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2010年8月11日

火の国魂

2010年Jリーグディビジョン2第21節
コンサドーレ札幌 2-0 ギラヴァンツ北九州
得点者:札幌/岡本、高木
     北九州/なし

 後半戦の巻き返しに向けるつもりが2連敗と、巻き返しどころかむしろ差し戻しといった感じになっているコンサドーレ札幌は、今節はホームに戻ってギラヴァンツ北九州との対戦を迎えます。今季から新規参入しJリーグの壁に苦しんでいる北九州は、ここまで勝利はわずか1試合のみという成績で最下位。札幌とは第12節で対戦して一応札幌が勝利していますが、開始早々の出会い頭に桐乃(そろそろ世間の潮流的に変更)のゴールで先制しながら、その後決め手を欠いて追加点を挙げられないどころか、試合の多くの時間で北九州にペースを握られるという、内容的にはお粗末な試合でした。最下位のチーム相手のホームゲームとなれば格好の「連敗ストッパー」、と言いたいところですが、何しろ強きをくじき弱きを助ける心優しき札幌だけに、あまり余裕をかますことも出来ないのが正直なところ。心に愛がなければスーパーヒーローじゃないというのはもう嘉永元年から言い尽くされていることではありますが、別にスーパーヒーローでなくてもいいのでしっかり勝点3取ってくださいというのがサポーターの正直な心情。
 そんな札幌のスタメンですが、前回の対戦で北九州DFの手を焼かせてたような感じの桐乃が怪我で欠場、近藤も累積警告で出場停止とFWが足りず、ワントップとしてはあまり向いてなさそうな内村がワントップ。トップ下に岡本、左サイドに高木、右サイドに古田、ボランチに芳賀と宮澤、最終ラインは前節出場停止だった西嶋と石川が戻ってきて、左から西嶋、石川、藤山、藤田と久しぶりに見慣れたメンツが揃いました。
 ちなみに桐乃はグロインペイン症候群だそうで、「愚露陰兵員」とか書くとどっかの暴走族みたいに見えるってのはどうでもいいとして、けっこう長引きそうですね。趙は怪我で今季出場なしで既に退団、李漢宰も2試合のみの出場で怪我で長期離脱中、朴ジンスも厳密に言えば助っ人として獲ったわけではないにしても、漢宰もいない、上里も波が激しいという状況でありながらここまでわずか1試合の出場に留まっており、外国籍枠は全滅状態ですね。これならダニルソン1人だけ残すって選択肢でもよかったんじゃないでしょうか。まぁしょせんは結果論ですし実際シーズン前にチーム全体の頭数も足りないところでそんな選択肢はあり得ないですけど。

 石川と藤山が久しぶりにコンビを組んだことで、多少守備に関しては計算が出来る布陣なような気がしましたが、試合開始直後にいきなり大島に決定的な形を作られる不安な立ち上がり。その後もどっちかというと北九州ペースで試合は進みますが、それでも10分を過ぎたあたりからようやく札幌も盛り返せるようになります。しかし相変わらず攻撃に工夫がありません。もともとゴール前を固める相手にパスで崩せるようなスキルがあるわけでもない上に、この試合のスタメンは前線にまったく高さがないのですから、1人ニアで潰れた上でファーサイドにサイドバックが突っ込んでくるとか、ダイレクトのワンツーパスを織り交ぜてみるとか、相手の裏をかくような動きをしてみてもいいように思うんですけどね。ずいぶん前からそうなんですけど、なんかね、やっぱりJ2といえどもプロなんですから、もっとこう、素人をうならせるようなプレイを見たいのですよ。それは世界的な名選手レベルの超絶プレイなんかを要求してるわけではもちろんなくて、サッカーとしていい意味でこっちを裏切るプレイ、要するに「そこでそっちに出すか!」なプレイとか「そこに走ってるのかよ!」なプレイとか、はたまた「海より広いあたしの心も、ここらが我慢の限界よ!」みたいな感じのプレイを見たいわけですよ。具体的に言えば、今でも忘れられないのが2001年5月19日の対ジュビロ磐田戦の和波智広のゴールみたいな。あれだって身も蓋もない言い方をすれば単なるカウンターなんですけど、クロスを上げた田渕にロングパスを出したアウミールがボールを持った時点ではまだ自陣にいたはずの和波が、いつの間にかゴール前に出現して決めたシーンですね。まぁあれも快足を誇った和波ならではという意味では個人依存かもしれませんが、同じくらい足の速い選手なら今のコンサドーレにだっているわけで。まぁ要するに藤田くんはもっとゴール前に顔を出して欲しいということなんですけどね。ベガルタ仙台の菅井さんはいつもゴール前まですっ飛んで来ますからね。個人的にはああいうサイドバックが好きだったりします。
 まぁそんなわけで相手ゴール前まで攻め込むシーン自体はけっこうあったものの、シュートにまで持って行けないことが多く、たまにシュートを打てたとしても、お約束に違わず君がいた夏の打ち上げ花火のように空へ消えていって0-0で前半終了。

 最近、というか最近に限ったことじゃなくて今年初めからのような気もしますけど、「前半ダメダメ、後半ちょっと持ち直す」というパターンを見せることが多い札幌。尻上がりに調子を上げると言うとなんかすごいかっこいいですけど、実際はそのダメダメな前半にぽっかりと失点し、後半持ち直してもたいていは時既に遅しか、せいぜい引き分けに持ち込むのが精一杯という感じがほとんど。そういう意味では前半に失点しなかったのは後半に向けては好材料じゃないか、とプラスに考えられなくもありません。なんだか「アイドルマスターゼノグラシアはアイマスとして見なければ面白い」くらいの後ろ向きなプラス思考ですけど。
 と言ったところで期待の後半ですが、やっぱり何となくピリッとしない感じ。まぁ今まで我らが札幌がピリッとしてたことなんてあったんですかと言われると、確かにピリッともプリッともしてなかった気もしますけどね。なんか「得点ってどこにいけば買えるんでしたっけ?」などとでも言うような感じのプレイだなぁと思っていた矢先の後半8分、相手のバックパスを読んでいた岡本が鋭く反応、慌てて前に出てきたGKをあざ笑うかのようなループシュートを決めて先制点を挙げます。
 先制して気をよくした札幌はようやく本来の、かどうかはわかりませんがペースを取り戻し、パスも人も良く回るようになります。25分には左サイドを細かいパスで引っかき回し、ペナルティエリアに突っ込んできたフリーの高木に内村からのパスが通り、これを高木が冷静に決めて追加点をゲット。まさしく相手の裏をかく理想的な攻撃パターン。なんでこれを最初から出来ないのかとも思うんですけどね。岡本の先制点で硬さが取れたからかもしれませんが、そうすると点を獲るためにはこういうプレイが必要なのに、こういうプレイをするためには先に点を獲らなければいけない、なんてニワトリとたまごみたいな理論になっちゃうわけですね。
 その後も札幌が押し気味に試合を進めますが、追加点を奪うことができないまま試合はアディショナルタイムへ。サッカーでは一番怖い点差と言われる2-0ではあるものの、まぁ試合の内容からは紛れも起きまいと割と安心して試合を観ていたら、最後の最後でアホなオチが待っていました。アディショナルタイムにノブリンは横野の投入を準備します。代えるのは疲れが少し見えていた上に1枚既にカードを受けている高木…だったのですが、ゆっくりと歩いてピッチを後にする高木に対し、吉田哲朗主審は遅延行為としてイエローカードを提示。これで2枚目となった高木はこの時点で退場となり、交代も認められなくなってしまいました。
 時間帯を考えれば明らかに時間稼ぎのための交代。であれば当然高木は急いでピッチを出るようなことはしないわけで、勝っているチームの選手としてはごく当たり前のプレイ。とはいえルール上それが明確に認められているわけでもないですし、あからさまな時間稼ぎというのもいいか悪いかと訊かれれば俺も「まぁ、あんま推奨されるプレイじゃないよね」と言わざるを得ないですから、主審が遅延行為だと判断すればそうなのかもしれないんですが…。どうなんですかね。高木に対して「まだ試合あるんだから早く出て」と促したのに従わなかった、というのならまだわかりますけど、そうじゃなくてチンタラしてたからカード、というのでしたら、やっぱり間違ってる気がしますね。以前から言っていることですけど、主審は選手を裁くために存在するのではなく、試合をコントロールするためにいるのですから。もちろん著しいラフプレイとか、看過できないルール違反に対してのカードは必要ですが、コントロールするための手段としてのカードであってはいけないと思うんですよね。

 まぁそんなわけで多少後味の悪い結果になってしまいましたが、とりあえず連敗をストップすることに成功。出場給をもらい損ねた横野くんは元気を出してください。

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