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2011年5月 アーカイブ

2011年5月 2日

ゴールも、勝利も、ないんだよ

2011年Jリーグディビジョン2第9節
FC東京 0-0 コンサドーレ札幌
得点者:札幌/相変わらずおりません
     東京/おりません

 実質的に開幕連敗、未だに無得点と、狙っていた開幕からロケットスタートどころかホイールスピンでタイヤだけ減らしてる状態で、ここんとこ毎年同じようなことを言っている気がしますが今年も例年通り絶賛出遅れまくりのコンサドーレ札幌は、アウェイでFC東京との対戦を迎えます。1999年に2位となりJ1昇格を果たしたFC東京は、その後ナビスコカップ制覇2回(2004年、2009年)、多くのシーズンで1桁順位をキープし、日本代表にも多くの選手を供給するなど、完全にJ1チームとして定着したかに見えましたが、2010年にJ1で16位となりJ2に陥落しました。
 東京にとって1999年以来実に12年振りに戦うことになったJ2の舞台。かつては東京ガス(前身)、東京電力、新日本石油(ENEOS)と、エネルギーの固まりみたいなチームだったのが、いろいろあってENEOSは2009年いっぱいでユニフォームスポンサーから撤退、東京電力もご存じの通りのご覧の有様で、おそらく来季以降スポンサーを続けることがさまざまな意味で難しそうな状況。スポンサー収入の減少を食い止めるためには、1年でのJ1復帰は至上命題でしょう。その覚悟が間違った方面に発揮されたのか、村林裕前社長がよせばいいのに「J2全勝でJ1昇格」と余計なことを言ったり、サポーターはサポーターで「1年間お世話になります」「J2なめてません」という横断幕を出したりと挑発に余念がありません。まぁ別に挑発ダンマクなんてどこのチームにもあったりするわけですけど、昔の東京サポーターなら同じことするにももっとシャレの効いたメッセージを用意してた気がします。そんな東京だってかつてはJ2だった時代があったわけで、一応1999年1シーズンでJ1昇格を果たしているものの、最終節で逆転2位を勝ち取ってギリギリに昇格(当時は2位までの2チームがJ1昇格)を果たしたとおり、その時も決して楽なシーズンではなかったはず。もう10年以上前のこととはいえ「J2の怖さ」も知っているはずなんですし、その年J2ながらベスト4に入ったナビスコカップ(当時はJ1、J2混成の大会)で「J2なめんなよ」と言っていたのは当の東京サポーターたちだったはず。なんかあれですね。上京していった友達と10年ぶりに再会したら、昔は一緒になってバカやってたのにすっかり他人のような扱いをされた時の感じですね。「俺はもうお前とは同じ人種じゃないから」みたいな。
 ちなみにその1999年、最終節でモンテディオ山形に敗れて昇格を逃した大分トリニータを率いていたのが、現在札幌の指揮を執る石崎信弘監督でした。

 そんなわけで今野泰幸や梶山陽平ら代表クラスを含む主力選手の残留に加え、補強にも余念なくJ2上位どころかJ1でも充分に通用するくらいの戦力を揃えることに成功した東京。つってもそれでJ1で通用しなかったからこそここにいるんだろうけどな、と珍しく百鬼夜行も悪態モードになるように、そんな挑発していればどこのチームだって「東京にだけは負けるな」となるのは当然の成り行きなわけで、開幕戦こそサガン鳥栖を相手に1-0で競り勝ったものの、前節はジェフユナイテッド千葉に叩きのめされ敗戦。早くも「全勝」が途切れています。

 で、いくら優勝候補が相手のアウェイ戦とはいえ、開幕3連敗は避けたい札幌に味スタでのFC東京戦といえば、「曽田さんのディフェンス緊急回避行動」や、「ノナトの伝説のクロス」などの心温まるエピソードを思い出す縁起の悪いスタジアムですが、逆にこの試合に勝てればと思えるような気もするので、勝負所と言えるでしょう。敗れはしたものの全体としてはそこそこやれていた湘南戦と同じメンバーで臨んだ札幌。一方東京もやたらと怪我人が多く、平山相太、米本拓司、ホベルトといったレギュラークラスの選手が相次いで離脱。昨年大怪我をした石川直宏もまだリハビリ中ですし、あれだけ選手層の厚いチームで上里がベンチ入り出来るくらいなんですから相当なんでしょうね。
 で、それが影響してるのかしてないのかはわかりませんが、前半は地力に勝る東京を相手に受け身の時間帯が続くものの、驚くべきことに札幌の守備も割と機能しており、ピンチを未然に防いでいます。東京の攻撃が単調だったのも救いでしたが、これまでよりはカバーの意識も高く、いわゆる「連携して守る」という意思統一ができていたように思います。プロならできて当たり前のことで感心するのもおかしな話ですが。野球に例えればキャッチャーが1塁ベースカバーに走って褒められるようなもん。
 とはいえ、それでも多くの時間帯で押し込まれ反撃の糸口は掴めず、たまに前にボールを運べても今野・森重のセンターバックを中心とする東京の守備陣はやはり強力で、ワントップの三上陽輔は文字通り子供扱いされる有様。梶山陽平ってあんまり守備は得意でないようなイメージでしたけど、さすがにJ2ではその存在感は異様ですね。もっと異様なのはあの雰囲気をユースの頃から身に纏っていたことなんですが。三上や古田もそうですが札幌のユース出身の選手たちが良くも悪くもハウス栽培っぽい雰囲気を持っているのとは対照的です(※ただしあんにゃろを除く)。
 そんな感じで前半は0-0。同じ前半0-0でも前節よりかは見た目通りの0-0。平たく言えば「ザ・J2」という感じの、わりかしまったりした試合内容。東京ペースではあるものの、前半もいくつか見られた「とんでもないミスで試合にカツを入れる」無駄衝動さえなければ、札幌にも勝つチャンスはありそうです。
 で、後半。前半と同じような流れが続くのかと思っていたら、札幌も思いの外盛り返すようになります。ディフェンス面でも後半10分くらいの大きなピンチをGKイホスンがファインセーブで防いでからは特に大きな破綻も見られず、点を取られる気はほとんどしません。
 しかしかといって点が取れるかどうかはまた別の話なのであり、アンドレから砂さんへの交代はよかったのですが、近藤から横野への交代はちょっと疑問。替えるべきはボランチに下げたら「クライトン2世」はおろか「飛び道具のない上里」になってしまった宮澤(のポジション)だと思うのですがね。さらに33分に三上に代えてチアゴを投入、チアゴ大作戦の発動となるわけですが、これも実際機能したとは言いがたく、なんか正攻法で行ったほうがチャンスはあったんじゃないかと思いました。チアゴだってこんな使い方をするために獲ったんじゃないでしょうし。まぁ結果論であることは重々承知なのですがね。

 そんなわけですっごく惜しいチャンスもいくつかあったものの、そういうときにキッチリ決められないのもまた実力なのでしょうか。「連続無得点試合が3試合に伸びた」のは残念極まりないのですが、それ以上に難敵を相手のアウェイ戦で勝点1を得たことは大きいとは思うべきでしょうかね。得点が取れてても1-2とかで負けていた場合、「得点が取れたからよし」とはたぶん思えないと思うので。昔どうやっても1試合で1点しか取れず、1-2で負けることが続いた時期がありましたけど、その後ようやく2点取れたと思ったら4点取られて負けた試合では、やっぱり2得点より4失点のほうがガッカリでしたし。引き分けはさんで14連敗という中でも、点が取れてただけ当時はまだマシだったんでしょうか。

2011年5月 6日

それはとっても嬉しいなって

2011年Jリーグディビジョン2第10節
コンサドーレ札幌 1-0 ザスパ草津
得点者:札幌/やっと宮澤さんが
     草津/おりません

 開幕から中断期間を挟んで3試合が経過し、未だ勝利がない上にただの1ゴールすら取れていない札幌は、今節は初勝利と初ゴールをかけて札幌ドームにザスパ草津を迎えてのホームゲームとなります。前節FC東京戦での引き分けで開幕連敗こそストップできたものの、Jリーグ全38チーム中未だに得点のないチームは札幌だけ。湘南ベルマーレ戦、東京戦と強豪相手の試合が続いた割には、開幕戦のガッカリな内容に比べてだいぶマシにはなってきてはいるんですが、点が取れない限りは勝てないし、この先も試合のたびごとに「Jリーグで唯一得点のない」という形容詞がついて回るのはいい加減卒業したいところ。
 というわけで札幌のために草津さんには是非エサになって欲しい、といいたいところですが、現在2勝1敗で6位につける草津は、18位の札幌から見れば格上チームです。いくらまだ3試合しか消化していませんけど、なんとなく今年のJ2は例年以上に群雄割拠状態になりそうな雰囲気で、前節時点でまだ3戦しかしてないにもかかわらず、既に全勝チームが1つだけ、しかもそれがFC東京でも湘南ベルマーレでもジェフユナイテッド千葉でも京都サンガFCでもなく栃木SCである、ということから見てもその混迷っぷりは感じられると思います。
 ちなみにJリーグ公式サイトで記録の残る2002年以降で「開幕からの無得点試合記録」を調べてみたところ、その栃木SCの「5試合」というのが最長でした。3試合程度で騒いでいるようじゃまだまだ札幌も甘いですね。

 まぁそんな感じで各チームの実力差が小さくなってきている今のJ2、もはや確実に勝てる相手など存在しない代わりに、絶対勝てそうもない相手など(たぶん)いないとも言えるわけで、そんな中キャンプ中に骨折して長く戦列を離れていたサイドバックの日高拓磨が復帰したのは好材料。ただしいきなりスタメンでの起用にはノブリンも慎重なようで、前節FC東京戦と同じスタメンで臨みます。
 対する草津は所属選手が大量に退団する一方、昨季8得点を挙げたラフィーニャや司令塔の熊林慎吾、心臓部である松下裕樹と櫻田和樹のダブルボランチといった中心選手は健在、FW萬代宏樹の補強にも成功し、開幕戦こそ栃木SCに敗れたもののその後は連勝、前述の通り2勝1敗の6位につけています。

 まず立ち上がりにリズムを掴んだのは札幌。左サイドの定位置を掴んだ近藤を中心に攻めの形を作ります。しかし、3試合連続でゴールを拒否されている負のオーラは伊達ではなく、前半10分にサイドを突破した近藤から素晴らしいクロスが上がり、アンドレジーニョがどフリーで飛び込みますが、ボールは頭ではなく肩に当たってあさっての方向へ。「あ~、この人ヘディング練習してないんだなー」という感じの残念シュートでした。小柄なブラジル人選手にはありがちですけどね。それにしても点が入らない時ってこういうもんなんですね。取れるときは砂さんのフリーキックだって入ってしまうくらい簡単に点が入るもんなんですけど、取れないときは本当にこんなものですね。
 こういうビッグチャンスを外した後ってえてして流れを渡してしまうものであり、実際試合も五分五分あたりに落ち着いてしまったのですが、それでもサッカー的には家本主審がノノ風にいえば「戦わせてくれる」ジャッジをしたくれたため、迫力あるぶつかり合いと、それでいてほとんどラフプレイのない見応えのある試合内容。前半のイエローカードは両チーム合計でなんとゼロ。どうしたんだ。ピンチらしいピンチも37分にアレックスのヘディングシュートを、僕らの味方クロス・バー選手が防いだシーンくらいで、一方それでも草津の守備陣も集中を切らすことなく、やっぱり点は取れずに0-0で折り返し。

 後半も流れはあまり変わらず。立ち上がりに宮澤がミドルシュートを放ちますが、草津GK北のファインセーブで防がれ得点ならず。あれだけギリギリのコースを突いても入らないのが今の札幌。北ってあんなにいいキーパーでしたっけ。関係ないですけど前節、ザスパ草津対ロアッソ熊本で、「北対南」のGK対決があったんですね。
 しかし札幌は変身を2回残しているのです。別に戦闘力は53万もありませんけど、まず第1段階の変身としてMF砂川誠を投入。これによって前線でボールが廻るようになった札幌、それまであまりいいところがなかった三上も徐々に存在感を見せるようになりますが、それでもゴールが遠いのは変わらず。そして相変わらずいつの間にか怪我をしていていつの間にか復帰する日々を続けている岡本ヤスの交代を経て、いよいよ第2段階、もはや恒例ともなったチアゴ大作戦。いや恒例と言ったって大作戦なんてもう何でもいいから点が欲しいという時にしか使わないものであり、ただ単に札幌は今のところ毎試合何でもいいから点が欲しい状態であるというだけの話なんですが、大作戦なんてはっきり言えば苦肉の策、もっと言ってしまえば単なるギャンブルであり、そうそううまくいくくらいなら最初からそれでやればいいと思うのですが、たまにはうまくいってしまうのがギャンブルらしいところで、後半41分、砂川のクロスをチアゴが頭で豪快に決めてついにゴールが生まれた…と思ったらチアゴのファウルを取られノーゴール。アレがファウルならほとんどのゴールがノーゴールじゃねぇの、と思ったものの、今の札幌は主審すら味方につけられない、というか点を取ってはいけない雰囲気なのかもしれません。
 本気でそろそろ「4試合連続無得点おめでとうございます\(^o^)/」という準備を始めかけた後半ロスタイム、それでも攻め続けた札幌が得たコーナーキックのチャンス。一度はクリアされたものの、2回目のコーナーキックで砂川の蹴ったボールを山下が叩きつけ、GKがはじいたところに宮澤が詰めてようやく今季初ゴールをゲット。そのまま逃げ切り今季初勝利もゲットしました。

 点が取れないことばかりが注目されていましたが、これで2試合連続完封、湘南戦を含めても3試合で1失点と、なんやかやでわりかし守備もしまってきた感もあるので、この調子をキープしてもらいたいものですね。

2011年5月 9日

こんなの絶対おかしいよ

2011年Jリーグディビジョン2第11節
ロアッソ熊本 1-0 コンサドーレ札幌
得点者:札幌/おりません
     熊本/ながさわくん

 前節ようやっと初ゴールと初勝利を挙げた札幌は、ロアッソ熊本とのアウェイ戦に臨みました。ようやくお通じがきた勢いに乗って連勝と意気込みたいところでしたが、日高拓磨が戦列に復帰したと思ったらアンドレジーニョが肉離れで再び戦線離脱。この人もいい加減スペランカーですね。前節まで右サイドバックを務めていた高木純平がトップ下に回り、サイドバックには満を持して日高がスタメン出場。アンドレの離脱は痛いですが、日高の復帰によって大きな戦力ダウンにはならないだろう、連勝も十分可能…と思っていたんですが、連勝どころかもとのゴール欠乏症に逆戻り。これまでオノレのチームのゴールネットを自ら揺らした以外に点を取れていないKKウィングの鬼門っぷりが悪いのか、加えて前節は最高気温が7度という札幌から29度という真夏並の気温の熊本という極端な温度変化が身体に負担を与えたためなのか、それとも5月10日からのローソンのけいおん!!フェアが気になって試合どころじゃなかったのか、とにかくひどい試合内容でした。ひどさレベルで言えば某焼肉屋の社長おわび会見くらい(船場○兆やミート○ープまでは行かない)。

 これといってピックアップするようなことは何にもないので全体的な印象を書きますけど、守備陣は決して悪くなかったと思うんですよ。失点したシーン以外で危ないところはなかったですし、あのカウンターは相手を褒めてもいいくらい。ただ、もしあのシーンを防いでたとしても、無得点…というか90分でシュートたった4本、枠に飛んだのは岡本ヤスの1本だけってんじゃ、どうやったって勝つのは無理無理無理のかたつむりですよ。シュート2本のチームに負けられるのはコンサドーレ札幌くらいしかないんだから。
 もっとも、シュート少ないからといって考えなしに遠くからでも打てばいいってもんでもないですが、そもそもシュートを打てるレンジまでボールを持っていくシーンすら少なかったですよね。以前からちょっと気になっていたんですけど、ビルドアップの時に早い段階(相手のアタッキングエリアに入る前)からサイドの選手にボールを渡してしまうのってどうなんでしょうかね。当たり前の話ですがタッチラインの外に攻めていくのは不可能、いや別に出来ないことはないですけどよっぽどいろいろ覚悟した人でもない限りはやっちゃだめですから、ただでさえパスを出せる方向が真ん中にいるときに比べて半分になります。前に攻めようとすれば当然さらに方向が限定されるわけですから、守る側にとってみれば楽なことこの上ないですよね。2人くらいでパスコースを塞ぎながらプレスをかければパスにもドリブルにも対処できるし、1人だけでもまず中を塞いで付いていって縦に行かせれば大怪我には繋がりませんからね。
 サイドアタックというのは確かに得点を獲るためには有効な手段ですが、それには前提として「敵陣の深い位置から、なるべくいい形でクロスを入れる」ことが必要です。2人くらいが相手でも高い確率で勝負を制して正確なクロスを供給できるアタッカーがいれば話は別ですけど、そんな選手は滅多にいませんし、いたとしてもそんな選手が札幌でプレイしているはずもないですから、そうなるとサイドの選手にいい体勢(フリー)でボールを渡してあげる必要があります。であれば「サイドにボールを振る」のは攻撃の仕上げか、もしくはその一歩手前くらいにしないと、サイドの選手をフリーにさせるのは難しいですよね。
 というかそもそもサイドにボールを振るのも、なんか目的があってそうしているというよりは、真ん中でキープできないのでひとまず空いてるサイドの選手に渡す、という消極的な感じが否めないのですよね。いったんサイドでボールをキープして、DFを片方に寄せてから一気に逆サイドを陥れる、という戦術も考えられますけど、札幌の場合相手のプレッシャーを交わして大きなサイドチェンジを出来るような選手はいないためか、結局出しどころがないので後ろに下げて、相手DFも一緒に引き連れてサイドチェンジをするか、もしくはもう一度中に横パスを出して、無理目なダイレクトパスを前に送って相手のDFにカットされるようなシーンがほとんど。
 まぁ真ん中でボールを持っても周りの動きが少ないのでパスコースは出来ないし、くさびのパス入れるにも前がすぐに潰されるから、ボールを取られるのが怖いからとりあえずサイドに預けたくなるのもわからないでもないですけどね。もらう側にしても動いても見てくれてないのでボールが出てこないとか、そもそもパスそのものがずれてるとかいろいろ言いたいことはあるのでしょうけど。暑さの影響はあったにしても、「どうすれば点を取れるか」というのを考えず、ただ何となく「とりあえずサイドからクロス上げればーそのうち取れるかもー」みたいな感じでやってるようにしか見えないですよ。その辺って監督がノブリンになる前からも割と見られてたんで、監督の戦術がしょぼい、というよりは札幌で結果を残した数少ない岡田武史、三浦俊也の両監督がやってたサッカーを考えるに、札幌というチームはFW行ってこいサッカーしか出来ないんじゃねぇかと思ったりもするんですが、少なくとも中盤でボールを繋ぎたいからこそ、ブルーノやアンドレを獲ったんじゃないですかね。まぁアンドレはケガなんでしょうがないですけど。
 とはいえ、今のままじゃ中盤に誰が入ったとしてもあんまり変わらない気がします。「高いテクニックによる華麗なパスサッカー」なんて(少なくともオレは)求めてないんですよ。というか、仮に個人個人の力量が高くても、それだけで勝てるなんてJ2でもそうそう簡単じゃないです。それよりも、「パスを出したら動く」とか、「相手より一歩前へ行く」とか、「スペースを見つけて走る」とか、ごくごく基本的なことさえできてればいいんですけどね。こういうのはテクニック関係なく意識ひとつで変わるもんだと思うんですけど、難しいことですかね? 「花澤香菜出演アニメ年間制覇」よりはよっぽど簡単だと思うんですけど。

2011年5月18日

助っ人なんて、いるわけない

2011年Jリーグディビジョン2第12節
コンサドーレ札幌 2-0 ガイナーレ鳥取
得点者:札幌/三上 x 2
     鳥取/なし

 開幕5試合でわずか1得点というすがすがしいまでの得点力不足を惜しげもなく披露し、18位に絶賛低迷中の札幌は、今季からJリーグに参入を果たしたガイナーレ鳥取を札幌ドームに迎えてのホームゲームとなります。Jリーグへの準加盟は2007年と比較的早く、また鳥取(境港市)出身の水木しげる先生の代表作「ゲゲゲの鬼太郎」とのタイアップで話題を呼んだにも関わらず、財政面の整備が遅れたことや成績面で振るわなかったこともあり、加盟年としては後になるファジアーノ岡山やニューウェーブ北九州(現ギラヴァンツ)、カターレ富山に先を越されてしまっていましたが、昨季JFLで優勝を果たし、5シーズン目にしてようやくJリーグの舞台に立つことになりました。
 かつては札幌に在籍していたMF吉瀬広志やFW徐暁飛が所属したこともあり、また現在でもGKいのっちこと井上敦史が所属しているチームですが、前身のSC鳥取時代も含めてこの試合が初の対戦。あまり他のチームの試合を観てないのでどんなチームかはわからないのですが、前節までの成績は2勝2敗1分の8位。勝敗だけを見ても参入初年度のチームとしては及第点以上で、さらに詳細を見ると5試合でわずか2失点とリーグトップタイ、得点数は3とさほど多くはないものの、シュート数は1試合平均で11本を記録しており、がちがちの専守防衛チームでもないようです。J1にいたこともある今年Jリーグ16年目のチームが1勝3敗1分、シュート数1試合平均8本というというのもはずかしいなぁと思ったりもしましたが、同じような成績に元J1どころかタイトルホルダーいるのを見てまぁいいかと思いました。よくないけど。

 前節はロアッソ熊本にまさしくいいところなく敗戦しましたが、ひとまずノブリンはメンツを替える段階ではないと判断したのか、スタメンは前節と同じ。まぁうまくいかないからといってそのたびにメンツを替えたら固まるものも固まらないと思いますから、うっちーの回復次第ながらも当面はこのメンバーで行くんでしょうね。
 アウェイの鳥取はベテラン服部年宏やベンチの岡野雅行はもちろん、美尾敦や小井手翔太、戸川健太、喜多靖といったなかなか渋めの選手も多いのですが、札幌サポーターとしての注目はやはりGKいのっちでしょう。今季33歳にして初めてJリーグ公式戦への出場を果たした苦労人。札幌時代は佐藤洋平(現ベガルタ仙台GKコーチ)や藤ヶ谷陽介(現ガンバ大阪)といった分厚い壁もあって出場機会に恵まれませんでしたが、よく通る甲高い声で「クリアー!」と叫びながらパンチングしたり、セーブ時の美しい飛型フォームと、しかしボールに触れないギャップでサポーターから愛された選手でした。
 
 それはともかく試合ですが、前回の試合で書いた、「パスを出したら動く」、「相手より一歩前へ行く」、「スペースを見つけて走る」というのが実にしっかり出来ていて、とてもオレ好みのテンポのよいサッカーを繰り広げています。鳥取が。常にボールと人が動くのでプレスのポイントを絞らせず、細かいパスがぽんぽんと繋がり、アタッキングエリアまでスムーズにボールを運ぶことが出来ています。なるほど、これなら1試合平均で10本以上のシュートが打てているのも納得できますね。
 対する札幌はといえば相変わらずどう攻めたいのかがよくわかりません。鳥取に比べるまでもなくパスの受け手も出し手も動きが少ないので、手詰まりになって精度の低いロングパスを前に送るか、がっちりマークの付いてる前線の選手にくさびのパスを送ってカットされるかどっちかのパターン。サポーターではなく、単なるサッカーファンとしての視点に立つなら、どちらが魅力的なサッカーをしているかは一目瞭然でした。ただ、サッカーというのはいいサッカーをやっているほうが勝つとは限らないのが面白くもあり、残酷でもあるところです。この試合でも先制をしたのは劣勢の札幌でした。前半6分、古田が自陣から送ったロングボールに抜け出した三上が、飛び出してきたいのっちも交わし、うまくゴールに流し込みます。ルーキーなのにルーキーではない三上の今季初ゴール。
 高いディフェンスラインの裏を突かれた格好の鳥取ですが、先制されても怯むことなくラインを高く保ったまま。試合は相変わらず鳥取ペースで進み、札幌は守勢に回ることが多く、なんか勝ってる気が全然しません。
 しかし鳥取も攻めてる割には最後の詰めがあと一工夫足りてなかったようで、このあたりは札幌の最終ラインがそれなりに安定していたこともあるのですが、シュートの数こそ多いものの結局はいい形で崩す手がないまま、ペナルティエリアの外から精度の低いシュートで終わるパターンがほとんど。鳥取の松田監督はこのことについて「ポゼッションできていたというよりは、ポゼッションさせられていた」と評していましたが、そんな誘い受けみたいな器用なことが札幌に出来るもんですかね。まぁ、なんだかんだ言って力押しには滅法強いセンターバックと、なんだかんだ言って芳賀さん1人ががんばるだけの中盤を持つ札幌に対して「なんかもう少し押せば点取れんじゃね?」などと思ってしまったのか、攻撃ペースも割とスロットル全開気味で、確かにいいサッカーはしてるけどたぶんこれは90分持たないだろうな~という感じでしたので、結果的には誘い受けがうまくいったと言えるかも知れませんけど。

 後半も引き続き鳥取が主導権を握る展開ですが、さすがに鳥取にも疲れが出来たのか前半に比べればペースも落ち着き、札幌にも攻めるチャンスがいくつか出てきます。しかしどうにもシュートのタイミングが遅いのはなんでなんでしょうかね。校則かなんかで決まってるんでしょうかね。生徒手帳に「無理矢理シュートを打つべからず」とか書いてあるんでしょうかね。それともお気に入りのもふもふしたクッションを人質に取られて「強引なシュートを打ったらごわごわにするぞ!」とか言われてるんでしょうかね。それならしょうがないですけどね。ただでさえボールをシュートエリアに運べないのに、たまに攻め込んだときにも打てるときに打たないんじゃ、取れるものも取れないですよね。そういえば中学校の時、野球部に打田内(うたない)くんという人が実在しました。お元気でしょうか。
 そんなこんなでまた1点どまりかな~と思っていたのですが、後半15分、高木が右サイドに振ったボールを日高が受け、折り返したクロスに三上が頭で合わせて追加点をゲットします。いきなりなんの前触れもない見事な攻撃でしたが、大きいのは日高が攻撃に絡んだことですかね。グアムで骨折して熊本ではほとんど戦術練習に参加できなかったこともあってか、復帰してもいまいち周囲と合ってなかったのが気になりましたが、これでもう少しフリーランが無駄にならないことが多くなりそうですね。その分逆サイドの岩沼が攻撃では空気扱いされてるのが気になるところですが。
 この追加点が効いたのか、この後は鳥取の運動量が目に見えて落ちてきます。それでも気持ちは前へ前へというのが見えるあたり、いいチームだなと思いますが、セットプレイかカウンター以外で点を取られる心配はあまりなく、ただしそうはいってもゴールを割る気満々の鋭いバックパスをホスンに送ったり、心臓に悪いシーンがなかったわけではないですが。
 鳥取の運動量が落ちたことで中盤のスペースを得た札幌も追加点のチャンスはいくつかあったのですけど、古田のシュートがゴール・ポスト選手に阻まれたりなどで追加点は奪えず。周囲がどうせなら三上にもう1点取らせたいというのが見え隠れしてたのがほほえましかったですけど。実際に三上がハットトリックしてたら本人としてもチームとしてももっと自信が付いたかも知れませんが、残念ながらそこまでうまくはいかず試合は2-0で終了。内容的にはPSNの個人情報流出の補償内容くらい攻撃はしょぼいながらも2点取れたこと、シュートこそ多く打たれながらも無失点に抑えたことで、少しは上向きになってくれるといいのですが。

2011年5月25日

コンサって、ほんとダメ

2011年Jリーグディビジョン2第13節
サガン鳥栖 1-0 コンサドーレ札幌
得点者:札幌/いません
     鳥栖/金民友

 アビスパ福岡がJ1に昇格したとはいえ、まだまだ4チームが九州にあるJ2。つい2節前に九州(熊本)で試合をしたばかりだというのに、今節もサガン鳥栖とのアウェイ戦に臨むために再びチームは九州へ。以前も書いたように鳥栖は「J2オリジナル10」の中で唯一昇格を味わっていないチームですが、ということはつまりJ2で最も多くの試合を行っているチームということです。仙台くんはなんかすごくがんばってるし、山形くんだって「俺はまだ帰るわけにはいかないんです」と言って踏ん張ってるし、昔はあんなに弱っちかった甲府くんは見違えるほどたくましくなってるし、川崎くんももう手の届かないくらいビッグになっちまったし、大宮くんも実はお金持ちだったし、ついこの間までお得意様だと思ってた新潟くんには今は逆にカツアゲされる有様だし、FC東京くんも帰ってきたと思ったらすっかりセレブ気取りで感じ悪いし、大分くんもぼろぼろになって帰ってきたとはいえ一度でもあっちで光り輝いた時があったし…。昔は札幌くんもけっして主役級ではないものの、陵南高校で言えば3年の池上、男塾3号生で言えば卍丸、3年奇面組で言えば腕組くらいの、脇役ながらもちょっとは一目置かれる存在でしたけど、あれから10年以上経った今ではすっかり陵南高校で言えば菅平、男塾3号生で言えば独眼鉄、3年奇面組でいえば骨組くらいの立ち位置になっちゃってますからね。まぁ10年は長いですからね。子供の頃仲良しだったグループだって、10年あれば受験に失敗して引きこもってたり、すっかりギャルになってたり、秩父の山中を女装で駆けずり回ったりするようになるくらいですからね。
 そんな中でも、気がつけばいつでも僕たちのそばにいてくれたのが鳥栖くんで、これまでのリーグ戦で札幌と最も多く対戦したチームです。しかし去年までの通算対戦成績は33試合で14勝6分13敗とかろうじて勝ち越してはいるものの、札幌が「五段階計画」というリセットボタンを押した2004年以降は7勝4分9敗と負け越しています。ところで五段階計画って何でしたっけ。

 そんなわけで鳥栖くんにも立場が追い越されてしまったらしい札幌ですが、センターバックの一角である山下達也が、まどかマギカ3話を見たことによる(嘘)体調不良を訴えて欠場、その代役としてルーキー櫛引一紀が抜擢されました。コンサドーレというチームは残念ながら過去を通じて「日本サッカー界の強豪」であったことなどほんの一時期もありませんが、それでも早い時期から試合に出てレギュラーとして育った選手の中には、強豪チームに行って活躍するまでに成長した例は決して少なくありません。ただしセンターバックだけはどうも育てるのは苦手のようで、今まで生え抜きのセンターバックの選手がが、強豪チームへの移籍はおろかチームの定位置を確保した例もありません。もっとも、センターバックというのはその特性上、気軽に若い選手を試せるポジションではないですから、センターバックを育てるのが難しいのは札幌に限ったことじゃないのでしょうけどね。体調不良じゃなければこの試合でも普通にスタメンを張ってたはずの山下だって、札幌に来る前はセレッソで5シーズンほとんど試合に出れていなかったわけですし。それだけに櫛引にかかる期待は大きいですし、河合という経験が豊富な選手がいるうちに彼と組ませて、いろいろ試合の中で学んでもらうのは重要なことだと思います。
 しかしこんな状況の中でも本来のポジションで使ってもらえないチアゴはいったいどうしてしまったんでしょうか。最初から大作戦要員なのか、それともホントに出すとやばいのか。確かに今回の相手のサガン鳥栖の場合では、豊田との空中戦には勝てそうですがキムミヌあたりにさくっと抜かれそうな感じではありますが…。
 まぁどんなメンバーであっても、ちゃんとサッカーやってそれで勝ってくれればそれでいいんですけどね。世の中そう簡単にはいかないもんですね。というかですね。コンサドーレがやってるこれはそもそも「サッカー」と呼んでいいのかという根本のところから疑問が出てくるわけでして。熊本戦では27度という高い気温の中で足が動かず、シュートわずか4本という体たらくに終わっていますが、今節はそれを上回る29度もの気温の中で残した結果はシュート3本。昨今の世間の風潮に合わせるかのような節電サッカーです。現在まったく電気に事欠いていない、むしろ電気なんて東電に売るほどある北海道のチームであるコンサドーレ札幌が率先して節電を訴え、なおかつ選手が走らないことによるCO2排出削減を達成することによって、時代のオピニオンリーダー的な何かを目指しているのかもしれませんけど、それとて結果を残してこその話だと思うんですよね。節電だ節電だとエアコン切って熱中症にかかっちゃったら本末転倒ですよね。塩分の取りすぎは身体によくないからと言って、一切塩分を取らなかったら人間は死んじゃうんですから。過ぎたるはなお及ばざるがごとしと言うわけですし。
 30度近い中で直射日光を浴びながら運動するのは想像以上につらいですし、場合によっては進退の危険もあるわけですけど、それでも走らないと勝てるものも勝てないですからねぇ。失点直後に三上のポストから突っ込んできた日高がシュートを放ったのはけっこう好きな流れだったんですけどね。あれがこの試合最後のシュートになるとは思ってもみませんでしたけど。

 デビュー戦となった櫛引は、18歳のデビュー戦としては及第点かとは思いますが、まだレギュラー争いに名乗りを上げるほどでもないというところでしょうが。結果的には最少失点で済みましたけど、河合1人でかなりのピンチを摘み取ってましたしね。もちろんデビューの緊張もあったでしょうし、相手をしていたのが豊田陽平ですから吹っ飛ばされるのはしかたないとして、さりげなく危険なスペースを埋めたり、カバーもそつなくこなしてましたんで、これからに期待できる選手であることは間違いないでしょう。ベンチ入りを果たしたユースの奈良くんともども、伸びていって欲しいものです。

 ちなみに鳥栖には「あんにゃろ」こと新居辰基が所属していますが、残念ながらベンチ入りもせず。そういえばあんにゃろの長女は明日5月26日が誕生日ですね。なぜ知ってるかって? そりゃ、俺と同じ誕生日だからですよ。おかげさまでハタチになります。

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