« 2010年7月 | メイン | 2010年9月 »

2010年8月 アーカイブ

2010年8月 3日

雉も鳴かずば

2010年Jリーグディビジョン2第20節
ファジアーノ岡山 1-0 コンサドーレ札幌
得点者:札幌/おりません
     岡山/田所

 むしろ打たれちゃいました。

 昇格候補の一角・ジェフユナイテッド市原千葉に完勝を果たして前半戦をいい形で締めくくった札幌でしたが、勢いに乗って後半戦いいスタートを切るつもりがホームで横浜FCに敗戦とけつまずいてしまいました。今節はファジアーノ岡山とのアウェイ戦で仕切り直し…といきたいところですが、日本は現在夏真っ盛り。今年の夏は特に暑く、熱中症と見られる症状で病院に搬送される人も急増しているほどです。今年は冷夏だって誰か言ってませんでしたっけ。まぁそんな外を歩いているだけでいつやられるかというまさしく緊張の夏ではありますが、夏はサッカー以外のスポーツも目白押しな季節でもあり、土日はスタジアムがふさがっているためでしょうか、今節の岡山対札幌は金曜日の夜、しかも19:30キックオフという変則日程。しかしそれでもキックオフ時点で気温30.0℃、湿度68%という煉獄っぷりです。
 さて、試合会場となる岡山のホームスタジアム・岡山県総合グラウンド陸上競技場は、去年までは「桃太郎スタジアム」と呼ばれていましたが、今年になって「カンコー」ブランドを手がける学生服大手の尾崎商事(本社・岡山市)がネーミングライツを取得、3月から「カンコースタジアム」という名称になりました。ネーミングライツって別に企業名じゃなくてもいいんですね。つーか、カンコー学生服ってカンコーという会社が作ってるモンだと思ったのは自分だけじゃないでしょうから、確かに「尾崎商事」より「カンコー」のほうが通りはいいでしょう。だとすると「ベンクーガースタジアム」とか「ジョンカータースタジアム」とかもあったっていいじゃないですか。ちなみにベンクーガーもジョンカーターもジョニーケイも作ってるのは岡山県の企業です。まぁ、繊維業の盛んな地域ですしね。

 まぁそんな感じで我々世代以上しかわからないネタはどうでもいいとして、岡山戦。前節出場停止だった藤山は戻ってきたものの、その試合で退場した石川に加え、累積4枚目の警告を受けた西嶋も出場停止。センターバックは藤山と吉弘とこれまた初めてのコンビとなります。週中にセンターバックの趙晟桓が韓国Kリーグの全北現代に移籍、まぁずっと怪我で出てなかったのであまり影響はないでしょうけど、ついにベンチからDF登録の選手が消えてしまう事態に。
 そんなギリギリの状況ですが、試合が始まってみると問題はそれ以前のものであったことが発覚。とにかく動けないし、どこか集中力に欠けたプレイばかり。中断期間中走り込んできたという話ですが、涼しい北海道で走るのと、高温多湿の内地で走るのはわけが違うってことかもしれませんけど、元気なのはついこの間まで清水にいた高木くらい。特に上里のダメっぷりは目を覆うばかりで、開始早々、自陣ペナルティエリアやや手前でクリアボールを拾った後、何を思ったかその場でいきなりドリブルを開始。ボランチの選手があそこでドリブルをすること自体セオリーからはあり得ないんですが(去年のダニルソンも結構やってましたけど)、コントロールが妙にでかくなったところを岡山MF田所に奪われ、そのままミドルシュートを決められ失点。なぜあり得ないかと言えばあそこでボールを失うと一気に失点に結びつくから、というのを身を以て証明してくれやがりました。
 まぁそれはそれとしてこの田所のシュートは素晴らしかったんですけどね。この田所選手は昨季大体大から岡山に加入した生え抜き選手だそうですが、なかなかいい選手です。志村けんが東村山音頭で「狭山田所情けが厚い」って歌ってましたから、てっきり埼玉出身かと思っていましたが大阪の人でした。
 その後も上里は持ちすぎては奪われ、その次は持ちすぎを意識するあまりにパスの精度を欠き、そしてまた持ちすぎて奪われの繰り返しで前半35分で岡本と交代。前半途中で膝を痛めたためのようですけど、ケガがなくても前半で替えられてた出来でしたね。彼は定期的にこういう状態になるというか、むしろこれが基本でたまにいいプレイをする日もあるといったほうがいいのか、とにかくその辺もっとコンスタントにプレイのレベルを維持できるようにならないと、ボランチとしては使いにくいですよ。少なくともあの状況であの場所でドリブルをしちゃダメゼッタイ。ガソリンスタンドで給油してるときにタバコに火を着けるようなもんです。わかっててやるのはドリフくらいです。まぁひどいのは上里だけじゃなてチーム全体ほとんどいいところがなかったんですけどね。そんなわけで前半は1点ビハインドで終了。

 後半、いい加減ケツに火が付いたか札幌がペースを奪います。しかし攻め手に工夫がなく岡山の守備陣を崩すまでには至らず。いくら下位チームといえど単純なクロスを上げるだけではよっぽど精度の高いボールを入れなければ決まりませんし、もともと岡山は順位こそ札幌よりも下ですが、前節までの総失点数は札幌より少ない20。そんなに守備の弱いチームではありません。結果、ゴール前の相手を崩すまでに至らずペナルティエリアの外からシュートを「打たされる」か、それらをくぐり抜けた数少ないチャンスも、フィニッシュの精度を欠いて決められず。カイジの「沼」を見てるようです。カイジは最終的に難攻不落の沼をあの手この手で攻略しましたけど、こっちはもうなんというかあの手もこの手もない感じ。ネコの手でも借りたい心境ですよね。手を使っちゃダメですけど。
 結局最後まで札幌はゴールを決めることが出来ず0-1のまま試合終了。この出来を見る限りではおそらくあの失点がなかったとしてもスコアレスドローが関の山だったでしょうけど、それだけに不用意な失点が悔やまれますね。

 ちなみに数ある記録の中でも難易度の高い「Jリーグ全チームから敗戦」記録は、現在横浜FCが達成に一番近いところにいますが、後を追うコンサドーレ札幌も、この試合で岡山に負けたことにより、残りは栃木SCとカターレ富山とFC岐阜とギラヴァンツ北九州の4チームに倒されればいいというところまできました。ただ横浜FCは確か北九州と岡山の2チームで達成なので、若干不利かもしれません。

2010年8月11日

火の国魂

2010年Jリーグディビジョン2第21節
コンサドーレ札幌 2-0 ギラヴァンツ北九州
得点者:札幌/岡本、高木
     北九州/なし

 後半戦の巻き返しに向けるつもりが2連敗と、巻き返しどころかむしろ差し戻しといった感じになっているコンサドーレ札幌は、今節はホームに戻ってギラヴァンツ北九州との対戦を迎えます。今季から新規参入しJリーグの壁に苦しんでいる北九州は、ここまで勝利はわずか1試合のみという成績で最下位。札幌とは第12節で対戦して一応札幌が勝利していますが、開始早々の出会い頭に桐乃(そろそろ世間の潮流的に変更)のゴールで先制しながら、その後決め手を欠いて追加点を挙げられないどころか、試合の多くの時間で北九州にペースを握られるという、内容的にはお粗末な試合でした。最下位のチーム相手のホームゲームとなれば格好の「連敗ストッパー」、と言いたいところですが、何しろ強きをくじき弱きを助ける心優しき札幌だけに、あまり余裕をかますことも出来ないのが正直なところ。心に愛がなければスーパーヒーローじゃないというのはもう嘉永元年から言い尽くされていることではありますが、別にスーパーヒーローでなくてもいいのでしっかり勝点3取ってくださいというのがサポーターの正直な心情。
 そんな札幌のスタメンですが、前回の対戦で北九州DFの手を焼かせてたような感じの桐乃が怪我で欠場、近藤も累積警告で出場停止とFWが足りず、ワントップとしてはあまり向いてなさそうな内村がワントップ。トップ下に岡本、左サイドに高木、右サイドに古田、ボランチに芳賀と宮澤、最終ラインは前節出場停止だった西嶋と石川が戻ってきて、左から西嶋、石川、藤山、藤田と久しぶりに見慣れたメンツが揃いました。
 ちなみに桐乃はグロインペイン症候群だそうで、「愚露陰兵員」とか書くとどっかの暴走族みたいに見えるってのはどうでもいいとして、けっこう長引きそうですね。趙は怪我で今季出場なしで既に退団、李漢宰も2試合のみの出場で怪我で長期離脱中、朴ジンスも厳密に言えば助っ人として獲ったわけではないにしても、漢宰もいない、上里も波が激しいという状況でありながらここまでわずか1試合の出場に留まっており、外国籍枠は全滅状態ですね。これならダニルソン1人だけ残すって選択肢でもよかったんじゃないでしょうか。まぁしょせんは結果論ですし実際シーズン前にチーム全体の頭数も足りないところでそんな選択肢はあり得ないですけど。

 石川と藤山が久しぶりにコンビを組んだことで、多少守備に関しては計算が出来る布陣なような気がしましたが、試合開始直後にいきなり大島に決定的な形を作られる不安な立ち上がり。その後もどっちかというと北九州ペースで試合は進みますが、それでも10分を過ぎたあたりからようやく札幌も盛り返せるようになります。しかし相変わらず攻撃に工夫がありません。もともとゴール前を固める相手にパスで崩せるようなスキルがあるわけでもない上に、この試合のスタメンは前線にまったく高さがないのですから、1人ニアで潰れた上でファーサイドにサイドバックが突っ込んでくるとか、ダイレクトのワンツーパスを織り交ぜてみるとか、相手の裏をかくような動きをしてみてもいいように思うんですけどね。ずいぶん前からそうなんですけど、なんかね、やっぱりJ2といえどもプロなんですから、もっとこう、素人をうならせるようなプレイを見たいのですよ。それは世界的な名選手レベルの超絶プレイなんかを要求してるわけではもちろんなくて、サッカーとしていい意味でこっちを裏切るプレイ、要するに「そこでそっちに出すか!」なプレイとか「そこに走ってるのかよ!」なプレイとか、はたまた「海より広いあたしの心も、ここらが我慢の限界よ!」みたいな感じのプレイを見たいわけですよ。具体的に言えば、今でも忘れられないのが2001年5月19日の対ジュビロ磐田戦の和波智広のゴールみたいな。あれだって身も蓋もない言い方をすれば単なるカウンターなんですけど、クロスを上げた田渕にロングパスを出したアウミールがボールを持った時点ではまだ自陣にいたはずの和波が、いつの間にかゴール前に出現して決めたシーンですね。まぁあれも快足を誇った和波ならではという意味では個人依存かもしれませんが、同じくらい足の速い選手なら今のコンサドーレにだっているわけで。まぁ要するに藤田くんはもっとゴール前に顔を出して欲しいということなんですけどね。ベガルタ仙台の菅井さんはいつもゴール前まですっ飛んで来ますからね。個人的にはああいうサイドバックが好きだったりします。
 まぁそんなわけで相手ゴール前まで攻め込むシーン自体はけっこうあったものの、シュートにまで持って行けないことが多く、たまにシュートを打てたとしても、お約束に違わず君がいた夏の打ち上げ花火のように空へ消えていって0-0で前半終了。

 最近、というか最近に限ったことじゃなくて今年初めからのような気もしますけど、「前半ダメダメ、後半ちょっと持ち直す」というパターンを見せることが多い札幌。尻上がりに調子を上げると言うとなんかすごいかっこいいですけど、実際はそのダメダメな前半にぽっかりと失点し、後半持ち直してもたいていは時既に遅しか、せいぜい引き分けに持ち込むのが精一杯という感じがほとんど。そういう意味では前半に失点しなかったのは後半に向けては好材料じゃないか、とプラスに考えられなくもありません。なんだか「アイドルマスターゼノグラシアはアイマスとして見なければ面白い」くらいの後ろ向きなプラス思考ですけど。
 と言ったところで期待の後半ですが、やっぱり何となくピリッとしない感じ。まぁ今まで我らが札幌がピリッとしてたことなんてあったんですかと言われると、確かにピリッともプリッともしてなかった気もしますけどね。なんか「得点ってどこにいけば買えるんでしたっけ?」などとでも言うような感じのプレイだなぁと思っていた矢先の後半8分、相手のバックパスを読んでいた岡本が鋭く反応、慌てて前に出てきたGKをあざ笑うかのようなループシュートを決めて先制点を挙げます。
 先制して気をよくした札幌はようやく本来の、かどうかはわかりませんがペースを取り戻し、パスも人も良く回るようになります。25分には左サイドを細かいパスで引っかき回し、ペナルティエリアに突っ込んできたフリーの高木に内村からのパスが通り、これを高木が冷静に決めて追加点をゲット。まさしく相手の裏をかく理想的な攻撃パターン。なんでこれを最初から出来ないのかとも思うんですけどね。岡本の先制点で硬さが取れたからかもしれませんが、そうすると点を獲るためにはこういうプレイが必要なのに、こういうプレイをするためには先に点を獲らなければいけない、なんてニワトリとたまごみたいな理論になっちゃうわけですね。
 その後も札幌が押し気味に試合を進めますが、追加点を奪うことができないまま試合はアディショナルタイムへ。サッカーでは一番怖い点差と言われる2-0ではあるものの、まぁ試合の内容からは紛れも起きまいと割と安心して試合を観ていたら、最後の最後でアホなオチが待っていました。アディショナルタイムにノブリンは横野の投入を準備します。代えるのは疲れが少し見えていた上に1枚既にカードを受けている高木…だったのですが、ゆっくりと歩いてピッチを後にする高木に対し、吉田哲朗主審は遅延行為としてイエローカードを提示。これで2枚目となった高木はこの時点で退場となり、交代も認められなくなってしまいました。
 時間帯を考えれば明らかに時間稼ぎのための交代。であれば当然高木は急いでピッチを出るようなことはしないわけで、勝っているチームの選手としてはごく当たり前のプレイ。とはいえルール上それが明確に認められているわけでもないですし、あからさまな時間稼ぎというのもいいか悪いかと訊かれれば俺も「まぁ、あんま推奨されるプレイじゃないよね」と言わざるを得ないですから、主審が遅延行為だと判断すればそうなのかもしれないんですが…。どうなんですかね。高木に対して「まだ試合あるんだから早く出て」と促したのに従わなかった、というのならまだわかりますけど、そうじゃなくてチンタラしてたからカード、というのでしたら、やっぱり間違ってる気がしますね。以前から言っていることですけど、主審は選手を裁くために存在するのではなく、試合をコントロールするためにいるのですから。もちろん著しいラフプレイとか、看過できないルール違反に対してのカードは必要ですが、コントロールするための手段としてのカードであってはいけないと思うんですよね。

 まぁそんなわけで多少後味の悪い結果になってしまいましたが、とりあえず連敗をストップすることに成功。出場給をもらい損ねた横野くんは元気を出してください。

2010年8月19日

世界征服の基礎はまず練馬から

2010年Jリーグディビジョン2第22節
東京ヴェルディ 2-1 コンサドーレ札幌
得点者:札幌/内村
     ヴェルディ/菊岡、平本

 前節ようやく後半初勝利を挙げた札幌は、今節はアウェイでの東京ヴェルディ戦。札幌のトップチームにとっては2002年7月28日のFC東京戦以来、ほぼ8年ぶりとなる国立霞ヶ丘競技場での試合です。この試合は「練馬区サンクスマッチ」。そろそろ札幌で暮らした年数を練馬区で暮らした年数が追い越してしまいそうな練馬区民のオレから見ると、普段生活していてヴェルディの存在を意識することは一切ないのですが、国立競技場は練馬駅から大江戸線で30分くらいで行けることもあり、練馬区とのタイアップとして去年から行われています。
 そして今回はこのコンサドーレ札幌が練馬区民サンクスマッチ。練馬区産の夏野菜のプレゼントや、小さな女の子と大きなお友達に大人気な「プリキュア」シリーズから「フレッシュプリキュア!」のメンバー来場など、練馬区にちなんだイベントが行われます。ご存じの方はご存じかと思いますが、練馬にはその「プリキュアシリーズ」や「ワンピース」などを手がける東映アニメーションや、「おじゃる丸」や「遊戯王」などを手がけるスタジオぎゃろっぷなど、大小のアニメ制作会社が数多く存在しており、練馬区の基幹産業のひとつ。「空飛ぶパンツアニメ」として名を馳せた「そらのおとしもの」や、最近では「パンツじゃないから恥ずかしくないもん」の二期など、よくよく空とパンツに縁のあるアニメを制作しているAICは、うちから歩いてすぐのところにあります。そんな練馬区のライバルは「ガンダム」シリーズのサンライズや「化物語」や「ひだまりスケッチ」シリーズなどを制作するシャフトなどのある杉並区で、両区在住のアニヲタ同士で心底どうでもいい覇権争いを繰り広げていたりいなかったりします。そんなアニメの街・練馬にちなんでのプリキュア登場。練馬区民でありコンサドーレサポーターであり、なおかつアニヲタであるオレは、そんなわけで明治神宮外苑にある国立競技場にやってきたのだ。

 まぁプリキュアが来ると言ってもどのみち着ぐるみなんだろうなぁと思いつつ、ひょっとしたら昔FC東京が「キャプテン翼」の三杉くんでやったような感じのこと(その試合の相手はヴェルディでした)があるかもという希望を持って行ったのですが、実際世の中そんなにうまくできてるはずもなく、思った通りの着ぐるみさんたちだったばかりか、キュアパッションがいません。この試合に来たのが現行シリーズの「ハートキャッチプリキュア!」ではなく1つ前の「フレッシュ」だったのは、たぶん「ハートキャッチ」の着ぐるみは今サンシャインシティにて開催中のプリキュアイベントに行ってるからだと思うんですけど、パッションはどこへ行ってしまったのでしょうか。サンクスマッチのチラシにもピーチ、ベリー、パインの3人しか書かれてなかったので確かに広告に偽りないのですけど、何となく納得がいきません。
 つーか今更ですけどそもそもどうしてプリキュアなんでしょうね。東映がらみなら、一般的な知名度ではおそらくワンピースのほうが圧倒的に上だと思うんですけど。集英社へのロイヤリティも高そうですけどね。ちなみに去年のサンクスマッチ(カターレ富山戦)には「ねぎぼうずのあさたろう」がやってきたそうです。知名度的にもキャラ的にもちょっと微妙な感じですね。普段サッカーを見に来ない女児を狙い撃つ目的なんでしょうか。まぁ、プリキュアを従えて挨拶をする「俺たちのとしろう」こと志村豊志郎練馬区長というのもなかなかにシュールな絵でしたが。

 なんか試合について書くのがどうでもよくなってきましたが、しかたないので書くことにする。

  札幌は前節かわいそうな退場を食らった高木が出場停止。その代わりにスタメンに名を連ねるのはベテラン砂川誠で、それ以外は前節と同じメンバーで臨みます。ヴェルディは一時期の不調を脱し、ここ7試合は負けなし。直近の2試合はヴァンフォーレ甲府と柏レイソルという昇格争いを繰り広げている2チームを連破、特に前節はそれまで無敗を誇っていた柏レイソルに初めて土をつけるなど、勢いに乗っています。
 中断前までは似たような順位にいたのに、方やヴェルディは3位まで勝点6差にまでこぎ着け、方や札幌はついに勝点差が2桁まで開いてしまっている状況。ここいらあたりで踏ん張らないと日付通りの終戦記念日になりかねないため、ここで勝って再びヴェルディをお仲間として迎え入れたいところ。
 しかし、とにかく暑いの一言。札幌でもここのところ30度を超える日も多かったようですが、それでも日が落ちれば過ごしやすくなる北海道と違って、19:30という普段よりも遅いキックオフ時間にもかかわらず、気温は全然下がりません。風もほとんどなく、スタンドで観戦しているだけで汗が止まりません。有明方面でやっていたお祭りの熱気がヒートアイランド現象を起こしているに違いないですね。そんな暑さだけに札幌の選手たちにとってはたいそうつらかろうと思っていたら、前半10分に砂川のスルーパスに抜け出した内村が飛び出してきたGKの上をふわりと浮かせる技ありシュートで先制。
 なんだ、やればできるじゃんと思っていたのも束の間、というか良かったのはここまででした。つまり10分で電池切れ。先制からわずか3分後には高木次男のシュートのこぼれ球を菊岡に決められあっという間に同点に追いつかれると、あとは防戦一方。さすがにヴェルディもこの暑さの中ではあまり無理をしてこなかったとはいえ、止める・蹴るといった基本技術がしっかりしているヴェルディの選手たちはパス回しに翻弄されなかなかボールを奪うことができません。前半あまり攻撃的にいかなかったのは、おそらくこういう暑い中でなるべく体力を温存する作戦もあったと思いますし、当初のプランでは「前半は0-0で」という目論見があったはず。そういう意味では追いつかれたとしても1-1という前半の結果は想定の範囲内だったでしょうし、藤山や石川、高原のファインプレイがなければ1失点どころでは済んでいなかったことを考えると、「1点とっておいて良かった」というのが正直なところだったと思います。

 ただノブリンにとって誤算だったのは、前半だけで思った以上に走らされたこと、そして負傷で石川を前半のみで代えざるを得なかったことでしょうか。前のほうのメンバーははっきり言って誰を代えてもおかしくない感じでしたけど、戦術的な意味合いとしてもプレイ的な意味合いとしても、石川を代える理由は怪我以外にあり得ませんでしたから、おそらく怪我なんだろうとは思っていましたが、石川の交代はかなりチームにとって痛かったと思います。ノブリンは苦肉の策で吉弘を入れて3バックにし、前線には岡本に代えて近藤を入れてきました。とにかく前でまったくボールをキープできない状態でしたからこれも致し方ないところでしょう。しかし開始早々は多少攻め込むシーンも見られたものの、やっぱりそれも最初だけ。時間とともにやっぱりヴェルディにボールを支配されるようになり、絶体絶命のピンチを何度も迎えます。ただヴェルディも決定力に関してはあまり良くはないようで、シュートが全然入りません。実際前節までのチーム得点数は20得点で、札幌(22得点)よりも少ないですし、第13節のファジアーノ岡山戦以降は「9試合連続で1点ずつ」というすごいのかすごくないのかよくわからない記録を続けており、得点力が上がらないのもこのあたりが原因なのかな、と思う次第。
 まぁ札幌にとってはずいぶん助けられたわけで、都合4回目くらいの決定的なシーンを外した時には「もしかしたらうっかり勝てるかも」などと思ったのですが、そうは問屋が下ろしませんでした。後半39分、左サイドを崩されマークがズレ、フリーの吉田にあげられたクロスを平本に押し込まれて逆転を許してしまいました。
 既に追いつく体力すら残っていなかった札幌は、試合終了間際の2度のチャンスもサイドのユース出身コンビが肝心なところでトンチキクロスを上げてしまいジ・エンド。結局90分で放ったシュートは得点に結びついた内村のゴール以外はたったの2本と内容的にも完敗。シュート3本のチームに負けることができるのなんてコンサドーレ札幌くらいしかないですよね。都合10回目の観賞となった「涼宮ハルヒの消失」を朝倉さんが襲ってくる前に切り上げてまで駆けつけた国立は、やっぱり今日も勝てませんでした。

2010年8月27日

コンサと栃木のラブゲーム

2010年Jリーグディビジョン2第23節
コンサドーレ札幌 0-0 栃木SC
得点者:札幌/
     栃木/

 アウェイでヴェルディに逆転負けを喫し、早くも後半戦3敗目を喫した札幌。前半戦の成績は5勝4敗8分の10位、この4敗というのは前半戦終了時点で3位につけていたジェフユナイテッド市原千葉と同じ数であり、つまり札幌がこの順位に低迷しているのはひとえに引き分けの多さ、イコール勝ちきれないことが多いという現れだったのですが、後半戦がスタートしてから4試合で既に3敗。前半戦ラストで千葉に勝って勢いに乗るどころかむしろ積極的に退却している始末。残り16試合3位との差は既に13。勝点差が残り試合数を上回ると逆転が事実上不可能な法則、名付けて「勝点差が残り試合数を上回ると逆転が事実上不可能な法則」まであと一歩というところまで来てしまいました。
 まぁ毎年言ってることですけど昇格争いしてようがしてまいがとにかく目の前の試合に勝つことを目指して欲しいわけで、勝てば海路の日和あり、とも言いますし(言いません)。しかしながら札幌は相変わらずの怪我人三昧。この試合は前節途中交代した石川が欠場、宮澤も屈腱炎…じゃなくて長母指屈筋で欠場。まぁ宮澤は怪我がなくてもどっちみち出場停止だったんですけど、スタメンはGK高原、DF藤田、藤山、吉弘、西嶋、MFに高木、芳賀、上里、砂川、岡本、ワントップに内村という布陣。靱帯を痛めていた岩沼が久しぶりにベンチに復帰したものの、メンバーのやりくりには厳しい状態と言わざるを得ません。しかしそれでもホームゲーム、ら負けるわけにはいきませんよね。

 そんなわけで試合。

 以下略。

 終了。

 猫のうんこ踏め!

 開始早々こそペースを握り、惜しくもオフサイドの判定ながらセットプレイから内村がゴールネットを揺らしたものの、その後はいつもの通りパスミスでチャンスを潰す、せっかくいい形を作ってもシュートに精度を欠くという拙攻の繰り返しでした。見方であるはずのホームグラウンド・厚別の芝は荒れ放題。2週間前の北九州戦ではここまでひどい状態になってなかったと思いますし、その後の日程を見ても先週末に女子リーグと札幌リーグの試合があったくらいでピッチを酷使したというわけでもなさそうですが北海道にしては暑い日が続いていたことと関係あるのかテレビ画面からでもハゲハゲなのがはっきり見て取れる状態で、たぶん見た目以上にひどかったんでしょう。その痛んだピッチと、この日もキックオフ時点で28.5度、湿度64%と北海道にしてはかなり蒸し暑い中での試合。どこのチームも試合は昼間にやったほうが照明代がかからないぶん助かるのですが、この時期昼間に試合ができるのは北海道くらいですからそのあたりはメリットとも言えるのですけど、たまにはこういうこともあるわけで、そういう意味ではあまりホームのアドバンテージというのは薄かったのかもしれません。
 前半岡本が惜しいシュートを2本外した時点で、あ、こりゃ今日は点が入りそうもねぇなってのが何となくわかってしまうような体たらくで、こういう予想だけは当たってしまうのは勘弁して欲しいと思います。

 相手がこれまで対戦成績4戦4勝の栃木SCだけに、勝って当然というふうに思いたくもなりますけど、よくよく考えなくても栃木の成績は9勝7敗5分で勝点32の6位。札幌よりも上ですし、シーズンはじめならまだしも、対戦が1周りしてこの位置をキープしているというのは、Jリーグ2年生、昨季は最下位ファジアーノ岡山と勝点差わずかに1のブービー賞だったチームとしては大健闘以上の成績と言っていいでしょう。逆に言えばJリーグ14シーズン目、J1も3度経験しているはずのチームとして今の成績はどうなんだと思わないでもありませんが、哀しいかなその栃木とホームゲームで引き分けるのが精一杯ってのが現実なんだと受け止めるほかないですよね。
 まぁ栃木も栃木でパスミスは多かったですし、大したチャンスもなかったんですけど、状況的には栃木にとっては是が非でも勝点3を取らなければいけない必要はないわけですからね。スコアは引き分けでも、実質的には栃木の勝ちに近い結果だったと思います。3位の千葉がFC岐阜に敗れたため勝点差はちょいとだけ縮まりましたけど、さりとてこれからどうやって浮上するんだと考えると、あまりプラスの材料がなさすぎて、ここまで来ると逆に愉快でたまらないですね。今年の楽しみはもう12月18日発売の涼宮ハルヒの消失のブルーレイくらいしかありません。

2016年2月

  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29          

アーカイブ