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2007年11月21日

達成ならず

2007年Jリーグディビジョン2第50節
コンサドーレ札幌 2-2 京都サンガFC
得点者:札幌/岡本、石井
     京都/渡辺、西野

 というわけで「勝てばその時点で昇格決定」という試合となった第50節京都サンガFC戦でしたが、結果から言えば2-2の引き分けで終わり、6年越しの昇格の夢実現は次節以降に持ち越しとなりました。いったんは逆転しながらアディショナルタイムでPKを取られて同点に追いつかれるという何とも残念なパターンではありましたが、これまで「ここで勝てば」という試合で常に何かをやらかしてきたコンサドーレ札幌としては、ある意味当然の試合結果とも言えるかも知れません。逆に言うとここですんなり勝って昇格を決めたとしたら、そんなのはコンサドーレじゃねぇと思います。もっと言えば、次の第51節は札幌の試合はありませんが、3位の京都がベガルタ仙台に負けか引き分けに終わった場合、その瞬間にコンサドーレの2位以内が確定します(3位以下のチームが札幌の勝点を上回ることが出来なくなるため)。ここまで来れば「苦労と辛抱の末に最終節で、その瞬間を待ち望んできたサポーターと共に見事昇格決定!」という展開を期待したいところですが、なにぶん札幌だけに「休みの時に昇格が決まる」というオチになりそうな気もします。まぁ決まれば何でもいいんですけどね。

 というわけで試合。「昇格の瞬間に立ち会いたい」というわかりやすい目的の下、J2降格後最高となる3万2千人の観客が詰めかけた札幌ドームに迎え撃つのは現在3位の京都。J2としては潤沢な資金を背景に豊富な戦力を擁しながらも、期待されていた優勝争いどころか気がつけば7連敗でどん底に沈んでいたはずの東京ヴェルディ1969にも抜かれて3位という体たらくで、この時期に来て美濃部監督が解任されコーチの加藤久氏に交代するという迷走っぷりを見せています。まぁ同じく分厚い戦力を抱えたヴェルディはともかくとしても、おそらく当初は眼中にすら入っていなかったであろう札幌にも水を空けられている状況に甘んじていることをフロントがよしとするはずもありませんが、この試合で勝たないことには地力昇格も危うい京都にとっては、是が非でも負けられない試合。しかし、エースのパウリーニョが怪我か何かは知りませんが欠場とあまり万全ではない模様です。
 しかし万全ではないことに関しては札幌だって負けていません。いや別にそんなところで勝負しなくてもいいんですけど、相変わらず西谷は怪我で別メニューで、征也も出場停止と依然として両翼を欠いたまま。十字靱帯を断裂してしまった大塚も当然出られるはずもありません。左の砂川とボランチ容臺はいつもの通りですが、右サイドに入ったのがなんと西大伍。昇格のかかった重要な試合に、慎重派の印象が強い三浦監督にしては大抜擢です。まぁ肝っ玉が据わってるという点では大舞台においては適任だとは思いますし、若い選手に頼らざるを得ないような選手層でしかないとも言えるわけなんですけどね。それでもサポーターしても若い選手の台頭はうれしい限りと思いますが、同時にこういう場合に名前が出てきてもおかしくないような中堅どころの選手たちは何をしているかという気もします。関とか関とか関とか。

 そんな感じでキックオフ。開始からもう後のない京都に攻め込まれるかと思いきや、意外と攻めてこない京都。札幌はいつもの通りの攻め方なわけですが、京都がそれほどガツガツしてこないのでどちらかというと札幌ペースで試合が進みます。しかし、初スタメンの大伍にはあまりボールが回ってこない上、砂川も相変わらず不調でいつものキレが見られず、攻めることは出来るもののなかなかシュートにまで至りません。前半20分に芳賀のパスからDFラインの裏に抜けたダヴィが珍しく1対1を決めたと思ったらオフサイドだったというシーンが一番惜しかったくらいであまり得点の匂いはしなかったのですが、先制点のチャンスはひょんなところで訪れました。後半25分、砂川からのクロスに合わせに行った元気が後ろから倒されたプレイで、西村主審はPKを宣告。厳密に言えばファウルだと思いますが、たぶん大抵の主審は取らない程度のPKだと思います。というよりは、この程度でPKを取っていたら後から収拾がつかなくなるんじゃないかと、2002年のジェフユナイテッド市原(当時)対ジュビロ磐田戦で、フィスカーさんというデンマーク人の主審が1試合の実に5回のPKを与えたことを思い出しましたが、とにかくPKゲットです。ちなみに「収拾がつかなくなりそう」という予測は後ほど現実になりました。
 とにかく絶好のちゃんを迎えた札幌ですが、しかし次なる問題は誰が蹴るのかということ。今年ペナルティキックを担当していた西谷は欠場しています。現在ピッチ上にいる11人の中で、実績や経験などを鑑みればペナルティキッカーとしてもっとも適任なのは砂川でしょうから、当然砂川が蹴るもんだと思っていたら、ボールをセットしたのはダヴィでした。現在チームのトップスコアラーとはいえ、GKとの1対1を決めたシーンを見たことがないダヴィのこと、究極の1対1であるPKに臨むにあたって

 「あ~…外しそうだな…」

 と思ったのは自分だけではないでしょう。案の定、駆け引きまるで関係ないかのごとく思い切り蹴ったボールは、勢い自体は申し分なかったもののコースがあまく平井にセーブされます。もらいもんに近かったPKとはいえ、絶好の先制点のチャンスをフイにしたことで、「これは先制されるかもな…」という予感がしたのですが、そういう悪い予感はえてして当たるものです。テリーマンの靴ひもみたいに。前半35分、田原のポストプレイから石井俊也がオフサイドギリギリで飛び出し、ゴールライン近くで折り返したボールをファーサイドに詰めていた渡辺大剛が押し込んでゴール。鳥栖戦同様2列目・3列目の飛び出しにまんまとやられた格好となりました。
 ダヴィのPKが決まっていればまだ同点だったのに、1点のビハインドという現実になってしまいましたが、札幌の選手は特に落胆の色は見せず。もしかしたら他の選手も「ダヴィ外すんじゃねぇか」と予感していたのかも知れません。少なくとも画伯は思っていそうですけど。出来れば前半のうちに追いつきたかった札幌は、前半41分に元気が裏に抜け出してシュートを放つチャンスを作り出しますが、ボールがDFに当たって変な回転がかかり、シュートがうまいことイレギュラーバウンドしたにも関わらず、PKを止めて絶好調の平井はその変なバウンドにもきっちり対処し、同点ならずで前半は0-1で終了しました。

 さて厳しい展開となった後半、三浦監督はひとつの賭けに出ました。腰を痛めたらしいソダンと、不調の砂川をあっさりと下げて、池内とルーキー岡本を投入。「点取ってこい」という実にわかりやすいメッセージに応えるかのように、後半開始直後に大伍からのパスを受けた岡本が強烈なミドルシュートを放ちます。勢いといいコースといいほぼ完璧なシュートだったのですが、これまたGK平井が横っ飛びでファインセーブ。正直、このシュートを止められたことで「今日は点が取れないんじゃないか」とちょっと思ったくらいのスーパーセーブでしたが、怖いものなしの若い選手たちにはあまり関係がなかったようで、岡本が入ってやりやすくなったのか、前半に比べて大伍のボールタッチも増え、それに伴い中盤でボールが落ち着くようになります。岡本も大伍もまだまだミスも多いものの、ボール扱いのうまさはさすが。怖いもの知らずというかなんというか、岡本にいたっては、オーバーラップしてきた画伯に「走れやオラ!」というかのごとき鬼パスを出す始末。「そりゃねえだろ…」といわんばかりの画伯の表情が印象的でした。なんだかんだ言って元気な若者に引きずられたのか、トップの元気のボールキープにも冴えが見え始め、札幌が試合を支配する時間が続きますが、それでもなかなか決定的なチャンスを作り出せません。
 かなり攻撃的な布陣にシフトした関係上、カウンターのピンチも何度かあったのですが、GK高木のファインセーブなど守備陣も身体を張り、時には元気までもが守備に参加して追加点を許さず、じっと同点のチャンスをうかがっていた札幌にその瞬間が訪れたのが、三浦監督が画伯を外して謙伍を入れ、さらに攻撃的な陣容を敷いた7分後のことでした。ダヴィがポストになって謙伍に落とし、左サイドを駆け上がってきたフリーの岡本へパス。迷わずダイレクトで放った岡本のシュートは、この試合鉄壁を誇っていた平井の手をかすめて同点ゴールとなりました。
 ようやく追いついた札幌はさらにイケイケムード。その3分後には自陣から池内が奪ったボールを大伍→岡本→謙伍とつなぎ、ペナルティエリアに侵入した謙伍が倒され再びPKを獲得。確かに手を使って止めたとはいえあれをPK取られたらDFやってられないだろうなというレベルの、正直最初のPKよりも遙かに微妙なPKだったのですが、このPKを謙伍自らが強引に決めてついに逆転しました。
 ここからの展開はもう改めて語るまでもないですね。ご存じの通り、「あと数分凌げば悲願の昇格達成」という状況で、ペナルティエリア内でブルーノが相手を倒してしまったとのことでPKを献上し、これを交代で入ってきた西野に決められて追いつかれてしまいました。前述の通り、PKの基準が甘すぎたことで京都にもPKがあるんじゃないかとは思っていましたし、京都もなりふり構ってられない状況ですから何が起こるかわからないと思ってましたので、アディショナルタイムに追いつかれたことよりも、その前の追加点のチャンスを決められなかったことのほうが痛かったです。特に82分のカウンターの場面で得点できなかったのは、こういうことをやってると追いつかれるよという典型例ですね。2対1のカウンターなんて絶好の得点機会なんですけどねぇ。

 とにかく結果としては昇格できませんでしたが、勝点1という最低限の結果は残せたということで、まぁ「お膳立ては整った」ということでしょうかね。亀仙人に「もうちょっとだけ続くんじゃ」と言われたと思えばどうってことありません。

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コメント (2)

元西野住民現神奈川:

残念!しかしコンサらしい結果である意味ホットしてます。
日ハムも連覇できなかった影響か?!スカパ-観てビックリ!サポがわんさか来てる・・思わず札幌在住の現地参戦組に
連絡したらメイン上段までサポ来てるとの事・・これもまた強いもの贔屓の道民根性(笑)タンスで腐ってたユニ着てきたのか沢山いて今日はいいぞ~と思ったらダビPK外し・・しかし引き分け・・できれば最終のホ-ムで昇格をスカパ-観戦ではありますが観てみたい・・現地組友人の話では帰宅時チケット売り場に
人がならんでたとの事・・1年でまたJ2(資金力不足だが)落ちないように福西基金でも作って移籍してもらい出来れば引退した秋田をもう一度SBで・・とマジメに思う次第ですが昇格は間違いないと信じておりますよ神奈川の空から。

野幌侍:

亀仙人に「もうちょっとだけ続くんじゃ」と言われたと思えばどうってことありません。
<ちょっ!それなんて残留フラグ(爆)?
本家はそれから何年続いたのかと小一時間(r)

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