2008年Jリーグディビジョン1第12節
大宮アルディージャ 1-2 コンサドーレ札幌
得点者:札幌/助っ人×2
大宮/切り札
4試合でできれば勝点6、せめて4は取っておきたいと思っていたゴールデンウィークシリーズは、ふたを開けてみれば勝点4はおろかただの1も獲得できないという、黄金週間ならぬ呆然週間といった感じの札幌は、中3日でアウェイでの大宮アルディージャとの試合を迎えました。相手の大宮は昨季は15位とぎりぎりで降格争いを回避したチームで、昨季のチーム総得点は札幌の持っていた最速記録を塗り替えて降格した横浜FCに次いでリーグで2番目に少ない24得点と、札幌と同様攻撃力に難を抱えるチームでした。J1に昇格した2005年、その翌年の2006年とも似たような傾向だったことを考えれば、残留争いのライバルとなるであろうと思っていたのですが、ところが札幌がキレイに黒い星を並べていくのを後目にゴールデンウィークシリーズでは鹿島に引き分け、ガンバにアウェイで競り勝ち、東京には完敗を喫したものの横浜Fマリノスにアウェイで引き分けと、強豪相手の連戦でも地道に勝点を積み重ね前節までの順位は8位。「裏切り者!」などと理不尽な罵声を浴びせたところで既にその背中は遠く…というかその前に勝手にお仲間意識を持ってんじゃねぇと言われそうですが、とにかくいつのまにかすっかりJ1チームになってしまったのですね。
さて、大宮アルディージャのホームスタジアムはJFL時代から使用していた大宮公園サッカー場ですが、このスタジアムは収容観客数が12,500人とJ1基準である15,000人収容という条件を満たしていない上、この12,500人というのもあくまでコンクリート席などに隙間なく人間を詰め込んだ場合の「公称」です。とはいえ、実際にはぎゅうぎゅう詰めにしたとしても10,000人も入らず、アメリカ人がよくやる「電話ボックスに何人入ることができるか」という心底おバカな競技みたいにするか、あるいは昔あった清水○彦監督のFlashのネタみたいに二人羽織でもやってたこ焼きを目で食べたりしない限りは(あれオモロかったんですけどジョンランスキーさんどこに行かれちゃったんでしょうね)どうやっても12,500人は無理なのは公然の事実でしたし、そもそも施設自体オープンが1960年ともう半世紀近く前で老朽化も目立っていたため、観客席の増築を含む全面的な改修が施されることになりました。一時はスタジアムがなくなるという話もあったくらいで、それがここまでこぎ着けたのはこのあたりは大宮サポーターや旧大宮市の住民の方々、及びさいたま市の並々ならぬ努力があったのだろうと思いますが、個人的にもこのスタジアムは自分が初めてコンサドーレ札幌を生で見た(試合自体はガッカリな内容でしたけど)り、アルディ君に「リス」コールを浴びせたりといろいろ思い出深い場所ですので、こういう形で生まれ変わってくれてうれしいです。ともかく約1年半以上の工事期間を経て最大収容人数15,500人のスタジアムとして生まれ変わった大宮公園サッカー場は、同時に地元埼玉のFM局である「NACK5」がネーミングライツを獲得、「ナックファイブスタジアム大宮」という名称となっています。ちなみにスタジアムの改修が終了したのは2007年の暮れ。大宮が既にJ1だった頃、札幌はまだJ2でした。父さんは胸やけで、母さんはしもやけだった。わっかるかな~、わっかんねぇだろうな~。
まぁそれはともかく、札幌にとって大宮とは三浦監督のもとでJ1昇格を果たした2004年以来の対戦で、もちろん今季から本格的に使用されたこのNACK5スタジアムで札幌が試合を行うのは初めて。昨季から札幌の指揮を執る三浦監督にとってもこの試合が初めての古巣との対決となり、2006年を最後に大宮の監督を退いた三浦監督も改修後初めてここを訪れます。
その三浦監督はここ数試合FWで使っていたクライトンを中盤に下げ、ルーキー宮澤をスタメンで起用。前節ヴェルディ戦でスタメンを外れた柴田をスタメンに戻して、右サイドバックに平岡、累積警告で出場停止の坪内の替わりに池内が左サイドバックに入り、両サイドは左に大伍、右に砂川。怪我や出場停止で欠場者が多い現状ベストと思われる布陣となりました。
さてさてそのせいか札幌は出だしから快調に攻め込みます。京都戦、ヴェルディ戦と前半まったくシュートが打てなかったのがウソのように開始早々にダヴィが右足でシュートを放つと、その後もダヴィや宮澤が次々とチャンスを作り出します。クライトンが中盤にいるとボールが落ち着くからなのか、それとも普段はスーツの三浦監督が珍しくジャージで指揮を執っていたからなのか、選手の動き出しも良くボールも良く回ります。守備面でも前線からのプレスで相手のミスを誘い、またここ数戦は特によく見られたラインの乱れもなく危ないシーンはほとんど見られません。なんか札幌じゃないみたいです。
とはいえ、攻め込んではそれなりにチャンスを作ってはいたものの、肝心のゴールを割ることができず。うまく行っているとはいえ90分の間には大宮にペースを握られる時間も出てくるでしょうから、自分たちのペースの時に点を取っておかないとあとあとつらくなるだけに是が非でも先制しておきたいと思っていたところ、前半18分にCKからクライトンの蹴ったボールにドンピシャで合わせたのが、そう、オウン=ゴール選手でした。世界中の至る所の試合でハヤテのように現れてハヤテのように去っていく魅惑の助っ人の出現で札幌が先制します。その後も札幌の勢いは衰えず、ピンチらしいピンチといえばペナルティエリアすぐ手前で相手にフリーキックを与えた(もちろん池内が)くらいで、今季初めてと言っていいほど安心して見ていられる内容で前半を1-0で終了します。
後半はホームの大宮が攻め込んでくる展開が予想され、相手の時間が多くなってくるであろうことからも、できれば前半のうちに追加点を取っておきたいところでした。ただ相手に攻められるのはいつものことですし、前半の出来から考えれば不測の事態、たとえばエースストライカーが相手DFに頭突きをかまして一発退場したり、右ストレートを叩き込んで一発退場したり、変なイエローをもらって肩をすくめた守護神に2枚目が出て準一発退場したり、ええいああ君からもらい泣きしたり、そんなことが起こらない限りはそう簡単に崩れることはないだろうと思っていたのですが、前半は何となく哀しそうな顔でタイミングのよい攻め上がりを見せ、また何となく哀しそうな顔で相手のサイドアタックを食い止めていた平岡が後半開始早々に足を痛めて負傷交代したのが意外なところでそのトリガーとなってしまったようで、ここから前半とはまるで逆の完全な大宮ペースとなります。ジオン軍で言えばレビルに逃げられたあたりでしょうか。まぁ平岡がいなくなったことそのものが要因というよりは、ゴールデンウィークシリーズの連戦が終わったとはいえ中3日でのアウェイ戦、前半快調に行き過ぎたことで気づかなかった「疲労」に、平岡の退場を契機にみんな気づいてしまったと言った感じでしょうかね。とにかく追いつかれるのも時間の問題かも知れないなどと思われながらも何とかはじき返してきたのですが、ついに後半24分にオフサイドのとりそこねから冨田の折り返しを交代で入ってきたばかりの森田に決められ追いつかれてしまいました。
もはや体力はすっからかんの札幌にとって、再び突き放すチャンスを作り出せることはそう多くないでしょう。札幌は4連敗中だけに引き分けでもいいと思ってもおかしくはないですし、事実自分もせめて引き分けには持ち込みたいと思っておりました。しかし、三浦監督はそうではなかったようでした。平岡の負傷で交代枠を1つ使っている上、高卒ルーキーの宮澤をスタメンで使った以上、交代枠の1つはそこで使わざるを得ませんし、実際同点にされる5分前にその宮澤に代えて藤田征也を入れています。つまり三浦監督に残された戦術的な交代枠はたった1つしかなかったということですが、その交代枠で使ったのは守備的なマーカスではなく、どちらかといえば守備のあまり得意なほうではない西谷でした。これは紛れもなく「点を取ってこい」というメッセージでしょう。監督はコーチ時代も含め都合6シーズンを過ごした古巣に、どうしても勝ちたかったのでしょうね。
そしてその監督の強い意志に答えるかのように、引き分け濃厚かと思われた後半40分、コーナーキックからダヴィがニアで合わせてファーに流れたボールに柴田が身体を投げ出して折り返し、そのボールを再びダヴィがぎりぎりのところでゴールに叩き込みました。後半ほとんど唯一と言ってもいいチャンスをモノにした札幌が再び大宮を突き放します。
冷たい雨が降りしきる中、残り時間の大宮の猛攻も何とか凌いで久しぶりに勝点3を得た札幌。そういえば今季リーグ戦初勝利を上げた柏レイソル戦も雨中での試合でした。雨が降れば勝てると言うべきか、それとも雨が降らないと勝てないと言うべきかはわかりませんが、なんとか勝点を二桁に乗せることが出来ました。
コメント (2)
ずいぶん前から、コラムライターの一人であったときから
やぎょうさんのファンでした。
いつも楽しませてもらってます、ありがとうです。
で、大宮との対戦は敗戦必至と思われていたのに、
そう、勝利!のできすぎ君。
嬉しくて嬉しくて、勝利の瞬間、歩道に立ち止まって万歳
までしてしまった。
久々にゆったり気分の週末を過ごせた。
そして朗らかな月曜日を迎えられる幸せ・・・・です!!
ホント久しぶりです。
けど、降らなきゃ勝てない変体体質はご勘弁を!
投稿者: 入江の住民 | 2008年5月14日 23:58
日時: 2008年5月14日 23:58
どうむにあめはなし
投稿者: コルドンブルー | 2008年5月19日 08:37
日時: 2008年5月19日 08:37