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2009年9月 6日

水戸の花嫁

2009年Jリーグディビジョン2第37節
コンサドーレ札幌 1-1 水戸ホーリーホック
得点者:札幌/DAIGO
     水戸/KOHTA

 アウェイで大量5得点の勝利を収めた札幌は、水戸ホーリーホックをホーム厚別に迎え撃ちます。水戸ホーリーホックといえば、かつては例え負けていても自陣からほとんど出てこないほどの極端な守備的サッカーで知られていました。他チームとの戦力的な差を埋めるために採った極めて現実的な戦術ですが、そのあまりの徹底っぷりにイタリア代表の守備的サッカーを表す「カテナチオ」とかけて「ミトナチオ」という言葉まで生まれたほど。水戸の名産である「水戸納豆」もかかっているとしたらハイブロウすぎて屁のつっぱりもいりませんけど、詳細は不明です。もちろん戦力の差を戦術で埋めることには限界がありますから、いつもそれで勝負になるというわけではありませんが、ポゼッションを志向しているチームに対しては割と有効で、ひとたびハマれば上位チームをも葬り去ってしまうことも少なくなく、札幌も苦汁をなめさせられたことは1度や2度ではありません。
 そんな水戸も「カウンター一辺倒からの脱却」を目指しチーム改造に着手。木山監督2年目の今季は大方の予想を覆す躍進を見せ、ここまで19勝9敗8分、勝点65の5位という見事な成績を上げています。その躍進の大きな要因が大黒(ヴェルディ)・香川(セレッソ)に次ぐリーグ3位の得点を挙げているFW高崎寛之と、同じく9位の11ゴールを挙げている荒田智之の2トップ。骨折による長期離脱がなければ荒田ももっと得点を重ねていたはずですから、この2人はリーグでも屈指の2トップと言っても過言ではないでしょう。
 最終クールに入ってなおこの順位をキープできているのはフロックでもなんでもなく、現在7位の札幌にとっては当然水戸は格上の相手となります。水戸との勝点差は11とだいぶ離されてはいますが、この試合に勝てば勝点4差で6位につける鳥栖とは差を1にまで縮めることができるかもしれないですから、ここは是非勝っておきたいところ。

 だったんですけど!

 結果は後半開始早々に西大伍の2試合連続ゴールで先制したものの、交代出場の吉原宏太にゴールを決められて追いつかれると、その後はチャンス自体はそこそこあったものの、紀梨乃が相手GK本間にペナルティエリアの中で引っ張られたのがファウルにならなかっりと不運もあり、ゴールを奪うことができず1-1の引き分けに終わりました。
 ただ、PKの判定については別に文句をつける気はありません。いや確かにPKでもおかしくないシーンでしたけど、あれくらいのプレイは札幌もコーナーキックの時に結構やってましたから、あれでPKを取るレフェリーだったらたぶん札幌も少なくとも1度はPKを取られていると思います。それよりも、交代出場した吉原宏太をどフリーにして決められたことが問題でしょう。2トップはそのままにしてもう1枚FW入れたんだから、相手のフォーメーションを見てマークの確認くらいベンチの指示に頼らずにピッチ上で行うべきです。完全に崩されたのならまだしも、宏太の外に上里が余ってたんですから完全にマークミスでしょう。
 とはいえ、あの流れであれば紀梨乃がPK取ってもらえたとしても、あるいは宏太に決められなかったとしても、引き分けという結果は変わらなかったように思います。それくらい、水戸はいいチームになったと思いました。そうですね、例えるならジェロニモが人間から晴れて超人になったという感じでしょうか。あんま褒めてないですね。訂正してお詫びします。
 まぁそれはともかく、かつては2億円程度と言われた年間予算が現在どこまで増えたかはわかりませんが、ともあれJリーグ全体で36クラブとなった今季の段階においても、水戸の予算規模は「Jリーグで最も低い」のだそうです(水戸ホーリーホック・沼田邦郎社長のブログより)。吉原宏太が水戸に加入した際に、推定500万円という年俸に対しての「水戸にとって1億円の評価をしてもらった」というコメントも、極端な話ではないのでしょう。そんなチームが現在上位につけているのは、「全員がサボらない」という1点に尽きると思います。全員がやるべきことをしっかりやる、簡単なようで難しいことなんでしょうけど、最後の最後で明暗を分けるのはそういうところだと思うのですよ。
 もちろん、札幌だって手を抜いてやっているとは思っていません。むしろ少し前までの札幌であれば、追いつかれた段階で堪えきれずに逆転を許していた展開だったと思いますから、それを考えれば決して悲観するような結果ではないと思います。とはいえ、シーズンのことを考えれば非常に痛い引き分けだったのもまた事実。「何が何でも勝つんだ」という強い気持ちは常に持ち続けないと行けないと思います。なんだか前にも同じようなことを書いたような気もしますが、まぁ毎年同じようなことを繰り返しているチームだから仕方がありませんよね。いい加減9年もサイト続けてると昔何書いたかすっかり忘れててうっかり同じネタかましてたりもするわけですけどね。あんまり人のこと言えないですね。最近はゲームも「何が何でもクリアするんだ」という強い気持ちがないので、積んでしまうことも多いので。

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