2008年Jリーグナビスコカップ予選リーグ第3節
ジェフユナイテッド市原千葉 0-0 コンサドーレ札幌
得点者:札幌/ひみつ
千葉/ひみつ
川崎フロンターレの場合は「蘇我のイルカ」ということですね。
先週末で第6節までを消化したリーグ戦はいったん中断し、4月16日はヤマザキナビスコカップの予選リーグ第3節が行われました。といっても次の第7節は今週末なので、中断というよりは無理矢理当てはめたという感じではありますが、Cグループ2位につけているコンサドーレ札幌は、首位のジェフユナイテッド市原千葉とのアウェイ戦に臨みました。
最下位とブービーのチームは自動的に落第、下から3番目のチームには追試が待っているリーグ戦とは異なり、ナビスコカップはたとえ最下位で予選リーグ落ちしたところで特にペナルティがあるわけでもない上、全Jリーグが対象だったかつてと違って今はJ1限定の大会なので、天皇杯のように下のカテゴリのチームに負けて指差されて笑われるようなこともありません。大会で活躍した「開幕時点で満23歳以下の選手」に対して記者投票によって選ばれる「ニューヒーロー賞」という、どうしてもとってつけた感を拭うことのできない名前の賞が存在しているように、もともと大会の位置づけとしては若手選手の登竜門みたいな意味合いも強いため、最初から三冠を視野に入れてるようなチームはともかく、リーグ戦に全力集中せざるをえないチームにとってはどうしても優先度は低くなりがちで、ほっといたらホントにサテライトチームを出してきたりするチームが出てきて、それだと大会権威とか注目度とか大人の事情とかいろいろ不都合があるため、一応「ベストメンバー規程」なるものが存在します。まぁ要するに「あんまり極端なことすんな」ってことなんですけど、それでも各チームの意識がまちまちであることは否めません。
で、今はリーグで降格圏外の14位にいるとはいえ降格候補一番人気の札幌にとっては、ここで消耗してリーグ戦に影響が出てもらっては困るわけで、ましてや中2日の試合で怪我でもされたらへのへのかっぱどころの話じゃないですから、できれば主力は休ませてあげたいのがサポーターとしての正直なところ。この日のスタメンも磐田戦から6人が入れ替わりましたが、一番休ませたかったダヴィとクライトンは揃って出場。三浦監督の頭の中には「変な負け方をして磐田に勝った流れを止めたくない」というのもあったようですし、実際第3節のアウェイ柏戦でリーグ戦初勝利を挙げることが出来たのも、その直前に行われたナビスコカップ川崎フロンターレ戦で今季初勝利を飾ったことと無関係ではないでしょうからね。それに、現在予選リーグ2位につける札幌にとって、決勝トーナメントに進むチャンスをみすみす逃すのももったいない気もしますし、他のチームがそんなに気合いを入れてこないのであれば、空気読まずにはっちゃきこくのもいいかもしれません。賞金の出るベスト4はちょっと遠いかも知れませんけど、ホームゲームが増えればそのぶん収入も増すわけですから、それらを考慮しての助っ人起用なのでしょう。もっとも、「単にこの2人がいないと話にならないから」という可能性のほうが高いような気もしますけど。
さて、試合会場であるジェフユナイテッド市原千葉のホームスタジアム・フクダ電子アリーナは、リーグ戦・カップ戦を通じて札幌が試合をするのは初めて。ただし天皇杯では過去3試合を戦っており、PK戦含むその全てで勝利とアウェイでは数少ない相性のいいスタジアムです。その天皇杯アルビレックス新潟戦で見るもの全てを唖然とさせた佐藤優也がGKで、DFラインは右から池内、曽田、吉弘、坪内、ダブルボランチにディビットソン純マーカスと鄭容臺、サイドハーフは右が岡本で左が今季初スタメンの西谷、2トップにダヴィとクライトンという布陣。
ホームの千葉はナビスコカップの予選リーグこそ得失点差で札幌を上回っての首位ですが、リーグ戦は未勝利で17位と低迷中。原因は主力の大量移籍に加えて、残った数少ない選手も怪我で出遅れてしまったためですが、ここに来てようやく怪我人も復帰し始めています。その中でも個人的な注目はやはり新居辰基。このサイトをご覧のかたにはもはや説明の必要はないかも知れませんが、かつて札幌ユースでぶいぶい言わせ、昇格しデビュー戦で初ゴール。このサイトのドメインの由来でもある「キングオブ札幌」としてチームを背負うことを期待されながらバカなことをしでかして解雇されてしまいましたが、その後立ち直ってサガン鳥栖に加入すると、「キングオブ有明」として2年で40ゴールもふんだくって、昨シーズン千葉に移籍。初年度は途中出場が多いながら5ゴールを上げ、今季は「キングオブ房総」として君臨しようとした矢先に怪我をしてしまい、前の試合でようやく戦列に復帰しています。そのジェフのメンバーはGK岡本、DFは右から益山、斎藤、ボスナー、ダブルボランチに下村と米倉、巻の1トップに馬場とフルゴビッチの2シャドウという布陣。
いねえじゃん、新居。
実は札幌を退団してから直に新居を見るのはこの試合が初めてだったのでちょっと…というかけっこう楽しみにしていたのですが、残念ながら新居はベンチ。怪我明けでコンディションもまだまだでしょうからしかたないんでしょうけどね。コンサドーレサポーターとしてはまぁいてくれないほうが楽なんですけど。少なくとも巻よりよっぽど怖いし。
そんなわけでキックオフですが、予想に反して西谷を中心に軽快に攻め込む札幌。ジェフはさすがにリーグ戦で低迷しているだけあっていまいちパッとしません。DFラインを統率していると思われるボスナーが低めのラインが好きなのか、ラインは中途半端に間延びしている上、フルゴビッチが引いてボールを受けることが多いため1トップの巻が孤立しがで攻撃もほとんど形になりません。しかし札幌も攻めているようには見えても、とりあえずまずは失点をしないことが優先なのか、磐田戦ではがんがん上がってきていたサイドバックもあまり上がってこず、サイドの攻撃に厚みが出ません。マーカスと容臺のボランチコンビは守備はともかく攻撃を期待するのはリックドム12機を3分で墜とせとガンタンクに言うようなもんですし、西谷はともかく岡本に1人で何とかしてこいというのは酷ってものです。そんな感じですからあとは(いつものように)クライトンとダヴィに頼るほかないわけですけど、その頼みの2人も疲労気味で身体が動かないのか手抜きをしてるのかは判断尽きかねますが、とにかく磐田戦の文字通り奇人…いや鬼神のようなプレイには程遠い状態。前半けっこう多かったセットプレイのチャンスでも、クライトンのキック精度がいまいちで惜しい形すら作れません。
まぁそんなこんなで自分たちのパスミスや連携ミスでボールを失い、その失ったボールが相手のパスミスや連携ミスで戻ってくるといういかにもリーグ戦下位同士の対戦という感じの内容。「こんなチーム相手に負けるわけにはいかない」とたぶんお互いのサポーターがそう思ったことと思います。というわけでどっちも数少ないチャンスで惜しげもなく枠を外す太っ腹なところを見せつつ前半終了。
さて後半。中2日でのアウェイ戦、さらに土曜日にはリーグでのアウェイ神戸戦が控えている以上、札幌にとっては残り45分をとりあえず守りきって0-0で終えたとしても及第点と言えます。しかしここで勝点3を奪えれば札幌が首位に立ち、グループリーグ突破に大きく前進することになります。前半の内容的にはどっちにも勝利が転がってくる可能性があっただけに、勝ちに行くのか、それとも負けないことを優先するのか微妙な感じですが、是が非でも勝たなければいけない試合ではないですし、前半はいろんなところから時たま繰り出されるびっくりどっきりパスや、池内の「やっちゃいけない場所でドリブル突破しようとしてものの見事に失敗して相手を引きずり倒してカードもらったでござるの巻」とかはともかく、全体的なバランスとしてはさほど悪くはなかったですから、とりあえずポジションはいじらずに元気な選手を入れてあわよくば得点を奪おうという算段だったと思います。そんなわけで岡本に代えて砂川を投入したわけですが、思った通り前半から飛ばしていた西谷の電池が赤ランプになったのを始めとして札幌の選手のプレスもなかなかかからなくなり、千葉に攻め込まれるシーンが続きます。札幌はクリアするのが精一杯というシーンが増え、破られるのは時間の問題かも知れない…という時に打たれた谷澤の鋭いミドルシュートで一瞬やられたと思ったのですが、この最大のピンチも優也が左手一本でファインセーブ。優也はこれ以外にもファーへのボールに飛び出して触れないとか、ハイボールの怪しいキャッチングなどのおなじみのシーンがほとんど見られませんでしたし、どうやらフクアリは優也にとって能力が4倍になる時空らしいです。いつもならどうやっても味方のところには行かないはずのパントキックですら、鋭いカウンターの起点になったくらいですから。実はミスキックっぽかったのは黙っていることにしましょう。
札幌のチャンスはといえば、西谷のパスからダヴィが豪快に枠をぶっぱずした(右足)のと、右サイドで作ってフリーの西谷がシュートを打って相手に当たったのが記憶にあるくらい。というか、枠に飛んで得点の可能性がありそうだったシュートって両チーム含めて例の谷澤のシュートだけだったような気がします。結局0-0のまま試合終了。まぁ中2日のアウェイで勝点1は、札幌にとっては悪くない結果といったところでしょうか。
で、新居。後半24分に今季FC東京から移籍しこの日スタメンで出場していた馬場憂太との交代で登場。実はこの2人、2001年の日本クラブユース選手権の決勝で戦っています。その決勝で2ゴールを挙げMVPとなったのが馬場で、MIPを獲得したのが新居でした。大会得点王も分け合っているその2人が、ユース時代とは別の同じチームで戦っていることに、ちょっとばかし複雑な思いがありました。ちなみにその時の東京ユースには尾亦弘友希や梶山陽平がいて、札幌ユースには鈴木智樹がいました。
話がちょっとそれましたが、途中出場した新居は、入って2分後にいきなりイエローをゲット。たぶん生来と思われる負けず嫌いはそのまま気性の荒さに現れているのをこちとらヤツが高校生の時代から見ているわけですから、技術やフィジカルは札幌時代に比べて格段に進歩しましたが、中身は1ミリたりとも変わっちゃいないということなんでしょうか。試合終了間際に札幌のゴール近くで千葉の選手と札幌の選手がなにやら悶着があって、千葉のほうが新居だとわかって時は「ああやっぱり」としか思わなかったのですが、さて札幌のほうはといえば…止めに入った吉田主審に引きはがされその場を離れていくのは背番号5。なんだ池内じゃん。ああ、当別王者決定戦だったんですね。別に止める必要なかったのに。この試合は地上波はもちろん衛星放送ですら中継がなかったのですけど、もしあったらお互いの両親が同じテレビで一緒に見ていたかもしれない世紀の一戦の結果は、どうやらヒジ打ちで池内の勝利だったようです。ちなみに第2ラウンドは5月25日、函館千代台で開催予定です。
まぁそんなわけでゴールも生まれず、はっきり言ってしまえばショッパい試合だったのですが、この当別王者決定戦に加えてキャプテンマークを巻いていたのが札幌はソダンで千葉はこれまた札幌出身の下村と、ある意味北海道サンクスマッチで道産子にとっては割と楽しい試合でした。
コメント (3)
千葉は3-2-2-1って戦力温存しすぎですね
投稿者: とおりすがり | 2008年4月18日 08:13
日時: 2008年4月18日 08:13
自分は「蘇我毛人」派なので、タイトルが一瞬読めませんでした。
わたしが王子をあそこまで追いつめたのか!
来季の「蘇我馬子」の実現を目指し、リーグ戦で追いつめたいが、はたして。
投稿者: はかたん1号 | 2008年4月18日 08:39
日時: 2008年4月18日 08:39
「当別王者決定戦」ばかうけです。
ちなみに元チーム得点王の父上にはお世話になってます。
投稿者: 当別の隣から | 2008年4月19日 00:27
日時: 2008年4月19日 00:27