2009年Jリーグディビジョン2第3節
ヴァンフォーレ甲府 2-1 コンサドーレ札幌
得点者:札幌/西嶋
甲府/大西x2
関東地方に強風が吹き荒れた22日、ヴァンフォーレ甲府対コンサドーレ札幌の試合が行われた山梨県甲府市も強い風に見舞われました。サッカーに限らずおよそ屋外で試合をするスポーツにおいては自然現象による影響を避けることはできませんが、中でも「風」による影響はもっとも厄介なものの一つ。練馬区の自宅で試合を見ていたオレも数分おきに風に煽られ方向が変わり受信不能状態に陥るスカパー!のパラボラアンテナと格闘しておりましたが、選手もその風にはだいぶ苦労したようです。前半21分にGK佐藤優也が甲府MF大西のフリーキックの目測を誤って喫した失点は、かつて声援を受けていた甲府のサポーターの前であんまり変わっていない姿を見せたとも受け取れますが、優也本人は「向かい風でボールが失速すると判断し、あらかじめ前方へ移動した」(日刊スポォツ)とのこと。ただ一見不運なゴールとも思えますが、「(ボールは)止まると思った」という優也には、単純なロングボールならまだしも「向かい風の場合は回転がかかったボールの変化が大きくなる」ということを教えてあげたほうがいいのではないかと思いました。
そもそもボールが曲がるのは回転によって気流の速度の差が生まれ、それによって発生する気圧差によりボールが気圧の高いほうから低いほうへ押されるからです。この時、空気の流れが速いほど圧力は低くなります。「マグナス効果」と呼ばれるものですが、ボールの進行方向に対して向かい側から風が吹いた場合、この空気の流れが相対的に速くなりますから、発生する気圧差も大きくなりボールの変化も大きくなるということになります。ロッテ時代の小宮山がバックネットからセンター側に向かい風が吹く千葉マリンスタジアムでの登板では変化球を多投してたのもこれが理由ですが、この試合くらいの風は日常茶飯事である厚別競技場をホームにしているチームの正ゴールキーパーの座にいるのであれば憶えておいたほうがいいと思います。
まぁ優也がやらかすのは既に織り込み済みなんでいいとして、問題は2失点目。1失点目からわずか3分後という時間帯に喫してしまったこと、それと今季初めて流れの中から失った点であることを考えると、非常に大きな、痛い失点だったと思います。痛さレベルでいえば口内炎ができてるのにうっかりみかんを食べてしまった時くらい。奪われ方もまずかったのですが、サイドをドリブルで上がるマラニョンに晟桓が釣り出されてしまった上に、吉弘までもがフォローにいってしまえば中がすっからかんになるのは当たり前の話なわけで、おかげでゴール正面でマラニョンからのパスを受けた大西にはFF4ならメテオを唱え終わるくらいの時間の余裕がありましたからね。一応ゴール前には大ヒロが1人残っていましたけど、あそこで一か八かで当たりに行くのはリスク高すぎました。一発で飛び込んでも交わされるか、その前にどフリーだった金信泳にパス出されておしまいですからね。
おそらくノブリンサッカーの守備の約束事として、「ボール保持者にはなるべく2人以上でプレスに行くこと」というのがあるのだろうと思いますが、それでミツが中を捨ててまで律儀にも約束事を守る融通の利かない選手である、と考えるよりは、「ソンファンが危ない! 俺が! 俺が! 俺が助けなきゃ!」と正義感を燃やして光の速さで明日へダッシュする宇宙刑事ばりに熱いナイスガイだと思ったほうが健康的かも知れません。サポーターの心的に。ま、若さとは振り向かないことですからね。
そしてもうひとつ、札幌のリズムの時間帯もそれなりに多かったのに1点しか取れなかったことも気になるところです。去年はもうなんか得点の予感なんてこれっぽっちもしなかったので「セットプレイでも何でも1点取れればもうけもの」くらいな心境だったのですが、今季はボールキープ自体はできてることが多いですし、得点の匂いはプンプンするにもかかわらず、結局終わってみれば札幌の得点は後半15分の大ヒロのヘディングによるゴールのみというのはやっぱり寂しいものがありますし、そもそも後半はほとんど札幌のターンだった気もしますけど、その割にはシュート数は90分で8本だけ。仙台戦でも鳥栖戦でも思いましたが、なんというかやっぱり強引さが足りないなぁという気がします。なんかキレイに勝とうとしているというか、もっとゴリゴリやってくれてもいいような気がするんですけどね。より確実そうな選択肢をとるのはわからないでもないですけど、打っていい場面でも打とうとしないのははっきり不満ですね。謙伍にしろ宮澤にしろ紀梨乃にしろ、エメや俺王様やフッキみたいな、溢れ出んばかりの俺っぷりを隠そうとすらしないようなタイプの俺様ストライカーではないのはわかってますけど、だからといってやらんでいいという理屈にはなりません。性格的なものはあるにしても、「俺が点を取って勝つ」くらいの気持ちの強さは、持ってたって損はしないと思うのですよ。ダヴィだって無茶とも言える突破やシュートを繰り返してJ1でも有数のストライカーに成長したんですからね。
ダニルソンもそうですが、今のところはノブリンとしても能力の高さは認めながらも、それを生かすためのしっくり来るポジションを未だ決めかねている、というような感じですね。熊本キャンプでも別メニューが多かったこともあるでしょうし、クライトンはともかくとして、札幌がそんなにスーパーな助っ人を雇えるわけもないですから、紀梨乃も含めて長い目で見たほうがいいのかも知れませんけど。ダヴィだって、札幌に加入した年の熊本キャンプで初めて見た自分に「あの選手は3年後には3億円で売れてJ1得点王争いを繰り広げるくらいの選手になってるよ」なんてことを未来のオレが教えてくれたりしたら、たぶんこの人はきっと頭がかわいそうな人だと思っていたでしょうからね。
ただまぁ、現実としてリーグ戦は既に始まっており、あまり悠長に構えていられない、というのも事実ですし、3試合戦って1勝2敗と黒星が先行してしまっているのもまた事実。現状未完成であったとしても、目の前の試合に何が何でも負けんぞ、という強い気持ちを以て戦っていかないと先はないと思いますから、明日の湘南戦は気合いを入れ直して臨んでもらいたいと思います。
コメント (1)
私もTV観戦でしたが、札幌の寄せが甘かったj事もあったのでしょうか、甲府の寄せが、
谷川浩司九段の「光速の寄せ」に見えて仕方なかったです。
投稿者: 魚鬼 | 2009年3月25日 12:25
日時: 2009年3月25日 12:25