2007年Jリーグディビジョン2第34節
コンサドーレ札幌 1-2 湘南ベルマーレ
得点者:札幌/西谷
湘南/原、石原
京都サンガFCとの死闘(死にそうな闘い)を制した札幌は、その疲労を充分癒す時間もなく中2日でのホームゲームを迎えます。ホームといってもいつもの厚別やドームではなく、札幌から約130km離れた室蘭での開催。相手は湘南ベルマーレです。前節までの43得点31失点という成績は、リーグで一番失点の少ない札幌の次に失点が少なく、そして上位6チームの中で5番目に得点の少ない札幌の次に得点が少ないという、割とよく似たチームである湘南。しかしその札幌が20勝3敗8分で首位に立っているのに対し、湘南は15勝11敗4分で6位。勝点にして19もの差をつけられているひとつの原因は、下位チームに対しての成績は札幌が17試合で11勝2敗4分、湘南が19試合で14勝3敗2分とほとんど変わらない成績なのに、これが上位チームとの対戦となると、札幌が13試合で8勝1敗4分とほとんど負けていないのに対し、湘南は12試合で2勝8敗2分とあからさまにタケちゃんマンであることでしょう。
ただし、現在のところ3位グループが大混戦のため、湘南も6位といっても3位のアビスパ福岡とは勝点4差。しかも湘南は第32節の鳥栖戦が試合途中で雷雨のため中止・順延となった関係で消化試合数が1試合少なく、その差はもっと少ない可能性があると言えます。まぁうちもそうですけど延びたぶんのしわ寄せが後からやってくるので、そうでなくても過密日程のJ2がさらにキツキツになることを考えると、別段有利というわけではないんですけどね。休日出勤の代休を先にもらったみたいなもんですね。平日休めて何となく得したような気分になるけど、全然そんなことないみたいな。
とにかくそんな湘南自身の上位陣との対戦成績の悪さに加え、札幌は湘南には相性がよいというのもあって、この試合も行けるとは踏んでいたんですが…。結果的には、ホーム初黒星ということになってしまいました。まぁそれでも今季4敗目。1年で5つしか勝てなかった2004年から考えればまだ4敗しかしてないというのは驚くべき数字ですがね。
お互い中2日ということもあって試合は開始から両チームとも動きはあまりよくなかったのですが、まだ日があるうちにキックオフとなった札幌のほうがよりダメージが大きかったのでしょうか。京都での試合が「三日殺し」みたいになっていたのかも知れませんし、カミーユに負けたシロッコみたいに逆転負けを喰らった京都が札幌の心も一緒に連れて行ってしまったのかも知れません。まぁ実際、勝ったとはいえダヴィとソダンが警告を受け、この試合は累積警告による出場停止と、トップスコアラーと守備の要を連れて行かれてしまったわけなんですけどね。対空戦は言わずもがな、セットプレイでも重要な得点源であるソダンと、すごいのかすごくないのかよくわからないけどとりあえずめんこいことだけは確かなダヴィを欠くということは、今の札幌にとってはいわば飛車角を欠いた状態です。ソダンのポジションには西澤画伯が入り、空いた右サイドバックにはいつもの通り池内が、ダヴィの代わりには前節劇的な逆転ゴールを決めた石井謙伍が入りましたが、画伯とブルーノのコンビは今季初めて。相性はいいと言っても札幌と湘南の間にそこまで大きなチーム力の差があるわけではないですから、その辺りの差が出てしまったと言ってもいいかもしれません。
さらに、前半28分には大塚がセットプレイで斉藤俊秀と競り合った際に頭部に8針を縫うほどの裂傷で交代を余儀なくされました。
中盤の潰し屋である大塚がピッチを退いたことで札幌は飛車角どころか金将まで失った格好。交代で入ったカウエはあまり守備が得意なほうではないですから、アジエルをますます自由にプレイさせることになり、守備陣はその対応に四苦八苦。アジエルはそれほど派手な選手ではありませんが、基本技術は高いですし自己中心的なプレイはしないため、相手にとっては厄介な選手。たのきんトリオで言えばヨッちゃんです。そうでなくても動きの重い札幌は湘南のパス回しにプレスのポイントが絞れず、イヤな時間が続きます。
そして前半38分、左サイドからの尾亦のクロスを西澤画伯がクリアしきれず、ボールはその裏にいた原竜太へ渡り、フリーの原が難なく決めて先制されてしまいました。言っても由のないことですが、ソダンだったらクリアできていたボールでしたね。ちなみに原は前所属がモンテディオ山形。今季3得点を喰らっている草津の氏原も元山形です。山形に対する苦手意識はだいぶ薄れましたが、こういう形でまだ残ってるんですね。というか、決勝点を取られたのは石原。「原」のつく選手に弱いんでしょうか。本名に「原」がつくオレでも点が取れるかもしれませんね(取れません)。
イヤな時間にイヤな点の取られ方をした札幌ですが、それからわずか2分後の40分、スローインから元気が後ろに反らしたボールを征也が胸で落とし、西谷が見事なダイレクトボレーでゴールに突き刺して同点に追いつきます。前半はこのまま1-1で終了。
後半は一進一退の攻防。湘南が細かいパス回しからチャンスを作れば、札幌もセットプレイでチャンスを掴みます。後半6分、ペナルティエリアすぐ手前でフリーキックを得ます。絶好のチャンスに蹴るのは同点ゴールを決めた西谷。「セットプレイに強い」と言われる札幌ですが、実は今季ここまで直接FKを決めたことがありません。というよりは、ここ3年くらいを記憶を掘り出しても、札幌が直接FKを決めたシーンって2005年の徳島戦の池内のちょこざいなフリーキックと、2006年鳥栖戦と神戸戦でフッキが決めた2つくらいしか思い出せないのですが、この西谷が蹴ったボールも壁に当たってしまい、さらに跳ね返ったところを再び西谷がダイレクトで蹴ろうとしたらいつぞやの代表での柳沢みたいなミスキック。変な回転のかかったボールをダイレクトで枠に飛ばした征也はすごいと思ったのですが、このシュートは相手GK金永基が左手一本で止めゴールならず。その後も謙伍がいくつかシュートを放ちますがゴールの枠をとらえることができません。
そして湘南も、後半23分にいまいちフィットしていなかったエドワルドマルケスに替え、ついに天敵・石原を投入してきました。その石原にゴールを決められてしまうのですから、これまた相性を感じざるを得ません。石原が投入されてから8分後の後半31分、アジエルからのボールを受けた石原がターン一発でブルーノを交わし、右足でトゥキック気味のシュートを突き刺しゴール。
再びリードを奪われた直後、三浦監督は征也に替えて最近ますます龍拳の頃のジャッキーチェンに似てきた砂川を投入します。ただジャッキー…いや砂川を入れるのであればもう少し早い段階で入れるべきだったかも知れません。その前に三浦監督は後半26分に元気に替えて相川を投入していますが、少なくともこの交代は逆のほうがよかったような気がします。前半で大塚に代えてカウエを入れているので、戦術的な交代枠が2つしかなかっただけに慎重になったんでしょうかね。83分のフリーキックのチャンスも西谷が壁に当ててしまい、その後も砂川が大先輩・加藤望のケツを蹴ったり、池内が前線に上がって点を取る気マンマンだったりしましたが、ジャーンと斉藤の牙城を崩すことができずタイムアップ。いつもなら最低でも同点で終わってきた札幌ですが、今回ばかりはその神通力は現れませんでした。