2007年Jリーグディビジョン2第36節
モンテディオ山形 0-1 コンサドーレ札幌
得点者:札幌/石井
山形/なし
前節湘南ベルマーレに対して今季4敗目を喫した札幌は、今節はモンテディオ山形とのアウェイ戦です。
山形は11勝11敗10分の9位と不振。3位のアビスパ福岡とは勝点13差と昇格争いからは二歩くらい交代した感があり、札幌との対戦成績もここまで1分1敗と分がよくありませんが、スコアはそれぞれ0-1、1-1と僅差での敗戦。そのうち1失点はPKによるものとさほどの力負けという感はなく、そもそも山形は伝統的に「やる時はマジでやりやがる」チーム。決して侮れる相手ではありません。
札幌は台風4号の影響で順延となった7月14日の第28節・徳島ヴォルティス戦の代替日程が9月5日に決まっており、この山形戦を皮切りに8月30日に第37節アウェイ水戸ホーリーホック戦、9月2日に函館での第38節愛媛FC戦を行った後、四国に移動して徳島戦と、11日間の間に4連戦というどうでしょう企画並の強行日程となります。いずれも下位チームが相手とはいえ、それぞれ3日、2日、2日という試合間隔はかなりキツいですし、この間札幌での試合は行われない上、苦手の四国も含まれているという至れり尽くせりっぷり。それだけにスタートとなるこの山形戦は、ここをものにすれば気分的には楽になりますし、逆に落としてしまったりしたら、修学旅行の行きのバスでトイレが我慢できずに止めてしまい、以後旅行の間中「トイレット博士」と呼ばれてしまうくらい残念なことになりかねませんので、ここは是非とも落としたくない試合です。しかし札幌は2試合出場停止中のダヴィに加え、芳賀主将と左サイドバックの西嶋という、開幕以来ほぼ試合に出続けてきた2人を出場停止で欠くという苦しい布陣で臨まねばならず、状況としては決して楽ではありません。
いずれにしても、過去の対戦成績からも1点勝負になりそうなこの試合、それだけに先制点をどちらが取るかがカギとなりました。どちらも様子見とばかりに慎重な立ち上がりとなり、果たしてその先制点を挙げたのは札幌でした。
カウンターから池内のロングパスをトラップ一発でレオナルド(not熊)の頭上を抜いた謙伍がうまくゴールに流し込み先制ゴールを挙げます。京都戦の逆転ゴールもそうですが、、なんかこういうテクニカルなのは本当にうまいですね謙伍は。ゴール近くでボールを持ったら、もっとドリブルでの勝負を増やしてもいいんじゃないでしょうか。別にワンタッチゴーラーというわけでもないんですし。
首尾よく先制したその後も山形キラー・西谷がえげつないスルーパスを通したり、右足のアウトサイドで寒気がするほど美しいクロスを挙げたりしますが、やはりというかなんというか元気が景気よくぶっぱずして得点できません。こういうビッグチャンスをキッチリ得点に結びつけられればね、もう少し楽に勝てるようになると思うんですけどねぇ。もちろんチャンスは全部決めろというつもりもありませんし、人生におけるチャンスをことごとく逃し続けているオレがそんなこと言える筋合いもないのですが、「あんなやつはもっと苦しめてやらなきゃ…」と言って周囲の忠告を無視したために父親が死んでしまった、ということにもなりかねませんからね。
先制された山形もなんとか札幌ゴールをこじ開けようとあの手この手で揺さぶりをかけてきますが、札幌守備陣もトラップし損ねて相手にフリーでシュートを許すソダンスペクタクルが発動したりなど危ない場面はありましたが、それ以外では特に大きな破綻はなく前半は1-0で札幌リードのまま終了。
後半は早めに追いつきたい山形とリードを広げたい札幌との一進一退の攻防が続きますが、後半10分、札幌はルーズボールをめぐっての競り合い中にペナルティエリア内で西澤画伯が横山にファウルをしたとの判定でPKを与えてしまいました。確かにスローで見ればヒジが入っているように見えますが、普段なら主審にわからないようにさりげなく屠っている闇狩人な画伯にしてはちょっと軽率なプレイではありましたね。いずれにしても絶体絶命のピンチです。
しかし、このピンチを救ったのが守護神高木でした。宮沢の蹴ったPKを横っ飛びでセーブ。確かに宮沢が慎重になったこともあったとはいえ、難しいコースだったのは確か。高木本人は「たまたま」と語っているようですが、だとしたら高木にラッキーマンが降臨したと言えるでしょう。とにかく高木のPK阻止により同点は免れました。
このプレイで勢いづいたのか、やや押され気味だった札幌が盛り返し始めます。大塚のシュート性のクロスを謙伍がヘディングシュートしたり、ダイレクトでポンポンポンとソダン→大塚→画伯→大塚→征也→長門→元気→大塚→西谷とつなぎ、最終的にカウエがシュートまで持っていったりといい攻撃を見せます。まるでサッカーみたいです。しかし残念ながらそういうのはなかなかゴールは結びつかないものでして、追加点なりません。
山形もPK失敗以降あまりパスも繋がらずチャンスもなかったのですが、佐々木の投入により俄然前線が活性化。ペースは大きく山形に傾きます。他チームのサポーターから見るとこれだけの選手がどうしてスタメンで使われないのかと思うのですが、スタミナや守備に課題があるのかも知れませんし、砂川みたいにジョーカー的な扱いなのかも知れませんし、あるいは「宗教上の理由」とかはたまた「坊やだから」なのかはわかりませんが、とにかくこの佐々木がよくボールに絡んでチャンスを演出。それに引っ張られてか左サイドの宮沢からもいいクロスが上がるようになり、次々とチャンスを作られてしまいます。山形のフィニッシュの拙さに助けられてはいたものの、旗色のよくない流れです。
それでもなんとか踏ん張る札幌は、山形の猛攻を凌ぎきって久しぶりの無失点勝利。主力を欠く中貴重な勝点3をゲットしたのでした。