2008年Jリーグディビジョン1第1節
鹿島アントラーズ 4-0 コンサドーレ札幌
得点者:札幌/いません
鹿島/新井場×2、マルキーニョス、佐々木
今日はこのくらいで勘弁してやる。
6年ぶりにJ1の部隊に戻ってきたコンサドーレ札幌は、鹿島アントラーズとのアウェイゲームで開幕を迎えました。
相手はゼロックススーパーカップで大岩、岩政が退場し、この試合は2人とも出場停止。レギュラーCBを2枚が丸ごといないのはこちらにとっては有利…と思ってしまいがちですが、とはいえそれ以外は純然たるJ1王者仕様の鹿島とのアウェイ戦に臨むにあたり、札幌は新助っ人のノナトと天空の覇者・ソダン、左サイドでチャンスメイクのできる西谷、そして守護神高木が怪我で欠場、合流したばかりのクライトンもさすがにサブメンバーで、スタメンはGK優也、DFは西嶋、坪内、平岡、容臺、MF砂川、芳賀、マーカス、大伍、FWにダヴィと元気と、J2王者仕様にすら程遠い構成。鹿島でいえばマルキーニョスと岩政と曽ヶ端と本山がおらず、つい数日前に小笠原が帰ってきましたという状況でミランあたりと戦うようなもの、と考えていただければわかりやすいでしょうか。しかも件のゼロックススーパーカップでの判定が、その正誤はともかく鹿島に着けなくてもいい火を着けたであろうことは間違いなく、ホームでの開幕戦で手を抜いてくる可能性は万に一つもなくなってしまいました。いわば「母ちゃんに怒られたジャイアンが腹いせにのび太を殴る」図式そのまんまです。本物ののび太であればドラえもんが助けてくれたりもしますけど、残念なことに今の札幌にはドラえもんはいません。ドラえもんみたいな体型の選手ならいなくもないですけど、どっちにしろ怪我してますしね。
そんなわけですから、結果の0-4というのもまぁ予想の範囲内ではありました。まぁロスタイムのセルフジャッジによる失点はいただけないですけど、実際問題、今季のコンサドーレの目標はJ1残留であり、つまりそれは15位になれば及第点なわけで、強豪チームから勝点を獲ることを求めているわけではありません。勝負に100%はない以上、どこが相手だってそりゃあ勝ちたいですし、勝点が獲れればそれに越したことはありませんが、それよりもこの試合は「自分たちの立ち位置を確認する」ことが目的だったと思います。J1王者相手にどこが通用してどこが通用しないか、結果よりも内容を冷静に判断する必要があると思います。
で、結果から言えば、大敗の中にもそれなりの収穫はあったように思います。一つは、前半はキャンプから取り組んできた「ラインを上げる」守備がある程度通用したこと、そしてスカウティングの有効性でしょうか。最終的には地力の差で押しつぶされはしましたけど、曲がりなりにも前半を0-0で終えることができたのは、たとえ鹿島が様子見モードだったことが関係してるにせよ、どうしようもないほどつけいるスキもなかったわけでもない、と言えるのではないかと思います。課題だった「上げたラインの裏のケア」についても、少なくとも前半は大きな破綻は見られませんでした。最初の小笠原のPKを優也が止めたのもスカウティングのおかけだそうで。あと個人レベルで言えば、その優也もこれといったミスは見られなかったですし、既にJ1での実績のあるクライトンは別としても、ダヴィがJ1でもそこそこはやれそうということがわかったのは収穫でしょうか。鹿島の守備陣が「…何がなんだかわからない…」というような感じで対応していましたけど、上手いのか下手なのか、速いのか遅いのか、強いのか弱いのかなんて、1年間見てきたサポーターにすら「めんこい」以外はよくわからないのですから、初めてマッチアップした相手の選手にわかるはずもないでしょうね。もっとも、そんなダヴィも1点獲られたあとは気ばっかり焦ってあまり有効なプレイができていなかったのも事実ですが。なんとかしようというのはいいのですけど、ああいう入れ込んだダヴィは得てして結果を残せないですよね。ブリンカーでも着けるのがいいのでしょうか。
もちろんそれ以上にキャンプから修正されていないままの課題も多かったのもまた事実なんですけどね。パスミスが多いこと、中盤でのタメがさっぱりくんなのはキャンプと変わってませんでした。中盤にクライトンが入ればある程度は何とかなるかも知れませんけど、西、征也、岡本といった若手がほとんど何もさせてもらえなかったことも含めて攻撃面での課題でしょうかね。まぁ彼らについてはあまり心配はしていませんけど、残念だったのが大伍の小悪魔スマイルが新井場には効かなかったあたり、新井場くんの趣味は一般の人とは違うのかも知れませんね。
守備面でも、坪内も平岡もラインキープはともかく対人の弱さは相手が鹿島の攻撃陣ということを割り引いたとしても軽いプレイもけっこう目に付きましたし、マーカスも攻撃にはさっぱり期待はしてませんが守備ではもう少し身体を張れてたはずなんですけど。水原戦では名前同様にやたらと長い足でガツガツ止めてましたし…。キャンプでのテストマッチで少し自信を失ってるのかも知れません。
いずれにしても札幌がこの先求められるのは、J1上位が予想されるチームにやられてしまうのはまぁ仕方がないとしても、残留争いのライバルと目されるチームとの対戦でいかに勝点を獲れるか、または勝点を与えないかということになるでしょう。そのために課題は課題としてしっかり修正させていってもらうとして、ただ単に「0-4でひねり潰されました」で終わらせるのではなく、鹿島にやれることは他のJ1チームにだってやれると言えますし、鹿島にやられたことを修正していけば少なくとも鹿島より力の劣るチーム相手にやられることは減るでしょう(まぁ鹿島クラスのチームもいっぱいあるわけですが)。あとはせっかく景気よく負けたんですから、他のチームに「やっぱり札幌は安牌だな!」などと思わせるべく「いじめてくん」的な雰囲気を醸し出して相手を爆発に巻き込むのがモアベターかと思います。