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2007年10月25日

帰ってきたウルトラ警備隊

2007年Jリーグディビジョン2第46節
アビスパ福岡 0-1 コンサドーレ札幌
得点者:札幌/ルーテルおかもっちゃん
     福岡/いません

 前節草津戦でようやく連敗地獄から達した札幌は、今節はアビスパ福岡とのアウェイ戦です。敗れはしたもののセレッソ戦で守備のやり方を思い出し、草津戦で自信を取り戻した札幌にとって、博多の森との福岡戦を制することができれば、その自信が確信に変わると言えるかも知れません。かつては鬼門と言われた博多の森も、ここ数年の成績は(最下位に沈んだ2004年ですら)2勝2敗と悪くないですし、今季もアディショナルタイム男・石井謙伍のゴールで劇的な逆転勝ちを収めた第2クールの試合を含めて福岡にまだ負けていません。とはいえ、同じく負けていなかったセレッソにもさっくり負けましたから過去の対戦成績はあまりアテになるものでもありません。しかも現在7位でもうJ1昇格に後のない福岡はこの札幌戦はどうしても落とせない試合。札幌にとっても、東京ヴェルディ1969が勝点1差とすぐ背後に迫ってきている上、3位のベガルタ仙台が勝点5差、1試合少ない4位京都サンガFCが勝点6差と、こっちが連敗して下のチームが連勝したら途端に昇格圏内からも脱落してしまうという、後ろからのプレッシャー度合いでは券売機の前で財布が見つからない時レベルのせっぱ詰まった状況だけに、落とすわけには行かない試合です。
 しかしながら、前節草津戦で再びポイントMAXとなったトップスコアラーのダヴィが出場停止中。さらには攻撃の起点である西谷が足のケガで欠場。フルシーズン戦ってきた選手だけに、どの選手も程度の差はあれみんなどっかしら痛いところを抱えているものですが、それにしても苦しい布陣です。ちなみにオレはいろいろと趣味的に後ろ暗いところを抱えていますがまったく関係ありません。ダヴィの代わりに石井謙伍が、西谷のポジションには砂川が入り、そしてベンチには久しぶりにルーキー岡本と、これまた久しぶりのイタカレが入りました。

 お互い落とすわけにはいかない試合だけあって、開始からお互いに激しいプレッシャーを掛け合う展開となります。その中で先にペースを掴んだのが札幌。前半7分、自陣深くからのスローインからのクリアボールを拾った征也が、併走するチェッコリをぶっちぎってカウンターを仕掛けクロスを上げるチャンスを演出します。クロスは惜しくも謙伍には合いませんでしたが、いくら相手が足の遅いチェッコリだったとはいえ、さすがに一時期は陸上の選手を目指すことも考えたと言われる俊足の持ち主。これでチェッコリも征也を警戒して容易には上がれなくなる…と思いきや、このプレイでどうやら征也は足の筋肉を痛めてしまった模様。「全力を出すと肉体が耐えきれない」なんて裏設定があるなんて知りませんでしたが、筋肉系のケガだけに無理をさせるわけにも行かず、征也は前半13分に無念の交代。代わりに入ったのはルーキー岡本でした。開幕前のキャンプを見て、いいものを持っているのは感じていましたが、急遽巡ってきたチャンスをキッチリものにするのですから、かつて入団1年目からひょんなことで巡ってきたチャンスで結果を出しチームの中心選手になっていった山瀬や今野らの先輩たちと同じようなものをやはり持っているのかも知れません。岡本が交代で入ってから7分後の前半19分、いきなり任された右サイドからのCKでソダンのドンピシャのヘディングシュートを演出。惜しくもクロスバーに阻まれゴールはなりませんでしたが、その後も独特のリズムのドリブルでするすると突破しシュートを放つなど、ぶいぶい言わせる19歳。そんな19歳に触発されるように快調に攻める札幌は前半23分、ソダンがインターセプトしたボールを岡本が大きく左サイドのスペースに展開、追いついた謙伍が砂川に戻し、砂川が上げたクロスに走り込んでいた岡本が頭で押し込み先制ゴールをゲット。大仕事をやってのけたルーキーを待ち受けていたものは、当然芳賀ラッシュでした。いや、みんなして叩いてましたけどね。ひどい。

 とまぁそんなわけでボールを奪ってからの展開としては素晴らしい形で先制点を奪い、理想的な流れに持っていくことができた札幌は、あとはしっかりと守りながら追加点のチャンスを狙っていけばOK…なんですけど、そこですんなりとはいかないのがここ最近の札幌のようです。2トップの一角に入った謙伍が前半32分と35分と立て続けにイエローカードをもらってしまい、あっという間に退場。札幌は残り55分以上を10人で戦わなければならなくなりました。札幌の守備は前線からのプレスでパスコースを限定させるところから始まるので、その前線が1枚足りなくなった上、アウェイで攻撃力に秀でた福岡を相手に10人で守りきるのはそう簡単なことではありません。
 ただ、とりあえず謙伍がいなくなった時点で1点をリードしているのは幸いでした。これが0-0だったりしたら、たとえ10人でも点を取りにいく必要がありましたけど、「攻めなくていいからとにかく守れ」でいいのであれば、10人でもオノレを取り戻しつつある札幌にとっては何とかならないレベルの注文ではなかったようで、連敗当時はほとんど見られなかった三浦サッカーのミソである「3ライン」がキレイに形成されており、いいパスを出させないことに成功しています。もっとも、最前線は元気1人しかいないので、正確に言えば3ラインではなく「2ライン + 1ドット」って感じなんですけどね。

 後半に突入すると、1人多い福岡は宮本に代え久藤を投入、攻めの駒を増やした福岡の攻撃がますます厳しくなります。福岡にしても負けるわけには行きませんから、戦法の定石として相手のウィークポイントをストロングポイントで攻めるのは当然の理。ずうとるびでいえば江藤くんが狙われるのと同じで、となると守備力という意味ではまだ難のある岡本のいる右サイドを執拗に狙ってくるのは明らかで、実際右サイドを蹂躙されるシーンが多くなります。福岡がそう来るであろうことは当然三浦監督もわかっていたはずですが、本来であれば後半開始時点で専守防衛の策を採ってきたはずが、征也の負傷で前半のうちに既に1つ交代枠を使っていますから、可能な限りは引っ張りたいところだったでしょう。容臺の獅子奮迅のカバーにも助けられ、結局後半15分に岡本は池内と交代。お役ご免となりました。
 で、交代出場の池内が右のサイドバックに入り、右サイドバックだった容臺が1列上がって右のサイドハーフへ。攻撃の駒と言えばもうスナマコしか残っていないわけで、これはもうはっきり「守り切れ」というメッセージ。まぁ池内さんの場合はほっとくと攻撃に行ってしまうのですけど、さすがにここはオーバーラップも自重。池内、ブルーノ、ソダン、西嶋の最終ライン、容臺、大塚、芳賀の中盤を崩そうと思ってもなかなか崩せるものではないでしょう。さらに後半33分には、前線で謙伍の分も駆けずり回った元気に替えてカウエを投入。砂川をトップの位置に上げてさらに逃げ切り体制を整えた札幌は、注文通りに虎の子の1点を守りきりました。

 というわけで、まぁ勝ったからいいんですけど、やっぱり謙伍の退場には思うところはありますね。確かに1枚目の相手にヒジを入れてしまいましたし、2枚目も相手GKアホーガン…じゃなかった神山がキャッチ体勢に入っていたところに突っ込んでいってましたから、「故意かどうかは問わず結果として危ないプレイはカード」という基準だったのであれば、厳しいとは思いますがわからなくもないです。でも、真後ろから足引っかけたり、同じようにヒジの入ったプレイなんて福岡側にもいくらでもあったのに、その全てにお咎めなしというのはやっぱり解せません。もちろん、そんなプレイ全てにカードを出していったら間違いなくノーゲームになるでしょうから、要するにそんなアホな基準は論外ということですし、何より一番頭に来るのは、相変わらず試合後の監督コメントで審判のレフェリングに対する不満・批判があるとJ's GOALだとばっさり検閲されてしまうこと。中立視点ではない監督の立場での審判に対する不満は意味はないのかも知れませんし、別にJリーグやJFAが審判を野放しにしてるわけじゃないのは知ってますが、結果として身内の不祥事を隠蔽するように取れることをやってるようじゃ、選手もサポーターも不信感しか抱かないと思うんですけどね。こういうのはお互いの信頼感で成り立つものなのに、トンチンカン高めてどうするんだって感じですよまったく。

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コメント (1)

2年後輩:

乙です。

お馬さんですが、草津戦は出場してしっかり点も取ってますよ。

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