2010年Jリーグディビジョン2第12節
ギラヴァンツ北九州 0-1 コンサドーレ札幌
得点者:札幌/紀梨乃
北九州/いない
まさかの2日連続更新。明日はホムーランだ。
人口約98万人と九州で2番目に多い人口を誇る政令指定都市ながら、なぜか地味な印象の拭えない北九州市。同じ県にある九州最大都市・福岡市の陰に隠れてしまっているためか、それとも福岡県のスケールに収まらない「九州の北の市」というおおざっぱすぎる名前がいまいちピンと来ないからなのかはわかりませんが、競馬ファンには小倉競馬場のあるところ、アニヲタ的には中原麻衣や佐藤利奈の出身地として有名です。ちなみに鹿児島県には南九州市があります。人口4万人の小さな市ですが、高田みづえさんの出身地だとさっき知りました。
そんな北九州市に生まれたJリーグチームが今回初対戦となるギラヴァンツ北九州。前身は北九州市にあった三菱化成黒崎サッカー部で、2001年にJリーグ入りを目ざし「ニューウェーブ北九州」が誕生。ここ数年の新規参入組と違ってトントン拍子というわけにはいきませんでしたが、2008年のJFL昇格に合わせてJリーグの準加盟チームとなり、翌2009年にJFLで4位に食い込むと同時に平均観客数3000人をクリア、正式にJリーグへの加盟が承認され晴れて今季からJリーグ37番目のチームとなりました。これにより、全国に19ある政令指定都市の中でJリーグチームのない都市は、大阪府堺市と今年4月から指定都市入りを果たしたばかりの神奈川県相模原市のみとなりました。ちなみにアニメイトがない政令指定都市も堺と相模原だけだったりします(堺には以前店舗があったんですけど、昨年閉店)。
ちなみに全然話は関係ないですけど、この「Jリーグクラブを持つ政令指定都市」のうち、「プロ野球チームもある」都市は札幌、仙台、千葉、横浜、名古屋、大阪、神戸、広島、福岡。その中でさらに「プロオーケストラのある都市」は札幌、仙台、横浜、名古屋、大阪、広島、福岡となります。このうちくもじいを見られるのは札幌、横浜、名古屋、大阪、福岡。フットサルチームまであるとなると札幌と名古屋と大阪しか残りません。そして驚くべきことに、この残った3都市のうち、食パンを角食と呼ぶのは札幌市だけです。なんだよ!ソリをボブスレーって言っちゃダメか! 浜辺にテント葉ってキャンプしちゃ悪いか! 道民なめんなよ!
で、何の話でしたっけ。ああ、北九州戦ですね。
2試合続けてスコアレスドローという何ともファジィな結果に終わり、思ったように順位を上げられないコンサドーレ札幌にとって、新加入チームが相手のこの試合は負けられない試合。ノブリンはヴェルディ戦でそこそこ安定していた3バックをこの試合でも採用してきましたが、そのヴェルディ戦でトップ下に入っていた宮澤が怪我で離脱。そういえば宮澤ってけっこう体質はスペランカーでしたっけね。グアムキャンプで腓骨筋断裂の怪我を負い戦線離脱していたDF吉弘充志がようやくこの試合でベンチ入り出来るまで回復したものの、相変わらずの怪我人の多さです。まぁ怪我はしょうがない部分もありますが、このあたりがいまいち波に乗りきれない原因のひとつでもあるのでしょうかね。そんなわけで3-5-2のトップ下には岡本ヤスが起用されました。砂さんじゃなかったのはあくまでジョーカーとして使いたいのか、それとも甲府戦でスタメン出場して1失点目の起点となったヤスの自信を回復させようとしたのでしょうか。そうだとしたら、結果としてはそれはちょっと裏目った感じでしたね。
試合開始から北九州DFが復調気配を見せる紀梨乃を捕まえきれず、3分にその紀梨乃がサイドを突破、自らペナルティエリアに切れ込んでキーパーの股間を抜くシュートを決めて早々と札幌が先制。北九州の守備組織が混乱する隙を付いた形の得点でしたし、ようやく1点取ったことで紀梨乃が波に乗ってこのまま大量得点もあるかなと思ったのですが、ところがその後札幌の攻撃陣は沈黙。中でもヤスが大ブレーキとなってしまいます。トップ下は確かにプレッシャーの一番きついポジションですが、かつて札幌で3-5-2システムを採用していた時にトップ下を務めていた山瀬(現横浜F・マリノス)や砂川は、プレイスタイルとしてはヤスと同じようなドリブラータイプですが、彼らはドリブル以上に相手DFの裏を取ってボールを引き出す動きがうまいのに対し、ヤスはそういう動きがあまりないんですね。与えられたポジションにこだわりすぎてるのかもしれませんが、そのあたりは課題だと思います。
それにしても普段のヤスから考えると信じられないほどの不調っぷりにたまらずノブリンもヤスを前半37分には砂さんに交代させてしまいます。まぁヤスだけじゃなく、ほかのメンバーの動きも今市であったことは確かなんですけどね。ゴールデンウィークシリーズの札幌は最寄りの空港からだいぶ距離のある甲府での試合後、札幌に戻らずそのまま熊本へ直行、そこから札幌に戻って中2日で試合をした後に再び中3日九州まで遠征という強行日程で疲労はピークでしょうし、初めてのスタジアムでピッチの感触も掴みにくかったこと、いろいろな要因はあるでしょうけど、アウェイとはいえJリーグ1年生の北九州にむしろ押される展開。先制点以降はろくすっぽシュートすら打てず、「ひょっとしてわざと打たずにシュート1本での勝利というJリーグ記録を目指しているのでは?」などと無理矢理いい方向に考えてしまうほどの有様です。まぁ結局交代で入ってきた砂さんがシュートを打ってしまいその夢は潰えたのですが、とりあえず前半は1-0で終了します。
後半は攻めに出てきた北九州に対して何度かカウンターでいい形を作るシーンが出てきましたが、ペースとしては依然として北九州。それでも札幌守備陣の奮闘でゴールを割らせず、そうこうしているうちに徐々に北九州にも疲れが見え始め、後半27分に中盤でいいアクセントになっていたウェリントンが交代するとようやく札幌もボールを持つことができるようになってきます。ただそれでもペースを五分五分に持っていくのが精一杯。既に前半で1枚交代枠を使っており、33分にこんどッチを下げて古田を投入したノブリンとしても、あと1枚の交代枠を追加点を獲りに行くために使うか、それとも1点を守りきるために使うか迷いどころだったでしょう。しかし、42分に相手のシュートを文字通り身体を張って防いだ岩沼が負傷。復帰したばかりの吉弘を入れざるを得なくなり、これでほぼ守りきるしか道はなくなった札幌は、倒れてすぐさま×が出るほどの怪我を負った岩沼の心意気に応えて逃げ切り、第4節ファジアーノ岡山戦以来の勝利を収めました。
とはいえ、この状況ではとりあえず内容よりも結果というのもわかるんですが、せっかく早い時間に点が取れたんですから、-7という得失点差を少しでも減らすためにも、できるだけ多くの得点を取りたかったというのが正直なところ。形の上では3試合連続無失点と守備はまぁよくはなっていると思いますが、やっぱり攻撃力に不安が残りますね。
まぁ力で軽くねじ伏せられるほどの実力差があるわけでもないですし、ほっときゃ1人で点を取ってくるような化け物ストライカーがいるわけでもないですから、守備に比重を置けばその分攻撃力は減るのは仕方のないところかもしれませんけどね。三浦監督の時代は守備重視で確かに固かったですけど得点力はダヴィや西谷さんがいてもそこそこ程度でしたし、逆に攻撃サッカーを目指していた頃は確かに得点は多かったですけどその分失点も多くて、結果取りこぼしも多くて結局昇格できませんでしたからね。なかなか「攻撃力はそのままで守備も強化」なんて都合良くはならないもんです。「うるおい残して汚れだけ取ります」なんて女性用洗顔料みたいにはいかないんでしょうかね。もっとも今年は守備も攻撃もアレですけど。
この試合で負傷した岩沼はどうやら全治3ヶ月の重傷とのことで、ただでさえ少ない選手が次々と離脱していく厳しい状況ではありますけど、ここが踏ん張りどころだと思います。