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2009年4月22日

がんばりました

2009年Jリーグディビジョン2第9節
コンサドーレ札幌 4-1 セレッソ大阪
得点者:札幌/ヤス、紀梨乃、大ヒロ、プレデター
     セレッソ/讃岐

 水曜日にザスパ草津にアウェイで勝利を収めた札幌は、第1クール(という呼び方は今でもあるのでしょうか)の最大の山場とも言える首位・セレッソ大阪との一戦を迎えました。日本代表MF香川真司や乾貴士ら強力な攻撃陣を擁し、2008年はぶっちぎりで優勝を果たしたサンフレッチェ広島の99得点に次ぐ81得点を叩き出しながら、失点は15チーム中7番目に多い60という守備力がネックとなり、3位のベガルタ仙台と勝点1差の4位に留まり昇格を逃しています。爆発的な攻撃力を持つ反面、守備力に難があるのはセレッソの伝統とも言えるのですが、「守備のリーグ」と呼ばれるJ2どうも相性が悪いのかもしれません。
 セレッソ大阪の指揮を執るレビル・クルピ監督は、2007年途中からジャブローブラジルからやってきて、今季で3シーズン目となりますが、もともとは1997年にセレッソで指揮を執っており、その当時に攻撃サッカーの礎を築いた人物でもあります。しかし前年までの反省を生かしてか、今季は守備力も向上を図っているようで、前節までの失点は5と2位タイの少なさとなっており、チーム総得点16はもちろんリーグトップ。無敗の首位をキープしている上、引き分けもスコアレスドローだった第6節ヴァンフォーレ甲府戦のみと、前評判以上の強さを見せています。
 そんなセレッソをホーム・札幌ドームで迎え撃つ札幌は、前節久しぶりの勝ちの勢いに乗って首位撃破…と行きたいところですが、勝ったとはいえ草津戦は文字通りの辛勝であり、内容的には決して手放しで喜べるものではなかっただけに、果たして強豪チームを相手にした時どうなのかという不安も募ります。相変わらず札幌ドームは魔物の存在を本気で信じそうになるくらいホームチームにつらく当たってくれていますし、何よりもここまでで無失点の試合が1つもないというチームは前節対戦した草津とコンサドーレ札幌だけ。毎試合何らかの形で失点をしている豆腐みたいな守備陣がセレッソの攻撃陣を相手にしてどこまで堪えきれるか。豆腐は針供養にも使われるんだぜ、なんて何の慰めにもならないですしね。豆腐と言えば、お元気ですか三原さん。

 いずれにしても厳しい試合になるだろうというのが大方の予想だったかと思いますが、こちらの予想を良くも悪くも裏切ってくれるのがコンサドーレ札幌というチーム。開始からなんかが2~3本くらいネジが飛んだかのような怒濤の攻撃を見せます。セレッソも決して札幌を侮っていたわけではないでしょうが、さすがにこんなぶち切れモードは予想はしてなかったようで、対応しきれずにアタフタしているすきに、左サイドをいつものように無理矢理突破したクライトンがいつものように無理矢理右脚でクロスを上げます。このボールはGKがはじきますが、そのこぼれ球に走り込んで来たのがダニルソン。得意の左足を一閃すると、まさしくレーザービームのようなどえらいシュートがセレッソゴールに襲いかかりました。入っていれば今後も歴代ゴールベスト10にノミネートされるであろうスーパーシュートでしたが、どっこいこういうシュートを常にぶち込めるような選手であればそもそも札幌には来てないわけで、ボールはゴールポストを叩き残念ながらゴールならず。いや惜しかったですけどね。少なくともビジュのそれよりは。
 しかしこのシュートがそうでなくても腰の引け気味だったセレッソの度肝を抜いたのは確かなようです。型破りを通り越して常識外れなあんなのを見せられたら、アウェイの戦い方の王道である「ある程度引いて守る」なんて逆にダニルソンにシュート打つスペースを与えてしまうようなもの。もともとセレッソはそんな戦法を美としない爽快なチームではありますが、この開始早々のプレイが結果的にリング中央での殴り合いに持ち込んだ、と言えるかも知れません。前半6分、ミッドフィールドのスペースを消すために上げたラインの裏を突いた岡本ヤスへ最終ラインの趙晟桓からピンポイントのロングパスが出ると、そのボールをヤスがうまく拾ってドリブルで切れ込み右脚でシュート。これがゴール左隅に決まって札幌が先制します。
 先制した後も札幌はイケイケムードとなりましたが、その直後にヤスから出たパスをペナルティエリアの中でフリーで受けた上里のシュートはぼてぼての枠外。があまりにもフリーすぎて逆にびっくりしたのかもしれませんが、これは決めておかなければいけないプレイだったと思います。そうでなくてもドラクエ2でいえばサーベルタイガーくらい攻撃力の高いセレッソを無失点で凌ぐのは難しそうですから、取れる時に点を取っておかないと苦しいことになる…と思ったら案の定、香川と乾の変幻自在のプレイに何度も惑わされ、ついに前半18分、香川に3人抜きゴールを決められ同点に追いつかれてしまいました。
 ところが、普段の札幌であればがっくりとテンションが落ちてしまうような状況なのに、札幌のテンションはいっこうに落ちることがありませんでした。香川のゴールがすごすぎたために、逆にありゃしょうがねぇ、と気持ちの切り替え自体は楽だったのかも知れません。その後も何度もセレッソゴールに襲いかかります。警戒するべきセレッソのカウンターも、ミッドフィールドに構えるダニルソンが肉食獣のような食らいつきで未然に防ぎ、相手にペースを握らせません。
 そして前半41分、ロングボールのトラップが大きくなったところをすかさず奪い返した紀梨乃がそのままGKと1対1となり、これを冷静にゲット。おでこを切った時についでに気持ちも吹っ切れたらしい紀梨乃の3試合連続ゴールで突き放しに成功し、前半を2-1で折り返しました。

 後半はもちろん狙うは追加点。というか、セレッソ相手に1点差はどう楽観的に見てもセーフティーリードとは言えないわけですから、勝つためには少なくともあと1点は欲しいところですが、そんな札幌は後半4分にこの試合9本目のコーナーキックを取ります。これだけコーナーキックを取っているのだからそろそろ決めないとまずいなぁと思っていた矢先、上里のキックをフリーの西嶋がダイレクトで右脚で叩き込み、待望の追加点を奪いました。
 リードを広げた後も札幌は手を緩めません。これまで打たれてきたのがやっとリミットブレイクしたかのような感じで攻め続けますが、リミットブレイクには時間制限があるように、初っぱなから飛ばしていた札幌も次第に運動量が落ちてきます。そうなるとセレッソの攻撃陣にも余裕が生まれ、少しずつ危険なエリアまで侵入されることが多くなってきました。そして後半28分、もっとも警戒すべき香川と乾のコンビに崩され決定的なシュートを打たれますが、乾のシュートをGK荒谷が好セーブで防ぐと、すぐさま札幌はカウンター。紀梨乃からのパスをセンターサークル付近で受けたクライトンが得意の重戦車ドリブルで相手ゴールまで一直線。GKとの1対1になるとかえって不安になるのは「コンサドーレシンドローム」という病気と言われていますが、入ればほぼ試合の趨勢が決まり、外せばセレッソが息を吹き返す重要なシーンで、クライトンの右脚シュートは見事にGKに当たりますが、そのこぼれ球を再度クライトンが左足で押し込み4点目をゲット。足をつっている選手もだいぶ多かった札幌にとって大きなゴールでした。まぁ3点リードしていても「もしかしたらロスタイムに3点取られてしまうかも知れない」と不安になるのは「コンサドーレシンドローム」という病気と言われていますが、今日はさすがにドームの魔物も顔を出すことなく、終わってみればシュート21本を浴びせる怒濤の攻撃で圧勝。昨季のジュビロ磐田戦以来、1年以上ぶりのホームでの勝利を飾りました。

 さて大勝の一方で、ノブリン自身認めているように課題がなかったわけでもありません。連続失点試合を更新してしまったことについては、相手がセレッソということを考えればむしろ1点で済んだと思うべきかもしれませんが、大量4得点という結果で札幌の攻撃力が開花したとは言い切れないわけで、二桁安打・二桁得点で爆勝した翌日に散発3安打完封を食らっていた近鉄に限らず、攻撃は水物と言われますし、ゴールラッシュが生まれたのはセレッソが真っ向勝負につきあってくれたから、というのも要因としてあるでしょう。引いて守ってくる相手をどう崩すか、そういった時にダニルソンや上里のミドルシュートをどう生かしていくかなどは今後の宿題だと思いますし、首位に初黒星をつけたとは言っても相手が首位だろうが最下位だろうが、勝って得られる勝点は同じ3なわけで、札幌は未だ順位表の半分より下にいて、得失点差もマイナスの域を脱していません。
 とはいえ、ノブリンの目指すサッカーをやりきって首位を倒したことはこの先ひとつのきっかけとはなるだろうとは思いますので、遅ればせながらようやくスタートラインに立てたかな、というのが正直なところでしょうか。FF7でいえば、ミッドガルを脱出したあたり。

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コメント (1)

魚鬼:

19日朝のスポーツ報知に、ノブリンがマルチネスを褒めてクライトンがカチンと来たとの記事がありました。
曰く、「激しくプレスすれば、勝てる」。
ビデオを見ると、確かに「クライトン守備してるんじゃん」でした。
ダニルソンの守備はすごかったです。足でボールを奪うさまは草刈の鎌の如し、でした。

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