2007年Jリーグディビジョン2第29節
コンサドーレ札幌 2-2 東京ヴェルディ1969
得点者:札幌/ソダン、謙伍
ヴェルディ/フッキ×2
徳島戦が台風で順延となり、1試合飛ばしての第29節は、厚別公園競技場に難敵東京ヴェルディ1969を迎えてのホームゲームです。一時期は7連敗と泥沼の連敗地獄に陥り、昇格争いから脱落したかに思われたヴェルディですが、京都戦勝利しで連敗を脱出すると、あとは14試合で9勝2敗3分とハイペースで勝点を積み重ね、いつのまにやら4位にまで浮上してきました。死んだふり作戦…なんてことをラモス監督が好きこのんでやるとは思えないので、どちらかといえば「うっかり死にそうになった作戦」と言ったところだと思いますが、もともとJ2屈指の戦力を抱えるチームだけに、追われる側としては京都と並んで厄介なチームが追いすがってきたものです。
3位のベガルタ仙台とは勝点差にしてわずかに4と射程圏内にとらえているヴェルディとしては当然この試合も勝ってこの日の夜キックオフ予定の仙台にプレッシャーをかけておきたいところでしょう。
そして札幌はそのヴェルディ相手に連勝中。前回の味スタでも危ないシーンもありながらもソダンのセットプレイ1発で沈めており、相性自体は決して悪くありませんし、ここで再度蹴落としておけば昇格ライン確保が早まりますし、何よりこの試合は厚別でのJリーグ通算100試合目という節目の試合。100試合記念グッズも大々的に売り出す気合の入れようです。まぁその割にはあんまりデザインに気合いが入ってないような気がしないでもないのですが、とにかくこちらとしても負けられないところ。
でまぁ、試合はその100試合目を飾るにふさわしいかどうかはともかく、ある意味忘れたくても忘れられないインパクトのある試合にはなりました。
前半はいつもの通り静かな立ち上がり…というか、後半ラスト10分になるまではお互いチャンスは作りながらもあまり決定的なチャンス自体は多くなく、何事もなく終了する空気だったんですけどね。後半34分に札幌がソダンのゴールで先制したと思ったらそこからわずか4分間でフッキに2ゴール喰らって逆転を許し、もうダメかと思ったらロスタイムに謙伍が決めて追いつくという、なんだかネットオークションのラスト10分の攻防を見てるような試合でした。
全体的な試合展開としては、ボールポゼッションとしては個人のスキルで勝るヴェルディが優勢ではありましたけど、反面組織としては全く機能していないのはいつもの通り。前回の対戦でスタメンだった選手のうち、この試合でもスタメンに名を連ねているのは富澤清太郎、服部年宏、ディエゴ、フッキのわずか4人だけで、まぁケガで出られなかったりした選手もいますけど、相変わらず有り余る戦力を持て余している感じのヴェルディ。まぁそれだけ多くの選択肢を持っているということにもなりますし、以前も書きましたがもともと読売伝統のサッカーは個人技でゴリゴリ押すサッカーではあります。その読売サッカーの代表格だったのが現在ヴェルディの指揮を執るラモス監督ですからそういうサッカーを志向してるんでしょうが、ともあれフッキとディエゴのラインがJ2レベルをはるかに超えていることは間違いないですし、今回はそれにゼルイスまで加わっているのですから、札幌としてはここをいかに抑えるかがカギとなってくるわけです。ただそうは言ってもフッキを抑えようと思って簡単に抑えられるような選手ではありません。なので1点くらいやられるのはもう仕方がないと割り切って対応するしかないでしょうし、実際監督も選手もそんな感じで考えてたと思います。
そういう意味では、2点与えてしまったのはちょっとまずかったですね。1点目はちょっとリスタートからの流れで気を抜いていたかなぁという感じの失点の仕方でしたし、2点目も確かにフッキのシュートそのものはどんなキーパーでもセーブするのは無理だと思いますが、その前にあの位置でフッキにフリーでボールを持たせてはいけません。流れからすれば1-0で逃げ切っていなければいけない試合でしたから、もったいない思いは多少あるのですけどね。もったいなさで言えば、考え事をしながらカップ焼きそばのお湯を捨てていたらついうっかりめんまで全部出てしまったときの心境です。最近の焼きそば弁当はそんな哀しい思いをさせない構造になっていますけど、昔はよくシンクに広がった焼きそばめんを見て血の涙を流したものです。話がずれましたけど、ただちょっと見方を変えると、ああいった絶体絶命の状況でなんとかするのがエースだとするならば、そのエースとしての役割を充分に果たしたフッキは紛れもなくエースの働きだったと思いますし、絶体絶命のピンチで起死回生の同点ゴールを決めた謙伍も誉めてあげたいですね。
でも一番すごいと思ったのはソダンの先制ゴールでしょうか。前回の対戦でも同じようにソダンがゴールを決めていて、そのゴールもちょっと届かないかな、というボールをキッチリ枠に飛ばした見事なものでしたが、今回のゴールはそれに輪をかけてさらにすごい。何がすごいって、今回のは相手もを競りに行っているボールを強引に決めたところです。競る前までのソダンはフリーでしたし、多少相手の身体の寄せは甘かったというのもありますが、相手と競るということはフリーの時に比べて身体の自由は制限されますから、その状態でボールを枠に飛ばすのは相当に難しい行為のはず。にもかかわらず、ソダンはそのマーカーがジャンプしたはるか上を行き、なおかつボールを叩きつけたのですから、とんでもないゴールです。さすがに「ネ申」と呼ばれるだけのことはあります。黄金聖闘士で一番強い乙女座のシャカが「もっとも神に近い男」と言われていますが、ソダンの場合はもう既にネ申なのですから、つまりは黄金聖闘士なんて目じゃないということです。
強烈な個の前には組織的守備も時には無力と化すこともあります。わかりやすい例を挙げれば、連邦の白い悪魔のせいで12機のリックドムが3分持たずに全滅するようなもの。この試合で言えばフッキの2点目のシュートはまさしくそうだったと思いますが、ソダンの先制ゴールにもオナjことが言えるんじゃないでしょうか。正直、アレをやられたら相手チームもどうしようもないと思います。
ということでこの試合、勝てなかったのは残念ではありますけど、99.9%負け決定みたいな状況を引き分けに持っていったことは、勝点1を得てヴェルディの勝点2を削ったと考えれば決して悪くはない結果だと思います。この先は3位以下との勝点差こそが重要なのですから。
コメント (2)
スカパ解説をしていた川合さんのコメント。
フッキの左足と曽田の頭は同等の力がある。
みたいなことを言っていました。
今のJ2においてこれは最大の賛辞ではないかと思います。
それにしてもカップの焼きそば・・・。
拾い集めてもう一回お湯に通せば食える!!
いやいや・・やっぱ気分的にこれは食えないな・・・。
心の葛藤が右往左往しますよね^^
投稿者: forza | 2007年7月26日 23:35
日時: 2007年7月26日 23:35
やきそばについて、、、ではなく
曽田のゴールについてですけど、
フリーだったのに、あえて、自らDFに体を寄せ、
競り合いをしている様に見せかけて、ゴールしたのでは
ないかと勘ぐってしまうほど、余裕の打点の高さを
みせつけたヘディングでしたね。
まさに示申を見た瞬間でした。
投稿者: とんねるず | 2007年7月27日 15:01
日時: 2007年7月27日 15:01