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2009年1月29日

クライ・トン・ザ・ムーン

 昨季のJ2降格というのはサポーターにとっては歓迎できる結果ではありませんでしたが、それでもクラブの体力やチームの戦力から考えればある程度は致し方ない話、と割り切ることはできました。しかし、降格自体を受け入れたとしても、それに伴う選手の流出についてはまた別問題。J2への降格チームは得てして「草刈り場」になりがちですから、果たしてどの程度の損失があるのかは予想もできないだけに、オフの各選手の動向はサポーターとしても気になるものでした。しかしながら、実際フタを開けてみれば選手の流出は名古屋グランパスへ移籍したダヴィくらい。もちろんエースが抜ける穴は大きいのですけど、昨シーズン中にカタールリーグへの移籍話が出たことからもダヴィが引く手あまたとなるのは現実のものとしてサポーターも認識していましたから、これはまぁ予想の範囲内。ダヴィだけで済んだのは降格と共に玉田圭司や明神智和、土屋征夫らが出て行った柏や、別に降格してもないのに主力が5人くらい出て行った千葉に比べればずいぶんマシですし、その上ダヴィは3億円も置いていってくれたのですから、別に降格もしてないのにチーム総得点の2/3を稼ぎ出した2トップが丸ごといなくなった2001年に比べればかわいいもんです。もっとも、年間わずか4勝、史上最速タイ記録で降格という異次元の弱さを誇った札幌には、少なくとも獲得するために必要な金額に見合う選手がダヴィくらいしかいなかった、というほうが正しいような気もしますけど、ひとまずは来るべきシーズンに楽観はできずとも悲観するほどのことでもない、という感じ…だったはずなんですけど、ここに来て少々雲行きが怪しくなってきているようです。一転札幌に残留となったクライトンが、古巣アトレチコ・パラナエンセ(以下アトレチコ)へ移籍するかもしれない、という話が伝わっています。右下の時計の柄を三浦監督からクライトンに変えた途端にこれだ。
 昨季はリーグ5位となる9アシストを記録(TBSスーパーサッカーでの集計)するなど、J2降格となったチームにおいてダヴィと共に気を吐いたクライトンにも複数クラブから獲得の打診があると言われており、昨季終盤に父親が心臓病を患ってしまったため2試合を残した段階で帰国したため、そのまま退団・他チームへ移籍するのではないかというのが大方の予想でした。しかしクライトンが札幌と2年契約(昨季の段階で)を結んでおり、その違約金(一説によれば函館の夜景1つぶん)がネックとなり正式オファーまでには至らなかったらしく、さらにノブリンがクライトンを軸として考えていることなどから、移籍濃厚が一転して札幌残留となっていました。
 しかし、いったんは病状が快方に向かっているとも伝えられていた父親の容態は、その後あまり思わしくはないようで、看病のためチーム合流が遅れるという発表が1月17日にあった以降は何の音沙汰もないままグアムキャンプに突入しておりました。その実力はもうわかっているとはいえ、チームへの合流が遅れると言うことは既に「クライトンが軸」と明言しているノブリンにとってはチーム作りが遅れるということであり、可能な限り早めにトレーニングに加わって欲しいというのが正直なところでしょうけど、そこに湧いて出た移籍話。といってもいろいろと情報が錯綜していて結局のところはどうなってるのかよくわからないのですが、某掲示板や新聞など各方面の情報を総合すると、だいたい次のような感じみたいです。

 まずクライトン本人は、病に伏した父親を置いてブラジルを離れることを渋っており、ブラジル国内でのプレイを希望しているというのが前提にあり、そこでコンサドーレに来る前に所属していたアトレチコがクライトンを獲得しようとしている、というのがそもそもの発端。まぁクライトンの出身地ポルトアレグレとアトレチコのあるクリチーバとは500kmくらい離れてるんですけど、それでも地球の反対側にある日本との距離に比べればミジンコみたいなもんですし、クライトン本人の事情を考えればわからないでもない話。
 不思議なのは、アトレチコの公式サイトにもクライトンが加入するだろうというようなことが書かれているにも関わらず、札幌側は「アトレチコ・パラナエンセからは何の話も届いていない」とコメントしていること。まぁかつてブラジリエンセというクラブが公式サイトで「うちのジョジエルにコンサドーレ札幌からオファーが来たよ!」という主旨のニュースを載せ、速攻で札幌に否定されたということもありましたので、ブラジルにおいてはクラブの公式発表というのは王大人の「死亡確認」くらいの意味合いだと捉えたほうがいいのかも知れませんけど、ブラジルのメディアでもクライトンが札幌との契約を破棄するために必要な違約金の金額をはじめとする移籍交渉の内容や、アトレチコの会長やクライトン本人のコメントまで具体的に書かれているくらいですから、少なくとも移籍に動いているというのは事実と思われます。クラブ間で何の話もないということは、考えられるのはクライトン本人、あるいはクライトンの代理人が間に入って動いているという感じなのかも知れませんが、ひとまず現在の状況としては違約金に対してクライトン側(正確にはそれを肩代わりするアトレチコ側)が高すぎるからまけてくれ、という感じのようです。札幌としてもクライトンは(事情が事情とはいえ)できれば手放したくはないでしょうし、よしんば手放すにしてもクライトンの穴を埋めるに足るだけの選手を改めて獲得するための「実弾」が必要ですから、そうそう簡単に相手の要求に応じるわけにもいきません。

 そんなわけで一言で言えば「もめてる」わけなんですけど、昨季のアルセウを出すまでもなく今まで助っ人選手がトラブルとかで帰ったり帰らされたりした例は枚挙にいとまがないですし、クライトン自身、札幌に来る時もパラナとの契約を破棄して(パラナとの契約にはオファーがあったら移籍するよ条項があったと言われている)いますから、こういう事態になるのも予想していたわけではありませんが、なったからといって特に驚きがあるわけでもないですね。クライトンがチームに合流したと思ったら実はうなりやベベンさんだったりしたらそりゃ驚きますけど。もっとも、驚いたり怒ったり悲しんだり浜辺の蟹に話しかけたりしたところで結局はなるようにしかならんのですから、我々にできることは今後の成り行きを見守るくらいしかないですね。

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コメント (4)

niko0730:

えーっと、謝りたいことがあります。
随分長いこと、こちらのサイトで楽しませてもらってたはずなんですが、
時計の柄に顔が書かれていることを今日初めて知りました…。

otti:

私もです・・・

スンマセン。

三浦監督のも見たかった・・・

匿名:

本当に申し訳ありません。
わたしも(ry

anderson:

でも、ジョジエルがホントに来てたらどうなってたんだろうなあ。
ブラジル残ってパラナ・クルーベで全国選手権得点王になった選手ですからねえ。
ちょっと勿体なかった気もします。

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