2008年Jリーグディビジョン1第18節
コンサドーレ札幌 1-1 ヴィッセル神戸
得点者:札幌/ダヴィ
神戸/ボッティ
J1リーグも今節から折り返しに入ります。つまり試合も残り半分となったということ。未だ降格圏内の17位に留まっている札幌にとっては、タイムリミットが刻一刻と近づいているということでもあります。まだ半分あるとはいえあまりのんびりもしていられないですから、何とかして少しでも上の順位を目指さなければいけません。聖戦です。テイセンはボウリング場です。
そんなわけで後半戦の緒戦の相手はヴィッセル神戸。前半戦…思わず「第1クール」と言ってしまいそうになりますが前半戦のアウェイゲームでは、ダヴィの必殺ひづめシュートが炸裂して先制するも、その後石櫃のものすごいミドルシュートを突き刺され引き分けに終わっています。神戸に雨あられのような猛攻を仕掛けられていたことを考えれば負けなかっただけ上出来ではありますが、聖地厚別でのホームゲームとなるこの試合、神戸はその石櫃が遠征メンバーには加わっていたものの、試合開始前に怪我をして急遽欠場。石櫃のごつそうな見た目通りの強烈なシュート力はもちろん、ごつそうな見た目とは裏腹な中距離からの繊細な精度のクロスボールは神戸にとって大きな武器だっただけに、彼がいないことは神戸にとっては大きなマイナスでしょう。札幌は引き続き欠場となったアンデルソンをはじめ怪我人は多く、大分戦と同様にFWはダヴィとクライトンの2トップ。サイドハーフは右に征也と左に元気、ボランチは大伍と芳賀主将、DFラインは右から平岡、箕輪、西澤画伯、ガッツゥーボこと坪内、そしてGKは高木と、要するに大分戦と同じメンバーです。
そんなわけで試合開始なんですが、立ち上がりからろくすっぽ攻撃の形にならない札幌。もともと中盤を経由してゲームを組み立てるなんてこれっぽっちも考えていないチームではありますが、そうは言っても中盤抜いてサッカーが出来るかと言われればそういうわけでは決してなく、かといって札幌の場合は中盤入れてサッカーが出来るかと言われればそういうわけでは決してなかったりもするわけです。左サイドハーフの元気は身体を張れる選手ですし、守備の意識も高いのですが、サイドアタッカーという意味ではどうしても物足りなさは否めないですし、右の征也もここに来てようやくJ1でのプレイに慣れてきたとはいえもともとドリブラーではないですし、それだけの選手じゃないと個人的には思ってるのですが、とにかく現時点では使われて初めて生きる選手。ボランチの芳賀も潰しはともかくゲームメイクは苦手で、大伍もボール扱いそのものはうまいのですが視野が狭いのか何でもないパスをミスすることが多く、要するに中盤でボールを持って前線や左右にパスを配球できる人が誰一人としていやしないわけですから、組み立てようと思っても組み立てられないというのが本音。中盤で唯一ボールを持てるのがFWに入っているクライトンなんですけど、これまでも言われているとおりあまり守備は得意ではないため、守備に主眼を置くのであればボランチの位置で使いにくいということなんでしょう。それはわかるんですど、やっぱりクライトンは前を向いてボールを持ってなんぼの選手ですし、ヴェルディ戦みたいにぶち切れてオラオラモードに入った時は別ですけど、基本さほどシュート意識の高い選手ではありません。ダヴィとの2トップは確かに見た目の迫力は充分なんですけど、それが攻撃に有効に作用してるかと言えばそうでもないというのが本音。
まぁ、とりあえず何とか堪え忍びつつセットプレイで点を取る、という戦略それ自体は間違いではないんですけど、それでも点を取られる時は取られるもので、前半22分、レアンドロのシュートがボッティに当たってコースが変わり、そのままゴールインしてしまうというアンラッキーな失点で先制を許してしまいました。
ホームでリードされてしまった札幌は、風下ということもあって相変わらず攻撃の形すら作れません。虎穴に入らずんば虎児を得ずと言うように、攻められないってことはセットプレイのチャンスもそうそう得られないわけで、セットプレイのない札幌なんてシンデレラハネムーンを歌わない岩崎宏美みたいなもの。神戸の拙攻もあり追加点こそ許さなかったものの、それにしても全く得点の予感もしないまま終わるかと思われた前半終了間際、ようやくペナルティエリアやや手前という絶好の位置で直接フリーキックのチャンスを得ます。
しかし、位置はよくても何しろ直接蹴れる人がいないのもまた札幌。クライトンも人に合わせるのはうまいが直接入れるのはあまり得意ではないですし、ガンバ大阪戦で一本いいフリーキックを打ったアンデルソンは怪我でいません。一番可能性のあるのが上里一将ですけど彼もベンチにいますし、砂川さんもベンチだし、それ以前にスナさんの場合確実に壁当てしますし。そういえばよく考えてみたらフリーキックを直接ゴールにねじ込んだ人ってフッキ以来いないような。そんなわけでだいたいいつも「もしかしたら」という期待を2%くらいしてやっぱりダメだったというのがパターンなのですが、果たして今回もクライトンの蹴ったボールはクロスバーの上をイスタンブールまで飛んでいき、チャンス潰えたかと思いましたが、なにやら登場主審がペナルティスポットを指差しています。え? PK? PKですか?
スローで見ると、どうやらキムナミルがクライトンのボールを手でブロックしてしまった模様。手を上に挙げてしまった以上、故意じゃないという言い訳は効かないですね。まして愛じゃない。風が吹くたび気分も揺れる年頃なもんで、立派にPKですね。ブロックなんてしなくても入ってなかったと思いますけど。
さて、望外のPKを得たはいいけど、じゃあ問題は誰が蹴るのかと。普通に考えればクライトンですが、彼もマリノス戦で1回外していますし、ユースでPKキッカーだった征也かなぁと思っていたら、ボールの近くには蹴る気マンマンのダヴィ。ダヴィのPKといえば、昨季昇格のかかった京都サンガFC戦で思いっきりコースを読まれて失敗したことが昨日のことのように思い出されます。ヤバい。入る気がしねぇ。
しかし、おそらくサポーターの誰もが心底祈りながら見守る中、今度はちゃんと決めました。思った通りドンピシャにコースを読まれてましたけどね。とにかく札幌は1-1に追いつき、理想的な形で前半を終えました。
追いつきはしたもののほとんどいいところがなかった前半でしたが、それでも風上となる後半に札幌の巻き返しを期待したいところ。その通り少しは流れをつかみ始めたかなと思い始めた後半10分、ペナルティエリアの外に飛び出して手を使ってしまったぎーさんが一発退場。一転して数的不利に陥ってしまいます。
さてGKが退場したとなると、だいたいはFWのどちらかを外して替わりのGKを入れるのがセオリーです。しかしダヴィもクライトンも替えの効く選手ではないですから、考えられるのは大伍を外してクライトンをボランチにするか、もしくは征也を外して大伍を右に回し、クライトンをボランチにというパターンでしょうか。三浦監督のチョイスは後者でしたが、ひとつ違ったのはクライトンをボランチに下げなかったこと。まぁどのみちクライトンがボールをもらいに下がってくるだろうことを見越しての策でしょうが、どちらにしても中盤のスペースを3人でカバーしろというハードワークに輪をかけた、言ってみればハードコアワーク。しかし多少のほころびを見せつつもそのタスクに見事に応え、数的不利を感じさせない働きを見せつつ反撃のチャンスをうかがっていましたが、しかしそれも後半35分まで。今度はシミュレーションの判定で2枚目のイエローカードを受けた芳賀まで退場となってしまいました。 この試合の東城主審、厳しくはありましたけど基準自体はさほどブレていませんでしたし、キムナミルのハンドもぎーさんのハンドも妥当な判定だったと思いますが、この芳賀のイエロー自体は、既に1枚出していたことを忘れていたような感じでしたね。確かに芳賀の転び方はシミュレーションくさかったですけど、ペナルティエリア内でやらかしたのであればまだしも、倒れたのは外でしたから、少なくともカードを出すべきプレイではなかったように思います。つーか前回のエントリであんなこと書いたオレ涙目。
とにかく9人になってしまっては、もはや同点で終わることだけを考えなくてはならなくなった三浦監督は、クライトンを池内友彦と交代させました。当然これは明確な「守り切れ」というメッセージに他なりません。まぁそうは言っても池内を入れるというのは点を取ってこいというメッセージにも受け取れなくもないのですけど、あとはもう全員で守ってあわよくばダヴィが1人でなんとかしてくれることを祈るしかないような感じになりました。「戦場の狼」状態のダヴィはそれでも何とかしようと頑張りますが、さすがのダヴィも疲れて本来の馬力は半減しており何ともならず。結局1-1のまま試合は終了し、厚別連戦は勝ち点2を得るに留まったのでした。
コメント (1)
相手がファールした時に
「故意かな~?、Yes !」
と歌ってみるのはどうでしょうか?
投稿者: Amigo | 2008年7月25日 10:29
日時: 2008年7月25日 10:29