« 2007年8月 | メイン | 2007年10月 »

2007年9月 アーカイブ

2007年9月 6日

小股すくい

2007年Jリーグディビジョン2第37節
水戸ホーリーホック 2-1 コンサドーレ札幌
得点者:札幌/馬
     水戸/とき、妙子

 まだまだ続く地獄の遠征シリーズ。山形戦を勝って幸先のいいスタートを切ったコンサドーレは、今節は水戸ホーリーホックとのアウェイ戦となります。現在の水戸は4勝20敗9分という札幌とほぼ真逆の成績で最下位となっている水戸が相手で、後には苦手の愛媛と四国が控えているだけにここは順当に勝っておきたかったんですが、前半10分に先制される苦しい立ち上がり。直後にダヴィのゴールで追いついたもののそのすぐ後にまた失点してしまい、結局その後はゴールを挙げることも出来ずにそのまま敗戦。今季5敗目を喫してしまいました。
 首位のチームが最下位のチームに負けるというのは、ちょっと情けない話ではありますが、もうこのまま永遠に続きは書かれないだろうと思われていたHUNTERxHUNTERが連載再開されるくらい何が起こるかわからないのが世の中なんですから、首位のチームが最下位のチームに負けるくらいのことは起こりえます。水戸も最下位とはいえ、これまでの4勝の中には東京ヴェルディ1969を5-1で虐殺した試合もありますし、第3クールに入ってからの8試合で8失点というのは実は札幌と同じ。もともと笠松はあまり得意な競技場ではありませんし、しかも連続アウェイ戦。波乱の起きる下地は十分ありました。

 今季はここまで33試合を戦って、前半の15分までの失点が未だにないほど試合の入り方が慎重な札幌ですが、この日は立ち上がりから何となくおかしかったように思います。高木の飛び出しのタイミングが遅かったり、ブルーノも簡単に入れ替わられてGKとの1対1を許したり、ソダンも相手に競り勝てなかったりと特にディフェンスラインが不安定。まぁ高木はもともと積極的に前に出るタイプのGKではないですし、ブルーノももともと1対1に強さを発揮するタイプの選手ではないですし、ソダンよりもマーク相手だった西野晃平のほうが身長が高かったのですけど、それにしても普段の高木ならもう少し反応がいいはずですし、普段のブルーノならもう少し粘り強い守備が出来るはずですし、コンサドーレの飛翔の神、つまりマリポーサであるところの普段のソダン(韻)なら10cmくらいの身長差ならものともしないはず。ちなみにマリポーサといえば、王位継承編でキン肉マンチームと戦った場所がコンサドーレもキャンプ地として使っている熊本市の象徴・熊本城。築城400年を迎えた現在は大規模な復元工事が行われており、その修復費用を賄うための寄付を今年3月まで募っておりました。1万円以上寄付すれば城内に名札が飾られるという「一口城主」の効果もあり、最終的に12億円以上もの金額が集まったのですが、述べ2万7千人以上におよぶその一口城主の中に、ロビンマスクとの闘いで熊本城を破壊してしまった「キン肉マンマリポーサ」という名前があるのは割と有名な話です。そういえばソダンもキャンプの合間のオフにここを訪れていますが、とりあえずこの話は水戸戦とは何も関係はありません。
 まぁそんなわけで、そもそもそれぞれの選手の出足が鈍く、ボールの出所を抑えきれなかったという意味ではチーム全体の責任ではあるのですが、これまでは多少マークがルーズになったとしてもほぼ防ぐことができていた守備の屋台骨部分が不安定では、相手が最下位水戸とはいえそうそう簡単に守れるものではありません。

 案の定出足からバタバタしっぱなしの札幌は、前半10分に札幌側から見て左サイドからのクロスを塩沢に頭で合わせられ失点。クロスの出所へのプレッシャーが遅れ、さらにソダンもあっさりと塩沢に前にはいるのを許してしまっており、これでは点を取られても仕方のないディフェンスです。いつもは15分間は持っていたスーパースターの無敵時間もこの試合は10分で終了でした。
 そのわずか1分後、元気が前線でカットしたボールがうまいことダヴィのほうへ転がり、このボールをダヴィが右足でファーサイドに決めて追いついたまではよかったんですけど、さらにその9分後の前半19分、今度は札幌側から見て右サイドからのゴールに向かうアーリークロスを、「デカい和波」西野に頭で合わせられて再びリードを許してしまいました。ここでもソダンが競り負け、高木もパンチングに行ったもののタイミングが遅れたための失点。まるで2004年の試合を見ているかのような失点パターンでしたが、ボールの代わりに西野の頭をパンチングしたのはぎーさんのせめてもの仕返しだったのでしょうか。
 再びリードを奪われてしまった札幌ですが、やはり動きはピリッとしないまま、失点次と似たような状況を作られてしまうシーンが目に付きます。札幌の守備は常に後手後手で、見た目明らかに身体が重そうです。前半はリードされたまま終了。

 後半、三浦監督は元気に替えて謙伍を投入し前線の活性化しようとしますが、どうにも動きはよくないまま。西谷のスルーパスに謙伍が抜け出したり、チャンスがないわけではなかったのですが、チャンスの数よりもピンチの数のほうが多い有様。どっちが首位なのか全然わからない内容です。いつもは慎重な三浦監督も後半12分には征也に替えて砂川を、17分には西澤画伯に替えて池内を投入し打開を図りますが、やはり得点の匂いはしません。まぁ今までの得点だって得点の匂いがしてたかといえば、むしろ得点の匂いなんて滅多にかいでないような気もするんですけど、得意のセットプレイもなかなかうまく行かず。
 ところで、水戸の注目といえばやはり元札幌のビジュ。2002年に札幌を退団して以降、京都、鳥栖、甲府と渡り歩き、今季途中から水戸に加入しましたが、今年33歳を迎える今では札幌にいた頃のような本能の赴くままのプレイはさすがに影を潜めましたが、それでも持ち前の運動量でフィールドを所狭しと駆けずり回り、妙な体勢から無理矢理クリアしたり、ぴょんぴょん跳びはねて一人ヘディングを繰り返したりと、すごいし面白いけど人類としては間違っている宇宙人的な動きは相変わらずで、あり得ない場所に出現してはクリアしていくビジュによって札幌の攻撃は潰されてしまいます。まぁ、ビジュだけじゃなく水戸の守備も集中していましたけどね。個人で打開できる選手がいない札幌にとっては、あれだけしっかり守られるとそうそう崩せるものではありません。
 結局、最後は禁断のソダン大作戦まで繰り出して追いつこうとしましたが、結局追いつくことはできませんでした。

2007年9月10日

いかを食え

2007年Jリーグディビジョン2第38節
コンサドーレ札幌 1-1 愛媛FC
得点者:札幌/池内
     愛媛/新井

 前節水戸ホーリーホックに痛い敗戦を喫した札幌の今節の相手は愛媛FC。函館でのホームゲームです。年に1度の函館ツアーということで、函館やその近郊の人たちがJ2とはいえプロのサッカーを生で見られる年に1度のチャンスでもあります。それはいいんですけど、山形→水戸というアウェイ2連戦のあとにはちょっとつらい日程です。よく北海道旅行に行くという人が「レンタカー借りて、函館行って、それから札幌行って~」という旅程をうれしそうに話してくれたりしますが、函館と札幌間の移動距離は練馬から新潟行くくらいの距離があるというのは道外の人にはあまりピンと来ないんでしょうね。しかしその距離をものともせずに毎試合函館から札幌まで通っている人もいるのですから、頭が下がる思いです。
 一応水戸戦の後あまり間がないこともあり、直接水戸から函館入りして調整を続けていたそうですが、最下位に負けたからなのか、それとも連戦の疲労を考慮してか、三浦監督はこの試合でだいぶメンバーをいじってきました。前節まで出場停止だったダヴィは戻ってきたものの、入れ替わるように水戸戦で警告を受けた元気がこの試合と次節徳島戦で出場停止。ダヴィと謙伍と2トップとなります。さらには水戸戦で執拗なタックルを受けていた攻撃の要・西谷もケガで欠場。代役は当然砂川ですからさほどの心配はないのですが、謙伍と砂川という切り札を最初から使わざるを得ないこと、そして彼らがスタメンに回ったことでベンチに入ったのが岡本賢明と西大伍。ルーキーとリーグ戦初ベンチという2人に普段の彼らの役割を期待するのは酷というものではありますが、それでもおとなしそうな顔をしてかなり天然な岡本と、おとなしそうな顔をしてかなり小悪魔な大伍の2人は練習試合で点を取りまくっているだけに、無駄に期待してしまいます。それはいいんですけど、この状態でベンチ入りすらしない相川さんはいったい何をしているのでしょうか。
 そして中盤も大塚ではなくカウエをスタメンで起用。第2クールくらいから使われ始めた対札幌戦略のひとつ、「ディフェンスラインとボランチの間のスペースを使う」ことの対応策として充分な働きができながらも、反面攻撃のつなぎの部分に難のある大塚を下げて、逆につなぎの部分には非凡なパスセンスを見せるものの守備には不安を残すカウエを使ったのは、どこが相手だろうとひたすら自分たちのサッカーを貫く愛媛であることもひとつの理由なんでしょうね。さらに三浦監督はディフェンスラインにも手を加え、西澤画伯ではなく池内を起用。画伯も今年33歳のベテランですし大きなケガもしているだけに、ここのところの連戦で疲れがたまっているのか闇狩人っぷりがちょっと影を潜め気味でしたから、無理もないところかもしれません。まぁ1対1の守備力については正直画伯も池内もそう大差はないのですが、ここに来ての池内の起用はセットプレイでの得点への期待がひとつと、もう一つ池内と征也でサイドを押し込み、結果として愛媛のサイドアタックを封じるのが狙いだったのではないかと思います。

 で、結果から言えば10位のチームを相手にホームで引き分けてしまったのですから、しかも全体的に押される展開だったのですかから、思惑通りには行きませんでしたけどね。それでも前半ロスタイムに征也のコーナーキックをフリーになっていた池内がドンピシャのヘディングシュートを決めて先制したのは期待通りの結果ですから、ことごとく目論見が外れましたというわけでもなかったのですけど、いいときの札幌ならばこの先制点を守りきっていたはずですし、追いつかれても何となく追加点を取っていたはずなんですけど、全体的にはどっちかといえば愛媛に押されるシーンのほうが多かったのですから、散々策を巡らして思惑通りに言っていると思って「僕の勝ちだ」とうっかり口を滑らせてしまったら、よりにもよって松田に撃たれたという感じでしょうか。
 下位のチームとの対戦というのは簡単に勝てそうに見えて思いのほか難しいものです。昇格を争っている札幌はどうしても先のことを考えてしまうものです。特に本来であればこの試合の後はオフだったのですけど、図らずも延期された徳島戦の代替試合がこの試合の3日後に控えていましたし、それがなければもう少し違っていたかも知れませんけどね。逆に数字上も昇格の可能性がない下位のチームはとりあえず先のことを考える必要がなく、後顧を憂うことなく全力でぶつかることができるわけで、上位に一泡吹かせてやろうと気合満点で襲いかかってくるもの。言ってみれば、100万パワーが1000万パワーに勝つためにベアークローを2つ装備していつもので2倍のジャンプをしてさらにいつもの3倍の回転をかけて100万×2×2×3で1200万パワー!といったところ。まぁそんなロボ超人はそこまでやってもツノ一本折るのが限界だったわけですが、この場合札幌は1000万パワーもないというところがミソ。2004年の川崎フロンターレならそれくらい行ってそうですけど、反則的な強さを誇った川崎みたいに、下位チームを真っ向から受け止めてなおかつばっさばっさとひねり潰すほどの力は札幌は残念ながら持っていません。その上連戦の疲労もたまっているのに加え、第3クールもそろそろ終わろうかというこの時期に来て、はっきりと「昇格」が見え始めたことで、知らず知らずのうちに昇格争いへのプレッシャーが出てきて、下位には勝って当然、という雰囲気がなおさら「見えない鎖」となって選手の動きを縛っていたのかも知れません。

 ただ、それはそれとしてとにかくよく走る外連味のない愛媛のサッカーは確かに見事なものでした。まぁ去年までの札幌がそのサッカーの内容に一定以上の評価をされていつつも、結局は昇格争いにほとんど絡むことが出来なかったように、愛媛も10位という成績が示すとおり、こういうサッカーが必ずしも「勝てるサッカー」だとは限らないのが現実。言ってみればラン&ガンで優勝できなかった豊玉高校みたいな感じですが、それでも前線に力のあるストライカーが1人いればもう少し上の順位にいてもおかしくないチームだと思います。後半開始直後の同点ゴールも非常に「らしい」得点で、何人もの選手が連動した流れるようなパスワークは的ながらあっぱれというほかありませんでしたね。
 さて愛媛を誉めるのはこれくらいにして、札幌にとっては入り方を間違えてしまったというほかない後半。前述の通りスタメンで砂川と謙伍を使ってしまっており、いつものように彼らの投入によって流れを変えるのは難しい以上、どうしても点を取りに行かなければいけない展開は一番避けなければいけなかったはず。後半15分くらいまでリードの展開が続けばカウエに変えて大塚を入れて逃げ切り体制を取れたでしょうけど、後半開始早々に追いつかれてしまってはその目論見も崩れてしまいます。それだけに最初の交代がカウエに替えて大塚というのは采配ミスと言えなくもありませんが、かといって岡本や大伍を早めに投入したところでリスクは高いでしょう。怖いもの知らずで意外なことをやらかす可能性もある反面、若さゆえの過ちというのも充分考えられるわけで、監督としては、特に戦略家の三浦監督にとっては選択しにくい手ではあります。まぁ大塚もそんなに攻撃がダメというわけではないんですけどね。サイクロンさえなければ。
 それでも24分に交代出場した岡本も、38分にプロデビューを飾った大伍も、それなりにミスもあったとはいえ将来性を感じさせるプレイはしていましたから、まったく収穫がなかったわけではないのですけどね。最後の大伍のヘディングシュートが決まっていたら、ユースの先輩である新居がデビュー戦初ゴールを決めた函館の地で伝説再びだったんですけどね。そこまでうまくは行かなかったというか、ゴール決めたのは愛媛の新井でしたね。

 結局追加点を奪うことが出来ず1-1の引き分け。負けてはいませんが気分的には負けに限りなく近い勝点1でした。

2007年9月18日

なつやすみにっき

9がつ15にち(どようび) あめ

きょうは さっぽろドームに サッカーのしあいをみにいきました。

ドームはたくさんのひとがいましたが、サッカーをみにいったはずなのに、

そこでやっていたのは サッカーではありませんでした。

かなしかったです。

2007年9月19日

長い夜の始まり

2007年Jリーグディビジョン2第28節
徳島ヴォルティス 3-0 コンサドーレ札幌
得点者:札幌/いねえよ
     徳島/片岡、石田2

 第39節が本来であれば15日の仙台戦までお休みだったのですが、台風4号の影響で延期された7月14日第28節の代替試合が入ってしまい、その代替となるのがこの試合。そうでなくても移動だらけのこの連戦の締めくくりが鬼門・四国であるというのは正直かなりのイヤがらせというか、何者かによる陰謀かと思ってしまいますが、そういう不利条件を力強く跳ね返して突き進む、なんてことはちっともないのがコンサドーレ札幌というチーム。今年になってその辺りもだいぶ変わったかと思いましたが、ガルベスが投球の時に舌を出すみたいに、淡口がバットを構えるときに尻を振るみたいに、身についたものはそうそう簡単に拭い去れるものでもないと言うことでしょうか。まったくいいところがなく0-3で完敗してしまいました。

 ということで今季6敗目。同時に、第9節水戸ホーリーホック戦から続いていた連続得点記録も27試合でストップしました。まぁ正直な話、連続得点記録なんて別にそんな躍起になってこだわるような記録でもないんですけどね。もちろん、得点を取るというのは決して簡単なことではないことは重々承知ですし、無得点試合よりは1点でも取れたほうがいいに決まってますけど、連続得点を何試合続けようともそれで昇格が保証されるわけではありませんし、「○連勝」などに比べるといまいち地味な記録ではありますよね。まぁ札幌はそのJリーグ連勝記録も保持してたりするんですが、この27試合連続得点というのも「イチローの216打席連続無三振」みたいに、すごいんだかすごくないんだかいまいちよくわかりません。いや実際すごいことなんでしょうけど、サポーターですら言われるまで気づかないような記録でしたからね。
 なんにしても記録に残るというのはいいことではあるんですけどね。昨季の函館での柏戦での元気のシュートも、「コンサドーレ所属の山口県出身でおとめ座の選手としての最大仰角記録」と思えばすごいことのように思えてきたりは、やっぱりしません。
 しかしながら、ここ2戦の出場停止でそんな元気がいかに重要だったかを証明することになるのですから、わからないものです。開幕以来ほとんどの試合でスタメン出場を果たし、得点力こそ物足りないものの、労をいとわず前線から激しいプレッシャーをかけ、時には中盤まで戻り守備に参加、ポストプレイも去年までとは格段の進歩を見せた元気がいるからこその三浦サッカーなのかもしれません。おちこんだりもしたけれど、私は元気です。
 とはいえ、元気がいれば万事解決という試合だったかといえば決してそういうわけではなく、結局は3点獲られてしまった守備の問題だと思うのですけどね。まぁ2点目のゴールはシュートを打った石田を誉めるしかないですし、前半のPKを決めていればもっと展開は違っていたかも知れませんけど、それでもチーム全体の低調さから見れば、あれが決まっていたとしても勝てていたとは言い切れませんね。シーズン当初ならまだしも、各チームとも札幌の攻略法が浸透していますし、そうでなくても今の札幌に「1点あれば充分」という雰囲気は残念ながら見えません。これが昇格のプレッシャーなのか、それとも単に疲れから来る不調なのかはわかりませんが、いずれにしても「今までは普通に出来ていたこと」が出来なくなっているのは事実。そもそもシーズン当初が単に確変していただけで、今の状態こそが普通なのかもという思いは多少あれども、サポーターとしてはトラウマでボディ打ちが出来なくなっただけで、吹っ切れさえすれば大丈夫ということを信じたいのですがね。

 あとはもうなんか書こうと思えるようなことはありません。夢なら早く覚めて欲しい、そんな初秋の四国での出来事でした。

 しかし、悪夢はまだ終わらないことに、この時のオレはまだ気づいていなかったのでした…。

2007年9月20日

直線500メートル

2007年Jリーグディビジョン2第40節
コンサドーレ札幌 0-1 ベガルタ仙台
得点者:札幌/いないってば
     仙台/また萬代

 前節…じゃなかった、代替試合で徳島に手痛い敗戦を喫した札幌は、束の間のお休みを挟んでようやく札幌に戻っての試合となりました。札幌ドームに3位のベガルタ仙台を迎え撃ってのホームゲームです。この試合から第4クールとなり、長い長いJ2リーグもいよいよ最後の直線に向かうわけですが、その緒戦という以上に重要な意味を持つ試合です。それは相手の仙台が3位につけているからに他ならず、前節終了時点で10の勝点差がある仙台を直接叩けばその差は13。一般的に「安全圏」と言われる「勝点差 > 残り試合数」をクリアすることになり、この時点で自動昇格となる2位以内がほぼ当確となります。逆にこの試合を落とせばその差は7にまで縮まり、一度は死にかけていた仙台をよみがえらせる結果となります。そしてその重要な試合に合わせるかのように、この日はキャパ4万3千人の札幌ドームを満員にしようという「4万人動員プロジェクト」が行われました。まぁ「プロジェクト」と銘打ってはいても、選手数人がローカルテレビ放送に出演してアピールを行ったくらいで、特に大々的なプロモーションを打ったというわけではないのですけどね。優勝争いはしていてもしょせんはJ2のチーム。

        '``・* 。
        |     `*。
       ,。∩      *   ドームが満員になーれ♪
      + (´・ω・`) *。+゚
      `*。 ヽ、  つ *゚*
       `・+。*・' ゚⊃ +゚
       ☆   ∪~ 。*゚
        `・+。*・ ゚

 などと唱えてドームが埋まるくらいなら最初から苦労はしないわけで、当日は朝から激しい雨に見舞われたこともあってかあまり客足も延びず、最終的な入場者数は2万2千人強に留まりました。それでも今季最高の観客動員数ではあるんですが、テレビCMなどをバンバン打ったり、タダ券を2万枚くらい配りまくったり、札幌ドームにSOS団を呼んだりすればもっと動員は伸びたかも知れませんけどね。ドームを満員にしたところで5千万くらい利益が出ればいいほうなのに、見てくれの動員だけでPR費用をたくさんかけてもあまり意味はないと言えますから、現状ではこのあたりが精一杯ということなんでしょうかね。

 それはいいとしても、そういった今季一番多くのお客さんに見てもらった試合で、トンチキなミスで失点した上にろくすっぽチャンスも作れないまま負けるというみったくない様を晒してしまうのですからねぇ。ここまでJ2で勝利をサポーターに見せることが最も多く、負け試合を見せることは最も少なかったチームが札幌なのですが、いくら勝ち数が多かろうと負け数が少なかろうと、こういう試合をものにできなければその価値も半減してしまいます。豪華なムービーと壮大なストーリーを売りにしたRPGで、長い時間かけてラスト近くまで行ったらに主人公が夢オチと言われた時くらいのガッカリ感です。こうなったらインターナショナルと称して完全版を出そうが、続編で女性キャラ増やしてキャラで売ろうが「どーせがっかりなんだろ?」と思われておしまいなんですよ。その上勝てば安全圏内に逃げ込めるという試合も落としてむやみやたらにリーグを盛り上げてしまうのですから、つくづく札幌もお人好しというかなんというか。

 それにしても見所のほとんどないゲームでした。確かにブルーノが出場停止で、カウエも膝を痛めて欠場、ダヴィが急な発熱(馬インフルエンザ)で欠場と、ブラジルトリオが揃って欠場してしまう苦しい布陣ではありましたけど、それでも同じような陣容で望まなければいけなかった試合なんてこれまでいくらでもありましたし、今までは何とかしてきたはず。ダヴィの代わりに入ったイタカレは何をしたいのかよくわからなかったですし、そもそもあんまり動かないので元気がやりにくそうでしたしね。徳島戦の観戦記で元気の不在が敗因のひとつであると書きましたが、仙台戦を見るとそれは必ずしも正しい見方ではなく、要するに「ダヴィと元気が揃ってこそ」ということなのでしょう。2人とも1人でなんでもできるタイプではないですけど、2人とも同じような仕事ができますからね。要するにダヴィができることは元気もできるし、元気ができることはダヴィもできる。まぁ2人揃ってできないこともけっこうあるのですけど、それでもかたっぽしかできずにパターンが偏るよりはずっといいですし、それなりに長く組んできた分のコンビネーションもありますからね。前半で引っ込んだイタカレの代わりに入ってきた謙伍もいまいちパッとしませんでしたし、そもそもこの状態でベンチにも入れない相川はいったい何をやっているんだとかいろいろありますけど、まぁそれはともかくとしてお世辞にも破壊力に満ちているとは言えないFW陣で戦ってきた札幌が、第4クールになろうかというこの期に及んですら曲がりなりにも首位に立てているのは、何よりもセットプレイでの得点によるところが大きかったはず。札幌にとってセットプレイというのは、ネコ型ロボットにおけるどら焼き、屁のつっぱりはいらない人における牛丼、ダッフルコートの少女におけるたい焼き、炎髪灼眼の討ち手におけるメロンパンなどと同様の「切っても切れない関係」だったんですけど、そのセットプレイの切れ味がここのところ湿りがちなのは気になるところです。
 なんにせよ昇格を目指すチームとしてはもっとも避けたかった連敗を喫し、なおかつ連続得点記録が途絶えた後は2試合連続で無得点、それに歩調を合わせるように守備陣もちょっとしたミスで深傷を負うような状態では、こりゃいくらやったって勝てるはずもないわけで、「不調」という言葉で片付けるのは簡単ですけど、実際はそこまで単純な問題でもないでしょうから、監督も頭の痛いところでしょうね。

 ただ、リーグ戦も終盤にさしかかり、プレッシャーや周囲の期待などいろいろなものがのしかかってくるこの時期こそ本当のチーム力が試されると思います。今は確かに苦しいですが、ここを乗り切ってJ1昇格を勝ち取ることができたなら、今年以上に苦戦することが想像に難くないJ1での闘いにおいて、この経験がひとつの財産になるんじゃないかと思います。そう考えればある意味修羅場上等と言えます。泣いても笑ってもあと残り11試合です。まぁね、よくプレッシャーを楽しむなんて言いますけど、楽しもうとして楽しめるような簡単なもんじゃないと思いますし、もし簡単に楽しめるようなものならそれはプレッシャーとは呼ばないような気もしますんで、この状況を楽しめなんて言う気はさらさらないですが、他のチームだって同じようにプレッシャーがかかってるはずなんですし、もうここまで来たら腹をくくって「まぁよりによって最終回が放送中止になるよりかはマシだし」くらいの心境で行ってくれればオッケーだと思いますよ。

2007年9月26日

3連敗

2007年Jリーグディビジョン2第41節
湘南ベルマーレ 3-0 コンサドーレ札幌
得点者:札幌/やっぱりいない
     湘南/原、斉藤、鈴木

湘南戦

 アジエルと望と坂本がいたほうがよかったのかも。

2016年2月

  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29          

アーカイブ