前回のエントリで「主将の呪い」という都市伝説にちょっと触れましたが、札幌には他にもう一つ、「10番の呪い」という都市伝説も存在します。内容は主将のと同じく「10番をつけた選手はやっぱり不幸になる」というもの。たいていのチームスポーツと同じように、サッカーにおいてももともと背番号はポジションを表す番号でした。フォーメーションの変遷によってポジションそのものも変わってはいますが、いつの頃からかその中でも背番号10というのは花形背番号、いわゆるエースナンバーであり、「チームで最も優れた選手が背負う番号」として定着していきました。初期のJリーグでは背番号は固定制ではなく、試合ごとに出場する選手が1番から11番、控え選手が12番から16番(1番と16番はGK用)をつけることになっており、背番号が選手そのものに結びつくものではありませんでしたが、そのような時代においても、ジーコ(鹿島アントラーズ)やリトバルスキー(ジェフユナイテッド市原・当時)のように、「このチームの10番といえばこの人」というような選手がつける番号でした。
ちなみに背番号といえば1995年にサンフレッチェ広島がユニフォームの1stと2ndを間違えて持ってきて、レプリカユニフォームをサポーターから借りてテープで背番号を作って試合を行ったというエピソードがありますがそれはさておき、Jリーグが固定背番号制となったのは1997年。プロ化以前のJSLやJFLでは固定番号制を採用していたため、チーム創設の1996年から1997年までJFLに所属していた札幌には変動番号制だった時代がありません。従って、札幌においては昔から背番号は選手のもう一つの顔とも言えるものでした。
そんな札幌の10番の「呪い」が始まったのはミールさん(アウミール)あたりからでしょうか。日本でのプレイ経験が長く日本語も話せるミールさんは、FC東京から期限付きでやってきた2000年に10番を背負い、エメルソンとビジュという本能型ブラジル人と日本人選手との間をうまく取り持ちながらJ2優勝に貢献しましたが、決してテクニカルな選手ではなかったためかその年のオフに構想外となってしまいます。しかしそのミールさんの退団に激怒したビジュが退団すると言い出したこと、J2得点王エメルソンも朝起きたら肩が反対になってて帰国したまま退団が濃厚とされていたため、助っ人総入れ替えとなる事態を憂慮した岡田武史監督(当時)とクラブはミールさんとの再契約することにしました。それによりビジュの態度も軟化し契約更新にいたり、この時は一件落着となりました。翌2001年も10番は新加入の「俺王」ウィルではなくミールさんが背負うことになりましたが、やはりJ1では少し足りないという判断をされたのか、新たなブラジル人助っ人を呼ぶために結局シーズン途中で退団となってしまいました。もちろんミールさんには何の責任もないのですけど、残りのシーズンは10番が空位のままとなりました(ミールさんの代わりにやってきたアダウトは28番)。この辺の流れは絶賛腐敗中の別館に詳しく書いていますのでよろしければごらんになってください。
この翌年以降、コンサドーレ史上初めて10番をつけた日本人選手となった山瀬功治(2002年)はシーズン中に靱帯断裂の大怪我を追い、その怪我も治らないまま移籍を志願(浦和レッズに移籍)。2003年のホベルッチはブラジル代表でも10番を背負ったことのある正真正銘の10番選手でしたが、ジョアン・カルロス監督(当時)との確執によりやはりシーズン途中で退団し、代わりにやってきたウリダも混迷するチームにあって持てる力を十分に発揮できずにシーズン終了後退団。2004年に史上2人目の「日本人10番」となった中尾康二はこれまた飲酒運転幇助によりシーズン途中で解雇、2005年に「誰もつけたがらなかったから」という素晴らしく後ろ向きな理由でいつのまにか決まっていたという三原廣樹は、前年に負った大怪我(靱帯断裂)の影響でトップフォームを取り戻すことができずシーズン終了後に退団(その後引退)と、不幸続きにもほどがあるって感じです。その後2006年のフッキは1年間だけのプレイでしたがそもそも期限付きでしたし、2007年から2年間10番をつけたダヴィは昨季移籍となったもののほぼ円満退団と言えると思いますが、シーズン途中にカタールへ移籍しそうになっていましたからね。まだ呪いが完全に消えたわけではなさそうです。
とはまぁ、長々と書いて何が言いたかったのかというと、今年10番を背負うことになったクライトン、最悪の場合はシーズン途中どころかシーズン開幕前にいなくなるような最大級の呪いが待っているのかと心配になりましたが、無事札幌に到着しました。チームからは少し前に「熊本合宿からの合流となる」というアナウンスが公式にありましたが、何しろ相手はブラジル人ですし、父親の件もありますからね。実際熊本キャンプが始まってもクライトンの姿はない、みたいなことも充分に予想されたわけですが、Jリーグの選手ブログでもトップクラスに直球なタイトルを誇る「中山元気のブログ」に「成田空港でクライトンと合流」と書かれており一安心。ひとまずは大丈夫でしょう。ひとまず、14日の清水エスパルスのテストマッチは見に行きますので、クライトンが入ったことでノブリンがどういうチームを作ろうとしているのかチェックしてこようと思います。熊本入りしてからマッハで鹿児島行かないといけないのですけどね。
コメント (4)
10番の呪いねぇ・・・
96:オテーロ
97:ウーゴ
98: 〃
99:アシス
00:ミールさん
01: 〃
02:山瀬
03:ホベルチ
04:中尾
05:三原
06:フッキ
07:サザエさん
08: 〃
歴代スピードが・・・な人が多いような。
どっちかってぇと「10番はのろい」なほうがハマりそう。
投稿者: 野幌侍 | 2009年2月12日 23:05
日時: 2009年2月12日 23:05
うまい♪座布団3枚やっとくれ
投稿者: 赤字 | 2009年2月13日 12:54
日時: 2009年2月13日 12:54
11番の呪いもあるよ!播戸くらいかな?呪いがかかってないのは・・・エースストライカー候補がつけているが、大成(活躍)しない(涙)・・・今年は・・あっ!宮澤がつけちゃったよ~
投稿者: そう | 2009年2月14日 10:42
日時: 2009年2月14日 10:42
サポ歴が長くないものですから
浅知恵で申し訳ないのですが
野々村さんからの7番も相当なものです。
私は「靭帯の7番」と呼んでます。
というか、とにかくでかい怪我が多いです。
投稿者: forza | 2009年2月14日 10:47
日時: 2009年2月14日 10:47