可もあり不可もあり
開幕を翌週に控えた2月28日、大分県にある九州石油ドームにて大分トリニータとのプレシーズンマッチが行われました。この28日をもって九州石油とのネーミングライツ契約が終了となるため、「九州石油(九石)ドーム」と呼ばれるのはこの日が最後となります。まだ新しいスポンサーも決まっていないため、今後は大分スタジアムの名称に戻ることになります。長引く不景気の影響がこんなところにも現れているといった感じです。それを考えると、「球技もできる陸上競技場」としてではなく、野球とサッカーの兼用を前提とした多目的施設として設計され、その結果高い稼働率を誇りネーミングライツを行使することなくオープン以来黒字営業を続けている札幌ドームは、多目的ゆえの中途半端さへの批判はあるにせよ、「アイディア勝ち」といったところでしょうね。「ドラえもん」のひみつ道具で2つのものをくっつけて1つにする「ウルトラミキサー」というものがあって、のび太とドラえもんが家の中のものを好き勝手にくっつけてしまう(トイレと冷蔵庫とか)という話でした(初期のドラえもんはのび太と一緒に悪さをすることが多かった)が、発想的にはそれと似たような感じです。
さてそんな与太話はともかくとしてこの大分戦。シーズン前最後の対外試合というだけでなく、開幕の迫ったこの時期に、同じカテゴリのチーム、それも力量が似通っているであろうチームと、リーグ戦とほぼ同じ状況で戦うことは、今後のリーグ戦を占う上で大変に重要な意味を持ちます。相手がJ2降格によって大幅に戦力がダウンし、なおかつ怪我人などでメンバーが揃わない状況ではありますが、もともと大分は札幌にとってあまり相性のよくない相手。というよりかは全体的に九州の試合って割と苦戦する傾向があるように思います。今季から今までのような3クール4クールではなく純粋なホームアンドアウェイ形式という最低限文化的なレギュレーションになったとはいえ、大分が降格し、ギラヴァンツ北九州が新規参入となり、合わせて5つの九州チームがJ2に集合したため、苦手な「九州めぐり」が確定している今季、大分のホームでいい内容で勝利することができれば、少なくとも上位争いをしていけるだけの自信が生まれる、という気がしないでもない。
そんなわけで、この試合はスカパー!で生中継があったため、おそらくサポーターの注目も高かったと思いますが、結果は2-2の引き分け。結果はともかくとしても、内容的には正直言って去年とあまり変わっていないなぁという印象でしたね。可もなく不可もなし、というよりは可もあり不可もありといった感じでしょうか。収穫は確かにあったんですけどね。近藤が攻撃の軸となれそうなこととか、相手DFの裏への意識が去年より高くなったこととか、岩沼がだいぶ伸びてるようだとか、近藤ってレスリングの伊調姉に似てませんかとか、近藤と藤山ってセクシーコマンドー部だよねとか、それなりに見所はありましたよ。しかしその一方で相変わらず決めなければいけないところで決められないし、内村はもう少しボールを持ったら勝負して欲しかったですね。
守備面でも簡単に裏を取られてしまうとか、セットプレイで簡単に失点してしまうとか、漢宰の守備はサイドバックのそれじゃないなとか、今日もうっかり二度寝して超やばいとか、その辺は何とかしないといけないですよね。いや二度寝しなければいいんですけど。怪我人は少なくないながらも核となるであろうメンバーの大部分は健在という札幌が引き分けに持ち込むのが精一杯、失点シーン以外でも高原の落ち着いたセーブがなければもっと失点を喫していた可能性もあります。アウェイということを考えても先行きは決して明るいとは言えないというのが正直なところ。
この一週間でどこまで状態を上向きに持って行けるか、ラストスパートに期待しましょう。