道ではありますが、やはり茨の道なんでしょうか、なかなかうまく皮が脱げていないようです。
 しかも水戸はここに来て中村、倉本、平松と守備陣ばかりが相次いで負傷し、さらには前々節(前節水戸は試合なし)の湘南戦でイエローカードをもらった、世が世なら小学生時代は「バク」と呼ばれていたであろうDF大和田が累積警告でこの試合出場停止と。週中に特別指定選手の承認を受けたばかりの加藤広樹をいきなりスタメンで使わざるを得ないほどの緊急事態です。別に「アクションサッカーの第一歩は現役大学生をスタメンで使う」というルールがあるわけではないはずですが。
 そんな相手に、曲がりなりにも首位のホーム札幌はキッチリ勝点3を取る必要があります。特にこの水戸戦のあとは湘南ベルマーレ、アビスパ福岡、京都サンガと難敵が続く上、湘南、福岡とアウェイ戦が続くだけに、この試合は絶対に落とせません。しかしながら、水戸はまだ札幌ドームで負けたことがありません。サンプル数が3試合(2勝1分)と少ないので相性と言うほどのものではないかも知れませんけど、ホベルッチがFK2発叩き込んだけど4点取られたとか、フッキが相手に右ストレートかまして退場とか、とにかく残念な内容しか思い浮かばないのがこのドームでの水戸戦なわけで、まったくもって侮れませんし、先の試合のことばっかり考えてたらどうなるかはザスパ草津戦の敗戦で充分思い知りましたから、油断は禁物、義丹は大鶴なわけです。
 なのでいかに早めに先制点を挙げるか…などと思っていたら、開始わずか1分で左サイドを突破したダヴィが角度のないところから決めていきなり先制点をゲットしました。

 先制点さえ奪ってしまえば、あとはチンタラ攻めつつ隙をうかがい追加点を狙えばいいだけの話。ただ言うのは簡単ですが実際に「チンタラ攻める」というのはなかなか難しいもので、特に早いうちに先制してしまうと欲が出てもっと点を取ろうと攻め急ぎ無理なパスを通そうとして変な奪われ方をしてカウンターを喰らったり、逆に守りの意識が強くなって引きすぎて相手の蹂躙を許してしまったりするものですが、今年の札幌はいやに「大人のチーム」となっています。水戸があまり前線からプレスをかけてこなかったのもありますが、じっくり最終ラインでパスを回して相手の隙をうかがい、リスクを負うことなく急所を突いてチャンスを作り出します。
 しかし、いくら大人サッカーができるようになってきたとはいえ、このチームはコンサドーレ札幌であることを忘れてはいけません。かつては世の中の何が気に入らないのか、リードしてるにも関わらず無闇に攻めていってはカウンター喰らって失点、という中二病サッカーを素で展開していたチームです。今年はさすがにそこまで尾崎じゃなくなりましたけど、前半21分に世が世なら小学生時代は「とき」と呼ばれていたであろうFW塩沢を止めに行ったブルーノが腰を痛めてしまい交代を余儀なくされてしまうアクシデントが発生。さすがはコンサドーレ、リスクを負おうとしなくてもリスクのほうからやってきます。山を跳び谷を越えてやってきます。
 本人も痛いでしょうが、札幌にとってもかなり痛いブルーノの負傷退場。まぁブルーノもよく見てるとけっこうやらかし加減は全盛期の古川先生に匹敵するくらいのスペクタクルなんですけど、どこにいても真っ先にゴールを決めた人に駆け寄るスピードを誇るブルーノが欠けるのはやはり痛いです。で、西澤画伯がセンターバックに入り、空いた右サイドバックには池内が入りました。以前ブルーノがインフルエンザで欠場していた時にもこの組み合わせは経験済みですし、水戸のプレスが緩かったのもあってさしたる破綻も見せませんでしたが、交代枠を1つ使ってしまった以上、後々のことを考えれば早めに追加点を取って試合を決めてしまいたいところです。
 そして前半31分、芳賀の浮き球パスを2人に囲まれながらも元気がキープし、落としたボールをカウエが右足でシュートすると、アウトにかかったボールはキーパーから逃げるようにゴールに突き刺さり待望の2点目をゲットしました。

 さて後半。さすがに水戸も尻に火が付いてきたのか前半よりは積極的に前に出てくるようになったものの、札幌がほぼ主導権を握る展開は変わらず。あと1点を奪えば確実に試合は決まるでしょう。まぁつい最近3点取ったあとに3点取られた守備型チームがあったような気もしますが、後半で3点リードすればそれなりに安全圏と言えるでしょう。つっても、どこのチームが相手でも1-0で勝つのが仕様のチームが2点取っただけでも御の字かも知れませんけどね。とはいえ、得失点差を考えれば取れるうちに取っておきたいところ。以前も書きましたけど、こういう時に攻撃的なポジションならどこでも出来る砂川と、守備力と運動量に優る大塚がベンチに控えているというのは大きな強みです。前任のヤンツーは「スタメンこそが最強であるべき」というポリシーがあったようですが、三浦監督の場合は「ベンチに大駒を残す」という考え方のようです。これは考え方の違いなんでどちらが正解というわけではないのですけど、少なくとも今の札幌は、いわば試合開始の時点で「変身をあと2回残している」とも言えるわけです。その通りに後半19分にU-20の代表合宿から帰ってきたばかりの征也に替えて砂川を、2点目を決めたカウエに替えて大塚を投入します。そうやって変身を済ませたコンサドーレでしたが、無理矢理ドリブルで突破した砂川がペナルティエリア内で倒されたもののPKを取ってもらえなかったり、どフリーのシュートをダヴィが当たり前のようにぶっぱずしたりと追加点が奪えずヤキモキしていたところでダメ押し点を決めたのは、そう、完全体となった「ネ申」ことソダンでした。試合ももう終わろうかという後半38分、セットプレイ崩れからキーパーがはじいたこぼれ球を右足で押し込み3点目をゲット。そのまま逃げ切った札幌が今季9試合目の無失点勝利で10勝目を挙げ、がっちり首位をキープしました。

 …やっぱ落ち着かない。

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
https://www.kingofsapporo.com/old/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/434

コメント (1)

>リスクを負おうとしなくても
>リスクのほうからやってきます


「リスクに近づこうとしても近づけぬ」という
渋川先生の境地に至るのはいつの日やら。


まあ、プレー中の選手の目の前にいきなり
断崖絶壁の幻影が現れても困りますが。

2016年2月

  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29          

アーカイブ