2008年Jリーグディビジョン1第17節
コンサドーレ札幌 0-0 大分トリニータ
得点者:札幌/いない
大分/なし
前節ジェフユナイテッド市原千葉とのアウェイ戦で、念願の4勝目を手に入れた札幌は、今節はホームに戻って大分トリニータとの対戦となります。大分は札幌がJ2に降格した2002年に入れ替わりでJ1に昇格。それ以降はずっとJ1にいるため、天皇杯やナビスコカップでは何度か対戦しているものの、リーグ戦での対戦は共にJ2にいた2000年以来実に8年ぶりということになります。J1昇格以降のホームゲームの入場者数は毎年1試合平均で2万人前後と決して少ないほうではありませんが、予算規模としては決して大きいほうではない、というよりはむしろ毎年のようにスポンサー不足が話題になるほどお金のないチーム。選手のレベルも大分ユースが生んだ最高傑作であるGK西川など素晴らしい選手もいますが、全体的にはそれほど選手が揃っているほうではない、というよりはむしろあまり名の知られていない選手が多い、言ってしまえばとても地味なチームです。まぁよそ様のことは全く言えないんですけど、そんなチームが群雄割拠のJ1に留まり続けているのは、ひとえに大分の監督を務めているシャムスカ氏の手腕によるところが大きいでしょう。マグノアウベスや梅崎司など主力を引き抜かれることも多く、戦力的には前年よりダウンすることも少なくないにも関わらず、です。
今季も中心選手としての期待をかけてガンバから期限付き獲得した家長も開幕前に十字靱帯損傷の大怪我を負い、松橋章太がヴィッセル神戸に移籍するなど開幕前から不安が囁かれながらも、この試合前の順位は7勝6敗3分、勝点24の7位と一桁台の順位につけています。特筆すべきはその守備力で、前節までの16試合で失点13はなんとリーグトップです。その代わり得点17はリーグで4番目に少ないのですが、「守備が硬ければなんとかなる」ということについては、その予定でJ1に臨んだついこの間まで失点リーグワーストだったチームは見習うべきだと思います。
その見習うべきチームのスタメンですが、千葉戦で出場停止だったクライトンが復活。ただ前節負傷交代したアンデルソンが欠場のため、クライトンがFWに入りました。ここのところサイドハーフを務めている中山元気か、もしくは前節のアンデルソン退場後にFWに入った西大伍をFWに入れるかと思いましたが、清水戦では中盤のバランスが悪く簡単に崩されるシーンが目についたのに対し、クライトンがいなかった前節はさしたる破綻も見せず無失点。キープ力の高いクライトンがボランチに入ると中盤でボールの落ち着くポイントが出来る反面、ポジションを前に取りたがってどうしても中盤にスペースが出来てしまうことも多いため、ある意味諸刃の剣と言えるものです。ただ、ここまでリーグ戦、カップ戦通じてクライトンをボランチとして使った試合は10試合あって、4勝5敗1分、11得点17失点という成績なのに対し、クライトンをFWで起用した試合は、途中交代でFWに入った鹿島アントラーズ戦を含めて11試合あり、その成績は0勝8敗3分、9得点21失点(鹿島戦での交代前の2失点は除く)。勝ってないどころか守れてもいないような気もしますが、無失点で終えた千葉戦からのいい流れを止めたくなかったこともあるでしょうし、アンデルソンの負傷で30分程度しか見られなかったものの、大伍のボランチがそれほど悪くなかったこともあって、結局はバランスを取ったということになるのでしょう。
さて、前述の通りリーグ戦では2000年以来の対戦となる両者だけに、対戦履歴自体はさほど多くないのですが、思い起こせば大分戦はなぜだかいろいろと印象深い試合がとても多いように思います。小松崎が前半で退場したり、大分の選手に負傷者が続出して前半で交代枠を使い切ったり、森くんが自分とこのゴールにボール叩き込んで連勝記録止めちゃったりと、ネタ的に強烈なカードでもありましたが、しかし試合そのものは0-0とか1-0のロースコアで終わったり、延長戦までもつれ込んだと、なんだかんだでシビアな試合になることが多かった記憶があります。方やエメルソン、方やウィルという、お互い後にJ1で得点王に輝くことになる希有なストライカーを抱えていた2000年ですら、点の取り合いになったことはありませんでした。その頃から8年が過ぎた今では、さすがに両チームともベンチメンバーを含めて当時を知る選手は池内友彦のみしかおりません。その池内も2000年はほとんど試合に出ていませんでしたから、当時しのぎを削った選手たちはもう残っていません。その当時J2でプレイしていたのも大分のベンチに入っている西山哲平がモンテディオ山形でプレイしていたくらい。関係ないけど山形時代の西山の応援ソングのニューラリーXのテーマが好きだったんですけど、それは置いておくとしてやはり8年という時間は長いものです。
しかし8年経っても札幌対大分の試合はそんなに変わっていないようで、結果はスコアレスドロー。中2日ではるばる札幌までやってきた大分はさすがにしんどいようで、全体的に動きは鈍く、パスミスもかなり目立ちます。札幌はパスミス仕様をデフォルト設定で備えていますのであまり関係ないといえば関係ないのですけど、ホームゲームだけにフィジカル的には大分に比べればいくぶんはマシのようで、試合はどちらかといえば札幌ペース。おそらくシャムスカ監督は試合前からコンディション的には分が悪いのは承知の上で、無理に勝ちに行く必要はないと考えていたのか、大分の攻撃自体にはそれほどの怖さを感じませんでした。それでも相変わらず札幌は右サイドのディフェンスが怪しかったり、箕輪がオノレのポストプレイでウェズレイのシュートをアシストしたりと鉄壁という感じではなかったのですが、そのウェズレイも最初見た時「ノナト?」と思ってしまったほどの太りようでかつて「猛犬」と呼ばれた面影は既にありません。とはいえ、攻撃はともかく大分のJ1最少失点の看板はダテではなく、疲れてはいてもとにかく球際に強く、GK西川もJリーグでもトップクラスの実力の持ち主。そういう守備の強いチームが守ると決めたらそうそう点を取れるものではありません。前節2得点を決めたダヴィもフクアリでの活躍がウソのようにシュートが入らず、前半を0-0で折り返した時点で「今日はこのままで終わるかもしれない」というような雰囲気でした。
後半になるとさすがにお互い少しずつチャンスも増えてきましたが、それでも試合はほぼ膠着と言っていい内容で、前半に比べれば両チームともチャンスは増えましたが、どれもゴールの枠を外れるかGKの正面だったりと、ゴールネットを揺らすことが出来ず。36歳、86kgというウェズレイはやはり往年のキレはありませんでしたが、それでも一番警戒すべきなのは「ウェズレイに止まってるボールを蹴らせる」こと。案の定いくつかFKを与えるシーンもありましたが、GK高木を中心になんとか守りきります。札幌も得意のセットプレイから箕輪がシュートを放ちますが枠を捉えることが出来ず、結局0-0の引き分けに終わりました。
印象としては勝てた試合だったような気もしますが、かといって危ないシーンもないわけでもなかったので、結果としては0-0というのは妥当と感じましたが、ともかく2試合連続無失点というのはある程度自信にもなると思いますから、ここに来てようやく噛み合ってきたかなと思います。あとはまぁ、セットプレイの精度を高めることでしょうかね。セットプレイというのは流れの中の崩しに比べればチームの実力差というのは出にくいもの。三浦監督が高さのある選手を好んで使うのも、実力の上回る相手にいかに得点を取っていくかということに対してのひとつの回答なのでしょう。あとは「クライトンFWだと勝てないの法則」をいかに打ち破るかですかね。
それにしても、あまりこういうことは言いたくないんですけど、主審の家本さん、相変わらずですね。問題ジャッジを連発して海外研修、帰ってきても問題ジャッジ連発して無期謹慎、そういう流れを経て復活したわけですけど、ジャッジ云々よりもとにかく威圧的な態度は変わっておらず、何が問題でああなったのか自覚されていないのではないでしょうか。穴沢努審判員や東城穣審判員のように、かつてはそのレフェリングを批判されて吐いたものの現在では一定の評価を受けている審判員もいる中、何度もチャンスを与えられてなお問題を改めようとしないことについては、本人の問題もそうですがそれ以上に協会の姿勢に疑問符をつけざるを得ません。かつて同じように不可解なレフェリングを繰り返し、同じように大きな批判を浴びていた恩氏孝夫審判員や唐紙学志審判員は、その後Jリーグの主審を外されたまま未だに復活していないのですから(恩氏審判員は現在J1副審)。
まぁ、警告累積4枚にリーチかかってるダヴィがカードをもらわなかったのは幸いでしたけどね。何度か普通の競り合いでファウルの判定になったのも何とか我慢している姿は、山王工業戦で流川に「おめーのヘマはもともと計算に入れてる」と言われてぶち切れそうになったのを必死で耐える桜木花道を思い出しました。
コメント (2)
>東城穣
投稿者: 匿名 | 2008年7月21日 22:15
日時: 2008年7月21日 22:15
すみません。途中で送信してしまった。
>東城穣
まさかこれが伏線になるとは
当時の我々には知る由もなかったわけで…
投稿者: 匿名 | 2008年7月21日 22:17
日時: 2008年7月21日 22:17