というわけで毎度のことながら今更のセレッソ戦の感想をば。
前回書いたとおり、都並監督解任直後の試合。場所は過去何度も国際Aマッチが行われてきた長居スタジアム…の隣にある長居第2陸上競技場。2001年のJ1開幕戦の時、この隣で札幌サンクFCが試合をやってて、長居スタジアムのコンコースから適当なサッポロコールを送ったことを思い出しますが、このスタジアムでコンサドーレが試合を行うのはたぶん初めてのはず。セレッソは前回J2降格した時もここがメイン会場となりましたが、今更ながら5万人収容でワールドカップの会場にもなった日本でも有数のスタジアムである長居スタジアムに比べるとまごう事なきJ2仕様のスタジアムで、「J2に落ちるとはこういうことだ」を地で行ってるような感じです。
さらにセレッソは前回の対戦時にも書いたとおり、多くの主力を失っており、前線、中盤、守備の要が揃って抜けてしまいました。それがどういうことであるかは、ここをご覧の皆さんにはセンターラインがまるまる抜けた2002年の札幌がどうなったかを思い出してもらえればおわかりかと思いますが、やはり成績は思ったように伸びず4勝3分6敗の9位に低迷しています。
しかし、主力が流出し若い選手だらけになってしまったとはいえ、その若手選手もデカモシリこと森島康仁や苔口卓也、藤本康太、先日J2最年少ゴールを記録した柿谷曜一朗、香川真司といった世代別の代表候補に名を連ねる選手も多く、選手のレベルは決して低くはありません。まだ古橋達弥やケガで出ていないとはいえ森島寛晃といった頼れるベテランもいますから、別に焦ることもないと思うんですけどねぇ。
で、この日のスタメンはブラジル人もいない上、フィールドプレイヤーの平均年齢なんと22歳という若いチーム。札幌だったら最下位になるチーム構成ですが、そんなチームに開始から攻められっぱなしの札幌。まぁアウェイでしょぼいのはいつものことなんですが、この日は特に動きが悪く、ラインとラインの間のスペースに簡単にセレッソのぴちぴち攻撃陣に入られ、速いパス回しでゴリゴリ中央を突破される始末。このあたり、以前から言われてきたことではありますが、札幌の守備陣はサイドからのクロスや単純なロングボールには滅法強い反面、中央突破での2列目3列目からの飛び出しには弱く、ボランチより前で食い止められないと割と簡単にアタッキングエリアへの侵入を許してしまうことがけっこうあります。開始早々の絶体絶命の場面は相手のシュートがポスト当たって事なきを得ましたが、その後もセレッソのぴちぴち攻撃陣がめまぐるしくポジションを変えるため捉えきれません。札幌の攻撃は全て単発に終わり、決定的なチャンスもほとんどありません。なすすべなく敗戦した開幕戦の京都サンガ戦を見てるようです。ここでもし失点していたら、おそらく試合結果も京都戦と同じようになっていたかも知れませんが、結果として失点はなく前半は0-0で終了します。
後半、三浦監督は中盤のテコ入れとして前半消えていることの多かったカウエに替えて大塚を投入。しかしそれでもセレッソペースは変わらず、連続してピンチを招きます。しかしここでもポストが大活躍してピンチを防いでくれました。何年か前、ある女性が銃で胸を撃たれたものの、豊胸手術で入れたシリコンで弾が止まって命拾いをしたというニュースを思い出しましたが、まさにそんな感じ。
10分を過ぎたあたりからようやく札幌も西谷を中心にチャンスを作り始めます。そして後半20分、左サイドから西嶋が前線にロングボールを送ると、飛び出してきたキーパーよりわずかに先に元気の頭に当たったボールがゆっくりとゴールに吸い込まれ札幌が先制。
1点でもリードすれば、あとは札幌もいつもの通り焦らずじっくり構えればいいだけ。セレッソの攻撃も次第に雑になってきたため、攻められてはいるもののけっこう余裕を持って守ることが出来るようになってきました。まぁ、セレッソにとってみれば「あれだけいい形を作っていたはずなのにこっちは点が取れず、ほとんどチャンスのなかった札幌がロングパス一本でよくわからんうちに点を取ってなぜか負けてる」のですから、世の理不尽さを嘆いて組み立てが雑になってしまうのも無理もないことですが、そうなれば札幌の思うつぼなわけで。試合巧者…というフレーズをまさか札幌に対して使う日が来るとは思いませんでしたが、仙台の猛攻を凌ぎきった札幌には、単純な攻撃であれば防げないことはありません。その割には危ないシーンもありましたが、守護神高木がことごとくファインセーブで防ぎました。
結局、ろくすっぽチャンスのなかった札幌が、「星泥棒」の面目躍如で逃げ切り、アウェイで貴重な勝点3をゲットしたわけですが、この辺、危ないシーンでもなぜかゴールにならないというのは2000年のJ2優勝時に似てますね。あの時の守護神だった佐藤洋平は紛れもなく「ネ申」じゃなくて「神」でしたが、それ以外にポストやクロスバーに助けられて無失点に凌いだことも少なくありませんでした。この年の札幌の1試合平均失点はわずかに0.55。これは未だに破られていないJ2記録です。当時は今より試合数は少なかったですけど、延長Vゴールというルールもあった頃。去年鉄壁といわれた横浜FCですら0.67ということを考えると、そのすごさがおわかりになるかと思います。ちなみに今季は14試合を消化して札幌の失点は8。1試合平均失点は0.57と、あの頃に近い数字となっています。そう考えるとどこのチームにも勝てるような気がする反面、今のチームには2000年のエメルソンみたいな化け物はいませんから、どこのチームにも勝てない気もするのですけど、少なくともこの守備力を背景にしてこういう試合を拾っていけば、まだまだ昇格争いに生き残っていけそうですね。
コメント (3)
細かいことを言えば、長居第2はリーグ戦では初ですが、99年の天皇杯では経験がありますな。
投稿者: akira37 | 2007年5月18日 07:56
日時: 2007年5月18日 07:56
>中央突破での2列目3列目からの飛び出しには弱く
ヴェルディ戦などでもやられた様に、この辺が今後札幌の課題になってくるのかと思います。特に第2クール過ぎ辺りにはJ2特有の「4クール戦うが故に対策を練られる」というのがありますので、こちらも対策を練らないといけないでしょう。年寄りヨボヨボサッカーを夏場に魅せられるのはもう嫌ですし。
投稿者: じゃがバター塩辛 | 2007年5月19日 01:40
日時: 2007年5月19日 01:40
> 細かいことを言えば、長居第2はリーグ戦では初ですが、99年の天皇杯では経験がありますな。
ウィ。
阪南大学との試合で、スタンドでタバコ吸ってた大学生を注意した覚えがありますw
投稿者: みどり | 2007年5月21日 12:55
日時: 2007年5月21日 12:55